ラッシャイ。俺が誰かって?聞かなくてもいい。鯰田だ。げんこつ山のたぬきだ。
俺は毎日、頭に謎のメカをかぶって仮想世界にダイブし、この世界の地盤をかろうじて支えている善性という薄氷の上で、どうにか転ばずに歩こうとしている。バーチャルスラムは今日も絶好調だ。
で、今日はフォロワーのお前に、「見ちまったモノ」の話をしてやる。俺の人生のHDDに焼き付いてしまったPublicの地獄絵図。
ただし断っておくが、これは俺が実際に体験した話もあれば、誰かの語った与太話もある。だがその境界線は、俺の主観で混ぜて話す。真実は仮想世界の霧の中だ。
さて、お前らJPUserはいつもフレンドオンリーやプライベートに引きこもってるから、海外勢からは「妖精(Fairy)」と呼ばれてるらしいな。要は「Publicに出現しない神話存在」ってことだ。
だが、たまには出てみろ。Publicワールドには太陽光線にも似た刺激がある。日照不足のヒキコモリに効くぞ。俺もそう思って、ある日の晩、ふとPublicに足を踏み入れた。だが、そこは“戦場”だった。
インスタンスに入った瞬間、聞き覚えのある声──あのニャン〇ュウを彷彿とさせる、ねっとりしたナニカが耳を撫でた。何事かと思って音の方へと歩くと、そこにはとんでもねぇ現場が広がっていた。
美少女アバターAがX字の十字架に磔にされており、その対面にはこれまた美少女アバターB。
Bは、Aの顔を撫でながら、歯が全部ない老人みたいな舌足らずの発音で、こう囁くのだ──
「しきゅうカリカリ……しきゅうカリカリ……」
なぜ!?顔を撫でているのに!?子宮!?どこに繋がった!?何のルートだ!?
語彙と行動が一致しないホラー現場に脳が混乱する中、Aが突然、全感度開放モードで叫ぶ。
なんだこの声は。喘ぎか?雄たけびか?内臓出てないか?
VR感度が3000倍に設定されている説が急浮上する。
だが、そこにさらに追い打ちがくる。今度は別方向から炸裂する声──
「「決闘(デュエル)!!!!!!!!」」
振り向けば、某カードゲームの主人公っぽいアバターが2名、超テンションでデュエルを開始していた。
「俺の先攻!魔法カード《VR感度》を発動!お前の感度を3000倍にするゼ!!」
「なにィッ!!?」
俺は思った。あの美少女アバターA、まさかこのカードの被害者なのでは──?このリンク、奇跡か悪夢か?
もはや現実と虚構とカオスが入り混じり、口角が勝手にキモく上がってしまう。笑いが止まらん。止まるわけがない。
さすがにテンションが振り切れた俺は、少し冷却しようと中央のソファへと歩いた。すると、その裏にネームプレートがふたつ。覗いてみると────いた。白と黒のふにゃふにゃアバター2体が、密着して横になっている。
……互いの下腹部を触っている。脱いではいない。だが触っている。これは……なんだ?モラルが失踪しているのか?ここはバーチャルスラム。
左からは喘ぎ、右からはデュエル、中央には沈黙のふにゃふにゃ。あらゆるノイズが俺の感覚を塗りつぶしていく。まるで五感のストリップショーだ。
ミステリーを残すため、俺はその場を離れた。
こんな多重交差するハプニングが一斉に起きてるPublicは、正直初めてだった。いや、Publicなんて日々修羅場だが、これは“例外的な修羅”だ。高カロリーすぎて、視覚的に消化不良を起こすレベル。
でも、だからこそ面白い。だからこそ、観察者でいることに価値がある。
お前ら、こういう場に興味本位で首を突っ込んだり、当事者になったりすんなよ。「観測」だけで、十分すぎる刺激なんだからな。
というわけで、今日は俺が遭遇した“Publicワールドの密度が異常に高すぎる夜”をお前に語った。明日また何が起きるかはわからないが、俺は今日もこの奇怪な世界にログインする。善性の薄皮一枚を信じてな。
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