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裏番組のアナウンサー 後編

『ちなみにですが。ゴリラも動物ですので発情期があります。夜の動物園の隠し映像がこちらになります』 アナウンサーが一言添えて、VTR映像が流れる。そこには 『ウホッ、ンホオオッ! ンホオオオオッ!』 先ほどのゴリラだろうか。一心不乱に自分の女性器に指を伸ばして、かき回しながら声を上げている。 『はい、周りに誰もいないから、発情期を抑えるために自分でイタしてるんですねー。心細くなってついついやっちゃったのかもしれませんねー』 最早アナウンサーも棒読みだ。番組プロデューサーにあきれているのかもしれない。 実際テレビを見ている俺だってそうだ。 「悪趣味な……」 「同感ですが、にしては社長、熱心に御覧になっていませんか?」 ……しょうがないだろ。見た目はあれでも、中身は女の子が一生懸命オナニーしてるんだぞ。見なくてどうする。 「どうせこれ、生放送じゃないんだろ? だったらどうすることもできないし。情報は大事だ」 「まあ、分からなくはないですけどね」 『うほおおおっ、ほおっ、ウホオオオオッ!』 あ、イッたな。 これで終わりかと胸をなでおろしたところで、しかしそれが早計だったと気づいた。 『ウホッ、ウホッ、ウホオオ……』 さすがに疲れたのか、そのままおとなしくなった様子のゴリラ。先ほどの様子からして、もともとは里見さんという女性らしいが、彼女にさらなる問題が襲った。 「ウホオオ……ウホッ⁈ ンホオオオ!」 オスが集まってきたのだ。 当然ゴリラが集団で向かってきたら、だれだって逃げる。里見さんだってそうだったのだろう。 しかし、本職のゴリラと元人間。しかもオスとメス。 どうにかできるはずもなく。 「ウホオオ!」 『ンホオオッ/// ホオオオッ、ウンフォオオオ⁈ ンホオオオ~!』 成すすべなく犯されて、声を上げる里見さん。 おそらく、『やめてええっ/// あたしは人間よっ、んああああっ⁈ やめてっ、そんなにおっきいのいれないでっ、あああああんっ』みたいな感じなのだろうが、まあ、これはわかんないな。 まあいい。必要なことはわかった。 「要するにあれだろ? 仕事でミスった人たちを、バツとして動物に変えて動物園で流す。裏社会の物好きたちも見る。お金も落とす。みんなうれしい」 「はい、その通りです」 『ンホオオオオオッ! ホオオッ、ホオオオオオッ……』 かわいそうに。みんなにかわるがわる犯されて。はしたない声を上げるゴリラ。もとい、里見さん。 「一応このテレビ録画しておいてくれると助かる」 「すでに録画済みになっておりますので、ご安心を」 相も変わらず有能な秘書である。 テレビの向こうではそろそろ次の動物に話が移っていて。 『さて、ゴリラさん、元気いっぱいでしたね。いろんな意味で……かわいそうに』 最後にぼそりとつぶやいたのは、本人の感想かもしれない。 『さて、次の動物は何でしょうか、はい、正解はこっちですっ』 アナウンサーはひきつった顔のまま、次の檻へ向かう。 するとそこには、 『はい、次の檻はトラでしたー……ああ、だめですねこれ。もう始めちゃってますか』 あきらめたような声のアナウンサーに加えて。 『ヴニャアアアっ! ヴニャアアアアアッ!』 「ぐるるっ……」 交尾を繰り返す一組のトラのカップルが、そこにいた。 そして、後ろからバックでピストンをされている雌のトラは、アナウンサーに気づいたのか、 『ヴニャア⁈ ヴニャウニャアア! グニャア!』 「……あ、沙織ちゃん」 どうやら友達か後輩なのか、先ほどよりも親しそうなアナウンサー。 だがやはりというか、トラ、沙織さんのほうには余裕もなさそうで。 「ヴニャーゴっ! ヴニャああっ……ヴニャあっ⁈ にゃへええええっ……」 文句をたれていた矢先、再び後ろからとびかかられる沙織さん。どうすることもできず、甘い鳴き声を上げながら交尾を開始する。 どうにか逃げ出したいのだろうが、この姿勢ではどうすることもできない。 「ブニャヘッ、にゃへえええっ……ヴにゃああああっ!」 人間は二足歩行。トラは当然四足歩行だ。慣れていなければ、逃げ出すことなど不可能。 そして、どうすることもできないと悟ったのか、素直に前足を折り曲げて、されるがまま。 「にゃへえええっ……! へええっ、ヴニャアアアっ! ヴニャアアア……!」 喘いでいる。 間違いない。喘いでいるとわかってしまう。 彼女は、沙織さんは、トラの姿になってもなお、一生懸命、女として、喘ごうと頑張っているのだ。 女としての尊厳を、精いっぱい守ろうとする姿に、さしもの俺も心を動かされる。 『なれない体で頑張ってる……頑張って、もう少しの辛抱だから』 アナウンサーのほうも、少し応援気味になっていて。 そして、 「ニャーゴっ// ふにゃああっ⁈ ……ウンニャアアアアッ!」 美しい雌トラは、気高く、果てた。 「おや、社長、よろしいのですか? 電源を切ってしまって」 「……うん。決めた」 もう、ここまでのものを見せられたら、どうしようもない。 俺は威厳に満ちた声を作って。 「このテレビ番組、うちがスポンサーになるわ。あのゴリラとトラの子も、スカウトしよう。もっと待遇はよくして、もっといやらしく喘いでもらおう!」 「……かしこまりました」 秘書の目が少しだけ冷ややかになっていたのは、まあ、見て見ぬふりをしよう。


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