XaiJu
ておぴ
ておぴ

fanbox


はだ◯んぼう船長~青山勘太郎の受難⑥【終】

⑤→ https://teopi.fanbox.cc/posts/7516167 ・・・・・・・・ 「裸ん坊船長~青山勘太郎の受難」⑥ ・・・・・・・・ ≪―――赤木海彦、副船長―――≫ 「あの、オレの服……」 デッキに戻ると、オレの脱いだ服は無くなっていた。 「あぁん?服なんていらねぇだろ、お前犬なんだから。あっ、ただの犬じゃなくて負け犬だったな!ガハハ!」 こうなることは少なからず予想していたが、フルチン姿で仲間たちと合流するのはやはり抵抗感があった。もちろんそんなことを言っても仕方ないわけで、オレは全裸のまま――縛られた手で陰部を隠し――仲間たちの横に腰を下ろした。彼らのほとんどは気まずそうに目を逸らしたが、彩音さんは違った。 「赤木くん、大丈夫?」 いつもと変わらぬ調子で声をかけてくれる彩音さんが非常にありがたかった。 「はい…オレは全然……でも、船長を助けられませんでした……」 ガクリと肩を落とすオレに彩音さんは首を振った。 「あの、赤木さん、これ――」 彩音さんの同僚の中年男性が分厚い布を背中に掛けてくれた。それは普段は雨除けとして使われているタラップだった。服とは到底言い難かったが、とりあえず裸体を覆うのには十分だった。 「――ありがとうございます」 「……すみません、僕たち全然なにもできなくて…」 「いえ、船の安全を守るのはオレと船長の仕事なんで、オレたちこそ……」 「赤木くん、こういう時のためにこの船にも非常警報装置があるはずよね?」 さすが彩音さん、事前に船に関しての知識も頭に入れているのだろう。 「はい、船内には無音の警報装置が三つ、食堂・保管室・操縦室にあります。でも……」 「どこもやつらが陣取ってる場所ね……もっとも、見張られてる現状だと船内に忍び込むこともできないけど……」 オレたちは再び八方ふさがりな状況に陥ってしまった。船長を思ってのオレの行動は結局彼を変なゲームに巻き込むだけの結果に終わってしまった。なんて不甲斐ない……。 「大丈夫」 絶望するオレに気付いてか、彩音さんは励ましの言葉を掛けてくれた。 「チャンスはきっと訪れる。ううん、もしかしたら気が済んだらやつらから船を去ってくれるかもしれない。だって、いつまでも人質を取るのなんて面倒くさいだけでしょ?青山さんは……安全でいてくれることを、信じるしかない……」 オレは弱く頷くことしかできなかった。 「おいっ!お前ら何をブツブツと話している?!黙って大人しくしてろ!」 話し込んでいたのが見張りの海賊にバレてしまった。オレたちは素直に黙り、暮れ始めたオレンジの空と遠く伸びる地平線を眺めた。 ~ ≪―――青山勘太郎、船長―――≫ 「おらっ、晩飯だぞ」 ボス直々に出された晩飯は予想より遥かにまともだった。物置の地面に置かれたトレイにはトースト、缶詰の豆、更にはソーセージ二本まで乗っていた。トーストを見ると先ほどの狂ったゲームを連想してしまいそうになったが、気を紛らわすために俺はソーセージにかじりついた。 「そうだ、ちゃんと食え。明日も存分に楽しませてもらうぞ」 ボスの口調はまるで本当のペットに語り掛けるかのように優しかったが、明日は一体何をさせられるのかと考えると不安は増すばかりだった。 「最近の検査キットってスゲーのな、精液一滴でほぼすべての性病を検知できるし、精子カウントも大まかに教えてくれる。喜べ、お前とんだお宝の持ち主だぜ」 「……えっ?」 「お前の国も子供が全然生まれないのは同じだろ?男の精子カウントが世界的に低下し始めてから孕む女が減り、いつの間にか子供は貴重な財産となった――俺の国みたいなクソ貧乏な地域では特にな。子供だって俺たちにとっちゃ立派な労働力だからな」 ボスは腰を屈め、不敵な笑みのまま顔を近づけてきた。 「そんな中、高い精子カウントを維持する激レアなオス共が存在することが分かった。お前も聞いたことぐらいはあるだろ、『ゴールデン・シード』ってやつ。クックッ、まさかお前みたいなチビのエイジアンが持ってやがるとはな……」 (……まさか、このオレが……?だが、もしそうだとしてなんだと言うんだ……いや、もしかして初めからそれがこいつらの目的だったのか……?) 「これまでも色んなやつの種汁を採取してきたが、あれだけ強い検査反応を見たのは初めてだ。間違いない、お前はゴールデン・シードの持ち主だ。子供は一人だけと言っていたが、よっぽど避妊を徹底していたんだな。お前の精子ならほぼ100%の確率で女は孕むだろう」 確かに子作りを始めてから妻が妊娠するまでさほど時間はかからなかった。医者にその旨を話した時にはかなり驚かれ、精子の精密検査を薦められた。だが、精子バンクに献上するつもりは無かったため結局検査を受けることはなかった。 「何が何でもお前を『パラダイス』へ連れて行く」 「……パラ、ダイス…?」 俺の不安な面持ちをじとりと見つめ、ボスは地鳴りのような低い笑い声を上げた。 「世界でもっとも出生率の高い場所、それはこの世の楽園――きっとお前も気に入るだろう!心配するな、お前の仲間はもう少しで解放してやる。だが忘れるなよ、お前の行いによってはいつだってあいつらを始末することができるんだ。逃げられると思うなよ、お前はペットらしく俺の命令に従っていればいいんだ。分かったか?」 「……はい……」 ボスは笑いをこぼしながら立ち去り、物置の扉が閉じられた。暗闇に取り残された俺は悔しさの中で食事を続け、こみ上げる絶望感を胸に空腹を満たした。食べ終わると散々弄ばれた男の証が疼き、俺はそれを握って気持ちを落ち着かせた。冷たい地面に全裸で横たわり、俺は目を閉じた。 ~ ≪―――赤木海彦、副船長―――≫ 次の朝、空は鬱陶しいまでに呑気に晴れ渡り、空腹でぐったりとするオレたちのことなどお構いなしだった。陽射しが一番強く照り付けてくるころ、下っ端の海賊二人が船内から出てきた。二人は地べたに座らされたオレたちに近づき、彩音さんや白鳥さんを指さしながら現地語で何かを話し合った。 「――私が一番適してると思う、連れていくなら私にして」 急に言葉を発したのは相変わらず気持ちの折れていない彩音さんだった。呆気を取られている海賊二人に彩音さんは現地語でさらに畳みかけた。そうか、彩音さんは現地語も少しは話せるんだった。海賊たちはお互いに二言三言交わし、笑いながら彩音さんに手招きをした。オレも指を指され、現地語で何かを言われた。 「え?な、なんて?」 「赤木くん、あなたも一緒に来て」 立ち上がる彩音さんに続き、オレも腰を上げ、肩に掛けていたタラップを地面に落とした。再びオレは素っ裸の形相になってしまった。訳も分からず彩音さんの後を追い、オレたちは海賊たちについて船内に入った。 「……あの、彩音さん、さっきはなんて……?」 小声で彩音さんに訪ねると、彼女は何食わぬ顔で返事をした。 「『こっちの子は経験が浅いし、中年のおばさんなんて見たって面白くないでしょ。私なら娼婦の経験もあるし、選ぶなら私を選びなさい』――ざっとそんな感じ」 「うるせぇぞ!静かにしてろ!」 海賊の一人に怒鳴られ、オレたちは口を閉ざした。海賊たちの行き先は食堂らしかった。 ~ ≪―――青山勘太郎、船長―――≫ 「おい、起きろ。小便の時間だ」 そんなボスの言葉に起こされ、俺は前日にしたようにバケツに用を足した。今度は普通に立ったままさせてもらえたが、ボスは俺と向かい合って放尿するチンコをジッと見つめた。 「まったく、何度見てもちんけなイチモツだな」 言葉は辛らつだったが、なぜかボスは妙に楽しそうだった。 「よし、終わったな。これを呑め」 ボスは青い錠剤を手渡してきた。 「……これは?」 「気持ちよくなるためのおクスリだ。途中で不能になったらシラけちまうからな」 俺は乾いた口にそれを放り込み、唾で無理やり飲み込んだ。 「これからお前のお披露目会だ、少しはカッコいいトコを見せてくれや」 俺は深く考えることをやめていた。どうせ抗うことなどできないのだ……。 ~ 「――こっ、これ、は一体……?!」 目の前の光景に俺は途方もない絶望に蹴落とされた。 「テメェら、準備はできてるんだろうな?!」 「はいっ、ボス!こいつがしばらく指で慣らしたので、もう大丈夫かと!」 「どれどれ、俺が確かめてやる」 そこには素っ裸の赤木と彩音さんがいた。彩音さんは食堂の地面に仰向けに寝転ばされ、赤木は横から彼女の性器に指を出し入れしていた。ボスはそんな赤木を押しのけ、乱暴に中指を膣に突っ込んだ。 「――んっ!」 「なんだぁ?娼婦だとかほざいてた割にはに結構キツイな……まぁいい、どうせ同じアジア人の粗チンなら問題ないだろ。なぁ、リトル・モンキー?」 俺はいつの間にか息を荒げていた。体が芯から熱くなり、胸がどうしようもなくソワソワし始めた。なんだか、下半身も―― 「ほら、お前のムスコもやる気満々みたいだぞ!久しぶりのオンナの裸に興奮したか?ガハハ!」 己の体を見下ろすと、俺のイチモツは明らかに頭を持ち上げ始めていた。俺の意に反してそれは皮が被ったまま大きさと硬さを増し、みるみる力強くいきり立った。 「……ち、違う、これはさっきの――」 「今日は新しい種馬のお披露目だ!テメェらもデビューの初種付けを見届けたいよな、なぁ?!」 すでに無邪気な笑い声で賑わっていた十数人もの海賊たちは更に盛り上がり、手を叩いて喜んだ。喧騒の中でボスは俺に歩み寄り、目の前まで顔を近づけてきた。 「分かるだろ、お前がそのオンナに種付けしてやるんだ」 「……そ、そんなこと、できるわけ――」 「いいんだぜ、お前がヤらないなら代わりに俺たちが気の済むまで楽しませてもらう。だが、俺たちは手加減なんて器用な真似はできないぜ。全員の相手をしたら、オンナは壊れちまうだろうな、ケケッ……」 心まで見透かすようなボスの瞳には深い闇がうごめいていた。 「……で、でも、俺は――俺が、そんなことをしたら……」 「そうだな、間違いなく孕むだろうな。でもな、俺たちが壊したら二度と妊娠できないカラダになっちまうだろうなぁ。どうすればいいのか、お前が決めてくれよ、なぁ?」 口の端から端まで歯をむき出したボスに怯えつつも、俺の肉棒ははち切れんばかりに勃起していた。 「そんなギンギンにしてよ、お前だって久しぶりに思いっきりナカでぶっ放したいだろ?正直になれよ、エロ猿。ほらっ、こい」 ボスは彩音さんの横でしゃがみ、俺に手招きした。恐る恐る彩音さんの前に膝をつくと、ボスは上を向いた俺の肉棒を掴み一気に亀頭を露出させた。 「ほぅら、こっちも早く貪りたくて仕方ないみたいだぜ」 ボスは濡れた入り口にイチモツの先っぽを上下に擦りつけながら、更に俺を煽った。 「――あ、青山さん……」 消え入るような声で彩音さんが切り出した。 「……あの、私平気です……だから、好きなように……」 「ケケケッ、女もこう言ってるぞ。ほら、もたもたしてねぇで、早く挿入れてやれ」 俺は謝罪の言葉も発せぬまま、言われるがままに腰をゆっくりと押し進めた。 「そうだ、もっとだ、一番奥まで」 ナカは十分に濡らされていたが、緊張のために締め付けてきた。俺は非力な抵抗に構わず奥へと押し進み、すぐにイチモツは根元まで膣に飲み込まれていた。久しぶりのナカの熱さとじんわりと伝わる圧迫感に包み込まれ、俺は情けない声を我慢することができなかった。それを聞いたボスや海賊たちは大いに喜び、俺は笑いと罵倒の渦に巻きこまれた。 ~ ≪―――赤木海彦、副船長―――≫ 船長は目を瞑って必死に腰を動かしたが、なかなか絶頂に達することができなかった。オレは裸のまま彩音さんの上体を支え、船長が肉棒を出し入れする光景を間近でただ傍観し続けた。 「いつまでヤってんだ?!もっと激しくピストンしろ!種馬なんだから、早く子種を出しやがれ!」 もちろん船長も早く行為を終わらせたいのは明白だったが、彼の自責の念が邪魔をしてるのだろう。かろうじて彼のイチモツは萎える気配はなく、がむしゃらなピストンが無謀に続けられた。 「ったく、世話のかかる奴め――おいっ、あれ貸せ!」 ボスを見上げると、手下から潤滑油の容器を受け取りそれを手のひらにたっぷりと出していた。 「まったく、こんなことするのは今回だけだぞ」 「――ちょ、何を」 「大人しくしてろ!ケツを突き出せ、チンコは挿入れたままだ!」 ボスは船長のケツ穴に潤滑油を塗りたくり、躊躇わずそこに指を一本挿し込んだ。 「――んっ、ちょ、っと!」 「へへへっ、クスリのせいでこっちも緩んでるな、どんどん入ってくぜ!」 「やっ、やめっ――あっ、んんっ!」 「ほぅら、じんわりくるだろ?男が一番気持ちいいトコだぜ?」 船長はピストンを緩めたというのに、先ほどまでよりも息を荒げて体を小刻みに震わせた。 「こっち弄っててやっから、腰を動かせ、ほらっ!」 ボスが船長のケツを叩くと、船長は再びイチモツの出し入れを再開した。ケツに太い指を突っ込まれたままなため、その動きは小刻みでぎこちなかった。 「おぅおぅ、締め付けてきやがる、一丁前に感じてるじゃねぇか。ケツの奥擦られて気持ちいのか?」 「んっ、んっ!」 「おっ?早速前立腺が硬くなってきたぞ、イきそうなのか?」 「……い、イクっ……!」 「いいぜ、全部一番奥で出してみろ!種馬らしく孕ませちまえ!」 突如ピストンは激しさを増し、船長はフルフルと体を震わせ始めた。 「――――――!!」 一番奥まで肉棒を押し込むのと同時に、船長は獣のような咆哮を上げた。 「そうだ!腰を止めるな!最後の一滴までナカで絞り出せ!」 我を忘れたように船長は腰を振り、野性の声を上げ続けた。海賊たちのギャラリーは笑い声と共に拍手を上げたが、うつろな目をした船長には聞こえていないようだった。ようやく絶頂の脈動が収まり、全てを出し切った船長は肉棒を引き抜いた。未だに勃起したままのペニスは抜いた反動で大きく上下し、名残惜しそうに鈴口にザーメンを滲ませた。 「気持ちよかっただろ、リトル・モンキー?ちょっとはオスの本能を思い出したんじゃないか?」 船長のケツから指を引き抜き、ボスは疲弊した船長の顔を覗き込んだ。 「っつーわけで――今度は俺たちの番だ!好きなだけオンナを犯してやれ!あぁ、オトコがいいってやつは若い方なら使ってもいいぞ!種馬には手を出すなよ!」 海賊たちは騒がしく声を上げ、群れを成す野犬のように彩音さんを取り囲んだ。 「え?え?な、なんで……」 オレが状況を飲み込めずに後ずさりをしていると、後ろに立っていた一人の海賊に抱き着かれ、耳元で湿った吐息を吹きかけられた。瞬時に体中から血の気が引いた。 「……ど、どういうことだ?!俺が言う事を聞いたら、彩音さんには手を出さないって約束だろ?!」 海賊を振りほどこうとしていると船長の抗議の声、それに続いてボスの愉快な笑い声が耳に入ってきた。 「ホントお前らはめでたいやつらだな!俺らは海賊だぞ、約束なんて守るわけねぇだろ?!」 「そ、そんな……」 オレは悲鳴を上げる彩音さんを見ていることしかできず、後ろから股間を鷲掴みにされた。 「……くっ、くっそ、っっ……!」 全てが終わったと思った瞬間、音を立てて食堂の戸が蹴り開かれ、海賊の一人が慌てて入ってきた。 「――ボスっ!ヤバイっす!」 部屋の喧騒が一瞬にして消え失せた。 「なんだ?!こっちはいいトコロなんだよ!」 「海保のやつらが向かってきてます!」 「海保だと?!」 「まだ視認はできませんが、レーダーを見るかぎり一直線に追ってきてます!」 「……くそっ、どうやって嗅ぎつけた……?仕方ねぇ、テメェら!乱交パーティーはお預けだ!すぐに撤退する、出発の準備をしろ!」 海賊たちは驚くべき俊敏さで彩音さんから離れ、食堂から出ていった。 「青山さんっ!」 オレが船長に手を伸ばすと、ボスが間に立ちはだかりライフルの銃口を向けてきた。 「来るんじゃねぇ!こいつはオレらが『楽園』へ連れていく!」 ボスの合図で船長は海賊の下っ端二人に引っ張られていった。 「赤木ー!」 船長は海賊たちともみ合いになりながら声を上げた。 「みんなを――大砲丸を!頼んだぞ!」 間を阻まれながら俺たちは一瞬だけ視線を合わせた。その目は元通りの、冷静で頼れる船長のそれに戻っていた。 「船長!」 声を上げた頃には船長は廊下の先に消え、ボスも銃を手に走り去っていった。オレと彩音さんだけが嘘のような静けさの中に取り残された。 「……そ、そんな……青山さん……」 気が動転したまま棒立ちしていると、外から海賊たちの船のエンジン音が聞こえてきた。大声の問答が何度か交わされると、エンジン音は少しづつ遠ざかり、数分後には聞こえないほどに小さくなっていた。 そうして大砲丸船長、そしてオレの尊敬する先輩の青山勘太郎は、あっけなく海賊たちに攫われてしまった。海上保安庁の船が大砲丸に追い付いたのは、海賊たちが撤退してから僅か十五分後のことだった。 ~ 【―――6年後―――】 ≪―――緑川彩音、会社員―――≫ 「ママー、おなかすいたー」 「もうすぐトースト焼けるからー」 「はーい……」 最近幼稚園に通い始めた息子は急に口が達者になってしまい、少々困ってしまうのと同時に微笑ましくもあった。 「今日はお母さん仕事だから、おばあちゃんが来てくれるからねー。いい子にしてるのよ」 「……はーい」 テレビを見ながら生返事をする息子はちゃんと話を聞いているのかあやしかった。幼いその横顔に懐かしい面影を重ねてしまいそうになり、私はすぐに思いとどまった。初めからこの子を産むことに迷いはなかった。妊娠の経緯を勘ぐって初めは猛烈に反対していた両親も、日本人の赤ん坊が生まれると安心して今では子育てにも協力してくれている。もちろん子供の父親について親にはしばらく追及されたが、別れた元彼の子供だと白を切り続け、今では聞かれることもほとんどなくなった。 でも、私は忘れたことはない……今でもこの子の父親は――青山さんは、遠くの海のどこかに……。 『白鳥さんが保管室からSOS信号を出してくれたんです!』 『見張りが居眠りした隙に、私だけコッソリと船内に忍び込んだんです。海賊たちが一か所に集まってくれててよかったです』 『彩音さんと副船長さんはあいつらに連れていかれてましたけど、一体なにが……?』 『船長さんはどこに?まさか、海賊たちに――』 あの一件からほどなくして私は転職をして、同僚とは一切の連絡を絶った。今でも連絡を取っているのは大砲丸の副船長――今は船長なのだろうか――の赤木くんだけ。彼は今も青山さんの行方を探っているらしく、度々私にも情報を共有してくれていた。当初はすぐに収束すると思われた海保の捜索活動は一切の収穫もなく長引き、二か月が過ぎた頃にその規模は大幅に縮小されてしまった。あれから六年、世間では遠い海域で起こった海賊襲撃事件などとうに忘れ去られていた。 『青山さんはきっと生きている……絶対にいつか戻ってきてくれる……』 私は未だにそう信じていた。でも、青山さんが実際に戻ってきた時のことを考えると少し恐ろしくもあった。言うまでもなく息子の存在は、決して青山さんが望んだものではない。歳もそう違わないのに、勝手に父親のように慕っていたあの人が更なる苦悩を背負うのかと思うと……。 プルルルル……プルルルル……。 スマホの画面には赤木くんの名前が表示されていた。 「はい、緑川です――」 「あのっ、赤木ですっ!」 赤木くんは食い気味にまくし立てた。 「どうしたの、赤木くん?」 「――みっ、見つかったんです!」 「……えっ?」 「船長が!見つかったんです!今テレビのニュースでやってます!」 「え、ちょ、ちょっと待って……見つかったって――いま、今つけるから、テレビ――」 私は息子の文句に構わず、震える指でチャンネルを変えた。スマホの向こうでは赤木くんが嗚咽を上げながら聞き取れない歓喜の言葉を繰り返していた。 『繰り返しお伝えします。六年前に〇〇〇海沖で海賊に襲撃を受け、行方不明になっていた大砲丸・船長の青山勘太郎さん(48)が近海の離島で救出されました。現地の海上保安庁によると、この離島は海賊の拠点となっており、他国の船舶から攫われた人質も多数収容されていた模様です。島からは多くの子供や乳幼児も保護され、組織的な人身売買が横行していたと思われます。現地当局は引き続き人質の身元確認を行うとともに、海賊たちの活動の実態を明らかにする方針です。以上、速報でした。では、次は各地のお天気情報です――』 〆 【裸ん坊船長~青山勘太郎の受難】、もしくは【ゴールデンシードの楽園】 (完) ~ ここまで読んでいただき、ありがとうございました!いやぁ……本当に……長かった!長編を書くのが苦手なためにSSやオムニバス形式に偏ってしまう著者にしたら途方もなく長い物語でした(文字数的にはそこまででもないのですが……)。今回はエロ以外の場面が普段よりも多くて、読者様方には楽しんでいただけるか不安もありましたが、実はこれでも結構割愛しました。またの機会に振り返りや制作ウラ話などをできたらと思います。皆さま、ここまでお疲れさまでした! 次の投稿は今月半ばに予定してます。今回が普段よりもボリューム高だったので、次は箸休め的に気楽に読める内容になると思います(オススメ系のなにかになりそうです)。 ―ておぴ


More Creators