風船のように膨らむ想い(風船化)【R-18G】
Added 2020-11-15 23:26:35 +0000 UTCこのお話はpixiv連動の続きや関連の制作予定が無い為FANBOXのみに掲載してます。
エロ要素と言うよりも「変化者の結末が多少グロい」的な意味でR-18Gとなります。
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私は風香ちゃんの事が好き、大好き。
でも私は知っている、風香ちゃんは私よりも好きな「物」がある。
「あ、風船だ!」
風香ちゃんと街中を一緒に歩いていた私。
街中で風船を見掛けた彼女は、目をキラキラ輝かせて風船に興味津々。
風香ちゃんは風船がとても大好き、恐らく私の事よりも。
(はぁ……私も風船になりたいな)
そうすれば私だって、きっと風香ちゃんにもっと好きになってもらえる。
なんてね、そんな事ありっこないけどね……そもそも風船になる事なんて無理だもの。
でも私の風香ちゃんへの想いは、風船よりも大きく膨らんでいると思うの。もう破裂しそうなくらい。
「どうしたの? 美空ちゃん」
「何でもないよ」
風船を貰ってきた風香ちゃんは、きょとんとした顔を私の事を見ている。
私の気持ちを言ったところで、本当の意味になんて気付いてもらえる筈がない。
だって私達、女の子同士だもの。
でも好きになっちゃった気持ちに嘘なんて付けない、もう私の想いは止められない。
風船なんて所詮「物」なのに、そんな「物」に対して嫉妬するなんて……正直、自分でもどうかしてると思う。
思うけど……それ程、風香ちゃんの事が好きって事だよね。
「あ、風船飛んじゃった!」
風香ちゃんは風船から手を離してしまい、風船は虚しく空の彼方へと飛んで行く。
とても広い空を自由に、只々自由に。
(ああ、私も風船のように自由になれたらな……)
そうすればきっと、私のこの想いだって報われるかもしれないのに。
自由にはなれない、女の子同士での恋なんて許されない世界。
私にとってはとても生きづらい世界でしかない……。
「うわあーん、風船飛んでっちゃったー!」
まるで小学生の子供のように泣きじゃくる風香ちゃん。
……うん、しょうがないよね。だって私達、6年生とは言えギリギリ小学生だもの。
「風香ちゃん、よしよし」
私は風香ちゃんの頭をポンポンとして宥めてあげた。
「うぅっ……ぐすん」
「大丈夫、私が着いているから」
「風船じゃなきゃやだあ!」
風香ちゃんがそんな事を言うものだから、私は少し心にグサッときてしまった……。
私は風船なんかに負けちゃうんだ、風香ちゃんにとっては私なんかよりも風船がいいんだ。
私はそんな自分の気持ちを押し殺し、その場から歩き出して……。
「美空ちゃん、何処行くの? あたしを置いてかないで……」
私はそそくさと歩いて来た道を戻ると、1人1個しか貰えない風船を貰った。
私達って小学生だから、周りの目さえ気にしなければこういうのは簡単に貰えるんだよね。
まあ、私は少し恥ずかしいけど……小学生と言っても、もう6年生だもの。
「はい、風香ちゃん。これ」
私は来た道を戻り、風香ちゃんの元へ戻ると風船を手渡した。
「え、貰ってきてくれたの? ありがとう美空ちゃん! 大好き!」
大好き、か……私にとって、それは残酷な言葉でしかない。
風香ちゃんは風船を貰ったきてくれたお礼で言っただけだから。
そこに私の思うような真意はないんだもの。
「じゃ、行こっか。今度は風船、離さないようにね?」
「うん、美空ちゃん!」
すっかりとご機嫌が戻った風香ちゃん。
まるで幼い子供のような仕草で、にぱあと笑う彼女。
私はこの子の笑顔が大好き、本当に本当に大好き……。
(はぁ……風香ちゃん)
家に着いた私は、ベッドの上に仰向けで寝そべりながら彼女の事を考えていた。
「風香ちゃん、どうしてあんなに風船が好きなんだろう……私も昔は好きだったけどさ」
でもそれはまだ私が小学校低学年だった頃の事。
今では風船なんて子供っぽいと思うし、すっかりとそこまで興味を引く物ではなくなってしまった。
風香ちゃんの前では絶対に言わないけどね、口が裂けても言えないよ……。
「ああ神様、どうして私は風船じゃないの? どうして私は人間に生まれてしまったの?」
もし私が風船に生まれていたならば、風香ちゃんに大好きになってもらえたかもしれない。
でもそんな事、思うだけ無駄ってものだよね。
所詮私は人間の女の子、美空でしかないのだから。
私の想いが報われる事なんて、絶対にありえない……。
「今日は遊び疲れた……眠くなっちゃった」
学校もお休みで風香ちゃんと遊び疲れた私は、そのままうとうとと眠りの中へ落ちて行った。
(むにゃむにゃ……あれ、ここ何処だろう)
私はいつの間にか知らない場所に居る事に気付いた。
何だか周りがはっきりとしない、変な空間。
「ここ、何処なの?」
「私を呼んだのはあなたですか? 美空さん」
「え、誰なの? それに何で私の名前を」
「私ですか? 私は神様ですよ」
か、神様!? な、何で神様が私の元に!?
「あ、分かった。きっとこれは夢だ」
「ええ、夢ですよ。人間の認識で言うならば、夢と言うべきでしょうね。私達にとっては違うかもしれませんけど」
「どういう事なの?」
「夢は神様にとっては別次元とか色々言い出すと、美空さんには難しい話になりますね。気にしないでくださいね」
「は、はあ。それで、神様が何故私の夢の中に?」
「美空さん、自分の事をどうして風船じゃないの? と言いましたよね」
そういえば……ああ神様、と言ったような気がする。
「もしかして私が呼んだって、その事?」
「ええ、神様の気まぐれですけどね。報われない美空さんの願いを叶えてあげようと思いまして」
「私の願いを叶えてくれるの!? それってつまり、私を風船にしてくれるって事!?」
「美空さんがそれを望むならば。私の力で風船にしてあげますよ」
「お願いします! 私、風香ちゃんに好かれたいんです! 風船にしてもらえますか!?」
神様の話を聞いて、私は即決で神様に頼み込んだ。
「1つその前に大事な確認があります。いいですか?」
「大事な確認?」
「風船として生まれ変わったら、もう二度と元の人間には戻れませんよ。それでもいいですか?」
人間の姿に戻れない……で、でも、このままだと私の想いは絶対に報われないもの。
ならば私、風香ちゃんに好かれる為なら……人間を捨てたっていい。
私の想いは半端な気持ちじゃない、本気だもの!
「いいです! だからお願いします!」
「分かりました。ではあなたを風船に生まれ変わらせます。リラックスして、楽ーにしてくださいね」
神様の言う通りに力を抜いて、楽ーにして……段々と、意識が遠くなる。
そして気付けばいつの間にか、私の夢はそこで途絶えていて……。
(あれ、私……)
何か変な夢を見た。不思議と夢の内容ははっきりと覚えている。
美人な神様……女神様? に出会って。私を風船に生まれ変わらせると言って。
どうせ夢だから、夢の中くらいではせめて……と思って、軽はずみにお願いしますと答えちゃった。
夢の中の出来事だもの、そんな事まさか本当に起こる訳なんて……え?
(私の姿、何処?)
ふと私の視界に入った鏡。
するとそこには、あるべき筈の私の姿がなかった。
ないどころか、私の姿なんて元の原型すらもない。
鏡には大きく膨らんだ赤い風船が映っていた。
(この風船の色、大きさ、形、何だか見覚えがある)
空気に身を委ねるかのように、ゆらゆらと揺れる大きな風船。
不思議な事に、私の体はその風船に合わせて揺れていた。
理由なんてすぐ分かった。この風船、私だ。
(何で? え、だってさっきの出来事って……夢、だよね?)
せめて夢の中くらいは、と思って私は軽はずみな事を言ってしまった。
夢じゃないと分かれば、本心で人間に戻れなくてもいいだなんて思うかな? どうだろう?
と言う事はこれって、つまり……夢なんだ。
(そうだ、きっとこれは夢なんだ。私が風船だなんてありえないもの。私、まだ夢を見てるんだ)
いくら私がまだ小学6年生だからって、さすがにこれくらいの事は分かる。
だって、人間が風船になれる筈なんてないもの。
と、思っていたんだけど……。
「あたしの大好きな風船! この感触、正に風船だよね!」
気付けば私、風香ちゃんに「ぎゅっ」とされながら、胸に押し当てられていて。
妙に胸から感じる弾力がリアル過ぎるし、風香ちゃんの体の温もりだって伝わってくる。
段々と私は本当に夢なのかな、と疑問を抱くようになったけど……。
(きっといつか覚めるよね? だって、私が風船になれちゃうなんてありえないもの。せめて夢の中くらい、風香ちゃんに好きになってもらったっていいよね?)
どんなに感覚がリアルでも、現実的に考えてこんな事ありえないもの。
だからどう考えてもこれは夢に違いない、きっと……いや、絶対にそうだよ。
ならば夢をとことん楽しんだ方がいいよね、楽しまないと損だよね?
(風香ちゃんに抱きしめられてる、愛されてる……私、幸せ)
正直、風船が物凄く妬ましいくらい。
風船ならばいつだって、こんな風に風香ちゃんに愛してもらえるんだ。
風香ちゃんの愛を直に感じられる。こんな幸せならば私、人間捨てたっていい。
「つるつるの手触り、最高! 風船大好き!」
(気持ちいい、風香ちゃんにもっとなでなでしてほしい)
風香ちゃんは風船な私を沢山なでてくれる。
ぎゅっとして胸に押し付けながら、沢山いいこいいこしてくれる。
私、とても幸せ。本当の風船になれたかのように、心の底まで気持ちが凄く軽い。
「あ、風船飛んじゃいそう!」
風香ちゃんに胸を押し当てられ、少し体がへこんでいた風船の私。
彼女の胸元を離れると私のへこみは元に戻り、ふわーっと上へ舞い上がって行く。
どうやら私、本当に心が軽くなっちゃったみたい。
「えいっ! 良かった、掴めた……」
風香ちゃんは私が飛んで行ってしまう前に、きちんと私の事を捕まえてくれた。
「お部屋の中だけど、隅の方へ行っちゃったら家具があって取れなくなっちゃうもの……もう離さないもん! あたしの大事な大事な風船」
風香ちゃんが私の事をそこまで大事に想ってくれて、愛してくれて、私の事を捕まえてくれて、本当に嬉しい。
風船ならこんなにも大事に想ってもらえるんだ……。
その後も私は彼女の胸の中で、沢山なでなでしてもらえたんだ。
でもしばらくすると、段々私の中身が抜けて行く感覚がして……。
「何だかしぼんできちゃったな、そろそろ膨らまそうかな!?」
空気が抜けてきたようで、しぼんでしまった私。
そんな私にある唯一の空気の通り道に、風香ちゃんは口を付けてくれて……。
(私、風香ちゃんにキスされてる……嘘、嬉しい)
風香ちゃんは優しく、私を膨らませようとして唇から空気を注いでくれる。
(風香ちゃん……大好き。私、風香ちゃんが大好き)
もう最高の気分。私、いつ死んだっていいくらい。
「なかなか膨らまない! もうちょっと力を入れないとダメかな!? あれ……んん?」
(嬉しい、私、凄く嬉しい……)
「あたし、空気を入れるのを止めてる筈なのに……風船が勝手に少し膨らんだ? 何で?」
嬉しさのあまり、私の想いが膨れ上がってしまったのかもしれない。
私の嬉しさは風船のように膨らんでしまう。
「気のせいだよね? 風船が勝手に膨らむだなんて……んん? それに何だか、さっきよりも少し赤色が濃くなってる?」
(嬉しい、私、嬉しい……でも風香ちゃんとキスなんて、少し恥ずかしい……)
私は恥ずかしさも混ざってしまい、顔を赤く火照らせてしまったかもしれない。
「ま、まあいいや。早く膨らませちゃお……今度は少し強めにね!?」
風香ちゃんは大きく息を吸って、ふーっと強い勢いで私に空気を注いでくる。
「少し膨らんできた! あれ、でも何だか風船がやけに揺れている……? まだ浮く程膨らんでないと思うけど」
(何だか心臓が凄くドキドキする……私、鼓動が抑えられない)
心臓の鼓動が止まらず、私の気持ちは浮き上がってしまう。
「何だかおかしな風船だな!? でもいいや、せっかく美空ちゃんが貰ってきてくれた風船だもん! 最後まで大事にしないとね!?」
(私が貰ってきたから大事にしてくれるの? 嬉しい……)
本当に私、もう死んでもいいくらい……それ程嬉しい。
『ぷぅー! ぷぅー!』
風香ちゃんは空気の注入を強めて、沢山私の中に流し込んでくれる。
風香ちゃん、激しい……そんなにされたら私、もう気持ちがパンパンに膨れ上がっちゃう。
「あともう少し……」
『ぷぅー! ぷぅー!」
「大分大きくなってきた。こんなものかな!? あとは空気口をしっかりと縛って……おっけー! あれ? 何で!?」
嬉しくて、嬉しくて、私の気持ちは治まらなくて……もう破裂しそうなくらい!
『パァン!』
「あ……風船、破裂しちゃった!? あれれ? 何か勝手に膨らんで大きくなったよね……!? あたしの風船……」
破裂する直後、遠退く意識の中……風香ちゃんの残念がる声を聞いて……私はずっと錯覚していた事に気付いた。
風香ちゃんが愛していたのは私じゃなくて、風船だったんだ、と言う事に。
私は粉々に弾け散ってしまい、もう意識も闇の中から二度と戻る事はなかった。