それは、きっとあったかもしれない世界。
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今回の小説を記載する前に、タグ等の見直しをしました。
●投稿記事のタグ等を整理しました。
TOPページの「投稿」から確認できるタグは、現時点では『融国設定』『融国場面』『融国if』『お知らせ・企画』の4つとなります。
・『融国設定』『融国場面』は本編寄りの内容、『融国if』は本編外の「もしも」のお話となっております。
・『お知らせ・企画』は、大幅な遅れや設定変更、ストーリー展開に関わる重大な事柄が発生した際にのみ使用したいと考えております。このタグの使用頻度は比較的少なめです。
・ほか、原寸大に近いイラストはタグのピックアップ機能を使用していないので、探すのに手間取ってしまいそうですがpixivの方でイラスト説明文から飛べるようリンクを貼ってありますので、そちらの方からが早いかもしれません。お手数をおかけしてしまいますが、現時点ではこの対応で何卒よろしくお願いします……!
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今回の更新分の小説もifです。暗い内容の「本編」制作が続いていると、比較的明るめのお話も欲しくなってしまう己の性分ゆえにです。自分のこの気持ちだけで本編テーマがぶれてしまう設定や場面を取り入れるわけにはいかず……『融国』の参考作品のこともあり、この物語を創ろうとした当初のテーマや衝迫を、一時的な欲のために濁らせてはいけないのです。私自身の創作ではありますが、この場面や設定は本当に本編に必要なのだろうかと考えた際、切り捨てるものが多くなってしまいました。
ただ、ifとしては作りたいものが非常に多いため、タグとして「融国if」を使用しております。もしかするとSNSでの投稿やFANBOX上では「if」が増えるかもしれないです。本編のまともな進捗も上げなければとは思うのですが、遅れゆえにまだ上げられず……誠に申し訳ございません。
(お題箱などで、二人の純愛や現パロ等のお題や、二人に幸せになって欲しいメッセージなどをいただき涙が出るほど嬉しかったです。本当にありがとうございます!)
また、ちょびっとした日記になってしまいますが、最近嬉しかった出来事といえば、好きな作家さんが同人で漫画を発表されていたり小説を再開されたことに尽きます。やはり物語として作品を成立させるには、設定が曖昧に存在するだけではなくて、資料を通して考え抜かれた設定やそこからのあらゆる要素の体系的な結びつきが必要になるので、骨が折れる作業の連続であり労力も精神的消耗も凄まじいと思うのですが、それでもきちんと「これを創りたいのだ」と、熱意ある他のクリエイター様の創作される物語や姿勢を拝見できて感銘と刺激を受けています。自分は『融国』を制作するまで、適当にふわふわと活動しているだけで物語として確固たる何かを残したことがなかったので、商業レベルを目指す作品づくりがこれほどまでに大変なものだとは思いもしませんでした。慣れない題材の下準備ですと、構想と資料集めの段階で既に想像の50倍は大変ですね……。ですが、諦めず必死に資料に食らいつきます。というのも、諸事情でこれが最初で最後の作品になる可能性が高く、『融国』制作は己の生に付随するのではなく、終わりに向けて作品を制作している意味合いが強いためです。
クリエイター様が(活動的な意味合いでも)元気なうちに、ご迷惑でなければ御作に対してきちんと好きという気持ちを何らかの形で伝えたいと思うこの頃でした。すべては諸行無常ゆえに。
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今回はifなので……!
改めて、【本編】寄りの小説/文章は以下などです。ほかは『融国設定』『融国場面』に投げています。


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数多の本が積まれたその空間は、外界から隔絶されたように静かに時を刻んでいた。書物として残された作品たち。歴史、娯楽、芸術——この家の主が知識を手にすべく少しずつ集めた、知恵の宝庫。先人の遺した智を読み解く静謐の中にいるのは、ひとりの男。
「…………」
ラフな格好をした、長身の美丈夫だった。精悍ではあるが何処か憂いを帯び、女性的とも言える儚さを秘めた顔。しかし、シャツの上からでも伺える鍛え上げられた逞しい肉体は青年が軍人であることを如実に物語る。彼の名は桐島紘一。大日本帝国の陸軍軍人である。
銃を握る指は今は紙をつまみ、時に異国の言語で描かれた情報を読み解いてゆく。英語に翻訳された本もあればそうでないものもある。しかし、然程の苦は無いようでコーヒーを時折飲みながらじっくりと味わうように一文字一文字に目を通す。
『知は力なり』そんな言葉があるように、古来より人に備わった知識の空腹を満たすように、桐島は時が止まったような静けさの中でそれを堪能していた。やがて彼は戦史を閉じると本棚に収め、紙袋から一冊の新作を取り出した。今日見てしまった悪夢を思い出して——少し考えた後に、その封を切って読み始めた。
フルカラーで描かれる英雄の物語。いかにも米国的に描かれる正義は、奔馬のようで気持ちの良いものだ。いっそバカバカしくも思えるが、それでも痛快で惹きつけるものがあった。小窓から注ぐ陽光に紙を照らし、堪能するように作品と向き合う。
「あら、漫画を読んでるなんて珍しいじゃない?」
不意に、テーブルの向こう側から勝ち気な少女の声が響く。覗き込むのは、それはそれは可憐な少女。煌めくような金の髪、自信に満ちた青い瞳。誰もが思わず振り返り、群衆の中にいたとしてはっきりと判別できるような白皙の美貌は、息を呑むほどに美しい。小生意気そうではあるが確かな知性を宿した顔を好奇心に染め、いささか子供っぽくアメリカンコミックを覗き込んだ。どきりとした。
スクール帰りらしい彼女を確認すると、桐島は静かに本を閉じて彼女の頭を軽く撫でる。
「......アメリアか。君が帰ってくるまで暇だったから、本屋でついでに買ってきたのだ」
「へぇ。それにしても、休日なのに随分と暗い趣味ね」
対面に座るとちょっと行儀悪く肘を付き、にやりとしながら見つめていた。彼女、アメリア・ハルゼーは上位グループの中でも目立つ女王蜂だ。そんな彼女からするとこんな書斎で漫画を読むとかイケてないオタク趣味に見えるようだ。まあ、そんな分かりやすいナードなんて彼女の周りにいるはずもないだろうが。そんな意図を見てか、桐島はやれやれといった様子で首を横に振る。
「大使館警護の任がないのだからしっかりと休むべきだろう。それに、男が何を読むかに口出しするのは感心しないな」
「……ふーん?それじゃ、その日本男児は今日一日そのまま読書してるわけね。外の天気なんてすっごくいいのに?へー」
じっと見つめ返すと見えるのは、何やら含みのある笑みを浮かべているアメリアの姿。しばらく互いに見つめ合っていたが——やがて、桐島はひとつため息をついた。
「……準備をしてくるから待っていなさい」
「......!うん!いつものところで待ってるわね」
アメリアはパッと笑顔になり、善は急げとばかりに書斎から飛び出していった。桐島は元気な彼女に苦笑するとその身を起こし、後片付けをし始めた。
そこはワシントンD.C.——正義を掲げる国家、米国の首都。
世界を巻き込んだ戦争。大日本帝国は関東軍の暴走を抑え、挑発に乗って真珠湾攻撃をせず、早々に米国と戦わない道を選んだのだ。またしてもU-ボートに客船を沈められ、多くの同胞を殺されたことに激怒し本格参戦した米国によって枢軸側が悲惨なことになったが——それはまた別の話。
この地はどこの州にも属さず、半世紀後ですら姿を変えることのない歴史ある街並みが広がっていた。圧倒的な工業力に裏打ちされた華やかなマンハッタンの都などに比べるべくもない大人しさではある。だが、そんなワシントンD.C.ですら新宿が下町に思える光景は他国との圧倒的な差を感じさせる。
「今日はどこに行こうかしら。公園?それとも映画館?」
腕を組んで楽しげに歩く少女は、街を行き交う人々を見ながら歩き慣れた通路を歩く。
「……アメリア、くっつき過ぎだ。少し離れてくれないか」
桐島は少しだけ眉をひそめてそう告げた。他所行きの外套を羽織った長身の日本人と、洒落た服装を身に纏った美少女の組み合わせというのはとても目を引く。そして、その二人が身を寄せ合っているなど、非常に目立って仕方がないのである。
「今更照れているの?むしろカップルなんだから見せつけてやればいいじゃない」
桐島の腕に豊満を押し付けて、にっこりと彼女は笑う。猫めいたその笑みに、彼はいっそう不快気に眉をひそめた。
「……だがな、恋愛というのはもっと慎み深くあるべきだと思うわけで」
そこまで言ったところでぷにっとした柔らかい感触が頬に当たる。突然のことに驚いた顔をするが、目を向けた時には悪戯っ子のように笑うアメリアが目を細めてこちらを見ていた。
「そういう“大和撫子”もいいけど、この国ではこれくらいのスキンシップが普通よ。じゃあ、行きましょう?」
「…………米国というのは本当に……」
小言を漏らしながら、口紅でつけられたキスマークに手を当て、手を引かれるままについてゆく。
「ところで、今日はどこに行く?いつもは冷やかして回ることが多いが」
いわゆるウィンドウショッピング。適当に街を散策しては店員に声をかけられて、そして無駄な衝動買いをすることもある。
「そうね。ホビーショップにでも行く?」
「……先に言っておくが、チェス駒はナシだ。毎回買ってるがアレも馬鹿にならないからな」
先制する。何しろ結構な頻度で、絵画や骨董品を買っている。兵棋演習の延長なのか——少女の趣味はチェスなのだが、どうやら珍しい駒を集めてしまうクセがある。プレイヤーとしての確かな審美眼を以てそれが手に取るに価するかを見定めるがゆえ、買うものは全て一流の中の選りすぐり。
廃品や骨董品、そして量産品からでも的確に『芸術』を見定めるそのセンスはいっそ感心するほどだ。だが最近は多くなってきたうえに、桐島でさえぎょっとするような値段の象牙の駒なんて代物を見たものだ。
「ふふ、このあいだ買った象牙の駒も調度品として使ってるんだからいいじゃない?それに、良いものはいくらあっても構わないわ」
「贅沢な。そのうち博物館でも作るつもりか?」
「それもいいわね。博物館を作ったらオーナーとして貴方を呼ぼうかしら」
べったりくっついて、アメリアは甘えた目で桐島を見上げた。これで自身の魅力を理解していないのだから、本当に手に負えない。それが意中の女性なら尚更だ。とにかく、直視しないように目を逸らし、周囲の景色を眺め始めた。
「……流石にそういうのに関しては疎いぞ。私も君も美術館の管理者が務まるとは思えないが」
「今すぐじゃないわ。貴方が退役するまでに作ればいいじゃない?少なくとも大使館の警備よりは楽しい仕事だと思うけどね」
「来年のことを言うと鬼が笑うぞ」
退役なんていったい何十年後の話だろうか。いわゆる古兵殿と呼ばれる歴戦の兵は元気に新米をぶん殴っていたし、閣下と呼ぶべき雲上の将たちは今は戦後処理で死ぬような目に遭っていると聞く。だが、そんなことなんて知らぬとアメリアはいたずらっぽく笑う。
「Fools set far trysts(愚か者は遠い先の逢瀬を約束をする)?でも、これと決めて備えて置けば、ちゃんとした人生設計よ。つまり私の趣味もその一環になるわ」
「物は言いようだな。無駄に集めることにならんようにするがいい」
桐島自身、軍をやめる理由はないし自分が館長になるのが想像もつかない。そのため、警告代わりにそんな一言を添えるが——得意顔のアメリアは怯まない。
「相変わらずひねくれてるわね。もっと気楽にすればいいのに。眉間に皺ができるわよ?」
「悪かったな、しかめっ面で」
切れ長の瞳が不服の意を示す。生来こういう気質なのだから仕方がないだろう、と。
......そうでなくとも、いやに生々しい悪い夢——物心付いてから時折見る厭夢、その続きを見てしまったこともあってか、本日の彼は平時よりやや複雑な表情を浮かべている。
それは見るも恐ろしい陵辱の記録。こことは違う世界。“何か”を掛け違えてしまった時間軸。己と瓜二つの姿をした帝国軍人が、眼前の少女の純潔を奪い、残酷で淫蕩の限りを尽くす、惨憺たる悪夢であった。もっとも悩ましいことに、己とよく似た男の手によって汚される少女の様相はそれはそれはひどく官能的で倒錯的で——彼の意に反して、夢精していることさえあった。その手前、彼女と顔を合わせるのがどことなく気まずい。自分たちに関係のないことなのだと分かっていても。
「そういえば、最近学業の方はどうなんだ?」
かぶりを振って、頭を切り替えるように尋ねた。
「……お父様みたいなことを聞くのね。特に変わり無いわ。アメフト部のジャックが鬱陶しいってことを除けばね」
「鬱陶しい?」
「それはそうでしょう。その気もないのにやれ俺の女になれだの何だのと。ああいう体育会系は駄目ね、態度も鼻につくから」
「……私も体育会系なのだが?」
日本は基本的に精神論だ。海も陸も変わらないが、軍人ともなればその桁は違う。任官した彼は御国のためにと鍛錬と任務を日々こなし、精進していたものだが。
「ああ、良いのよ。紘一の武士道精神は、私も気に入っているから。……言っておくけれど、貴方は誰にも渡さないわよ」
アメリアという少女は摩訶不思議だった。スンと澄ましていたかと思えば笑い、笑っていたかと思えば真剣な面持ちになり。恵まれた美貌と才能を持ち、そこから無自覚に滲み出る自信と力強さを感じつつも、どこか儚げで折れてしまいそうで——実に危うげな少女だった。そう、軽く思案しているとアメリアは笑顔になっていた。
「じゃあ、そろそろ行きましょう。いろいろ買いたいものがあるのよ」
(毎度のことだが、ソレを持つのはどうせ私なのだろうな……)
*****
「はー、買った買った!ふふふ、良いのが沢山あったわね」
機嫌良さそうに前を歩く。その姿はさながら天使のように愛らしく、スクールで集団の中心にいるのが納得いく風格さえあった。
(……何故に私は街中でここまでの荷物を毎回持たされているのだろうな)
だが、その後ろで山ほどの荷物を持たされている桐島は行軍のことを思い出していた。食料品やら水やら銃やら詰め込んだリュックを背負い、昼も夜もなくとにかく歩くという過酷な訓練だ。当然、現状の方が遥かに楽ではあるが、毎度持たされるのはどうにも腑に落ちない。
右手に持つ買い物袋の中には男性服が詰め込まれている。サイズ的に桐島用ではあるのだが……
「家電やらアクセサリーやらはともかくとして。私の分の服はこんなには要らなくないか?明らかに私ひとりには過大だろう」
「瀟洒っていうのは自分を認識することから始まるのよ?だから自己演出のために、服はあればあるほどいいの」
「だが、なぁ……」
まだこういうことに慣れていないのか、若干難色を示した。勿体無い、という日本人特有の精神性が中々取れないので抵抗があるのだ。
「また『贅沢は敵だ』って言いたいの?紘一だって映写機を買ったじゃない。半分出してあげたのだし、少しくらいお目こぼししてくれてもいいでしょう」
「確かにそれは分かっている。それに、今回とやかくは言うつもりもないが……その金は君が稼いだわけではなかろう。自分のモノのように言うのは感心しない」
「あら?お小遣いを何に使おうと私の勝手よ、お父様本人がそう言ってるのだもの。本当に駄目ならお父様だって財布の紐を締めるわよ」
「……......まあ、提督殿はとやかくは言わないだろうが……」
“猛牛”と謳われた海の名将も人の親なのだな、とやや呆れた様子で肩をすくめた。
……思えば、短いような長いような日々を米国で過ごしたものだ。東條氏が失脚したり、あらゆる人物が何かに導かれるように奔走してあっという間にこの国と講話したものだ。なんとも不思議な感覚だ。今やジャパニズムと銘打った日本かぶれも多いもので、軍艦行進曲ですらこちらで聞くことがある。悍しい量の兵器を作っては使い捨てる国ゆえに、日本の今あるものを活かす思考は珍しく見えたりするのかもしれない。
確かに桐島は七生報国のために血の滲むような努力の末に軍に入った。軟弱な身体を父親の指導という名目のしごきで治し、陸士の卒業後には誉れ高き近衛師団に配属され、陛下に狂おしいまでの恋闕の情を強く抱いたりもした。......だが、これほどの力量差のある国相手に命を散らすというのは恐らく皇国も本来は望んでいなかったことなのだろう。歴史に“もしも”はない。だが、それでもこの国を相手にしていたらどれほどの惨状になっていただろうか。
おそらく、日本が負けたのなら桐島は皇国の為にアメリアを————
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「なあ、アメリア。もしもの話だが——この国と日本が争ったとしよう。結果、私が君をひどく憎んだとする。……とんだ曲解でね」
「ええ。」
「それでだ。もし、狂った“私”が君に、惨い業を重ねてしまったら。君はどう思う?私を嫌いになるのか」
きょとんとした表情を浮かべるアメリア。
「“もし”なんて、らしくないわね。私の知る『桐島紘一』は、もっと合理的で現実に即した軍人さんよ?」
ただ、彼の瞳がどことなく“神”に縋る敬虔な信徒のようで捨てられた子犬のようで——常ではない様子を見て何か思ったのか、曲げた人差し指を顎の下に当てて少女は逡巡する。
「......でも、そうね。応えましょうか」
一拍置いて、続ける。
「たとえ貴方が、どんなに残忍であろうと、残酷であろうと、悪人であろうと。」
「——別に、貴方がどんな人でも。私は好きになってたと思うわ」
リスワン
2022-06-23 02:20:52 +0000 UTC肉バキューム
2022-06-20 01:43:03 +0000 UTCムトー
2022-06-18 23:33:56 +0000 UTC