Pixivで連載している下記のシリーズの外伝的な作品になります。事件を解決した後に現代日本にハーレムメンバーたちと戻ってきた魅了チート持ちキモオタ限界中年男性な竿役が、FGO以外の作品のキャラをマジカルチンポを代表とする魅了チートで落としていくお話になります。
こちら前回の外伝

Pixivで連載している下記のシリーズの外伝的な作品になります。事件を解決した後に現代日本にハーレムメンバーたちと戻ってきた魅了チート持ちキモオタ限界中年男性な竿役が、FGO以外の作品のキャラをマジカルチンポを代表とする魅了チートで落としていくお話になります。 ◆ それは、東京にある平凡な私立高校での出来...

Pixivで連載している下記のシリーズの外伝的な作品になります。事件を解決した後に現代日本にハーレムメンバーたちと戻ってきた魅了チート持ちキモオタ限界中年男性な竿役が、FGO以外の作品のキャラをマジカルチンポを代表とする魅了チートで落としていくお話になります。 こちら前回の外伝 ───────────────────────────...

Pixivで連載している下記のシリーズの外伝的な作品になります。事件を解決した後に現代日本にハーレムメンバーたちと戻ってきた魅了チート持ちキモオタ限界中年男性な竿役が、FGO以外の作品のキャラをマジカルチンポを代表とする魅了チートで落としていくお話になります。 こちら前回の外伝 【シーン1:文香と寝取られ彼...
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世界は、一人の男に救われた。
『小悪魔かわいいラスボス系後輩』を自称する、もはや『電子の魔王』と呼ぶに相応しい暴虐を行った『BB』が引き起こした、全ての歴史を巨大な穴に沈み込んでいく大災害、『人理沈没』。
燃え盛る冬木から始まったその旅は、七つの特異点を踏破し、そうして月の裏側に用意されていたラストステージとそこに控える『黒幕』を打倒することで阻止されたのである。
その黒幕の野望を阻止した組織こそが、人理継続保障機関フィニス・カルデアであり、その中でも職員からもサーヴァントからも絶大な信頼を得ていた一人のリーダーが存在していた。
肝尾拓郎。
魔術の素養もなければ、身体能力も一般人と同等ほどしか持たない彼は、しかし、並み居る英霊たちを指揮し、BBも黒幕も、さらには顕現したビーストも複数体を打ち破るという奇跡を成し遂げたのである。
その肝尾の偉業は人理が消失していたが故に誰にも知られず、しかし、カルデアの仲間たちは肝尾のことを『現代のソロモン』と、いや、『ソロモン王こそが古代の肝尾だったのだ』と過剰に褒め称えた。
————そうして、肝尾とカルデアが現代社会に帰還してから数年の時が流れた。
東京、港区。
日本経済の中心地とも言えるその土地の一角に、一つの巨大なビルがまるで世界を見下ろすかのようにそびえ立っていた。
このビルは一つの組織によって所有されており、その名は『カルデア・タワー』と呼ばれている。
そう、人理継続保障機関フィニス・カルデアは国連からの査察によって職員たちの安全を確保する代わりに南極基地は解体され、そのままこの東京へと拠点を移し、現在は『株式会社カルデア』として活動を続けているのだ。
と言うと、まるで流刑の処分にあったかのような説明に聞こえるだろうが、実態は少々ニュアンスが異なるものだった。
まず、国連と魔術協会から査察の一団が訪れた。
この査察の一団に、なんと時計塔の大物である『法政科のロード』たる『バルトメロイ・ローレライ』が存在したのである。
原作とは異なるというレベルではなく、本来ならば絶対にありえないことだ。
まるで何かに誘われるように訪れたロード・バルトメロイはカルデアに足を踏み入れ、そして、予定調和のように肝尾拓郎に『一目惚れ』をしてしまった。
そして、自身の強権を振るって、カルデアによる無断のレイシフトと英霊召喚の処罰を、南極から撤退するという形で、魔術界における政治の全てを終わらせたというわけである。
繰り返しになるが、本来、ロードたるバルトメロイがカルデアの解体に立ち会うわけもないのだが、『まるで運命に導かれたかのように』、あるいは『認知していない脚本に従ってしまったかのように』、バルトメロイは『物語を都合よく進める便利な駒』として、そこに立ち会ってしまったのである。
そしてさらに、大きな声では言えないが、ラプラスもシバもトリスメギストスも、そして、カルデアスでさえもこのカルデア・タワーの地下に空間魔術を応用した方法で収納されている。
また、本来ならば撤去すべきサーヴァントももちろん、『ロード・バルトメロイを含めた複数の権力者の管理化にある』という名目で存在が許されていた。
それは他にも様々の魔術世界における『重鎮』が肝尾に入れ込んだことによって成り立った厚遇なのだが、詳しい情報は割愛させてもらおう。
そんなこともあって、カルデアは実質的に南極から東京へと拠点を移しただけとなった。
そのカルデアの『影の支配者』となった肝尾は最上階にあるオーナー・ルームで最高級の革張り椅子に深く身を沈めていた。
小太りの体に脂ぎった汗、ニタニタとした下品な笑みを浮かべているその男は、いくら『人は見かけによらない』と言っても、とても世界を救った英雄には見えない。
それでも、この肝尾こそがカルデアの職員とサーヴァントすべてから信頼、いや、崇拝を集めているカルデアの中心人物なのである。
「ぶひひ……♪ まさか僕が、港区のビルの最上階でふんぞり返ってる日が来るなんてねぇ♪」
肝尾は豪奢な社長椅子に身を沈めながら、手元のタブレットを操作して、自身が支配する『帝国』の現状を確認していた。
この世界をゲームに例えて、そして、そのゲームのプレイヤーを肝尾と定義するならば、『人理修復』という『メインストーリー』は終わりを迎えた。
ならば、その後にあるのは『クリア後のステージ』。
世界を救った報酬として得た、『カルデアのサーヴァント』という膨大な力を使って、ルール無用のイージーモードとなった『やり込み要素のボーナスステージ』を、肝尾は楽しめばいいだけなのである。
さて、こんな冴えない中年男性である肝尾が英雄となり、さらには絶大な力と才を持つサーヴァントたちを奴隷のように引き入れているのか。
それは肝尾が『この世界』へと『転移』した際に入手した、『三つのチート能力』が原因だった。
————ニコポ、ナデポ、マジカルチンポ。
ニコポとは肝尾がニコリと笑うだけで、対象の女性は頬をポッと染めて一目惚れをしてしまうというもの。
その力も人理修復の旅でさらに強化されており、対象の女性との相性次第では、もはや笑みを浮かべずに肝尾の顔を見ただけで絶対的な崇拝心を抱いてしまうような、そんな魅了の魔眼ならぬ『魅了の魔貌』の中でも規格外の強さになってしまっていた。
ナデポとは肝尾がナデナデと頭に触れると、対象の女性はポッと頭が茹だったように幸福を覚えるというもの。
この力は頭を撫でるだけではなく、その体に触れることでその触れられた箇所が幸福感と性的快感の両方に襲われて、一瞬で性的絶頂に至ってしまうほどのものである。
マジカルチンポとは、肝尾の巨根チンポを感じ取るだけでその魂が奴隷になるまで堕落してしまうというもの。
それは実際の性器での接触に限らず、手で触れるのはもちろんのこと臭いを感じ取ったり、相性によっては服越しにその存在を感じ取っただけで魅了されてしまうほどのものである。
肝尾が今のポジションにつけているのは、努力をしたからでも、生来のカリスマがあったからでも、誠実な人柄で信頼関係を気付いたからでもない。
この『無敵モード』とも言える『チート』があったために、肝尾はカルデアの女性職員や女性サーヴァントの全てを魅了し、ハーレム——いや、新興宗教とも呼べる崇拝集団を築き、この世界を救ったのである。
そして、それは敵も女性であったために同様で、敵対していたはずのBBや、そもそもとある手段で絶大な力を手に入れていた人理沈没を引き起こした『黒幕』でさえも、早々に魅了してしまい、もはや遊びのような人理修復を行ったというわけだ。
そうして、そんな棚から牡丹餅なんてレベルではない方法で世界の勝者となった肝尾の部屋に、ノックの音が響いた。
————コンコン。
「……うん? 誰かわからないけど、入っていいよ~」
肝尾はそのノックの相手が誰かと確認することもなく入室を許可するという、なんともセキュリティ意識が低いものだが、それは逆に『自分を害せるものなどこの世に存在しない』という絶大な自信の現れだった。
傲慢とも言えるそれは、しかし、百を超えるサーヴァントを運用している肝尾の現状を思えば、あながち批難できるものではないだろう。
「失礼するわね、オーナー」
「おぉっ! 所長……じゃなくて、社長ぉ! どうしたのぉ?」
そこから現れたのは、白銀の長髪が特徴的な美女だった。
オルガマリー・アニムスフィア。
かつての『人理継続保障機関フィニス・カルデア』の所長にして、現在の『株式会社カルデア』の社長という、カルデアの『表向きのトップ』である。
オルガマリーは『天才美女経営者』としていくつもの経済関係のマスメディアから取材を受けている、時の人でもあった。
「どうもこうもないわよ、業務報告よ。うちのカルデアがどれだけ成功しているのか……今日はその定例報告の日じゃない」
「ああ、そうだったねぇ! 忘れちゃってたよぉ、ぐひひ♪」
「はぁ、本当に仕方ないわね……でも、。あなたの時間はこの日本……いえ、この地球で最も貴重なものだもの。それだけ忙しいのだから、業務報告ぐらいは忘れてしまうのも許す他ないわね」
そんな美女との予定をすっぽりと忘れていた肝尾だが、オルガマリーはそんな相手を批難することもなく、どこか柔らかく笑うだけだった。
恐らく、人理修復の旅以前の自分を追い詰めるようにカリカリとしたオルガマリーしか知らないものがいれば、その穏やかな顔のオルガマリーを偽物と思ったかもしれない。
肝尾による魅了チートが奇しくもメンタルケアのようなものになって、平時は穏やかなオルガマリー・アニムスフィアという以前までは存在しなかった人物が誕生したのである。
そして、定期報告となるカルデアの『系列会社』の業務を肝尾へと説明していった。
「まずは、美容部門として独立した『カルデア堂』からね。
社長を任せたクレオパトラの手腕によって相変わらず好調を維持。今月に至っては前月比で96%増とほぼ倍ね。新商品が飛躍的に売れたおかげね……まあ、開発担当者のメディアが神代の知識を活かして作った薬の大量生産が成功したから、当然とも言えるけど」
美容会社である『カルデア堂』。
ここには社長兼広告塔でもある世界三大美女の一人であるクレオパトラによる大胆な経営戦略と、開発室の室長となっているコルキスの魔女たるメディアによる革新的な商品開発によって、すでに業界シェアの多くを担う大会社として成長していた。
メディアの道具作成スキルで生成された美容液は、塗った瞬間に肌細胞が修復を開始して小じわや染みが消えるほどで、その正体は、現代社会に出ても怪しまれないようにスケールダウンさせた『若返りの秘薬』である。
このようなオーバーテクノロジーを商品展開をしている上に、そのモデルとなっているのが美への意識が高いクレオパトラであり、さらにはクレオパトラはその逸話通り高い知性を持っていた。
そんな会社が現代で躍進しないわけがない。
「次は、金融や投資を担当する『カルデア・キャピタル』。
こちらもメインの業務をシバの女王……ええと、こっちではドルセント・ポンドだっけ? とにかく彼女が担っていて、好調よ。イシュタルが管理している宝石関係でも珍しく失敗もないみたいだしね」
シバの女王が代表を務める金融会社は、その高い知性を示した逸話通りの活躍を見せていた。
暴落する前に売り抜け、高騰する前に買い占める。
もちろん、実際は空売りなども行っているが、ある意味では単純なその手法によって奇跡的な方法で成功を収め続けており、それはもはや経済活動というよりも市場への搾取と言ってもいいほどの精密さだった。
恐らく、魅了チートの支配下に収まったことによって、シバの女王はその才覚を強化されているのだろう。
「他も順調ね。あなたが直接に陣頭指揮を取っている芸能事務所の806プロダクションはもちろんのこと、スポーツジム経営も旅行会社も、不動産関係も相変わらず好調よ……それから、これ、フランシス・ドレイクからの報告書よ」
「ああ、メアリーやアンと一緒にやってる『半グレ』のお仕事かな?」
「ちょっ!? こ、声が大きいわよ! そりゃ、セキリュティはBBを絡んでいるから現代でハッキングできるやつなんていないぐらい完璧な設備だけど、そ、それでもちょっとは警戒しなさいよっ!」
「ぶひひ、所長……じゃなくて、社長は相変わらず小心者だなぁ」
「あなたの肝が太すぎるのよ!」
そして、そういった正統な系列会社だけではなく、後ろ暗いことを対応させるための組織も独立して存在している。
それが、フランシス・ドレイクが率いてメアリー・リードやアン・ボニーなどの女海賊たちが中心で活動している半グレグループ、『キモオパイレーツ』だった。
不動産関係で行っている買収に応じない頑固な地権者、敵対会社の重役たちへの脅迫、急成長しているカルデアの闇を嗅ぎ取ろうとうろつきまわるジャーナリスト。
これらを暴力を持って『制裁』を施し、さらにはドレイクの黄金律を活かしての闇カジノの経営など、表立っては出ないものの、株式会社カルデアの暗部として莫大な活躍を見せていたのだ。
「まあ、表も裏もこの通り好調ってわけだねぇ。BBちゃんに任せれば、国家機密だって簡単に手に入るんだから、当たり前といえば当たり前だけど♪」
「それでも、カルデアがここまでの成長を見せて、それを咎められないのはやっぱりあなたが居てこそよ、肝尾。正直、私が社長って名目で表に出てるのが申し訳ないぐらいにね」
「ぶひひ! ま、まあ、僕は影のフィクサーが似合うタイプだからねぇ! 芸能事務所の社長は譲れなかったけど、他は子会社でオーナーとしていくつか名前を出してれば……ぐひひ、人並みの権力欲は満たせるからさ♪」
「……本当、あなたってば謙虚ね♡」
表社会では魔法のような技術力と、未来予知に近い投資術で支配する。
法的なトラブルは、汚れ仕事や暴力に特化した、最強の海賊美女たちが率いる半グレ集団が解決する。
その全てを統べるのが、卑怯なチート能力で武装した、この小太りの男なのだ。
死角などどこにも存在しない、まさに完璧な布陣と言う他ないだろう
ここまで大きくなれば幹部たちの裏切りも警戒しなければいけないのに、それを魅了チートによる絶対服従で防げるのは、社長であるオルガマリーの陶酔っぷりを見れば明らかにわかることだった。
肝尾はただ座っているだけで勝手に金が増えて、勝手に敵が消えて、勝手に美女が股を開いてチンポをねだってくる。
そんなご都合主義としか言えないシステムが、今まさに現実に完成してしまったのだ。
「さて……ここまでカルデアが大きくなったんだから……ぐひひ、元々予定してた遊びもそろそろやろっかな♪」
そうして、肝尾の幼稚な邪悪性はまた新たなステージへと移っていった。
核兵器の発射スイッチを握っているにも等しい、まさにこの世の支配者とも言える万能感を抱いているはずの肝尾が、その万能の力で次に行うことは、例えるならばターゲットの靴の中に密かに画鋲を仕込むような、そんな幼稚性に満ちた遊びだった。
「裁判長……ああ、いや、今はメタロトン社長かな。連絡しないとね……これから一ヶ月は、たっぷりとかわいがってあげるよってさ!」
世界を救った偉大なる英雄の肝尾拓郎。
時計塔の美女たちのような魔術世界の重鎮を魅了チートで支配したことで、これほどの暴虐が見過ごされている、まさに人生の勝利者。
しかし、その本質はかつての、なんの長所も持たない、限界独身中年男性に過ぎなかった肝尾拓郎とまるで変化をしていないのだ。
その幼稚で残虐な遊びは、周囲を巻き込んで行われていくのだった。
■
東京都は港区。
摩天楼という言葉がよく似合う乱立した高層ビル群の一つ、カルデア・タワーの一つのフロアにその会社は存在した。
社名は『カルデア企画』。
巨大コングロマリットである株式会社カルデアの小会社であり、三十名ほどの少数精鋭で運営されている『経営コンサルティング会社』である。
経営不振に陥った大企業や、後継者不足の優良中小企業に対し、最適なパートナー企業との資本提携や合併を提案したりと、まさに日本の最前線で活躍している優良企業、それがカルデア企画であった。
そんな精鋭たちが集うオフィスの空気は常に張り詰めており、無駄な会話は一切存在しなかった。
しかし、そこに気まずさを覚えるような軟弱な人間はおらず、むしろこのストイックな空気こそが心地よいと言わんばかりに仕事を続けているようだった。
「————池。提出してもらったこのデータですが、分析が甘いですね」
そんなオフィスの中で氷のように冷たく、しかし、鈴の鳴る音を連想させるような美しい声が響いた。
その名を呼ばれたエリート社員、『池優介』はその声の主へと、顔だけではなく体ごと向けるようにその場から立ち上がった。
広大なフロアの最奥、ガラス張りの社長室から出てきたのは、このカルデア企画の代表取締役社長であり、池が心から尊敬し、もはや崇拝といってもいいほどに心を寄せる女性である。
「メ、メタトロン社長!」
メタトロン・ジャンヌ。
現代人として名乗るにはあまりにもおかしなその女性は、言うまでもなくカルデアで召喚されたサーヴァントである。
無数に存在する宝具のうちの一つを使った認識改変によって違和感こそ覚えられていないため、池もまたメタトロンという最上位の天使の名で呼ぶことに全く違和感を覚えていないようだった。
「し、しかし、社長……これまでの市場の動向を鑑みれば、このリスクヘッジは妥当ではないでしょうか?」
「過去のデータに基づいて未来を予測する……それはあまりにも当たり前すぎる仕事、凡人の所作に過ぎません。私たちが『カルデア』を名乗っている以上、それでは仕事が拙すぎるということです。優秀であることを義務付けられている私たちは、クライアントがまだ言語化すらできていない破滅の因子、それを先んじて摘み取る。それが出来なければ、コンサルタントとは言えません」
メタトロンはそのままつかつかと池のデスクまで近寄ると、そのディスプレイを覗き込み、池はその間に密かにメタトロンの姿を盗み見るように観察した。
白磁のような肌に意思の強さを感じさせる琥珀色の瞳、さらさらの長い金髪はきれいなロングヘアーとして背中に流れている。
その幼さを残した可憐な美貌は、それこそ、今のスーツ姿でなければティーンの少女だと思ってしまいそうな存在である。
身長も158センチほどと女性らしい小柄なもので、やはり『美女』というよりも『美少女』という言葉が似合うメタトロンだが、彼女を尊敬する池にとっては巨人のような凄まじいオーラが見えていた。
その聡明な頭脳に、少女の面影を残す——いわゆる『天使性』のようなものを兼ね備えたメタトロンは、池にとっては人間としても女性としても、まさに『理想』そのものだったのである。
(このカルデア企画に転職してよかった……! メタトロン社長のような素晴らしい女性の下で働けるんだから……!)
池は若くして大手コンサルティング会社に務めていたが、そこに株式会社カルデアからヘッドハンティングを受けて、このカルデア企画に転職した身だった。
激務であることは業界でも評判だったその会社に移ったのは、ひとえにメタトロンの存在があるから。
メタトロンは厳しく妥協を許さないし、言葉もまたオブラートに包むようなことはしない。
だが、そこには厳正にして公平な判断があることを、別の会社で働いていた時に池は知ったのだ。
池はメタトロンに魅入られ、今は完璧なメタトロンに相応しい完璧な部下であろうと身を粉にして働いているというわけである。
「すぐにやり直します。社長のご指摘どおり……いえ、想定以上のものを、必ずやお見せします!」
「頼みますよ、あなたには期待していますから」
その瞬間だった。
常に澄まし顔のメタトロンが、ふっ、と表情を僅かに緩めたのである。
それだけと言えばそれだけのことだが、池はそれを認識した瞬間に胸に熱いものが込み上げてきた。
メタトロンの信頼に応えたいという、ともすれば騎士のような思いが池を支配したのである。
このカルデア企画で働く日々は、池優介にとってまさに理想的ともいえる日々だった。
ただ一つ、『とある存在』を除いては。
「ぶひひ! やあやあ、みんな! 精が出るねぇ!」
カルデア企画のオフィスを支配していた静寂を、下品な笑い声が打ち破った。
このオフィスには相応しくない、無地のポロシャツに地味な色合いのチノパンという、『休日のお父さん』と言わんばかりのラフなファッションである。
脂ぎった顔にニヤニヤと、いや、ニチャニチャという擬音が似合う不細工な笑みを浮かべて、その細めた目だけでもいかに品性下劣な卑しい人物かということが伝わってくるような、そんな男だった。
「肝尾会長」
メタトロンがその名を口にすると同時に、社員が一斉に手を止めてその声の主を見た。
その人物、肝尾拓郎を見た際の反応は、主に二つに分けられた。
不快な表情を隠そうともしない男性社員。
そして、どこか嬉しそうな表情を浮かべる女性社員という二つである。
「どうしましたか。本日はどのようなご要件で?」
いや、女性の中でメタトロンだけは実に淡々とした、まさにオフィシャルな空間にふさわしい理知的な表情と声で肝尾と相対していた。
ビジネスライクとはまさにこのことである。
メタトロンの優秀さ、というよりも、冷静さが伝わってくる一幕だろう。
(……なぜあんな愚鈍そうな中年が、メタトロン社長の上に立つ立場なんだ)
しかし、池はデスクの下に置いた拳を強く握りしめ、さらにギリリと歯ぎしりをする勢いで口を閉じた。
いかにも愚鈍そうで、なんの長所もなさそうな、不自然なまでに女受けがいいだけの肝尾拓郎という男が、尊敬するメタトロンの上司であることが、池にはそれだけで許せなかったのだ。
池は詳しくは把握していないが、肝尾は『806プロダクション』という株式会社カルデアのグループ内でも重要な位置づけにある芸能事務所の社長で、同じ系列会社であるカルデア企画の会長職も担っていたのである。
どんな理由があるかはわからないが、それでも池はメタトロンのほうがこの中年男性よりも能力的には優れていると信じており、それなのにメタトロンが部下として甘んじなければいけないことに、吐き気すら覚えていた。
「近くまで来たからね。僕の可愛い部下がちゃんと働いてるか、心配になったんだよ」
「あ、ありがとうございます……会長に気にかけていただけるなんて……♡」
「会長に激励をいただけると、励みになりますっ♡」
肝尾はズカズカとオフィスを歩き回り、男性職員に目もくれずに女性社員たちの肩や背中、場合によっては頭を撫でるような、今の時代なら間違いなくセクハラとして訴えられるようなボディタッチを行っていく。
なのに、女性社員たちは嬉しそうに顔を綻ばせてその肝尾の手を受け入れているではないか。
それをセクハラとさえ認識しておらず、むしろご褒美だとさえ思っているようだった。
事実、一度だけ池たち男性社員が肝尾へと、『それはセクハラですよ』と婉曲にではあるが指摘したことがあるのだが、逆に女性社員たちから猛バッシングをくらってしまったことがあったほどである。
このように、女性社員から不自然なほどに好かれていることも、池が一人の男として肝尾を気に食わないと思っている理由でもあった。
「特に……ぐひひ♪ メタトロンちゃんは頑張り屋さんだからね♪ 体が凝っちゃったりしてるんじゃないかなぁって、心配になっちゃったんだよ♪」
そして、肝尾のその『訴えられないだけのセクハラ』は、メタトロンにまで行われていった。
池はその場で叫び出したいほどの怒りを覚えたが、それでもぐっと堪えてしまう。
その理由は単純で、メタトロン自身が肝尾を糾弾しないからである。
「……お気遣い、痛み入ります。ですが、業務中ですので……少々離れていただけますか?」
「固いなぁ、メタトロンちゃんは。コンサルなんて頭でっかちな仕事してたら体も疲れちゃうでしょ? 例えばっ……ぐひひ、ほらほら!」
もみっ♡ もみもみっ♡
「なっ……!?」
「お尻も座りっぱなしで固くなっちゃってるじゃないか♪」
肩を揉んでいたそのセクハラは容易くエスカレートしてしまい、そのまま肝尾のいかにも不器用そうな指がメタトロンのお尻へと伸びていったではないか。
メタトロン・ジャンヌはその名の通り、天使メタトロンという『概念』が『ジャンヌ・ダルク』を外殻として存在したものである。
いわゆるエノク、イーノックと呼ばれる人間が天使になったという伝説を元にした英霊ではなく、『力』である天使を物語的に解釈して生み出した、言うならば『生前』というものが存在しないタイプの英霊だ。
そのため、その天使性がジャンヌ・ダルクに投影された影響で、僅かに若返る形で顕現しているので、おっぱいやお尻の大きさはジャンヌ・ダルクやジャンヌ・ダルク[オルタ]よりもサイズダウンしているものである。
しかし、それでも魅了チートの影響を受けているメタトロンのお尻は豊満で、今もむにゅむにゅという擬音が聞こえてきそうなほどに、その豊満な尻肉が肝尾の指で形を変えていた。
「っ……やめて、ください……」
そのセクハラ尻揉みを受けて、先ほどまで鉄面皮と呼ぶに相応しい澄まし顔が歪んだ。
それは不快感からか、屈辱からか、それとも他の感情からなのか。
メタトロンではない池にはわからないが、それでも池のほうが悔しくてたまらなかった。
恐らくという池の推測でしかないが、メタトロンは会社と社員のために、この理不尽な会長の暴挙を我慢しているのだろう。
(このっ……時代遅れの犯罪者め……!)
池はその場で立ち上がりそうな衝動を必死にこらえた。
権力では肝尾のほうが上であるし、そもそもここで池が暴れればメタトロンは何のために耐えているのかということになってしまうからだ。
自分の行動がメタトロンの立場を悪くするわけには行かないと、なんともいじらしい忠誠心によって、心のなかでだけ血の涙を流しているというわけである。
「会長……社員が、見ていますから……」
メタトロンが冷徹さを努めて維持したまま、いつも通りの声色で静かに告げた。
しかし、それは拒絶ではなく、あくまで『場所』をわきまえて欲しいという懇願である。
それがメタトロンのできる精一杯の抵抗なのだろうと、池は悲しい気持ちに押しつぶされそうだった。
「ぐひひ、そうだねぇ。今は仕事中だもんね」
「そうです。あなたの……会長の激励は社員も喜んでいますが、それでもお戯れはほどほどにしてください」
「うんうん、メタトロンちゃんの言う通りだよ。ちょっと調子に乗りすぎちゃったかな。それで、今日は顔出しと一緒にちょっとお願いがあってねねぇ……メタトロンちゃんには、グループ全体で執り行う『別の業務』に協力してもらいたいんだよ。詳しいことは、またコヤンスカヤかマーリン辺りに説明させるからさ♪」
「…………承知いたしました。もとより、会長からの業務に対応できるよう、常にスケジュールは確保していますので、いつでもお申し付けください」
肝尾はメタトロンの耳元に顔を寄せて、なんとも不快感を煽るような笑みを浮かべたまま、その粘っこい吐息を吹きかけながら囁いた。
小声であったために池にはその内容をうまく聞き取れないものの、メタトロンの反応と肝尾のニヤついた顔から、ろくな内容ではないことは明白である。
そして、その体を離すと、なんと肝尾はその手を振りかぶると————。
「ぐほほ、楽しみにしてる……よぉ!」
スゥゥゥゥ、パッシィィンッ!
「んっぅぅっ♡ くぅぅ、ふぅぅぅ~~♡」
————思い切り、メタトロンのお尻をスーツ越しに叩いたのである。
それはもはや、パワハラやセクハラというよりも暴力に近い行為で、メタトロンの喉からも普段の声とかけ離れた奇妙な高い声が漏れる。
そんなメタトロンをニヤニヤと見つめながら、肝尾は意気揚々とオフィスから立ち去っていくのだった。
「……どうしました。全員、早く業務に戻ってください」
メタトロンは何事もなかったかのように社員たちへと言葉を放ち、社長室へと戻っていった。
ただし、その際にパツパツのスカートスーツをシワを伸ばすように下へと引っ張ったその動作が妙に官能的で、男性社員たちは思わず前かがみになってしまう。
また、男性社員は何が起こったのかわからないという表情でメタトロンを見たために気づいていないだろうが、女性社員はなんと羨ましそうな顔でメタトロンを見ていた。
『自分も肝尾会長に、お尻を叩かれながら気合を入れて欲しい』と、本気で思っているのだ。
魅了チートはサーヴァントだけではなく、現実の一般人女性にも大きな影響を与えているのである。
(このままじゃ駄目だ……! 俺が……俺がメタトロン社長を守らないと……!)
ただし、池はそんな周囲の中で先ほどの光景を思い出して、暗い決意を固めていく。
尊敬するメタトロンが卑劣な中年にセクハラを受けている現実を、池は許せないでいたのである。
(あのセクハラ会長の悪事……弱みを握ってやる! そうして、メタトロン社長があんな目に合わないようにしてあげるんだ! メタトロン社長は……あんな男にいいようにされていい人じゃない!)
そうして意気込んでいる池は知らなかった。
メタトロン・ジャンヌはとっくの昔に肝尾拓郎の魅了チートによって性奴隷へと堕落しており、普段は冷静を装っているのも、そうした方が肝尾が喜ぶからというだけだということを。
本音で言えば、今すぐにでも跪いてチンポをくださいと足を舐めてしまいたくなるのを、肝尾が『社会』というゲーム盤で楽しめるように、『有能な女社長』という価値を下げまいと我慢しているだけなのだということを。
仕方のないことだが、池は知るよしもなかったのである。
(続)