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Adam
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“奪”イーツ (2)

裕斗は目を覚ますと、見知らぬ部屋の中にいた。部屋は薄暗い。Tシャツや短パンは脱がされたまま、手足を縛られ、口にはガムテープが貼り付いていた。


「ん……ん!!?」

「おう、やっとお目覚めかぁ?」


金髪の男が姿を現すと、裕斗の口を塞いでいたガムテープを勢いよく剥がした。


「んは……!!お前、なにが目的だ?」


裕斗は男を睨んだが、男の目は笑っていた。


「お前のこと、ず~っと狙ってたんだよ……」

「ずっと?」

「この前、デリバリーでお前を見たときからな……次の人形に相応しいんじゃねぇかって」

「次の人形……?」

「そうだ。紹介するよ、俺の可愛いペットたちを」


男が部屋の電気を付けると、裕斗は目が眩んだ。目を慣らすように、少しずつ視界を開いていく。見渡すと、無数の“人形”が並んでいることに気がついた。一つひとつの“人形”はそれぞれ違う造りをして、どれも若い男の容姿。ピッチリとしたTシャツやパンツを穿いていて、裕斗と同じようにデリバリー用のリュックを背負っていた。


「これは……?」

「んで、お前のは、これだ」


人形の中から、男は顔がツルツルでなにも特徴がない人形を取り出した。デッサンに使われるような、カラダの基礎となるパーツしかない、シンプルな人の形をしていた。


「お前には、この人形と『同期』してもらう」

「……は?」

「お前のカラダの権限を“奪う”ことができるんだ……そういう裏アプリがあってな」


男は笑いながら腹を抱え込んだ。


「ふざけんのも、いい加減にしろよ」

「……俺は、最初にお前を見かけたとき、こう思ったんだ。次手に入れるなら、お前みてぇなイキのいいガキが良いってよ。せっかく“奪う”なら、顔もカラダもイケてる奴がいいしな」

「さっきから、ワケわかんねぇよ」

「なぁに、気にすんな。俺はずっとサツに追われててな……。クスリもやめらんねぇ。んで、色んな奴の人生を奪いながら、ノビノビと生きてるっつーわけ」

「……」

「まぁ言ってもわかんねぇか。黙って見ておけよ、今から面白いことが始まるぜ」


男はそう言うと、裕斗の目の前にその人形を座らせた。裕斗と人形は、向かい合わせになる。男はポケットからスマートフォンを取り出した。


「そんで、あとはこの裏アプリで、ボタンをクリックすれば操作完了。カンタンだろ?」


裕斗の額から、冷や汗が流れた。男の言っている意味がまるで分からない。でも、ここで逃げ出さないといけない。そんな勘が無意識に働いた。なんとか逃げ出すチャンスを作ることはできないか?裕斗は決心し、立ち上がった。


「さっきから、うるせえんだよ!!!」


裕斗は縛り付いたイスを振り回すように、勢いよく金髪の男に突進した。


「おっと。それじゃ、ポチッと!」


男はアプリの『同期』ボタンをタッチした。その途端、裕斗の動きが突然止まった。まるで機械から電源が抜かれたように、すとんと腰が落ち、その場で座り込んでしまった。


「な……?」


裕斗にはなにが起こったのか分からない。ただ、床に置かれた人形の変化に気がついた。眩しい光を放つと、髪が生えていなかった頭は黒髪短髪になり、カラダには胸筋や腹筋のようなものが浮き出て、脚にも筋肉の膨らみが再現された。しかし、顔だけは、目や鼻が描かれていない平らな顔のままだ。それ以外は、まるで“裕斗”のような見た目をした人形になっていた。


「もうちょっとだな。それじゃ、お望みどおり、解放してやるよ」


男が裕斗の手足を拘束していたロープを解いた。


「どうだ、自由になれた感想は?」

「ん……カラダに、ちからが、入らねぇ……??」


イスに座り込んでいた裕斗は、ついに床に転がり落ちた。


「まだ、『同期』の途中だから、口は動くみてぇだな。あとは時間の問題だろ。さっそく、お前のカラダで遊んでみるか」


男は、自分の服を脱ぎ捨て、アンダーウェア一枚という格好になった。部屋の中には、裸の男が二人になった。男は床に置かれた人形を手に取り、ポケットに入れる。そして、自分の右手を、ゆっくりと高く挙げた。


「……!?」


裕斗は驚きのあまり言葉を失った。裕斗の右手も、まるで鏡のように、ゆっくりと高く挙がったのだ。


「さ~て、何して遊ぼうかな」


男が立ち上がると、床に倒れ込んでいた裕斗も、同じように立ち上がった。


「カラダが……勝手に!?」

「あぁ、お前のカラダの『権限』を奪ったんだ……。まだ、完全に終わってないけどな」

「ふざけ……」

「さ、次はどこを動かそうか?」


男の動きに、裕斗は全身が凍り付いた。男が股間に手を伸ばすと、裕斗も同じように自分の股間に手を伸ばしていた。


「おい、そこは……」


男はアンダーウェアの上からもっこりとしたチンポに指先をなぞらせた。裕斗もまったく同じ動きをした。男はニヤニヤと口元を緩ませた。


「あっ……」

「なんだ、敏感じゃねぇか」

「それ以上は……!」


男がアンダーウェアをゆっくりと下ろすと、裕斗も尻を締めていたアンダーウェアをゆっくりと下ろしていく。毎日自転車を漕ぐことで鍛えられたプリケツだ。そして、キツそうにしまい込まれていたチンポがぼろりと姿を現す――彼女である亜美と会うたびにヤリまくっていた、淫らで若い真っ黒なズリ剥けチンポだ。


「へぇ、生意気だな、いいモンぶら下げてんじゃねぇか……お仕置きしねぇとな」


男がチンポを強く握りしめると、裕斗も自分のチンポを強く握りしめた。裕斗のカラダに強い快感が走った。


「んは!!?」


男が激しくチンポを上下に扱くと、裕斗も同じように激しくチンポを上下に扱く。


「やめ……ろ……んふ」

「お前が勝手に扱いてんだろう?くく」


裕斗のチンポは次第に硬くなっていった。男は自分のカラダを慰めることを止めない。左手で自分の乳首をイジり始めると、裕斗もそれに応じるように、左手で自分の乳首をイジり始めた。


「あぁっ!やめっ!!」

「へぇ、乳首感じるんだ?いつもは彼女に吸ってもらうのに、今日は自分で慰めてんのか?」

「やめっ……あっはふん」


男は裕斗に近づいた。裕斗も同じように、男に近づき、二人は向かい合った。


「それじゃ、これは、どうだ?」


男が裕斗に唇を重ねた。裕斗は舌を自由に動かすことができるが、男からカラダを離すことができない。


「くちゅっくちゅっ……」


裕斗の顔は嫌悪感に満ちていた。しかし、次第に力が抜けるように、顔の表情が緩んでいく。


「なぁ、感じてんだろ?なぁ、気持ちイイだろ?」

「んっ…あっ……!」

「認めろよ、なぁ……。気持ちいいか?」

「気持ち……いい……」


裕斗の口からは大量の涎が零れ落ちていた。


「誰かに自分を操作されるのは、ラクだろ?もうなにも考えなくっていいんだ。ただ、気持ちイイことがあるだけだ」

「気持ち……イイこと……」

「あぁ、支配されるってのは、気持ちイイことだぜ?もう、なにも考えなくていい。気持ちイイことだけを考えてりゃいいんだ」

「あっ……『なにも……考えなくって……』」

「人生を誰かに奪われるのは……気持ちイイこと……なんだ」

「……あっ…『気持ちイイこと……なんだ』」


裕斗は男の言葉を、ただ繰り返すだけになっていた。もう、裕斗には自分の“意思”というものが完全に欠落していた。


「もう自分の権限を、手放していいだろう?手放して、ラクになって……」

『手放していい……だろう……手放して、ラクになって……』

「俺は、カラダの支配を手放すことに、同意する」

『俺は、カラダの支配を手放すことに……同意……する』


その言葉を裕斗が発した途端、床に置かれた人形がふたたび光を放った。光は強くなり、裕斗のカラダさえも包み込んだ。部屋には静けさが訪れた。


「どれどれ?」


光が消えてなくなったとき、裕斗のカラダも消えてなくなっていた。床には、裕斗の顔をした人形が落ちていた。


「くく……奪ってやったぜ……俺の新しいペットちゃん」


男は“裕斗”を床から拾い上げると、人形の並びにそれを加えた。



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