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あいまり
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純白の誓いは奪われて 前編【後編】

「……分かった、降参。私の負けだよ」  そんな中で、オディールは唐突にそんなことを言いながら体を起こした。  突然のことに思わず「へっ?」と声を漏らしていると、彼女は私の体の上に馬乗りになった姿勢のまま、ヒラヒラと両手を軽く振った。 「日没の時間も近いし……まさか、こくおー様がこんなにもオデットちゃんのことを愛してるなんて思わなかったから、ビックリしちゃったよ」  淡々とした口調で言いながら両手を挙げるオディールの言葉に、私はベッドの上で仰向けになったまま呆けてしまった。  ということは、つまり……これで終わり、ということか……?  あまりにも突然の幕引き拍子抜けしてしまい、もしかしたら何か他に企んでいることがあるのではないかと疑い訝しむようにオディールの顔を見つめ返すと、彼女はケラケラと明るく笑いながら手を振った。 「別に何も企んでないよ~。そんなに信用無い?」  明るく返されたその言葉に小さく頷いて見せると、彼女は「ひど~い」と笑いながら言った。  終始軽薄な態度を崩さないまま彼女の様子に、やはり何か裏があるのではないかと疑心を抱いていると、彼女はそのヘラヘラとした笑みを緩めて「本当だよ」と続けた。 「こくおー様が勝ったから、約束通り、私もお姉様も君たち二人には金輪際近づかないよ。だから、こくおー様はこのまま日が沈んだら彼女の元に行って、呪いを解いてあげなよ」  オデットちゃんとお幸せにね、と。  淡々とした口調で言いながら彼女は私の体の上から退き、そのままベッドから下りて立ち上がる。  ……私は、彼女との勝負に、勝ったん……だよな……?  こうなることを望んでいた筈なのに……どうしてこんなに、モヤモヤとした気持ちが、残るんだ……?  私は、オデットを愛していて……彼女に掛けられた白鳥化の呪いを、解きたくて……その為には、誰にも永遠の愛を、誓ってはいけなくて……。  だから、オディールは私に永遠の愛を誓わせようとしていて、その為に魅了魔法を使ってきて……。  そう、そうだよ。結局彼女は私にオデットの呪いを解かせないようにしたいだけで、別に私のことを好きな訳では無くて、今私が抱いている感情も魔法で作られた紛い物で……。  だから、これで……良いん、だよね……?  勝負に、勝って……私はオデットに、永遠の愛を誓って……オディールは私の前から、いなくなって……金輪際、私の前に姿を現すことは、無くて……。  それで良い、はず……そうすることが、正しいはず、なのに……。 「──……待って、オディール」  気付いた時には、私はそう言いながら、ベッドから立ち上がろうとする彼女の腕を掴んでいた。  突然呼び止めたからか、ベッドから腰を浮かせていた彼女はぽすっと軽い音を立ててベッドに座り込み、緩慢な動作で私の方を向くと小さく微笑を浮かべて軽く小首を傾げた。 「どうしたの? こくおー様。私に……何か用?」  彼女はクスリと小さく笑みを零すと、そう聞き返しながら空いている方の手で髪を耳に軽く掻き上げる。  まるで全てを見透かしたような瞳を向けられ、もしかしたらこれも作戦だったのではないか、という微かな疑惑が首をもたげる。  オデットへの気持ちと今オディールに抱いている感情が心の中の天秤に掛けられ、ギシギシと鈍い音を立てて左右に振れる中、私はゆっくりと口を開いた。 「日没、までは……まだ、時間があるだろう……?」 「そうだけど……こくおー様、全然私のこと好きになってくれないんだもん。勝ち目のない勝負を続ける程、私も馬鹿じゃないよ」  掠れた声で問い掛ける私に対し、オディールは相変わらず飄々とした態度を崩さないまま、彼女の手首を掴む私の手を離させようとする。  しかし、私はそれに抗うように彼女の細く華奢な腕を掴みながら静かに唇を噛みしめる。  ……違う。何をしているんだ、私は。  放すんだ、この手を。今すぐ。  私が本心から好きなのは、オデットなのだから……私が今すべきことは、この手を離して、オデットの元に向かうことだ。  だから、早くこの手を、離さなければないのに……。  口を噤んだまま思考を巡らせていた時、視界の隅で白い何かがはためいたのが分かった。  眼球を動かすようにしてそちらに視線を向けて見ると、そこでは……窓の外からこちらを見つめて羽ばたく、ティアラを被った一羽の白鳥がいた。  あれは……オデット……? どうして、こんな所に……? 私に会いに来たのか……?  しかし、それならばなおのこと、早くこの問題に決着をつけなければならない。  私が今何をすべきなのか、私が本当に好きな人は……──。 「余所見しないでよ、イーリア」  私の思考を遮るように、そんな風に呼び掛けられるのと同時に頬に手を添えられ、窓の方を向いていた私の顔は半ば強引に戻される。  そこには……薔薇色の瞳を怪しく輝かせながら、微笑を浮かべてこちらを見つめるオディールがいた。 「ぁ……」 「今は私と話してるんだよ? ちゃんとこっち見てよ」  そう言って小さく笑みを零す彼女の言葉に、私の心は乱される。  私……私が本当に、好きなのは……それは……── 「──……オディール……ッ」  私は上ずった声で彼女の名前を呼ぶと、そのまま自分の頬に添えられた手を掴んで引き寄せて唇を重ねた。  その瞬間、拮抗していた心の中の天秤は勢いよくオディールの方へと傾き、そのまま音を立てて砕け散る。  同時に、私という存在を支える根本的な何かが崩れ落ちたような感覚がしたが、不思議と後悔はしなかった。  数秒程の間唇を重ね合わせた後でゆっくりと顔を離し、恐る恐ると言った様子で瞼を開くと、そこにはどこか悪戯っぽい笑みを浮かべてこちらを見つめるオディールの姿があった。 「こういう恋人同士がするようなことは、私とはしたくなかったんじゃないっけ?」 「……意地悪」  クスクスと笑いながら言う彼女の言葉に、私は気恥ずかしさに熱くなる頬を隠すように目を逸らしながらそう答えた。  彼女はそれにケラケラと笑いながら「ごめんごめん」と悪びれること無く答えると、私の頬に掛かった髪を指で優しく掻き上げて耳に掛けさせ、そのまま私の後頭部を掴んで強引に唇を奪った。  こちらの意思を一切無視したかのような乱暴なキスに、ショックや動揺よりも先にそれだけ激しく求めてくれたことへの悦びが込み上げ、思わずビクビクと肩を震わせて歓喜を露わにする。  オディールはそんな私の様子を見て薔薇色の目を細めると、唇を重ねたままゆっくりと舌を伸ばし、強張るように固く閉じた私の唇を優しくノックする。  唇に感じた温かく艶めかしい感触に思わず口元から力を抜くと、まるでその隙間を縫うように、ぬめっとした肉塊が口内へと侵入してきた。 「んんッ……!♡ んむぅッ……♡」 「んちゅッ……♡ んふっ……♡ 可愛い……♡」  思わずくぐもった声を漏らして体を強張らせる私に対し、オディールは息継ぎの合間に小さく笑みを零しながらそう言うと、空いている方の手で私の肩を掴んでまたもや唇を重ねて舌を絡める。  そのまましなだれかかるように体重を掛けてきた為、私は抵抗する間も無くゆっくりと押し倒され、気付いた時にはされるがままにベッドに背中を預けていた。  しかし、覆い被さるように体を重ねた彼女はそのまま濃厚な接吻を継続していた為、私は込み上げる悦びに身を震わせながら彼女の首に両手を絡めて必死に舌を絡めた。 「ちゅッ♡ ぷは……ッ♡ オディールッ……♡ んちゅッ……♡ んぁッ♡ 好きぃ……ッ♡ んむッ……♡ はッ……♡ おでぃーるぅ……♡ んちゅっ♡ すき、すきなのぉ……♡ おでぃーるぅ……ッ!♡」 「んッ……♡ ふふッ♡ んむッ♡ ぷぁッ……♡ かわいい……ッ♡ んちゅッ♡ んんッ……♡ はッ……♡ 私も好きだよ、イーリア……ッ♡ んちゅッ……♡ んふっ♡ んむッ♡」  息継ぎの度に一生懸命思いの丈を綴ると、彼女は小さく笑みを零しながらそれに応え、濃厚な接吻を返してくれる。  絡み合う舌を伝って口内へと流れ込んでくる彼女の唾液を嚥下すると、今まで口にしたどんな食物よりも甘美な味覚が脳を焼き焦がし、膨大な幸福感に思わず涙を流してしまう。  もっと欲しいと訴えるようにオディールの腰に両足を絡めながら歓喜に打ち震える下半身を押し付けてみると、彼女はフッと笑みを浮かべるかのようにその目を細めながら私の股間に太ももを滑り込ませ、熱く濡れた下腹部にグリグリと刺激を加えてくる。 「んぷぁッ……♡ おでぃーるぅ……♡ おでぃーる、すきぃ……♡ おでぃーるぅ……ッ♡」 「んッ……ふふ、本当に? さっきまであんなに敵対心剥き出しで、絶対に私のことなんて好きにならない~とか言ってた癖にぃ?」  込み上げるがままに最愛の人への愛の言葉を零す私に対し、オディールは悪戯っぽい笑みを浮かべながらそう言うと、ストッキングを纏い細く引き締まった太ももで私の下半身をより深く抉り込む。  愛する人から与えられる強い快楽刺激に、私は思わず「んぉぁッ!?♡」と間の抜けた嬌声を上げてしまい、それだけ彼女から愛されているという事実に秘所は悦びで咽び泣く。 「やぁッ……♡ いじわる、いわないでぇ……♡ ほんとに、あいしてるからぁ……ッ♡」 「ふふ♡ 大丈夫、ちゃんと分かってるよ♡ 私も愛してる♡」  オディールがそう言って微笑むのと、彼女の太ももがゴリッと私の秘所の中心部を擦り上げたのは、ほとんど同時のことだった。  最愛の人からの愛の告白と強烈な愛撫を同時に受け、私の体は脳天から爪先まで隈なく電流が走ったかのような衝撃に包まれる。  視界はチカチカと激しく点滅し、体の輪郭がぼやけて溶けていくような幸福感の中、私はゼェゼェと喘ぐように荒くなる呼吸を繰り返しながら全身から力を抜いて横たわる。  それに対し、オディールは相変わらず私の上に馬乗りになったまま小さく笑い、下で脱力したまま惚ける私の前髪を指先で軽く弄びながら口を開いた。 「あのさ、イーリア。私のこと、本当に愛してくれてるなら……私のお願い、聞いてくれる?」 「……おねがい……?♡」  突然の提案に思わず聞き返すと、彼女は満面の笑みで「うん。お願い♡」と答えた。 「別に、大したことじゃないんだけどさ? 私にぃ……永遠の愛を誓って欲しいな♡」 「えいえんの……?」 「うんっ!♡ ほら。イーリア、ちょっと前までオデットちゃんのことが好きだったでしょう? 私、本当にイーリアのこと愛してるから、いつかまたあの子の元に戻っちゃうんじゃないか~ってすっごく不安になっちゃうの。だから、これからずっと私のことを愛して、一緒にいてくれるっていう証が欲しいんだぁ」 「それはかまわないけど……えっと、プロポーズとかしたらいい……ってこと?」  明るい声で語る彼女の言葉に、私は今だ上手く呂律が回らない口でそう聞き返してみた。  急にお願いがあるなんて言うから、一体どんな難題を突き付けられるのかと身構えていたので、正直拍子抜けしてしまう。  とは言え、確かに少し前までオデットを愛していたのは事実だし、そう言った安心材料が欲しくなるのも無理はないか。  一瞬、オデットの呪いのことが頭に過ぎるが、今の私には彼女の呪いを解くことよりも最愛の人の願いを叶えることの方が重要だった。  そんな私の言葉に対し、オディールは相変わらず私の前髪を軽く指先に絡めながら「ん~……」と小さく声を漏らし、しばし考え込むような様子を見せる。 「それも良いんだけどさぁ。それって、人間同士での誓いでしょう? ホラ、私は悪魔だから……イーリアが嫌じゃなかったら、私のやり方で愛を誓って欲しいなぁって思うんだぁ♪」 「オディールの、やりかた……って……?」 「イーリアが私の眷属になるの♡」  オディールがそう言って満面の笑みを浮かべるのと同時に、バサァッ……と音を立てて彼女の背中から一対の黒い翼が生える。  雪のように空中に舞う漆黒の羽根と、額から黒く小さな二本のツノを生やしてこちらを見下ろす可憐な少女のマリアージュはあまりにも美しく、私は思わず心奪われて言葉を失う。  彼女はそんな私を見て小さく笑いながら舌なめずりをすると、私の頬を軽く撫でて唇の隙間から鋭い牙を僅かに覗かせながら続けた。 「知ってる? 人間はせいぜい百年程度しか生きられないのに対して、悪魔は永遠の時を生きられるの。だから、このままだとイーリア、私よりも先に死んじゃうんだよ? 私……そんなの耐えられないよ」 「オディール……」 「でもね、イーリアが私と隷属の契りを結んで眷属になってくれたら、私達、これからずぅぅぅぅぅぅ……っと一緒にいられるんだよっ? イーリアも私のモノとして永遠に一緒にいられて幸せだよね? ねっ?」  彼女は明るい声と弾むような口調で言いながら身を乗り出し、私の顔を覗き込んでくる。  それはつまり、オディールと……──悪魔と契約を結び、永遠の時を生きる化け物になる、ということか?  ただ、愛する人と同じ時間を生きる為だけに……文字通り永遠の愛を誓い、人間すらも辞めろと言うのか? 「……うんっ!♡ オディールのものになるぅっ!♡」  そんなの──考える間でも無い。  最愛の人から永遠に一緒にいようと言われて、嬉しくない人間などいるのだろうか。  例えそれが、人間すらも辞めて私という存在が作り替えられることになろうとも。  私は溢れんばかりの喜びに身を任せて答えながら、オディールへの熱情を少しでも多く伝えるように彼女の華奢な体を強く抱き締める。  すると、彼女はクスクスと笑いながら「本当?」と聞き返してくるので、私はコクコクと何度も頷いて見せた。 「えいえんのあいちかう!♡ オディールのけんぞくなる!♡ オディールとずっといっしょにいるのぉ!♡」 「え~本当に良いの? 人間じゃなくなるんだよ? それでも良いの?」 「いい!♡ オディールといっしょにいられるならなんでもいいの!♡ オディールにしはいしてもらうのぉ!♡」 「もぅ……♡ 本当に可愛いんだから♡」  自分の想いの丈を叫ぶ私の言葉に、オディールはそう言って微笑むと体を起こし、私の額に口付けを落としてくれる。  それに思わず頬を綻ばせて喜びを享受していると、彼女は私の体の上で姿勢を立て直し、ベッドに両手をついてこちらを見下ろしながら続けた。 「じゃあさ、今すぐ契約しよ?♡ 私とイーリアが永遠に生きられるように……永遠の愛、誓ってくれるよね?♡」 「うんっ!♡ ……あっ、でもその、けんぞくって、どうやってなるの?」  彼女の眷属になると決めたは良いが、肝心の方法が分からないことに気付いた私は、彼女の手を煩わせることに申し訳なさを感じながらもそう聞き返してみた。  しかし、彼女はそんな私の言葉にむしろ「よくぞ聞いてくれました」と言わんばかりの満面の笑みを浮かべると、パチンッと乾いた音を立てて指を鳴らす。  すると太ももの内側に触れているストッキングのザラザラしたような感覚が消え、彼女の太もものむちむちと引き締まる肉の感触が直に当たる。 「えと……?」 「眷属になる条件はぁ……“こっち”の唇でキスをして、誓いの言葉を言うことだよ♡」  オディールはそう言って私の上に跨ったまま膝立ちになると、身に纏う漆黒のドレスの裾をたくし上げた。  するとそこには……一切の衣服を身に付けず、ありのまま曝け出された彼女の下半身があった。  突然曝け出された無毛の陰唇を前に思わず生唾を飲み込んで言葉を失っていると、彼女は眉を八の字にしてどこか困ったような笑みを浮かべながら続けた。 「ちょっと、イーリア。そんなにジッと見られると、少し恥ずかしいよ」 「うえッ!? ごめ、そんなつもりはッ……!」 「ううん、良いよ。むしろ……もっと見て欲しいくらい」  こちらを見下ろしながら続けられたその言葉に、私は思わず口を噤んで言われるがままに彼女の陰部へと視線を向ける。  先程魔法でストッキングと共に下着を消したのか、一糸纏わず外気に晒された陰唇は透明の雫で僅かに濡れており、まるで何かを誘っているかのようにヒクヒクと微かに震える。  今までこんな風に女性の秘所をまじまじと見つめる機会など無かった上に、今目の前にあるのが愛する人の物であるという情報に私の思考は火照り、これからどうすれば良いのかなど考えられ── 「──んむぅッ……!?♡」 「あはッ♡ ごめ~ん♡ 当たっちゃったね♡」  突然唇に触れた肉の感触に思わずくぐもった声を漏らすと、オディールは仰向けに横たわる私の顔の上に乗ったまま、甲高い声で言う。  数秒程遅れて、つい数瞬前まで目の前にあった彼女の秘所に口付けをしているという情報を脳が理解し、カァッ……! と脳髄が焼き焦がされていくような感覚がした。 「イーリアがあまりにも熱烈な視線を向けてくるから、我慢できなくなっちゃったじゃん~♡ 責任取って、ちゃんと私のこと気持ちよくしてねぇ~♡」  彼女はそう続けながら私の顔に下半身を押し付け、ぬちゅぬちゅと音を立てながら腰を軽く前後に揺らす。  自分の唇とオディールの秘所の間から聴こえる淫らな水音に思考が溶けていくのを感じながらも、「気持ちよくして」という他でも無い彼女からのお願いに、私は必死に舌を伸ばして彼女の蜜壺を愛撫する。  陰唇の間を縫うように舌を這わせる度に形容しがたい味が私の味蕾を焼き焦がし、肉ヒダの中心にある突起物に舌や唇が触れると、まるでそれがスイッチだったかのように溢れ出す淫蜜が重力に従って口内へと流れ込む。  粘性のある甘い蜜が口の中に溜まっていき、零すのも勿体無いからと音を立てて飲み込むと、熱を帯びた多幸感が下腹部に溜まっていく。  身も心も満たされていくような充足感に、もっと欲しいと訴えるかのようにさらに激しく舌を動かしてみると、舌先に触れる陰唇が震えて中心にある突起物が固くなっていくのを感じた。 「んんッ♡ あッ、イくッ♡ イくぅッ♡」  刹那、そんな甘ったるい声が聴こえたかと思えば彼女の身体がビクビクッと打ち震え、肉壺からは愛液が勢いよく噴出する。  オディールから貰える物は何であろうが取り零してなるものかと、私は両手で彼女の臀部や腰を掴んで支えながら、下品な音が出るのも構わず必死になって淫蜜を啜った。 「んんぁッ♡ やばッ♡ それぇ……ッ♡ またッ、イくぅッ……♡」  彼女は鼻に掛かったような甘い声でそう言いながらビクビクと体を痙攣させるので、また秘所から勢いよく流れ出た愛液を一滴も零さないようにと舐め取ろうとした時、私の口元から彼女の陰唇がゆっくりと離れていくのが分かった。  突然のことに驚きながらも重力に従って垂れてくる淫靡な雫を口の中へと溜めていると、彼女は私の顔から腰を浮かせながらベッドに手をつき、そのまま痙攣する体を静かにベッドに沈み込ませた。 「あは……♡ すご、きもちよすぎ……♡ こんなの、はじめて……♡」  そう言って隣に横たわるオディールの頬は紅潮し、こちらを見つめる薔薇色の目は恍惚に蕩け、彼女が荒い呼吸を繰り返す度に汗で湿った前髪が揺れている。  こんなにも余裕の無い彼女の姿は今までのまぐわいの中でも初めてのことで、この姿が他でも無い私の手によって生み出されたのだと知ると、ゾクゾクと言い知れない感情が背筋を走り抜けた。  そして、彼女のこんな姿は自分しか知らないのだと思うと優越感のような愛おしさが胸中を埋め尽くし、私は口の中に残っていた愛蜜を飲み込みながら彼女の元に擦り寄った。 「オディール……♡ 今の顔、すごく可愛い……♡」 「イーリア……んッ♡」  掠れた声で名前を呼ぶオディールの唇に、私はソッと自分の唇を重ねた。  舌は入れず、唇を触れ合わせる程度の口付けをすると、彼女は赤らんだままの頬をフッと微かに緩めながら私の腰に手を回した。 「ね、イーリア……♡ 準備も出来たし、このまま隷属の契約、結ぼう?♡」 「うん♡ 私はいつでも、オディールの好きなタイミングで構わないよ♡」  私の答えにオディールの顔が蕩けるような淫靡な笑みに染まったかと思うと、次の瞬間には彼女は私の体の上に覆い被さり、両足を互い違いに絡まるようにクロスさせた。  仰向けになったまま、右足を彼女の肩に乗せるような形で足を開かされた私に対し、彼女は自身の肩に乗せた私のふくらはぎや太ももの内側を優しく撫でながら淫らな笑みを浮かべた。 「じゃあ……イーリア。貴女は私、オディールの眷属となり、その身も心も全てを捧げて永久の時を共に生きることを誓いますか?」 「はい♡ 誓います♡ ──ぁッ♡」  笑みを浮かべたまま告げられた誓いの言葉に頷いた瞬間、彼女の熱く濡れた蜜壺が、私のソレと重なった。  その瞬間、下腹部を中心に全身が燃え上がるかのように深く熱い劣情が脳天を貫き、私の脳は強烈過ぎる快感を処理しきれずショートしたかのように思考が途切れる。  視界が白一色で染まり、周りの音が何も聴こえない無の世界に投げ出された私の意識は、ぐちゅっ♡ と下腹部から響いた水音と共に全身を貫く快楽刺激によって引き戻された。 「──ッはぁッ!?♡ あぁッ♡ あんッ♡ んんぁぁあああッ!♡」 「あはッ♡ やっと戻ってきたッ♡ じゃあもう一度飛んじゃえッ♡」  目の前に広がる天井を見つめながら、全身を焼き焦がすかのような快楽に身を任せて嬌声を上げていると、オディールがそう言いながら私の足を持って体を引き寄せてもう一度秘所を強く触れ合わせた。  ぐちゅうっ♡ ぐちゅっ♡ ぐっちゅ♡ ぐぢゅぅっ♡  鈍く淫らな水音が鼓膜を震わせる度に、私の視界はチカチカと激しく明滅し、全身の細胞が強烈な快感刺激に打ち震え燃え上がるのを感じる。  何度も強い快感で意識が飛ばされては引き戻され、私という存在が彼女の所有物として塗り潰されて作り替えられていくのを感じて幸福感に包まれる中で、最早正常な機能を果たさない私の視界にオデットの姿が蘇る。  どうして今更? と不思議に思うのと同時に、今となっては懐かしさすらも感じるような彼女への高鳴りが微かに私の胸を掠めた。  それはまるで、私の全てがオディールの物として生まれ変わろうとしている中で、人間として生きてきた過去の私の残滓が訴えてきた最期の走馬灯のようだと思った。 「あはぁッ……♡ おでっとぉ……♡ ごめん、おでっとぉ……ッ♡」  今までまともな恋愛経験も無い中で出会った、初恋の人。  初めて恋心を抱き、私の生涯を捧げて添い遂げたいと思った最愛の人。  遠い過去のこととして忘れていた彼女への恋心が微かに沸き上がり、彼女の呪いを解くと言う約束を裏切ったことへの罪悪感が込み上げ、快楽に喘ぐ嬌声混じりに私は謝罪の言葉を紡いだ── 「他の女の名前出さないでよ」  ──が、そんなどこか冷淡さのある声が耳に届くのと同時にぐちゅり♡ と強く秘所を押し付けられ、僅かに蘇ったその感情はすぐさま塗り潰されて掻き消される。  背中を弓なりに反らしながら甲高い嬌声を上げていると、オディールは肩や腕で私の足を支えたままゆっくりと身を乗り出し、互いの秘所を強く押し付け合いながら続けた。 「イーリアは誰の物なんだっけ?」 「お、おでぃーるぅ……ッ!♡ わたしはッ、おでぃーるのものぉッ……!♡」 「私のこと、どれくらい愛してる?」 「だッ、だれよりもぉッ♡ このせかいのだれよりもッ、なによりもあいしてッ♡ るからぁッ♡」 「私がいたら後は何もいらないよねぇ?」 「いらないぃッ!♡ おでぃーるがいればぁッ♡ それだけでいいぃぃぃぃッ♡」 「うんうん♡ じゃあ私以外の女のことなんて忘れちゃおうね~♡」  彼女はそう言うと両手で私の足をしっかりと掴み、まるで下の唇同士で深く濃厚な接吻をするかのように、ぐりぐりぐちゅぐちゅと私達の陰唇同士を絡み合わせる。  気持ちよくて幸せで他に何もいらないけど、さっきまで何か大事なことを思い出していたような気がして、もしかしたらそれは忘れたらいけないことだったような気が──  ぐぢゅぅっ♡ ぐちゅんっ♡ ぐぢゅりっ♡ 「──あはぁッ♡ きもちいいぃッ♡ しあわしぇぇッ♡ おでぃーるぅ♡ しあわせなのぉぉぉ♡」 「んふふ♡ わたしもすっごくしあわせッ♡ あいしてるよ、イーリア♡」  段々息が上がって明らかに余裕が無くなりながらも、笑顔を浮かべたまま告げられた愛の言葉に私の鼓動は甘く高鳴り、もう何度目かになるかも分からない絶頂へと近づいていく。  すると、彼女も「んんッ♡」と小さく声を漏らしながら微かに体を強張らせると、私の両足を掴んで陰唇を絡み合わせる動きを速めていく。 「んんぁッ♡ おでぃーる、いくぅ♡ またッ♡ いっちゃうよぉッ♡」 「わたしもいくッ♡ いっしょにイこッ♡ イーリアッ♡」 「うんッ♡ あッ、あんッ♡ イくッ♡ イくぅぅぅぅぅッ!♡」  オディールの言葉に頷いたのも束の間。  下腹部から込み上げる甘い熱が脳天まで昇りつめてくるかのような感覚に、私は容易くイかされてしまい、嬌声を上げながら体を反らせて腰を震わせた。 「んぁぁあッ♡ わたしもぉッ♡ わたしもイくッ、イくぅぅぅぅッ♡」  私が絶頂した拍子に陰唇同士が激しくぶつかったようで、オディールも甘く愛らしい嬌声を上げながら髪を振り乱して続くように絶頂する。  ビクンビクンッ!♡ と今までで一際強く体を痙攣させると、流石にこれ以上まぐわいを続ける体力が無かったのか、ひとしきり嬌声を上げ終えた後で彼女はゆっくりと前のめりに倒れ込んでくる。  咄嗟に両手でその体を抱き留めるように支えると、彼女は荒い呼吸を繰り返したまま惚けたような表情で私を見て、すぐにそのままぐったりと脱力してしなだれかかってきた。  腕の中にすっぽりと収まりそうな程に華奢で小柄な体躯を抱き締めると、淫熱で火照った体や熱を帯びた吐息が直に伝わり、荒い呼吸で上下する胸からはドクドクと激しく高鳴る鼓動の音が伝わってくる。  目の前にある汗で湿った濡れ羽色の髪を優しく撫でつけてみると、彼女は浅い呼吸もそのままにゆっくりと顔を上げ、私の顔を見てへにゃっと柔らかく笑みを浮かべた。 「ね、イーリア……♡ これ見て……♡」  彼女は掠れた声でそう言うと僅かに体を起こし、自身の下にいた私の、秘所より少し上の子宮がある辺りを指で優しく撫でた。  促されるようにそちらに視線を向けてみると、そこにはハートを模したような桃色の紋様が刻まれていた。 「これ……私にも同じの、あるよ……♡」  オディールがそう言ってドレスの裾を捲って見せると、私と同じ位置に、同じ紋様が刻み込まれていた。 「これで、イーリアは永遠に……私だけのモノだね♡」  淫靡な笑みを浮かべながら続けられたその言葉に、私の顔は嬉しさのあまりに全ての表情筋が溶け落ちたかのようにだらしなく緩み、気付いた時にはまたもや彼女と唇を重ねていた。  何度か啄むような口付けを繰り返していると、彼女の唇が微かに緩んで舌が伸びてくるので、私からも舌を伸ばして絡め合う。  くぐもった声と熱を帯びた吐息を漏らしながら接吻を交わしていると、カタッ……と微かに窓の方から物音がして、私はオディールとの接吻を止めることなく視線だけそちらに向けてみた。  するとそこにはすっかり日が沈み藍色に染まった空が広がっており、窓辺には一本の白い羽根のみが残されているのであった。


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