カエループ(カエル化)【R-18】
Added 2020-05-02 05:59:40 +0000 UTCpixiv側へ掲載した「カエルの出来損ない」の続き話です。
カエループはカエルループの意味です、果たしてどのようなループなのでしょうか?
産卵要素が含まれますので、その手の内容が苦手な場合はご注意ください。
-------------------------------------------------------------------------------------------
「さ、水守ちゃん。ここがあたしのおうちよ」
「おうちって……ここ、田んぼだよね?」
「そうよ? だってあたし、カエルだもの」
カエルならば確かに、田んぼに居ても当然だよね。
夜の田んぼからカエルの鳴き声が聴こえてくる事は多いし、きっとカエル達はここで生活しているんだね。
「さて……水守ちゃんには、今日から3日以内に泳げるようになってもらうわ」
「え、3日以内に!? そんな、絶対に無理だよ……」
「諦めないで? 誰だって泳げるようにはなるよ。あたしだって、最初は泳げなかったのよ?」
「そんな事言ったって……あなたはカエルだから、そういう事が言えるのよ」
「水守ちゃんも今はカエルだもの。だからきっと……ううん、絶対に大丈夫よ」
カエルさんはそう言うけれど、きっと私の水泳オンチを知らないから言えるんだ。
「私の水泳オンチ、知らないくせに……私、最初からカエルだったあなたとは違うもの」
「……あたしだって」
「え?」
「……ううん、何でもないの。ともかく、水守ちゃんを3日以内で泳げるようにするからね」
「何でそんなに早く泳げるようにさせたいの?」
「そ、それはね……カエルとして生活する上で、泳げないと困るでしょ?」
「うん、確かにそう言われればそうだけど……」
カエルさんは少し言葉に詰まっていたようで、本当に理由はそれだけなのかな? と思ってしまいました。
「さてご飯にしましょ。水守ちゃん、これ食べられる?」
「うぇっ……これ、生き物だよね?」
「ええ、糸ミミズよ。これがカエルのご飯なのよ」
こういうのって私、見るだけでも苦手……本当にこれ、食べられるの!?
「食べないとダメかな……」
「糸ミミズがダメそうだったら、雄ガエルに頼んで昆虫を取ってきてもらう事もできるわよ?」
「ひえぇ……昆虫なんてもっと嫌です……」
「水守ちゃん、大丈夫よ。抵抗があるのは最初だけだから。今はカエルなんだもの。慣れればおいしいと感じる筈よ」
カエルさんはそう言うと、先に糸ミミズを口に入れて食べ始めました。
「うぅっ……何でこんな思いをしなくちゃならないの……」
「ごめんね、あたしがカエルの呪いを掛けたばかりに」
「ほんとだよ……何でこんな事、したのさ」
「きっとね、そのうち分かると思うの。だから……今はね、ごめんねとしか言えないの」
「何よ、それ……」
「さ、糸ミミズを召し上がって? 鮮度が落ちちゃうから」
「うぅっ、分かりましたよ……」
私は腹を括って、カエルの小さな手で糸ミミズを掴んで口へ運びました。
「あれ……おいしい」
「ね? おいしいでしょ? カエルになっているから、好みもそれに合わさるのよ」
「うーん、でも……やっぱりそれでも、気持ち悪いものは気持ち悪いなぁ」
「糸ミミズ自体には、少しずつ慣れるしかないわね」
「あなたも、やっぱり最初は苦手だったわけ?」
「うん、そうね……あ、あたしはカエルだから……あはは、おかしいよね?」
このカエルさん……やっぱり、何か隠しているような気がする。
あたしの事をカエルにできたり、何だろう……何となく私の予感が、何かを告げているような気がします……。
「じゃあ水守ちゃん、今日も頑張ろうね」
次の日、私達は広いプールに戻って再び泳ぎの特訓をしました。
「体力を維持できるように力を抜いて、動きは最小限にね。力をしっかりと抜けば、体は水かきで自然と浮くからね」
「うん、分かった。やってみるよ」
私はカエルさんに言われた通り、やってみましたが……。
「わわっ!」
「うーん、何で沈んじゃうかなぁ……水守ちゃん、多分まだカエルの体に慣れてないのかな」
「だって私、人間の女の子だったんだよ? いきなりカエルにされてもそりゃあ……ね」
急に慣れて、と言う方が無茶振りなのだと思うよ……。
「まずは泳ぎよりも、カエルとして馴染んでもらった方がいいのかな?」
「カエルとして馴染む?」
「うん、カエルとして生活してもらって、カエルの体に慣れてもらうのよ」
「どういう事をするの?」
「カエルはね、水の中じゃなくてね、草の生えている所や森の中でも生活するんだよ。あたしに着いてきて?」
そう言ってカエルさんは泳いで行ってしまい……。
「ま、待ってぇ……私、泳げないんだってばぁー……」
「そうだったわね、ごめんね。手、引っ張るからね」
私はカエルさんに引っ張られ、一旦プールを上がりました。
「ここは学校の裏の森よ。あたし達の仲間も結構生活しているのよ」
「へー、そうなんだ……知らなかった」
カエルって苦手だから、今度からできるだけ近付かないようにしよう……でも、今度って言える時が来るのかな。
私、もしかしてこのままずっと、本当にもう戻れないのかな……。
「水守ちゃん、まずはカエルの生活に慣れる為にも、森の中を探索してみましょうか」
「探索するの?」
「そうよ。色々な餌となる昆虫が居るから、どういう昆虫が食べられるのか覚えながら、中を回りましょ」
「うぇー……こ、昆虫を見るの? しかも、食べられる昆虫って……」
「カエルの世界ではそれが普通だからね。後ね、森に来たら気を付けないといけない事もあるの」
「気を付けないといけない事?」
「森はね、カエルにとって危険な事もいっぱいあるの。カエルは体が小さいから、色々な生き物に狙われるの。あたし達が昆虫を食べるように、カエルを餌にする生き物も居るわ」
そう聞いて私はゾッとしました……カエルのまま食べられて、こんな姿のまま一生を終える事になんてなったら。
「水守ちゃん、そんなに気負わないで? きちんと気を付けて行動していれば、大丈夫よ」
「本当に、大丈夫なの?」
「うん、人間だって自ら危険と分かっている生き物には近付かないでしょ? それと同じなのよ」
「どういう生き物が危険なのか、そういうのを覚えればいいの?」
「そうよ。カエルとして生きる為には、どうしても必要な大事な事だから」
色々と覚える事があるみたいで、カエルもカエルで大変なんだね。
ちゃんと覚えないと、最悪命取りにもなるかもしれないようで……。
その後、私達は森の中を駆け巡りました。
途中で食べられる昆虫、危険な生物、色々な事をカエルさんに教えてもらいました。
「ねえ、ところであなたって、名前はあるの?」
「あたしの名前? えっとね……」
私がふとこんな質問を投げると、カエルさんは間を開けてから……。
「無いわ。だって、カエルだもの」
「本当に無いの?」
「ええ、無いわよ」
「カエルでも名前はあっていいと思うよ。一緒に居るのにあなたって呼ぶのも、何だか違和感だもの」
「……いいの。あたしは、只のカエルだから」
カエルさんは、何だか少し悲しそうな顔を見せました。
「どうしたの?」
「ううん、何でもないわ」
何だかこのカエルさんの表情に、妙に既視感がありました。
多分……私、この子の事を知っているような気がする。
でももし間違っていたら、と思うと……私は、口に出す事はできませんでした。
夜は田んぼでご飯を食べて眠り、日中はプールで特訓をして、その後は森の探索をして。
私達はこんな感じの生活を3日間繰り返しました。
そして日中、再び私はプールで泳ぎを教えてもらっていました。
「水守ちゃん、もうカエルの生活や体には慣れてきたかな?」
「うん、始めは色々戸惑ったけど……段々慣れてきたと思う」
苦手だったカエルの体も、今では自分の体なんだもの。
もうカエルを見ても何とも思わないくらいには、私自身がカエルとして馴染んでいました。
「じゃあ早速泳いでみよう。まずは力を抜いて水に浮いて」
「これでいいのかな……あ、浮いてる」
「水守ちゃん、やればできるじゃない。今日は沈む様子はなさそうね」
「あなたが懸命に教えてくれたから。きっとそのおかげよ」
「そうかな? えっとじゃあ次はね、体力を減らさない程度に、手足を交互に動かして水を力強く切るようにね」
人間の頃やっていたような泳ぎ方……この状態のまま、それができれば良いんだよね。
「水守ちゃん、進んでる! 進んでるわよ! 泳げるようになったじゃない!」
「私、泳げてたの?」
「ええ、もうこれで水守ちゃんも、カエルとして大丈夫そうね。これであたしも役目を果たせたわ。良かった……」
カエルさんは自分の事のように、ホッとしていました。
「ありがとう、あなたのおかげで泳げるようになったよ」
「こちらこそ。水守ちゃんが成し遂げてくれて、本当に良かったわ」
「私が泳げるようになって、そんなに嬉しいの?」
「うん、勿論よ」
カエルさんは本当に凄く喜んでくれて……こう見てると、何だかカエルも可愛いのかなと思うようになりました。
「さて水守ちゃん、あたしは役目を果たせたから……今日でお別れよ」
「え、お別れ……なの?」
「ええ。あたしは元々、水守ちゃんを泳がせる事が役目だったから。それが、あたしの呪いを解く……ううん、何でもない」
「もしかして……やっぱりあなたは、佳恵ちゃんなの?」
「水守ちゃん、もう1人でも田んぼに戻れるよね。もしまたこのプールで泳げない子が居たら、次は水守ちゃんが教えてあげる番よ」
カエルさんは……私の質問には答えませんでした。
「さよなら。水守ちゃん、カエルでも頑張って生きてね」
カエルさんは最後にそう言い残すと、何処かへぴょこぴょこと跳ねて消えて行きました。
「糸ミミズ……おいしい。でも何だか寂しいよ。急に私、1人だなんて」
夜になって田んぼに戻って来た私は、夜ご飯を食べていました。
でも、私の事を支えてくれていたあの子はもう居ない。
何処へ行ってしまったのか、大体検討は付くような気もします。
私の検討がもし当たっていたとすれば、もうここへ戻って来る事はないのでしょう。
『ズン』
「え、何?」
突然何かが私の背中に圧し掛かり……って、カエル!?
あの子……ではない、どうやら雄のカエルみたい。
「ゲコッ、ゲコッ」
「え、何? 何て言ってるの?」
「ゲコッ、ゲコッ」
「ただ鳴いているだけ? と言うか私、カエルなのに言葉が分からない……」
もしかしてあの子とお話できたのは……あの子が私と「同類」だったから?
「ゲコゲコ」
『ドピュ!』
「わーっ!」
雄ガエルにお腹を抱えられ、私は液体を注入されてしまいました……恐らくこれ、男の子のアレだと思う。
あの子も言ってたもの……産卵の時期が近いとか、自分が産むハメになるかもしれないからとか……。
多分私が泳げるようにならなければ、あの子がまだここに居たのだと思う。
そしたらきっと、あの子が産卵する事になっていたのかもしれない。
多分それで……だから、早く私に泳げるようになってほしかったのかも。
「ゲコッ、ゲコ」
雄ガエルはやる事だけやったら、何処かへ行ってしまいました。
そのすぐ直後、私はまるでお腹を下すかのような感覚に襲われてしまい……。
『ムリュ……ズブズブズブ、ムリュムリュムリュ……』
出てる、下からいっぱい卵が出てきてる……。
『ポチャン!』
一旦卵の塊は田んぼの中へ落ちましたが……。
『ズブズブ……ムリュ』
ぶつ切りになって、まだまだ沢山出てきます。
凄い、私今……命を産み落としているんだ。
まだ人間の女の子として性交もした事ないのに、カエルの卵を産み落とすだなんて……。
『ムリュムリュ……ポチャン! ムリュ……ポチャン!』
これで全部産み切れたのかな?
何だかまだお腹が変な感じ……それに、下の穴も少しヒリヒリして痛い。
でもこの子達がオタマジャクシになって、成長していずれはカエルになって……と思うと。
私、この子達の生みの親なんだ。
そう思うと何だかもう、カエルの事を蔑ろになんてできませんでした。
カエルになってからと言うものの、カエルに対する苦手意識は段々と消えて行き、私はどうやら苦手を克服したようです。
そう言えば泳げない事も苦手だったけど、できたと言う事はこれも克服だよね?
私、カエルに馴染めたから克服できたのかな?
(ありがとう……佳恵ちゃん)
私はあのカエルはきっと佳恵ちゃんだったんだ、と信じて……心でお礼を言いました。
「うぅっ、水泳って苦手だなぁ……」
私がプールで水浴びをして泳いでいると、補泳をしているらしい女の子を見掛けました。
私も少し前までは、あの子と同じ立場だったんだよね。
「やっぱりダメ、上手く泳げない……」
どうやら女の子は苦戦している様子です。
「あ、カエルが泳いでる……カエルはいいなぁ、上手に泳げて」
あのね、私だって最初は泳げなかったんだよ?
でも必死に私に教えてくれたカエルさんのおかげで、今は泳げるようになったんだもの。
きっと頑張れば、あなたも泳げるようになるよ。
「私もカエルになれればいいのに……そうすれば、きっと泳ぎなんて簡単にできそうなのに」
(そっか……じゃあ、カエルになってみる?)
「え? 今、何処からか声が……何これ、体が熱い……」
次は私がこの子に泳ぎを教える番です。