朝の学校。多くの学生が既に登校している時間だが、俺たちは大体いつもこの時間に登校している。 「お兄ちゃん、ちょっといい?」 いつもなら自分の教室に真っ先に向かう妹が、今日は口を真一文字に結んで俺に話し掛けてきた。 「……何だよ?」 「あ、あの……おしっこ……したい。」 「はぁ?」 妹は普段、学校で用を足さない。というのも、『妹ペット法』で課された排尿方法を妹は毛嫌いしており、極力自宅で済ませるようにしているのだ。 「お前、何で今日は家出る前にしなかったの?」 「ご、こめん。時間が無くて……。」 そう言えば、今日の妹は珍しく出発ギリギリの時間まで準備に追われている様子だった。少し起きるのが遅れたのだろう。 「んん……、仕方ないな。朝礼が終わったらそっちに行くから。」 「ごめんね、お願いします……。」 そう言って、ひとまず俺たちはそれぞれの教室に向かった。 ◇ 朝礼を終えた俺は、妹の教室に向かった。 「おい、来たぞ。」 「あ……、うん、今行く。」 妹の表情は、いかにも我慢の限界に達している、というような感じであった。 「ん、あいつ小便か?」 「おぉ、珍しいな。」 妹が俺の方に四つん這いで歩いてくるのを見て、クラスメイトの男子生徒がヒソヒソと囁きあっている。 『妹』は、通常の女子トイレを使用することを許されていない。監督者やその代行者の立会いの下、公開の場で排尿することが義務付けられているのだ。 だから『妹』たちが用を足すタイミングはもちろん、その様子まで周囲の人間全てが把握出来るということになる。……我の強いうちの妹にとって、それは耐えられないことなのだろう。 「……行こう。」 妹は囁きあっている男子生徒の方をチラリと見ては不満そうな表情を浮かべ、「トイレ」の方へ進路をとった。 ◇ 『妹』にとってのトイレ。それは、通常の男子トイレと女子トイレの前の廊下、そこに敷かれた「おしっこシート」である。犬用のものよりも一回り小さいそのシートに、『妹』たちは用を足すのだ。 「うぅ、誰もいない……。」 妹が呟く。誰か他にも『妹』がいれば気も紛れたのであろうが、割りと多くの生徒が行きかっている男女トイレとは異なり、シートの方に先客はいなかった。 「まぁ、仕方無いだろ。それとも、誰か来るのを待つか?」 「……無理かも。」 妹はいよいよ限界を迎えているようだった。一刻の猶予もない、という様子で、彼女はシートに跨った。 「んっ……。」 ショオォ…… 廊下に音が響く。トイレから出てきた生徒たちの視線を集めながら、少し顔を赤らめつつも妹は排尿を続ける。 「おぉ……、メチャクチャ出てるな。」 少し悪戯っぽく囁いてみる。 「……お兄ちゃんのばか。わざわざ言わないでよ……。」 案の定、妹は良い反応を見せてくれた。 ◇ 「……終わったよ。」 妹は用を足し終えると、溜め息をつきながらもう一つ『妹』に課された体勢をとった。 仰向けになって脚を開き、少し濡れている恥部をこちらに晒す。排尿後の『妹』は、立ち会った者にその部分を拭いてもらわなくてはならないのだ。さながらペットの「躾」のようなその体勢は、一般に『服従のポーズ』と呼ばれている。 「うぅ……。」 俺はハンカチを取り出し、妹の恥部に残った水気を拭き取った。 「……お兄ちゃん、行こう。」 再び四つん這いになった妹は、自らの醜態を眺めていた生徒たちの目線から逃げるように、その場を後にしようとする。 ……そこへ、遠巻きに俺たちを見ていた一人の女子生徒が近づいてきた。 「あの、よろしいですか。」 女子生徒は俺に声を掛けてきた。こいつはよく出来た『姉』なのだろう。普通に制服を着て、生徒会のバッジまでつけている。 「シートの外に尿が漏れています。もう少し、しっかり躾けられた方が良いと思いますよ。」 「は?」 俺は間の抜けた声を出してしまった。 「は?じゃないです。監督者の方ならよく分かっていらっしゃると思いますが、『妹』の排尿の際には周囲の衛生にも気を付けていただかないと……。」 少し挑戦的な態度の女子生徒が指さす方を見ると、確かに妹が用を足したシートの周囲に少なくない量の尿が飛び散っていた。 「あぁ……これは申し訳ない。」 。…これには俺も平謝りするしかない。妹が学校で用を足すなんて滅多に無いことだから、よく確認をしていなかった。妹としても慣れていない分、上手くコントロール出来なかったのだろう。 「……次からは気を付けてくださいね。生徒会から減点5点、懲罰の対象になります。」 「へ……!?」 キョトンとしていた妹の表情が変わった。 女子生徒の言った「懲罰」とは、学校内で『妹』が規律違反などを犯した場合に、通常よりも厳しい「躾」が課されるというものだ。 「あ、あの!懲罰って……。」 妹はそこそこの優等生だ。だから、これまで懲罰を受けたことは無い。 「はい、懲罰です。今回は5点なので、この場で監督者の方にスパンキングをしていただきます。」 「……!」 妹は口をパクパクとさせている。 「お、懲罰だってよ。」 「うわ、床濡れてんじゃん。あの歳でこれかよ……。」 俺たちの周囲に、何人かの生徒が集まってきた。 「それでは監督者さん、よろしくお願いします。」 女子生徒が俺に促す。 (お、お兄ちゃん……。) (仕方無いだろ、これがルールなんだから。やらなかったら俺は監督者失格になっちまうよ。) (っ……。) 「何を小声で話していらっしゃるのですか?手心を加えたりした場合、その通り上に報告させていただきますからね。」 ……多くの人に見られている手前、俺としても厳しく接せざるを得なくなった。心を鬼にして、妹に命じる 「……もちろん、誤魔化すようなことはしませんよ。ほら、早くケツ突き出せ!」 「……はい。」 妹は、普段から丸出しにしている尻を俺や観衆の方へ、さらに強調するような体勢をとった。心なしか、脚が震えているようにも見える。 「いくぞ。」 パシッ!! 「ひっ!?」 妹の口から声が漏れた。 ぱしっ! パシッ!!! 俺は、力を緩めることなく妹の尻に平手を食らわせ続ける。 パシッ! パシッ! ◇ 「……監督者さん、その辺でいいでしょう。十分です。」 妹の尻が真っ赤になった頃、女子生徒からそう声が掛かった。 「うぅ……。」 妹は、相当堪えたようだ。尻を叩かれているところを大勢に見られていたのだ。まぁ、無理もない。 「それでは妹さんも、これからはこのようなことが無いように。」 「……はい、すみませんでした。」 しおらしく、シュンとなって答える妹。 ……今日は帰りにカフェにでも行って、甘いものを食わせてやろう。
カンナ
2022-11-18 12:12:03 +0000 UTC