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イチゲン
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歴戦のヒロイン焔狼ホムラ ―媚薬を使われ足舐め絶頂―

 人質を使うのは効果的な手段だ。  たとえば自分より強いもの、自分よりも立場の高いものを従順にできる。  縁もゆかりもない相手を人質にとられたとしても「逆らえば殺す」の効力は計り知れない。   「おっかない顔しても、歳をとってもスーパーヒロインってか? 感心するね」  そう言ったのはトカゲの獣人だった。  顔の作りはイグアナと似ていて、表面はイボを生やしてるみたいにデコボコだ。  そばには悪の秘密結社を気取る連中の御用達。筋肉が毛皮を着ているような犬系の獣人が三体も控えていた。 「どこぞの犯罪者とおもった連中が、まさか末端の使い走りどもだったとはね」  警察関係者から伝えられた情報と異なり、敵に獣人がいた。  白昼堂々と起きた立てこもり事件の解決のため、焔狼ホムラに召集をかけられた。  黒ずみや色あせが数え切れない古びたトタン壁張りの空き倉庫に犯罪者たちが立てこもっている。 「情報と違ったから驚いただろ?」  トカゲは目を細め、自分たちの有利を、いや勝利を確信している。 「威勢よく天井から突入してきたまではよかったと思う。でも人間以外に獣人がいた。その驚きと判断の遅れから、人質にこうやって触れられた」  そいつの指から伸びているのは白く鋭い爪で、後ろ手に縛られた人質を無理矢理にたたせて首にあてがわれていた。そいつの後ろにも複数人の人質がコンクリートの床に座らされている。全員がガムテープで口を塞がれている。  彼らのくぐもった悲鳴や嗚咽を耳にホムラは胸が締めつけられる。  すぐに開放してあげたい一心で行動したのに、むしろ身を危険に晒させてしまった。 「デカくて筋肉だらけの、狼っぽいバアさん……」  トカゲはしげしげとホムラを爪先から観察してくる。  彼女は二メートル以上もあるうえに若くしてトレーニングと実戦で鍛え抜かれた肉体は寄る年波に負けぬとばかりに隆々としている。ダイビングスーツに密着している特殊繊維に割れた腹筋を浮かび上がらせていた。そして片手では掴みきれない体格に見合った乳房も目立たせていた。 「あれだ、焔狼ホムラだろ」  老いた狼の獣人――――ホムラは肩をすくめる。 「だったら、どうしたってんだい?」  彼女の焔狼の二つ名に相応しい赤色に染められており、首から下には波打つ炎の意匠が凝らされていた。全身の九割以上をスーツにおさめていて、露出しているのは首から上と尻尾くらいなものだった。 「歳をとったから引退したって聞いてたのにな」 「あんたらみたいな悪党が蔓延っていなけりゃ、あたしもとっくに隠居してるさ」 「若い頃や中年の頃ならまだ戦力になっただろうが、そんな歳で戦力になるのかよ」  ふんっとホムラは鼻をふかす。 「試してみるかい? かかってくればすぐに分かるよ」  トカゲの言うとおりホムラとて全盛期と比べれば衰えている。歳を考慮し現役を退いていた。新米たちの教官をつとめ、手塩にかけてきたえあげてきた。  しかしながら正義の味方は人手不足に喘いでいる状態だ。猫の手も借りたい。  若手の育成に力を注ぎながらも召集をかけられればホムラは即座に応じていた。 「いいや、遠慮しておく。俺もそこまで命知らずじゃない」  言ってトカゲは持っていたものを強く握った。 「噂のとおり歳の割にすごいな。六十すぎてんだろ?」 「七十だよ。あんたは何歳だ?」 「二十歳の後半だよ。あと片手で数えられる年数が過ぎたら三十路の仲間入りだ」  トカゲの精神は未熟なのか、ホムラは軽い印象を覚えた。  いや、単純に遊び癖が抜けきっていないのだろう。楽しそうだ。  人間の立てこもり犯が五人とのことだった。しかし人間だけで十人いる。  武装は密輸された拳銃のたぐいに、ナタらしき刃物と聞いた。実際はベルトで吊り下げたマシンガンを両手で大事に持っているし、長丁場に備えてか椅子や寝袋のようなものも用意されていた。  トカゲの獣人にホムラと似た二メートルほどもある犬系の獣人兵士が控えている。あいつらは命令に従う操り人形みたいなものだが、自動車をひっくり返し鉄筋コンクリートを体当たりで壊すくらいわけない。近場にいる人間を爪で引き裂くのはそれ以上に簡単だ。 「どうしたもんかね」  小声でつぶやくが、解決策は見当たらず焦るばかり。  トカゲの持っているもの……縛られた人間を見つめるも助ける手立てがない。 「やっぱりヒーローを相手にするなら、人質が一番だよ」  この倉庫は普段から空っぽで視界を遮るものがない。ならば突入し、不意をつけば事件は早々に解決に導けるであると判断した結果の突入だったが、トカゲに脅され行動不能に陥っていた。  最初は驚き焦った犯行メンバーも落ち着いていた。  視線を移せば、へらへらと笑うほど持ち直している。 「量産型だっている。それに色々と渡されてるんだよ」 「他人の玩具を自慢する子供ってやつは、どうしてこう惨めなんだろうね? 自分だけじゃ絶対に得られないからか。ええ?」  ホムラが柄悪く伝えれば、図星を突かれたのだろう。  正面にいるトカゲは舌打ちする。絶対的に有利な状況にいるはずが、減らず口を叩かれたのが余程に気に入らなかったようだ。 「人質を殺すぞ」  相手を怒らせるほどに民間人を脅かす。これ以上は無理と判断する。  軽口を叩き時間を稼ぎたかったが、お喋りの割りに沸点は想像以上に低い。  仮に激昂されたとしよう。後先をかんがえずに人質を始末しにかかられたら事態は最悪になる。 「要求はなんだい? 出ていけというのなら、そうするとも」 「じゃあ、脱げ。ヒーローは何かと胡散臭い装備を持ってるからな。全裸になったらゆっくりと一回転しろ、丸腰なのを証明するため腕も開いてだ」  ホムラは舌打ちする。逆らえる立場ではなく己のトレードマークとも呼べるスーツを脱ぐ準備をした。 「バアさんにストリップをさせるなんて、呆れた変態がいたもんだよ」  苦し紛れの台詞を吐き、苦々しく溜息をついた。  しかし言われるがままスーツ背面のファスナー。そのロックを外せば自動で丸みを帯びる臀部までに縦線が入り、明るいブラウン色の毛皮が外にさらされた。かつては茶色であった毛の色は、歳を数えるごとに色あせ、明るみが増していた。  むっと臭気があがっている。  背中から蒸れた湿気が出ていき熱が失われるのを感じた。  スーツの内側でこもり、蒸れている汗が一瞬だけ湯気を発した。  今日は戦闘どころではなかったが、それでも体中が汗ばんでいる。  どうにも歳をとると疲れやすくなり、発汗の具合も若い頃と違っていた。  いつまでも若いままでいられない。承知していようとも体臭は気になった。  ホムラは首の隙間に指をあて、密着していたスーツを肩から脱ぎはじめる。  自前の毛皮がありフィット感を高めるためにも最低限の下着さえつけていない。 「スーツの下ってのはノーブラなのか。だぼついた年寄りがおっぱい揺らしながら戦ってるのを想像したら、笑えてくるな」  ホムラは貶し言葉を喉の奥に押し込め、薄笑いをしたトカゲに鋭い視線をやった。 「手を止めるなよ」  スーツの拘束から解き放たれた自分の一部が、だぷんっと揺れていた。現状のホムラは羞恥心よりも敵の操り人形になった屈辱が勝っている。それ以上に人質を助けられない不甲斐なさを恥じながら目を伏せた。 「ストリップが恥ずかしいのか?」  なんとでもいいな。この気持ちを何百倍にもして返してやるよ。  心で強がろうとも、スーツを横に広げながらへそ周りと外していく。  次いで腰回りと脱ぎ、尻尾を通し穴から引き抜きぬいていった。  むぁんっと熱気があがっていった。  下半身や横腹といった箇所から抜けていく。  蒸れた腋が開放され、倉庫の空気に冷やされていた。恥部も同様だった。  脱ぎ終えたスーツを「遠くへ投げろ」と指示され、ホムラはスーツを放り投げる。 「忘れるなよ」 「わかっているよ」  最後は言われたとおり両腕をひろげ、その場でゆっくりと一回転する。  寄る年波のせいかだろう、たるみを隠しきれない乳房が弾んでいた。  年老いた肉体とはおもえぬほど、隆々としながらもスリムな全体像。 「これで満足かい?」  歳とともに色が抜け落ち明るみを増した毛並み。腋毛や陰毛といった部分は白く他よりも少し長くフサフサと伸びやかだった。乳房や膣を隠すわけにはいかない。これ以上に見下されれば余計に図に乗るだろう。気の大きくなったバカな犯罪者ほど何をしでかすかわかったものではない。 「よし武器とかは隠し持ってないな」  案の定というべきか。  トカゲは自分が神にでもなったような笑みを浮かべ舌なめずり。 「だぼついた肉の中に何かあったらたまらないしな。胸を広げて俺に見せろ」  苛立ち、すこしばかりの羞恥心で顔を赤らめ目を伏せた。  ホムラは自身の乳房を掴むと、谷間をひろげた。加齢臭の混ざった獣臭がして、汗の酸っぱい臭いに気恥ずかしくなった。これを誰かに嗅がれているのだと想像するだけで悔しくなる。 「ムキムキなだけかとおもったら意外と肉がムチムチしていて、程よい感じがして美味そうじゃないか。若い頃は大層エロかったんだろうな」 「さあ、そいつはどうだろうね」  ホムラがそっけなく答えれば、トカゲは自分の尻を叩いた。 「次はケツを広げて俺に見せろ。前かがみになって、尻を突き上げてだ」  要求がエスカレートするのが想像よりずっと素早かった。  しかしホムラには拒否権がない。人質の安全をかんがえるならば、尻を広げるくらいなんだ。自分に言い聞かせ、歯噛みしながら尻に指を当て、ぐっと左右にわかつ。 「くぅ……」  呻き、尻の奥から熱気や汗ばみを感じ取った。こちらは腋以上に蒸れていた。  トカゲの方へ向かって尻をむけ、前かがみになり尻を突き出し肛門を曝け出す。 「年寄りの割りにいいピンク色だな。汗ばんでて、シワが何本あるか数えられるくらいハッキリしてる。ああ、でも外側のほうから少し黒ずんでる。年寄らしく血色が悪いみたいだな。それともチンポの咥えすぎで黒ずんだのか? 言ってみろよ」  トカゲが近づき、尻をひっぱたいてくる。  ばちんっと全身が揺れるが尻を開いたまま屈辱に耐えた。  ひとりの人質がトカゲから一時的な自由を得ても、まだ大勢の人質がいる。 「じゃあ、次は四つん這いになりな」 「お望みのとおりにしてやるさ」  ホムラは両手と両膝をコンクリートにつけ、言われるがままだった。犯罪者たちは自分たちを退治しにきた相手が何の驚異でもなくなったと嘲笑している。 「恨むならガセネタを掴ましてくれた警察を恨みな。正しい情報さえしっていれば、おまえなら一分もかからないで俺たちを制圧できただろうに、判断が遅れたせいで、俺が人質の首に爪をあてる時間ができた」  警察関係者を責める気はなかった。  悔しいがトカゲのやり口はヒーローに効果的だ。  戦力を隠し、突入した相手を動揺させ人質を盾に従わせる。  すぐに制圧できると信じ込んだ相手には絶大な効力を発揮する。  むしろホムラは自分が気づくべきだった。心から歯噛みし、おのれの誤ちを呪っていた。  ケチな犯罪グループと決めてかかり、戦力に注意を払わなかった。  急ぎ事件を解決しようと情報を鵜呑みにし、だれも傷つかぬよう単身で乗り込んだのもマイナスだった。ただの人間が相手ならば問題なく倒せるが、こうも距離がひらいていればホムラの反応では人質を助けられず、殺されてしまう。  敵の戦力を過小評価し、自分自身を過大評価するんじゃないよ。  つい先日に教え子たちにがなりたてた台詞が脳内に木霊しはじめた。 「それじゃあ暇つぶしにつきあってもらおうか。おいホムラ。四つん這いのまま俺のところに来い」  生意気なトカゲは余裕しゃくしゃくとアウトドア用の腰掛ける。  小さなスプレー缶を手に取り、それをいきなりホムラの鼻先に吹きかけた。 「なんだい? 何をした?」  鼻や口に薬品臭がする。軽く咳き込むと、トカゲはスプレーを片手で振りながら笑うのだった。 「媚薬だよ、割りとすぐ効いてくるやつだ。おまえはスーツなしでも危ないからな。痺れ薬がなかったし、毒薬じゃないだけ優しいと思ってくれ」 「それはありがたいことで」  ホムラは見上げながら苛ついた目を向けてやるが、内心では焦っていた。  こちらが行動不能になるほど強力な薬品なら、それはかなり危険なものだ。 「さてと、ホムラ」  何を思ったのか靴を抜ぎ、四つん這いをしたホムラの鼻先に足裏を突き出す。 「舐めろ」 「はあ?」  ホムラが鼻に筋を寄せ、唸った。 「聞こえなかったか、年寄りは耳が悪くて面倒だな」  ホムラのリアクションを見越していたのだろう、トカゲは御機嫌に口の端を持ちあげると厭味ったらしい舌なめずりをした。 「俺の足を舐めろ。踵から足の先まで、残さず掃除してみせろ」 「あたしがなんでクソ生意気な犯罪者の足を舐めなきゃならないんだい?」  椅子に腰掛けたトカゲは面白そうに頬杖つき、足の指を何度も開閉させた。これからおまえが味わうのだと教え込んでいるみたいで腹立たしい。もし人質がいなければ顔面を蹴りつけていたことだろう。 「犬だろ? 舐めるのは得意技のはずだ。それを使う機会をくれてやったんだから、ありがたく舐めろよ」  女性たちから憐れむような目を向けられ、男性たちからは申し訳無さそうな表情を見せていた。人質は何も悪くはない、だれが好き好んで犯罪者に生殺与奪権を握られたがるというのか。 「わかったよ、やってやるよ、それくらいのこと」  ホムラは舌を出す。ぷんっと臭う男の、トカゲの足裏に表面をあてがう。  べちょりと唾液が触れて、生臭さが味覚と嗅覚をえぐってきた。なめした革製品をアスファルトにこすりつけ傷だらけにすれば、このような触感になるだろう。 「う、ぐ……」 「はっはっはっはっはっ! これが伝説のホムラかよ、俺の足を舐めてるぜ!」  不気味に笑うトカゲの笑い声が、だんだんと遠のいている。  身体中に張り巡らされた血管という血管がふくらみ内を走る血液の速度が、何倍にもなっていた。耳の先から尻尾の先までが熱く、神経の一本一本までが認識できそうなほど刺激に過敏になっていく。 「ん、ぐぅぅ!?」  ホムラは異変に気づき、しかし舐め続ける。 「あ、あぁあぁ!! これ、はああ……!」  トカゲの土踏まずに舌を這わせ目を白黒させた。  全身の汗腺がひらかれてしまう。汗が滲んでくる。  どっと吹き出してくる水分はすべて甘ったるくメス臭い。 「なんだなんだ、年寄りの割に、獣人の発情フェロモンなんか分泌させて、犯罪者を誘ってんのかよ」  スーツを抜いで消え去った熱が全身に戻ってきたみたいだ。  玉のような汗がいきなり浮かび、毛皮が吸い取り耳の内側が真っ赤になる。  尻尾がわなないていた。尻を叩かれた箇所が、いまになって痺れていった。  男に触られた感覚が頭に直撃し、いま舐めている足さえも愛おしくなる。  そんなわけがない。頭で湧き出たかんがえを振り払い、コンクリートに爪を立てる。ガリガリと消しゴムに鉛筆でも突き立てるみたいに削り散らし、握りしめて粉々にしながらも涙をこぼしてしまっていた。  すぴぃ  鼻を鳴らしてしまった。  ホムラは全身が熱く、脂肪を振動させ熱気に耐えた。  いますぐ転げ回りたい衝動をこらえていた。股が熱くて頭が変になる。  すぴぃ すぴぃ すぴぃ……くぅん  無意識で鼻を鳴らしてしまっている。まるで好きな相手に媚びるメスだ。   「媚薬で頭ぶっ壊れるなよ? 足を舐めなきゃ人質が死ぬんだからな」  自分の唾液で濡れたトカゲの足を見上げ、屈辱や羞恥心といったものを手の痛みで堪える。ここにきた理由は悪を成敗しにきただけではない。それ以上に人質を助けにきた。  ブラウンの毛並みがじっとり濡れる。皮膚のところにポツポツと汗の玉が浮かぶ。  ぷんっとメス臭や加齢臭を撒き散らしながら、嫌なむず痒さが生じるのを押し止める。 「んっ! ああ!!」  両腕をカクンと曲げてしまった。足から舌が遠ざかってしまう。  胸の先端が奇妙なほど過敏になっていた。呼吸のわずかな起伏だけで痒さが生じていたところ、コンクリートの硬さや冷たさに触れ奥歯を噛み締めた。 「ん、ん、んぅう……ハァ……ハァァア!」  今すぐに水をがぶ飲みしたかった。遊び疲れた犬みたいに舌をこぼしながら、焦点の合わぬ瞳であたりを見渡す。足で頭を踏みつけられて、やっと自分のなすべきことを思い出した。 「な、なめる、なめりゃいいんだろう」  曲がった腕をなんとかピンと伸ばす。ざらついた踵に舌を当てていけば酸味のある嫌な味わいがした。男の臭いを嗅ぎ、下腹部に疼痛が起きる。今すぐに男性器を突き立てて奥の奥までノックしてもらいたい欲求が、この歳で込み上げてきていた。 「ん、んぅぅ! んぅ、んぅぅ」  艶めいた喘ぎをあげながら、一心不乱に舌を這わせる。  涙目で人質を守ろうと必死な様子は、ひどく淫らな姿だった。  乳頭に血液が集まっていき勃起してしまう。下半身は汗以上に濡れて、小便を我慢する子供みたいに内股をすり合わせていた。 「俺の足を舐めて発情するなよ? 伝説のホムラがそんなんでいいのか」  男の足裏の臭いに混ざって。  酸い臭いがする。メスの甘さがたっぷり詰められた愛液の臭い。  今日もここにくるまで運動をしていた。あたりまえの臭いであった。  スーツは汗を吸ってはくれず、むんっとした臭気を発生させている。  そこに媚薬の影響で汗やフェロモンを分泌すれば、こうもなってしまう。 「なんだ、老人の割にエロい臭いをプンプンまきちらせて、俺たちを色仕掛けする作戦かよ」  鼻息が荒くなってるトカゲを嫌悪する暇もなかった。 「尻尾を振って舐めろ、飼い主に遊んでもらうのが楽しいメス犬らしく尻尾を振れ」  一瞬だけ、いらだちで意識が戻ってきたが、すぐ目がとろりと落ちてくる。  ただ言われたことを忠実にこなすペットみたいに尻尾を振る。どっと笑いが吹き出した。  犯罪者たちはホムラを指差して、口々に惨めさを語り無様なものだと大口を叩いていた。 「ん、ぎぃ!!」  全身が砂糖を混ぜたみたいにねっとりした汗で湿り、毛の薄い箇所を真っ赤に燃やす。  ホムラは四つん這いのままで、背筋をそらしながら尻を持ち上げる。指示された通り尻尾を振りながら、媚薬がいっそう効力を表してきた。さらなる発汗が促され股間の奥から煮立たせた鍋がふきこぼれたみたいに汁を滲ませ太ももを濡らしてしまう。 「おいおい愛液を小便みてえに垂らしてるぞ」 「こんなおっかねえ狼だしな。男も寄り付かなかったんだろ」  ゲラゲラと大笑いする犯罪者たちの声に、気をよくして微笑むトカゲの顔。  どれも憎たらしいのに、ホムラはメス犬よろしく尻尾を振りながら丸出しの尻を閉じ女の割れ目からは半透明の汁を尿さながらに垂らしてしまっていた。 「んぐ、んぐぅぅ」  舌を足裏に押し当てながら、いまにも発狂しそうなほど悶ていた。 「舐めろよ、いいのかそんなんで? 俺が満足しなかったら、死んだ人質をオカズに自慰にふけることになるんだぞ」  尻をつきあげる情けない格好になろうとも、涙で顔をぐしゃぐしゃにしようとも。  ホムラは足裏を掃除するべく舌を這わしていた。半笑いになった気味悪い表情で喜ぶように、足裏へ奉仕する。 「ん、あ、調子にのるんじゃ、ない……」  やっと苦し紛れに言い返せたものの、メス本能は暴走しプシュッと潮をふいた。 「きたねえなぁ! 後でそっちも掃除させてやるよ!」  股からクチュクチュと淫らな音を撒き散らしながら、ピチャピチャと舌で足裏を舐める。  指の境目に舌を当て、何度も出入りさせる。こうすれば人質が助かるのだと信じるほかない。こうしているだけでも性感帯の神経に電気が弾け、血管が煮え滾り絶頂するほどの官能に狂ったように押し寄せてくる。 「んぅ! んぅぅ、んぅ!」  ホムラは絶頂しながら、無様な自分に泣きじゃくりながらも舐め掃除をする。  指の先から指のつけ根までを、丁寧にし、犬の臭いがする唾液をトカゲに染みつかせて汗や垢をちゃんと拭い取っていった。 「いいぞホムラ。今度はこっちの足を舐めな。踵から爪先まで、ちゃんと丁寧にな」  もう片方の足を、差し出される。  ナニをつきたてられたわけでもあるまいに、メス神経が刺激されていた。  腹の奥底から、幾度となく突き上げてくる堪えきれない衝動を、堪える。  ここで自慰でもしようものなら命令違反だと人質に害がおよぶし、自分が完全に狂えば助ける手立てもなくなる。  なんとかして、なんとかたえて、油断したところをチャンスにするんだよ  だが、出来るのは我慢する。それ以外にない。  この身を突き抜ける嵐のごとく官能を、ただ耐える。  自分自身に叫び、ホムラはまた舌を這わせていく。酸っぱ臭かった。  また、嫌な味がするザラザラとした革製品ような足裏に舌を滑らせる。  こうしているだけでジュクジュク化膿したみたいに過敏な膣が汁を垂らす。  ちょっと気を緩めれば消えそうな意識のなか、自分はホムラで人質を助けるのだと気を強く持つので必死だった。しかし、同時に聞こえてくる他の鼻息に集中力をそがれてしまう。  人質の男性たちから脂っぽい色を感じる吐息が放たれている。  人質の女性たちから媚薬に対する同情の目を向けられている。  ホムラが気にしていたのは、前者のほうだった。  ありえないとおもっていた好色の視線をひしひしと感じていた。 「んんん!」  見られても構わない。その気持ちが、恥じらいで一気に傾く。  これ以上は見ないで欲しい。後生だから目をそらしてくれないかい。  だがホムラの口は、唾液を滴らせながら足裏を舐めるので精一杯だ。  ホムラは天井にむけて高々と尻尾をつきあげ、目をつむり涙を溢れさせた。  まるっきり欲情に溺れたケダモノが、ナニを求めて尻を振る姿であった。 「舌が止まってるぞ!」  焦りに急き立てられて、怒られるのを怯えたみたいに舌を速める。  股間からにじみ出る汁で太ももを潤わせ、陰唇をヌルヌルに汚していた。  加齢でたるみ、熱でほぐされてブルンブルンと揺れる乳房の先端は形のはっきりした乳首がツンツンと勃っていて、刺激をねだりピクピクと痙攣するありさまだった。 「すっげーびしょ濡れじゃん」 「まさに盛りついたメス犬だよな」  近づいてきた犯罪者たちが、それを見つめ笑っていた。  声のとおり二人だけで、いかにも好色な視線を降り注がせていた。  引き締まった太ももから汗ばんだ尻。濡れた膣までを観察されている。  何より恥ずかしいのは振れと指示された尻尾だった。そのつけ根が動くたびプニプニと弾力ある尻肉が強調されてしまう。この細かな動きだけでも、ホムラは感じてしまっている。 「んきゅぅぅん」  ホムラはトカゲの指にしゃぶりつき、倒れまいとした。 「アヘ顔で俺の指をしゃぶってんなよ。そんなに美味いか? はっはっはっはっはっ!」  いよいよ媚薬が神経を侵食しているのか。  ホムラは飛び上がる魚のように跳ね上がってから、陸にあがったみたいにビチビチと跳ねていた。乳房をだらしなく震わせ、トカゲの親指をすいあげながら腕をピンと伸ばしている。涙と鼻水があふれて、トカゲの足を汚してしまっているが、それも舐め取らねばあんらなかった。 「いいメス犬っぷりだぞ? どうする、このまま連れ帰って俺のペットにでもしてやろうか?」  トカゲは勝手なことを言うが、ホムラは自分の涙と鼻水が垂れた足裏に舌を這わせメスのとろけ顔で睨みつけるのがせいぜいだった。  人質のために、守るために。  それだけが媚薬に蝕まれた肉体をつなぎとめ、きたえあげた肉体を度重なる絶頂でガタガタと震わせながらも辛抱できた。 「おえ……えぇ!」  口から唾液の塊を吐き出しかけ、トカゲの機嫌を損なわぬよう飲む。  ごくんっと足裏を掃除したそれを喉に押し込めば、その振動で乳房が揺れる。 「んっくぅ!?」  口の端からよだれを垂らす。股からブシュウウ!と汁を筋状に飛ばして、ついにホムラは顎をアスファルトに押しつけてしまった。手足が動かず、力をろくに入れられない。  しかし、人質を助ける。その使命感だけでホムラはなんとか動くことが出来た。 「足は、舐め掃除してやったぞ」  だれが聞いても、発情したメスのものだとわかる声だった。普通に喋ったはずなのに、鼻にかかっていて自分で恥ずかしくなるほど嬌声じみていた。 「男も女もメチャクチャにする媚薬なのにな。やっぱり伝説って言われるだけのことはある」  トカゲは心から感心し、一方のホムラは喘ぎ声をこぼしながら発汗を続け全身から湯気をあげるまでに至っていた。  太ももが電気を流されたみたいに自由がきかず、ガクガクとしていた。  小馬鹿にされながらもホムラには、あるひとつの作戦があった。 「どうした? もっと、近くに寄ってきたらどうだい? そのための媚薬じゃなかったのか?」  ふんっと鼻白む。アヘ顔と見下されていようが関係ない。  絶対的な有利に立っていると信じ切った三下どもを、苛立たせそばに近寄らせた。  そろそろ増援が突入してくれるはず。  ホムラは挑発が功を奏し犯罪者を一箇所に集められた。  人質を見張るのは、量産型の三体のみ。意思ある連中はこぞって足裏や靴裏を舐めさせようと苛立っていた。  あと、すこし………… 「どれだけあたしがあんたらの足裏を舐めようともね。小悪党は舐められるのさ、姑息な手段を使わなきゃ、なんにもできないやつが、どうして尊敬されるっていうんだい?」  このメス犬!  ぶっ殺してやる!  犯罪者たちが殺気立ち、完全に意識がこちらにむいた。  それからすぐに、ホムラは壁が壊れる音を耳にし、白目を剥いた。 「んぐ、ぁぁ」  股間から粘ついた汁がぶちまけられる。意識を手放し、犯罪者たちの狼狽する声を耳にしながら、してやったりと笑うのだった。


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