「あっ❤ そ、そこ……❤ はい、と、とても……上手です❤ んぅっ❤ きゅぅぅ、はぁぁぅ……❤」
カルデアのとある一室。
ペラペラの紙に『マッサージルーム』と書いてそれを扉に貼り付けた、つい先日までは空き室となっていた部屋から、なんとも甘ったるい声が響いていた。
声の主は、マシュ・キリエライトである。
生真面目でかつ純朴な性格で、カルデアという国際的な秘密組織の中で純粋培養————といえば聞こえはいいが、実験動物さながらに厳重に『管理』されて育てられた少女だ。
そんなマシュは、このような蕩けるような、下世話な言い方をするのならば雄の股間を刺激するような声を漏らすような少女ではない。
「こ、ここらへんでいいのかな、マシュちゃん?」
「あぁ~……すごく、いいです……❤ もっと、強く揉んでください❤ その、もう少し右です❤」
ただ甘い声を漏らすだけではなく、その言葉の内容もまたそうとしか————つまりは、性行為をしているとしか思えないような内容だった。
しかも、マシュがそのような関係にまでたどり着くであろう男性と言えば藤丸立香ぐらいなものだろうが、部屋の中から聞こえてくる声はどこかくぐもったようなものだ。
少なくとも、少し低めの美声である立香とは明らかに異なった声である。
部屋の外からその声を聞けば、『まさか、あのマシュが立香じゃない誰かとセックスをしているのか……!?』と思ってしまうような状況だ。
ここまで来ると疑心暗鬼は深まってしまい、このマッサージルームなんて銘打たれた看板も、どこか言い訳がましい、言ってしまえば『普通じゃないマッサージをしているのではないか』と連想させてしまう。
いったい、この中で何が起こっているのだろうか。
「ふぅ……ありがとうございました、肉雄さん。やっぱり肉雄さんはマッサージがお上手ですね。肩がすっかりと軽くなりました」
「いえいえ。僕みたいなのがマシュちゃんの役に立てたのなら、なによりだよぉ」
そうして部屋の中を見てみれば、なんてことはない。
マッサージルームというのは偽装工作というわけでもなく、その看板に嘘偽りはなく、マシュ・キリエライトという美少女は一人の男性から文字通りのマッサージを受けていただけなのだ。
艶っぽいことなど何もない。
マスターの『ファーストサーヴァント』を自称するマシュは戦闘要員であることは間違いないが、その真面目な性格から事務系の職務にも勤勉に努めているため、心身に疲労が溜まってしまうのだ。
そこから、マッサージでリラックス効果を求めることは当然と言えるだろう。
マシュはデミ・サーヴァントという超人的な肉体能力を持ちながらも、その外見は可憐な少女のままであるために、人智を超えた力があるとは考えられないほどに華奢な体躯だ。
その小さな体のまま、マシュは肩をぐるぐると回して見せる。
そのような動きを見せれば、同年代の女性よりも細身でありながら、その胸部に鎮座する、同年代の女性とは比べ物にならないほど豊満なおっぱいが、ぶるんと揺れるのは当然のことだ。
(うわっ……! マ、マシュちゃんの乳揺れ……い、いや、これ揺れ過ぎじゃないか……!? ま、まさか、ノーブラ……!? そ、そうだよな……! 戦闘用って言ってたけど、こ、こんな大胆なハイレグスーツだと、下着もつけれないよな……ニ、ニップレスとかはあるかもだけど……!)
当然、そのようなエロすぎる姿を見せられた、『肉雄』とマシュから呼ばれていたその男性は、ゴクリと生唾を飲んでしまう。
見ればまだまだ幼さの残る、恐らく十代ほどの平凡な少年だった。
マシュは肩が凝ったということで肩と肩甲骨を中心に揉んでいたのだが、そもそもとしてこの人物は別にプロのマッサージ師でもなんでもなく、その生い立ちなどは後述するが、元々は単なる高校生に過ぎない。
つまりは、そういったプロフェッショナルな施術者でもなんでもない、性も盛りである年頃の男子がマシュほどの美少女のダイナミックな乳揺れを見れば、目を細めながら鼻の下を伸ばす、不細工すぎる猿顔を作るのは当然と言えるだろう。
しかも、マシュの今の衣装はトレーニングなどでも利用するような、水着さながらの大胆な露出度のハイレグスーツなのだから、その雄の性欲を刺激してくる魅力もさらに増強されている。
問題は、そんな『エロザル顔』を正面から女子に見せるということは、それ以降の人生は徹底的に女性から距離を置かれること間違いなしの、非モテ特有の反応ということぐらいだろうか。
「…………❤」
だが、肉雄が無警戒に浮かべたそんな性欲丸出しの猿顔を見ても、マシュは何も言わないし引きつったような愛想笑いを浮かべることもない。
それどころか、どこか慈愛すら感じる穏やかな表情で相手を見つめているほどだった。
「あ、あのっ! その、よろしければ……ま、またマッサージをお願いしてもいいでしょうか? 肉雄さんのお仕事に私たちの体のケアとなんの関係もないことをわかっていますが、その……とても、マッサージがお上手なので……」
「も、ももも、もちろんだよっ! マシュちゃんみたいな可愛い子の体のマッサージだったら喜んで……って、そ、そういうエッチな目的じゃなくて! な、なんというか……とにかく、なんの問題もないから!」
マッサージの名目で、マシュという超がいくつも付きそうな美少女の体に触ることができるのだから、人並みに性欲がある男子ならば否というわけもない。
しかも、この肉雄なる男子はその人並み以上の性欲を持っているのか、マシュの申し出に対して本心、いや、性欲を全開にした言葉を返してしまった後に、慌てて言い繕ってしまっている始末だった。
「それは、嬉しいです……♪ あっ、どうやら次の方が待っているようなので、名残惜しいですがここで失礼しますね。いつもありがとうございます、肉雄さん♪」
しかし、それとも、やはり、というべきだろうか。
マシュはそんな肉雄の性欲全開の言葉を咎めることもなく、次回のマッサージの約束を取り付けることに成功した喜びに顔を綻ばせている。
そんなマシュの反応は、『それほどまでにこの男子のマッサージというものは良いのだろうか?』と、思わず好奇心から受けてみたいと思わせるような反応だった。
「失礼します、ニクオさん。えっと……その、私もマッサージをお願いしていいでしょうか……?」
「ブ、ブラダマンテちゃん……! も、もちろんもちろん! その、次のお仕事まで全然時間があるから、僕なんかで良ければ、喜んでっ!」
そして、そんな推測を肯定するかのように、マシュが出ていったすぐ後に異なるタイプの、しかしながら、マシュと同じぐらいに男の胸をときめかせる魅力を持った美少女が入室してきたではないか。
その美少女の名は、ブラダマンテ。
シャルルマーニュ伝説に名高き、シャルルマーニュ十二勇士に名を連ねる、あのブラダマンテである。
「ああ、良かった! その、お恥ずかしい話ですが足と腰に張りがありまして……下半身を中心に、あなたにマッサージをしてもらいたいんです」
「か、下半身……! ブ、ブラダマンテちゃんの、下半身を……?!」
そんなブラダマンテはどこか快活な、それでいて生まれの高貴さからか清純さを感じさせる容貌をしているが、その肉体は男の情欲をこれ以上なくそそる淫らなものだった。
騎士と名乗るには相応しい形で腰は強く引き締まっており、それでいてその胸はマシュには劣るものの女性らしい豊かな膨らみを持っている。
なによりも、その下半身だ。
むっちりとした安産型のデカ尻に、そのお尻を支えるに相応しい淫らなデカ太もも、それでいて膝から下は細く伸びているという、何らかのトリックアートなのではないかと思うような、ある種の男にとっては理想的とも言えるドスケベな下半身なのだ。
「それでは、よろしくお願いします♪」
その下半身を見せつけるように、ブラダマンテは備え付けられている簡易ベッドの上でうつ伏せに寝転がっていく。
しかも、今のブラダマンテはいわゆる『第一再臨』の衣装、つまりは先ほどのマシュと同様にえげつない角度でつり上がったハイレグスーツ姿なのだ。
肉雄と呼ばれたその男子は、寝転がっているブラダマンテにも聞こえそうなほどの勢いで生唾を呑み込む。
そして、そのままいかにも不器用そうなぶよぶよとした短くて太い指を、ブラダマンテの腰と足に伸ばしていくのだった—————。
■
————さて、ここで改めてこの肉雄という男子の紹介をさせてもらおう。
肉雄の本名は竿山肉雄(サオヤマ・ニクオ)、今年で高校三年生になったばかりの平凡な男子高校生だ。
そんな竿山肉雄に人間的な評価をつけるならば、『とにかく平凡』という一言に尽きる。
成績は測ったように中の中。
その定位置は様々な生徒が入り混じる公立中学校から、偏差値が50前後の工業高校へと進学しても変わることはなかった。
ならば運動はといえば、むしろ少し苦手なぐらいで、校則で何かしらの部活には強制的に参加しなければいけないために、なるべく体を動かすことが少なそうな将棋部を大人しく選んだほどである。
その将棋部では一つ、才能が発揮されていた。
それは、どんなに負けてもニコニコと将棋を打ち続けるという、向上心がない代わりに持続性だけはあるという才能とも呼びづらいものである。
そんなことからも察せられるかもしれないが、肉雄はその性格もどこか『のんびり屋』というか、『頭が鈍い』とクスクスと陰口を叩かれるようなタイプの人種だった。
肉雄は女子からは完全に空気扱いをされており、告白されたこともなければ手を握ったこともない。
性欲だけは人一倍強いために、普段の肉雄の視線に邪なものを感じ取っていたのかもしれないだろう。
兎にも角にも、そんな風に異性からの扱いもさほど良くないために、その人一倍強い性欲は自らの右手で満たすしかすべがない、典型的な非モテ男子生徒なのである。
幸運があるとすれば、呑気な性格のためかある程度の緊急事態でも慌てることなくマニュアル通りの行動を取れるという点は長所とも言えるし、その気のいい性格からか同性からは見下しが有りつつも、多くの場合では友好的な関係を築くことができていた。
そんな肉雄は大学進学は行わず、学校とパイプのある町工場への就職がすでに内定していた。
今は、社会人ともなれば味わえない、人生で最後となるであろう『夏休み』をその貴重さを実感することもなく、大好きな『エロ漫画』や『エロゲー』などを漁って自堕落に時間を消費する日々だった。
ベッドに転がってスマホを片手にシコシコとチンポをシゴいては寝て、起きてはまた別のエロ漫画を見てはまたシコシコと抜いて————時折、オタク趣味を共有する友人と出かける以外は、そんな生活の繰り返しで、これからの冴えない人生を感じさせるような日々を送っていたのである。
————しかし、そんな肉雄の日々は突如として崩壊した。
「ほっ、ほっ、ほっ! あとは……廊下のモップ掛けだけだっ!」
今、肉雄は自身の自制心を試されるような美少女たちへのマッサージを終えたばかりのことだった。
肉雄の『仕事』は、なんの技術も持たなければ講習も受けていないまま行うマッサージなどではなく、このどこか近未来的な飛空艇の廊下を、作業着姿でモップ片手に掃除をする『清掃員』としてのものである。
この清掃員としての仕事はバイトなどではない。
何故、ただの高校生に過ぎない肉雄が見るからに高級そうな、いや、そもそもとして現実に存在しているのかも怪しいSF的な雰囲気を持った飛空艇の中で掃除をしているのか。
それは細かく説明すれば非常に長くなるためなるべく省略して説明させてもらうが、肉雄が『カルデア』なる場所に召喚されたからである。
俗に言う、『異世界転移』というものだ。
『転生』ではない。
別の人物として生まれ変わったわけではなく、ただの竿山肉雄という平凡な男子高校生の外見と能力のまま、この場所に放り込まれたのだから。
理由はわからない。
肉雄は夏休みも中盤を迎えたある日に、それまで修理に出していたパソコンを取りに行った帰りの道でトラックに轢かれそうになった。
すると、どうだろうか。
走馬灯すら見ていたほどに命の危機に陥っていた肉雄は、気づいたら『カルデア』という組織が所有している巨大な空中飛空艇、正式名称を『次元境界穿孔艦ストーム・ボーダー』と呼ばれる場所の廊下で倒れていたのである。
のんびりとした性格の肉雄はこの異常事態に、最初は『これ……まるでアニメの主人公みたいじゃないかぁ!』と間抜けにテンションが上がったものの、その後に現れた美しい女性たちに隅から隅まで検査をされ、特別な力などは微塵もない『ただの一般人』に過ぎないと突きつけられてしまった。
体が軽くなったわけもなければ、『ステータス・オープン!』などと叫んでみてもなにか空中にホログラム映像のようなものが浮かばない。
しかも、そこからさらに、その中にいた明るい茶髪の美少女——後に藤丸立香と名乗った、いかにも人の良さそうな美少女だ——が、『サーヴァント』なる存在に対しての限定的なものではあるが、その手の『ステータス画面』が見れるという事実まで教えられてしまった。
その時点で、さしもの楽観的な肉雄であっても、自分が『主人公』ではなく『事故でなんらかの異変に巻き込まれただけのモブ』でしかなく、本当の主人公はこの可愛らしい美少女の立香なのだと悟るしかなかった。
「いやぁ……みんないい人で助かったなぁ。掃除やってれば三食ちゃんと出るし、そこそこ広い個室までくれたんだからなぁ!」
とはいえ、幼い頃は親や教師からも『知らない大人には絶対について行くなっ!』と念仏のように言われ続けた、そんな筋金入りの楽天家でのんきな肉雄は、カルデアの清掃員として働くことで日々の食事と柔らかなベッドを手に入れていた。
ちなみにこれは、カルデアから強制されたことではなく、肉雄が自ら申し出たことだった。
なんでも、カルデアは人理と呼ばれる人類の歴史を守るための組織であり、窓から見渡す限り真っ白な、雪原とも異なる白さで満ちたこの不可思議な大地で、人理を取り戻すために戦っているらしい。
難しい話は頭の回転が襲い肉雄ではさっぱりとわからず、『カルデアは人類を守るために頑張っている組織』という、そんな浅い理解しかできていない。
それでも、そんな大変な使命を帯びていても自分を邪険に扱わない人々のために、せめて何か仕事をしなければと、肉雄は自らでも役に立てそうな『清掃員』という仕事を買って出たのだ。
「僕にできるのなんてこれぐらいだから、あんな良くしてくれる人たちのためにも手伝ってあげないとね!」
そう、平凡な肉雄はなにもできない普通の男子高校生なのだ。
長所らしい長所といえばただ一つだけ————『チンポが異様に大きい』という、人類の存亡を賭けた戦いにはなんの役にも立たなさそうな特徴だけである。
肉雄の体型は、身長こそ平均ほどだが体重は平均より少し上のぽっちゃり体型、タレ目がちな顔つきはイケメンとは縁遠いもので、さりとて醜男と貶すにはそれほど際立った特徴があるわけでもないが、女子の視線を集めるような魅力は皆無という、なんとも冴えないものだった。
鈍重そうな体から想像できる通りの鈍重な動きをする肉雄だが、唯一、他者を圧倒するものがある。
————それは、前述した通りの黒人も顔負けの巨根チンポだ。
普段でも常人の勃起時に軽く迫るような長大さが、勃起をすればさらに膨張して、アジア人らしいガチガチの硬さを保ちながらも、黒人のような長大さを持つという、まさに巨根と呼ぶに相応しいチンポである。
特に、亀頭と竿の境目に作られたえげつない角度のカリ首は、まさに凶器と呼ぶに相応しい凶悪さだ。
絵に描いたような女殺しの名器チンポだが、豚男自身はこの巨根チンポを『使用』したことなど一度としてない真正童貞である。
しかし、それでも普段のトイレで思わずふと見てしまった男子生徒の噂話から広まり、修学旅行でのお風呂場でその大きさが確定された日を境にして、肉雄は男子から一目置かれる存在となった。
何故そうなのかと言われると答えが難しいが、強いて言うならば、男子高校生とはチンポの大きい男子に対して恐れを抱いてしまうものなのだ。
それは、不良として恐れられていた同級生からもどこか丁寧な対応をされるようになったほどで、肉雄のチンポは同性にも畏怖を覚えさせるほどの威容を放つ、それほどの巨根だったのである。
「あっ、ニクオだ! マスター、ニクオがいたよ~♪」
「ちょっと待って、アストルフォ……! サーヴァントにそんな急に走り出されたら、俺はついていけないよっ!」
肉雄がそんな風に掃除をしていると、廊下の奥から軽快な足音が二つほど重なって響いてきた。
その足音と同じタイミングで、ドクンドクン、と肉雄の心臓が早鐘を打つ。
ごくりと、マシュに対してマッサージをしていた頃と同じように生唾を飲んで喉を鳴らしながら、肉雄はそのぽっちゃりボディでゆっくりと振り返る。
まず第一に、視界の端でピンクの三つ編みが揺れる姿が映った。
まるで愛らしい子犬の尻尾のようにふわふわと宙を揺れているその三つ編みは、肉雄もよく知っている人物のトレードマークだ。
真っ白なマントを羽織り、インナーとして黒のワンピースを纏い、同じく黒のニーハイソックスをガーターベルトで固定しているその姿は、重々しい銀の手甲や腰元に携えた細身の剣と合わせて、肉雄の価値観では『かなり凝った衣装のコスプレイヤー』という印象を与える。
だが、それが単なるコスプレではなく、このカルデアに在住する多くのサーヴァントがそうであるように、駆け寄ってくる人物もまた『本物の騎士』なのだということを、肉雄はよく知っていた。
「やぁ~っと見つけたよ、ニクオ~♪」
「わっ、わわわぁっ!? あ、アストルフォちゃん……じゃなくて、アストルフォきゅん!?」
その騎士の名を、アストルフォと言った。
ブラダマンテと同じく、シャルルマーニュ伝説においてシャルルマーニュ十二勇士の一人として名を連ねる、現代においても多くの人々から愛される『美少年騎士』その人である。
ただし、美少年騎士という称号は『現在のカルデア』では少々誤りとされてしまう状態だった。
「う~ん? 別にニクオが呼びたい方でいいよ~! アストルフォくんでも、アストルフォちゃんでもね! だって、今のボクは……えぇ~い♪」
むにゅぅっ❤ ふにゅふにゅ、むにゅにゆぅ~❤
「ふぉっ!? お、おっぱいの感触が……おっ、や、柔らかぁ……!?」
「そのとーり♪ このように、男の子じゃなくて女の子なんだからね! ほんと、ニクオはこういう風におっぱい押し付けられるの好きだよね~♪」
そのぽわぽわとした陽気な、ストレートに言ってしまえば『あーぱー』な脳みそをしているアストルフォは肉雄に抱きつくと、そのままムニムニと女性化してしまったことで豊満な乳房を蓄えたその胸を押し付けていく。
そう、おっぱいがあることからもわかるだろうが、とある事情によって今のアストルフォは『美少年』から『美少女』へと、その肉体を変貌させてしまっていたのだ。
カルデアは様々な事象を観測するからこそ、その様々な事象に巻き込まれる余地を産んでしまう。
そのことを考えれば、アストルフォの性別が変わったこと自体は驚くべきことであるものの、同時に絶対に起こらない珍事というわけではない。
「はぁ……! はぁ……! ま、待ってよ、アストルフォ! アストルフォだけじゃ説明できないだろうから、俺も一緒に行くって言ってるのに……!」
そして、飛びつくように抱きついたそんなアストルフォに遅れて、また別の美少女が現れた。
明るいオレンジ色の髪を肩にかかるほどの長さに切りそろえて、淡い色のオレンジのシュシュで髪を一房ほどサイドでまとめた、ぱっちりとした目が特徴的な可愛らしい少女だった。
その少女は白いトップスと黒のズボンという、『カルデアのマスター』として、その服自体に魔術礼装としての効果を持っている、『男性用カルデア制服』を纏っていた。
その制服は、本来の男性用の制服ならば胸を固定するベルトが一本のところを、明らかにその年齢の平均よりも大きな巨乳が暴れてしまうのを防ぐためか、おっぱい自体を挟むように二本のベルトで締め付けている。
なんとも官能的な特徴を持った服装だ。
そのおっぱいがどれぐらい大きいかと言えば、アストルフォの形の良い美巨乳よりも更に大きい。
こちらへと駆け出す際にも、ベルトで固定しているにも関わらず『ぷるるん❤』と揺れるさまがなんとも淫靡で、抱きついてきたアストルフォの柔らかさと甘い匂いに合わせて、肉雄はその乳揺れを見て思わず股間を固くしてしまったほどである。
「立香ちゃん……じゃなくて、立香くんまでどうしたの? あれ、えっ? な、なにか僕、いけないことしちゃったのかな……? お説教の時間だったりする……?」
「あ、いえ、そういうことじゃないよ。肉雄くんは特におかしなことはしてなくて……むしろなんというか、お願いしたいことがあるというか……」
その人物の名は藤丸立香。
このカルデアにおいて重要人物と目される、『人類最後のマスター』である。
本来ならば女性用の制服もある中で男性用の制服を着ていて、さらには一人称として男性のように『俺』を使用して、さらにはアストルフォにしたように肉雄が『立香くん』と言い直したことから、勘の良い人物ならわかったかもしれないだろう。
この立香もまた、つい先日までは『男性』だったのが、とあるアクシデントで『女性』へとその体を変化させてしまっているのだ。
アストルフォと立香。
どちらもカルデアのアーカイブに残っていた映像や写真などで以前の姿、つまり男性であった頃の姿を、肉雄も見せてもらったことがある。
アストルフォはその胸が形の良い美巨乳に豊乳化したこと以外はさほど変わらない中性的な美少年だったが、立香は完全に別人へと姿を変えていた。
元の立香は癖のある黒髪に、少し幼さはあるものの中性的と言うほどではない男性らしい顔立ちのイケメンといった様相の、感じの良い少年だった。
身長もアストルフォはさほど変わっていないが、立香に関しては10センチ近く縮んだようで、数日ほどはリハビリ患者さながらに単純な運動を行う日々を続ける必要があったというではないか。
(なんだっけ……カルデアのサーヴァントって、元は男の人も居たんだよね。僕が来る前に、なんかの事件があって全員のデータがロストしちゃったとか、なんとか……)
アストルフォの柔らかいおっぱいを感じ、どうしても自然に緩んでしまう頬によってだらしない表情を作ったまま、肉雄はのほほんとした脳みそで現状の再確認を行っていく。
時系列順に説明するならば、まず、カルデアに突如として大問題が発生した。
男性サーヴァントが突如として退去し、しかも、カルデアのデータベースに記録されていたはずの霊基グラフの情報が完全にロストされる————つまり、再度の召喚が不可能となってしまったのである。
これが最初だ。
七つの異聞帯に生じた空想樹を伐採したカルデアは、これより突如として南極に現れた人理の壁を消すために改めて発生する問題を解決しなければならないと意気込んでいた直後の、未曾有の大事件である。
(しかも、アストルフォくんみたいな美少年サーヴァントは女体化しちゃって、立香くんはサーヴァントじゃないけどTS美少女化しちゃったんだっけ。ダ・ヴィンチちゃんが言うにはマスターとしてサーヴァントと魔術的に繋がってたからその影響じゃないかって言うけどはっきりしたことはわからない……かぁ)
しかも、男性サーヴァントのデータロストだけでは終わらなかった。
何故か強制退去の憂い目に合わなかった男性サーヴァントが複数存在したのである。
例を挙げるならば、今まさに肉雄に抱きついているアストルフォに加えて、ヤマトタケル、蘭陵王、ネモのような、眉目秀麗な中性的美貌のサーヴァントたちはその被害を免れたのだ。
ただし、アストルフォがそうであるように、その男性であったはずの肉体を女性へと変えてしまったという、あまりよろしくないおまけがついてしまっているが。
そして、その影響はマスターである立香にも働いていた。
癖のある黒髪は明るいオレンジ色の髪に代わり、同年代の少年とだいたい同じくらいの身長は同年代の少女たちと同じ程に低くなってしまい、その乳房にはマシュ・キリエライトと同等の大ボリュームな乳房がついてしまったのだ。
まさに、女体化である。
この事件を、ダ・ヴィンチやシオンのようなカルデアの知恵者たちは『予期せぬ男性性の消失』という意味を込めて、『フォール・アウト』と名称をつけた。
(現在調査中っていう意味では、僕がこのカルデアに召喚されちゃった理由がわからないのと同じだよねぇ。はぁ……なんていうか、いかにも主人公みたいな僕だけど、結局なんのチートもスキルもないなんて残念だよなぁ)
さて、これより最後の決戦へと向かうその前段階という現在に男性サーヴァントたちの消失はまさに戦力的にも大ダメージという他なかった。
一刻も早くこの問題を解決し、再修復しようと日夜睡眠時間を削っていたカルデアの前に、突如として反応するはずのない反応が起こった。
聖晶石のような魔力リソースも用いていないはずなのに、突如としてカルデアの召喚システムが自動的に起動してしまったのである。
そこでようやく登場するのが竿山肉男というわけである。
(ステータスオープンなんて叫んでみても何も見えないし、それどころかそういうのが見えるのはマスターである立香くんの方ってなると……なんだか、完全に事故で紛れ込んじゃったモブって感じだなぁ。いや、はしゃいで舞台に勝手に上がっちゃったはた迷惑な観客ってぐらい、どうしようもない存在なのが僕なのかな?)
ただし、そんな風にいかにも訳アリで登場した肉雄だが、ネット小説などではお約束とも言えるチート能力と呼べるようなものは一切発見できなかった。
それこそ、フォール・アウトという男性サーヴァントの消失から突如として召喚された男性の存在に、カルデアは総力を上げて肉雄の体を解析した。
魔術的にも科学的にも、とにかくカルデアの知恵と技術を用いて、肉雄を調査することでこのフォール・アウト現象を解明できるきかっけがないかと、男性サーヴァントたちを取り戻す第一歩を踏み出せるはずだと、それはもう微に入り細を穿つという周到さで検査が行われたのだ。
その結果として出たのが、『竿山肉雄は単なる一般人である』というものである。
サーヴァントとしてのステータスに関しても全てが最低ランクで、宝具が存在しないのはもちろんのこと、サーヴァントならば備えるはずのスキルと呼べるものも確認ができないという、サーヴァントというシステムそのものに対する矛盾のような存在だとわかっただけだった。
男性サーヴァントが消失したという現象に対して、カルデアの面々が男性サーヴァントを取り戻そうと様々な方法を模索していたことから、召喚システムとトリスメギストスたちが無理矢理に召喚を行って、結果英霊とは呼べない存在を召喚してしまったのだろう、というのがダ・ヴィンチとシオンたちが出した推論である。
(そんな人騒がせな僕に仕事をくれて、しかも、こうやって好意的に受け入れてくれるなんて……カルデアっていい人たちの集まりなんだなぁ。アストルフォくんと立香くんだって、自分の体がおにゃの子になって大変なはずなのに僕に気を使ってくれてるしね。
うぉ……それにしてもアストルフォくんの体、柔らかいしいい匂いがしすぎる……チンポ固くなりすぎて、チンポが固くなった分だけで代わりに頭が柔らかく蕩けちゃいそうだ……!)
アストルフォは相変わらず人懐っこい大型犬のように、その柔らかい体をふにふにと押し付ける形で抱きついてくる。
その柔らかな感触から覚える性的興奮があまりにも大きすぎて、肉雄は一周回って冷静になったのか、呑気にそんなことを考えていた。
拉致誘拐にも等しい形で全く見知らぬ土地へと迷い込んでしまった肉雄も相当に大変な事態にあると言ってもいいのに、カルデアでまともな扱いを受けたことでその深刻さを理解できていなかった。
その辺り、やはり肉雄はどこか危機感に欠如した浅薄な性格なのだろう。
そんな肉雄に対して、立香はアストルフォと肉雄へとどこか羨ましそうな視線を向けながらも、恥ずかしそうにオレンジ色の髪を弄りながら、その瑞々しい唇を動かして話しかけてくる。
「えっと、肉雄くん。その……ちょっと大事な話があって。その途中でアストルフォと会って、そうしたらアストルフォも行くって言って……ほ、ほら、アストルフォもいつまでも抱きついてないでさ!」
「えぇ~? ニクオの体でぷにぷにで暖かくて抱き心地がいいんだけどな~……」
「今のアストルフォは女の子なんだから、男の子の肉雄くんに抱きついたら駄目でしょ!」
「ぶぅ~、マスターってばお固いなぁ」
名は体を表すという言葉通り、ぽっちゃり体型である肉雄はその体に脂肪を蓄えて居るために、確かに抱きつき甲斐はあるのだろう。
事実、友人たちにはおふざけでお腹を揉まれたり、男なのにおっぱいがあるじゃないかと言わんばかりに乳を持ち上げられたり、そんなじゃれ付き合いをした経験が肉雄にはある。
女体化アストルフォはとんでもない美少女だし、その胸にはブラダマンテさながらの柔らかおっぱいが装着されているため、肉雄は既にガンガンに勃起しているとはいえ、本質的には『男同士』なのだから、そういう意味ではそんなじゃれ付き合いと変わらないのかもしれない。
(あっ……立香くんの視線、僕に怒ってたのかな……!? アストルフォくんに抱きつかれてデレデレしてたの、カルデアの風紀を乱すとかそんな感じで……! さ、作業着はダボッとしたやつだから、さすがに勃起はバレてないと思うんだけど……! や、やばい、もっと謙虚に、性欲を捨てるように生活しなきゃ……!)
アストルフォが渋々と離れていく中で、肉雄は思わず顔を青くさせてしまう。
自分の行動、つまりはアストルフォに欲情をしていることをよく思われていない可能性があると、やっと気づいたためである。
人理漂白という一大事件にあり、地球上で唯一文明が残っているストーム・ボーダーの外へと追い出されることはないだろうが、それでもカルデアの風紀や規律を乱したとして冷遇をされてしまっては、なんの取り柄もない肉雄に生きるすべはない。
改めて、自分はカルデアに生かされているのだということを実感した肉雄は、そのカルデアの主力である女性サーヴァントたちの気を悪くするような行為であるスケベな視線や感情を隠さなければいけないと思い直すのだった。
「そ、それで、えっと、僕に大事な話って何かな?」
「ああ、それじゃあ説明するね。少し長くなるけど……」
今まで使っていた掃除用具を壁に立てかけながら誤魔化すように肉雄が問いかけると、立香は深呼吸をして、ゆっくりと話しだしていく。
「前にカルデアで起こった事件について話したよね? 俺やアストルフォが女の子になったり、肉雄くんは会ったことがないけど、元々カルデアにいた男性サーヴァントが一斉に強制退去されちゃった事件のこと」
「えっと……フォール・アウトってやつだっけ? ダ・ヴィンチちゃんが教えてくれたやつだよね」
「うん。その事件はね、副作用があったんだ。サーヴァントの半数である『男性の特性』を持つサーヴァントが消えたのはもちろんだけど……残った『女性の特性』を持つサーヴァントにしても、その霊基が大きく弱体化していたんだ」
「え……えぇ!? それって、カルデアが弱くなっちゃってるってこと……!?」
フォール・アウト事件の影響は女性サーヴァント側にも現れていた。
本来ならば種火や聖杯などの魔力リソースを注ぎ込んで、カルデアのシステム上で本来の英霊としての出力に近づけるように霊基を強化されていたのだが、フォール・アウト事件が起こったことで、その向上されたはずの霊基が半分ほどに出力ダウンしてしまったのである。
おおまかなイメージで言うならば、四段階の霊基再臨があってその最終再臨まで行えた女性サーヴァントたちは、今ではおおよそ第二再臨ほどの出力という低い位置で安定してしまっているのが現状だ。
「うん。今はダ・ヴィンチちゃんやシオンたちが必死で対策を考えてくれてるんだけど……溜まってた種火とか素材を使ってみても、元通りにはなかなか戻らないっていうのが現状なんだ。
そこで、その……肉雄くんにお願いが、あって……」
立香はそこで言葉を区切る。
そして、再びそのオレンジ色の髪をもじもじと弄りながらチラチラと肉雄へと視線を向けていく。
(うぉっ……!? び、美少女から上目遣いで見られるとか、こんな最高のシチュが僕の人生にあっていいのか……!?)
本来の男であった頃の立香ならば肉雄と同じ視線になるはずなのだが、女体化したことで女性の平均身長ほどまで低くなった背丈の都合で上目遣いになってしまう。
さらに立香は緊張や羞恥で呼吸も少し乱れているのか、二つの胸ベルトで固定された大きめのおっぱいが上下に揺れている。
その姿があまりにもエロくて、元は立香も男と言ってもそもそもとして女性としての状態しか知らないため、美少女のもじもじとした上目遣いという最高のシチュエーションに、肉雄は強烈な性的興奮を覚えてしまうのだった。
「実はね~、前にニクオの体を調べまくったよね? 『ニクオが召喚されたタイミングって、絶対にこの事件と関係があるだろ~』ってタイミングだったもん! そこでさ、ダ・ヴィンチたちが絶対なにか秘密があるって、調べたデータをさらに詳細に洗い直したんだって!」
「え、僕の体……?」
言葉に詰まっていた立香に対して、アストルフォはニコニコとした顔で補足するように言葉を続けた。
肉雄は自身の身体などぽっちゃりしたわがままデブボディとしか認識していないために、不思議そうな顔のままポンとお腹を叩きながら聞き返す。
立香はなにか覚悟を決めたように顔を上げると、肉雄の言葉に頷いて話を続けていく。
「ダ・ヴィンチちゃんたちも最初はね、『ただの一般人』って結論づけたんだ。だけど……もっと詳しく調べたら、肉雄くんのバイタルデータにものすごく貴重な因子が見つかったらしいんだ」
「貴重な、因子?」
「シオンが興奮しながらわかりにくい言葉で言ってたから俺の理解もそんなに深くないんだけど……『未知の魔力増福因子』なんだって。時計塔の魔術師に見つかったらそれはもう不味くて大変なことになるとかなんとか。そ、その……なんでも、女性サーヴァントが肉雄くんの……た、体液を取り込むと、霊基が劇的に強化されるとか」
「た、体液!?」
立香の頬は真っ赤になっている。
体液を取り込むという意味を、汗を流してそれをジュースにして無理矢理飲ませるとかそういう意味でないことぐらい、高校生の肉雄も立香も理解しているのだ。
そして、理解しているからこそそれを直接的な言葉で伝えることに羞恥を覚えるのも当然で、代わりにアストルフォがはしゃいだ声で、その『結論』を口にしていく。
「つまり、ニクオは女の子とセックスをすると、相手の女の子をすっごく強くできる特異体質ってわけ!」
「あ、アストルフォッ!」
「セ、セセセ、セックス!?」
アストルフォは英雄だ。
しかも、その中性的な美貌も相まって、生前の時代柄そういった経験も豊富なのだろう。
さらに脳みそが『あーぱー』なために立香や肉雄のような羞恥心、あるいは常識に囚われていないために、そのド直球な言葉を簡単に口にできてしまうのだ。
肉雄の顔が一瞬で赤くなるほど動揺してしまい、その時に体を動かしてしまったため壁に立てかけていたモップをカランと音を立てて倒してしまうほどだった。
立香は俯きながらも覚悟を決めたのか、早口ではあるがアストルフォの言葉を受け継いでいく。
「その、『魔力供給任務』っていうのが肉雄くん限定で課されそうでね、今までは清掃員として働いてもらっていたけどそっちの任務が中心にしてもらいたいというか。その、魔力供給っていうのはアストルフォも言ったとおりにセックスをすることで、いや、カルデアは本来電力供給で魔力を補ってたから俺はそういうことしたことないんだけど。でも、その電気供給っていう正式な方法じゃサーヴァントの力を元のように取り戻せないから肉雄くんの精液が効果的なんじゃないかって話が出てね。それで、一番乗り気だったアストルフォにまずはしてもらおうっていう感じで。いきなりで動揺してると思うけど人類の存亡がかかっている大事な任務だからやって欲しいというかなんというか!」
肉雄はその言葉の内容がなかなか頭に入ってこなかった。
アストルフォと立香が男の子だったという知識はあるが、肉雄にとって二人は実感としては女の子なのだ。
それもただの女の子ではない、街で歩いていたら振り返って姿が消えるまでまじまじとその後姿を見続けるだろうし、同じ学校に居たらそれこそ勢い余ってなんの繋がりもないのに奇跡を祈っての告白をしてしまいそうなほどの、とんでもない美少女なのだ。
そんな人物たちが語るセックスという内容に、肉雄のような非モテ男子がついていけるはずがないのは当然のことと言えるだろう。
「ボクからもお願いだよ、ニクオ! 女の子の体になったのは可愛い感じだし悪くはないんだけど、サーヴァントとしての力が弱まってるのはすごい困っちゃうからさ それに、ニクオみたいなぷにぷにの可愛い男の子とのセックスならそんなに嫌じゃないしね!
問題は……う~ん、ニクオの気持ちだよね。ブラダマンテみたいにちゃんとした女の子ならともかく、元は男の子だったボクとのセックスはやっぱり嫌な気持ちになっちゃうかな?」
「そ、そんなことないっ! アストルフォきゅんとセックス、し、したい……!」
「あはっ♪ 情熱的だね、ニクオ♪ うぅ~ん、でもでもボク、体だけじゃなくてココロまで乙女になっちゃったのかな……? そういう直球な言葉、ちょ~っとドキドキしちゃうかも?」
しかも、そのセックスの内容というのは相手が嫌々自分とセックスをするのではなく、むしろ自分とセックスをしてくださいとお願いをしてくるのだ。
事実、アストルフォは自ら立候補をしてその魔力供給任務に当たるというではないか。
アストルフォが人理を救うためという悲壮感に溢れた決意ではなく、どこか楽しげな笑顔でノリノリで行っているということも肉雄を興奮させる一因となっていた。
「俺からも……お願いします、竿山肉雄くん! 俺たちのために、サーヴァントとセックスをしてください!」
しかも、そのお願いをしてくる美少女というのがアストルフォ一人だけではなく、二人目まで居るおまけ付きである。
それこそ肉雄は今、仮死状態にあって死の間際に自分に都合の良い夢を見ているだけなのではないかと、そう思いたくなるほどの非現実的な状況と言えるだろう。
(あ、アストルフォくんみたいな超絶TS美少女とのセックスとか、最高じゃん! しかも、ニューハーフとかじゃなくて体も完全に女の子なんだよね……? 魔術ってオカルトってことだし、そういう手術をした結果とかじゃない本物のTS美少女なんて、エロ漫画すぎて最高すぎる……!
僕から頭を下げてお願いしたいぐらいなのに、あんなフレンドリーとは言え、アストルフォくんの方からお願いをしてくるシチュも最高すぎるよぉ……コレナンテエロゲ!?)
あまりの事態に心臓の脈動が早まり、それこそ心臓と股間の両方が張り裂けそうなほどの興奮が肉雄へ襲いかかる。
普通ならばありえないことが起こっているということを、『なにか裏があるかもしれない』などと深く考えないが故に、それを受け入れられてしまうのが竿山肉雄という幸せな人間の長所でもあった。
「ぼ、僕で良ければ……やります! 魔力供給任務、やらせていただきますっ!」
もちろん、そんな肉雄がこの申し出を断るわけもない。
頬をだらしなく緩めて、だぼっとした作業着ズボンの下で人並み以上のチンポを破裂せんばかりに勃起させながら、ぶんぶんとなにかの玩具のように顔を上下に振っていく。
上ずった声で出したその了承の言葉に、アストルフォが喜びで破顔する。
「やったー! ニクオ、助かるよー! それじゃあ、早速行こうか! 魔力供給任務のためだけに用意した、新しいお部屋にさ♪」
「え、えっ!? い、今から……!?」
「もっちろんっ! ダ・ヴィンチたちが『早ければ早いほうが良い』って、空き室を急ピッチで改装したんだってさ! ベッドも広いし照明もムードがあって、すっごいいい感じで……なんていうか、『エロッ!』って思わず叫んじゃう感じに仕上がってるからさ♪」
アストルフォは肉雄へと飛びつくように腕を取ると、そのままグイグイと引っ張っていく。
筋力ステータスはDと比較的低めなアストルフォではあるものの、それでも超人であるサーヴァントを基準とした際のDランクなのだ。
肉雄のようなブヨブヨとした脂肪を蓄えたおデブちゃんでは抗えるはずもなく、そのまま引っ張られていく。
向かう先は、その名も『魔力供給ルーム』。
肉雄が女の子たちとセックスするためだけに作られた、ラブホテルも同様のヤリ部屋であった。
————さて、ここで一つ、ネタバラシをしておこう。
カルデアが誇る知恵者、レオナルド・ダ・ヴィンチやシオン・エルトナム・ソカリスに、さらに召喚されたキャスタークラスのサーヴァントたちが行った科学的・魔術的による多方面の解析によって、肉雄は『単なる一般人である』と結論付けられた。
実は、この結論は大いなる誤りであった。
肉雄の体内、いや、魂にはカルデアであっても検知できない究極の能力——『魅了チート』が宿っていたのである。
それはスキルとも宝具とも、神霊が行使する権能とも呼べない、この世界の常識や知恵では読み解けない別世界の能力だ。
ゆえに、この世界の人間はそれを知覚することも認識することもできなかった。
この能力は、『竿山肉雄』という人間を一度でも認識してしまった対象へと、永遠に途切れることがない、そんな絶対的な変化を強制的に起こすものだ。
認識した人物は肉雄に対して無条件で好意や恋慕、崇拝にも似た感情を抱くようになる。
それは単なる『好きだ』というような、曖昧模糊とした感情ではなく、『肉雄こそがこの世で最も偉大で、最も魅力的で、最も尊い存在である』と、本人が自覚しているか無自覚かはともかくとして、無意識下に洗脳を施してしまうのだ。
こうして女性たちは肉雄を見るたびに心をときめかせ、彼を幸せにしたいとか忠誠を尽くしたいとか、その体に包まれたいというような、乙女のような感情に支配されてしまうのだ。
しかも、その自分の中に湧き上がってきた感情に対して、なんの疑問も抱かない。
『なぜ私はこの男にそんな感情を抱いているのだろうか? ひょっとしてこの男は、なにか人を洗脳するような力があるのではないか?』という、本来のカルデアに所属する聡明な女性たちならば当然のように抱くべき考えも沸かないのだ。
ただただ、その発露した感情を『肉雄は理想的な存在だから、自分がそう思うのも当然だ』と、疑問を覚えることもなく納得してしまうのである。
この魅了チートの恐ろしさはその絶対的な強制力に加えて、そんな能力があるということを知覚することもできなければ、この世界の術式や器具などでは解析も一切不可能であるということだろう。
カルデアの最先端科学に加えて、神代の魔術師であるキャスタークラスのサーヴァントたちであっても、魅了チートの存在を捉えることはできない。
そして、知覚することも解析することもできない以上、解除もできないのは当然だ。
ダ・ヴィンチがどれだけ精密にバイタルデータをスキャンして解析しようとも、シオンがトリスメギストスをフル稼働させようとも、そこから導き出される結果は『異常なし』という凡庸な答えである。
これこそが、肉雄の存在がこの世界の法則から逸脱したことの証明だった。
魅了チートはすでに、この世界を『肉雄を中心とした世界』へと改変していたのである。
『フォール・アウト』事件で男性サーヴァントが消えてしまい、女性化された美少女たちが肉雄を崇めるようになったのも、実はすべてこのチートの布石に過ぎなかった。
時間の前後がズレているというのも、超常的な力の前では時間の流れなど意味を持たないというだけに過ぎない。
男性サーヴァントのデータロストは、肉雄の登場を優先するための『燃料』だったのだ。
肉雄という超越的な力を持つ少年をこの場へと呼び寄せるためには当然代価が必要となる。
そのため、男性サーヴァントが『この場所に存在していた』という事実を燃やし尽くすことで、その際に生じる霊的な熱エネルギーを新たなる動力としたのだ。
また、気づいていないのはカルデア側だけでなく、肉雄自身もこの能力の存在に気づいていない。
呑気ではあるが良識的な肉雄がその事実を知れば苦しみ、場合によっては精神を崩壊させてしまうかもしれない。
その危険を読み取った、世界の上位にある何かしらがそのような手心を加えたのだろう。
————長くなったが、『状況説明』も『種明かし』もここで終わりだ。
これより始まるのは淫靡なる肉宴である。
ただ竿山肉雄という人間が美少女に囲まれて、その人並み外れた欲望を発露するだけの時間が続いていくのだ————。
(続)
koinj
2026-02-15 07:57:46 +0000 UTC