薄暗い箱の中、天使は妖しく輝く糸に絡め捕られる。キリキリとリールを巻くような気味の悪い音、狭い空間に広がる体温の感じられない寒々しい空気。
全身へと巡らせた魔力の分だけ伝う天使の暖かな汗が、冷たい世界に芳しい熱気を立ち昇らせる。
『わたしのドレスルームへようこそ、石膏像のごとき美貌の天使様?』
「っ……この魔力は……!」
人形遣いの声を皮切りに、手足へ食い込んだ細糸から体の動きを支配する人形化の呪力が注ぎ込まれ、体の外と内の両面からルミアを戒めていく。
なすがままではいられない――抵抗しようと四肢に魔力を込めたルミアへ、人形たちの手が絡みついた。
「く、っ……」
先端の突起ごと乳房を、無防備な尻を、血の気のない白い手指が荒々しく揉みしだいて弄ぶ。人の唾液を模した液体で耳を汚し、生暖かい舌がじゅるじゅると耳腔を嬲る。
魔力の循環が乱れ、じわりと浮かんだ汗で着衣が煽情的に濡れ光りだす。
「う、ぁ、……っ!!」
『天使様もわたしのお人形になりましょう?』
箱の中に響く声。人形の白く小さな手がもがくルミアの肢体を弄び、ルミアの反応から確実に弱点を暴いては繊細な指使いで執拗に責め嬲る。
魔力で強化された程度の糸すら振り解くことを許されず、集中した魔力を振るう自由すら取り上げるように深く深く指が柔肉へと食い込む。
無機質なはずの愛撫に、人形には不釣り合いな湿り気の舌に、天使として秘すべき昂奮が引き出される。気付けばスーツは汗ばんだ肌にぴっちりと張り付いてうっすらと透け、桃色の突起がそのシルエットと色を主張していた。
「はぁ、っく、あぁ……っ!」
集中力を快感に摘まれ、人形遣いの穢れた魔力への抵抗力が失われる。四肢からルミアの内側へと入り込んだ呪いは、天使の内に秘められた穢れを暴き出した。
下腹部に輝く淫紋、勃ち上がる肉槍。甘い声を響かせて身悶えるルミアを人形たちの手が這い回り、乳房を、尻を、耳を、甘い刺激で塗り潰し支配していく。溢れた愛液が内股を濡らす。蒸れた柔肉から立ち昇る匂いは、汗よりも蠱惑的な香りを含んでいた。
纏った衣を一枚ずつ剥がすがごとく魔力の制御を狂わされ、心を惑わす甘美な快感で天使の肢体は悪意に対して無防備にされていく。糸から伝う冷たい呪いが体のコントロールを奪っていく……。
「くっ……ぅ……、この……っ」
注ぎ込まれた魔力が天使に膝立ちを強制する。両手を頭上に挙げ、汗ばんだ腋や怒張の伸びた股間を見せつける、さながら降伏の姿勢で固定される。
眼前にいるのは心のない人形たちだ。頭ではそうわかっていても、人型の相手に取り囲まれた状態で発情した肢体を無防備にさらけ出す屈辱にプライドを傷つけられ、視姦さながらに羞恥を煽られる。
「ひぁっ――!?」
つぷり――不意に耳の中へと柔らかな感触が侵入してきた。暖かで柔軟で弾力を帯びた質感が水音を立てて最奥を嬲り、一度ぐるりと耳全体を舐め、耳たぶを甘く挟み込み、煽るように吐息を吹きかける――開発されきった耳の敏感な部位を狙い蠢くその感触を、ルミアは何よりもよく理解していた。
「こ、れ……舌っ――ふっ、くっ……ん、んぅ……っ!!」
唇を奪われ、あげかけた声も呑み込まれる。舌を舌で絡め捕られ、抵抗も許されないまま水音の攻勢にさらされる。淫らな音と跳ねる唾液の感触が、淫蕩の悪魔の手ずから調教され、今やどこよりも弱く開発され尽くした部位へと直に浴びせられる。
ぐぢ、くちくちくち、じゅるるるっ――んはぁっ――ちゅぱ、れろ……こりこりこりこりっ……♥
「んむぅっ♥ うぁ、ぁぁぁ――っ」
耳奥で、口内で、魔導人形の舌が踊る。ぐちりと水音が跳ねるたび入念な前戯で昂らされた肢体がビクンと跳ね、くぐもった嬌声が漏れてしまう。傀儡の魔力に強要された膝立ちのまま、小さく弱い人形たちから一方的に嬲られる屈辱――天使の表情が悔しげに歪む。
ちゅっ、ちゅぱ、ちゅぱちゅぱっ――ちゅぅぅぅ……♥ ふっ、ふぅーっ……くぱっ、くぱくぱっ、れろぉぉ――ぐぷっ……るるぅ、るろぉぉ――、……――っっ♥
逃げ場のない快感が蓄積し、疼きと陶酔感が膨れ上がり、自在に移り変わり身構えることを許さない耳舐めのリズムで意識が揺られ――とどめに耳穴深くまでいっぱいに舌を埋められ、性感へとダイレクトに働きかける圧迫感と音圧で塞がれてしまった。
「う、ぁ、あ、あぁ……っ……は、むぅ、っ――~~~~~!!!」
口を開くことも許されず、流し込まれる音が頭の中に閉じ込められる。自らのあげた声が自らに帰ってくる。水音、舌音、嬌声が、ルミアの中で反響し、いつまでも妖しく共鳴し続ける。
快感を逃がせない。快感から逃げられない。体内で、脳で溢れていく甘美な多幸感で意識が塗り潰されていく。背筋をゾクゾクとした恍惚に支配されていく。
抵抗も身動きもとれないまま舌と音に嬲られ続け、限界へと昇り詰めていく快感に溢れる嬌声が上ずり、全身が弓なりにしなり――
ぷち、ぴゅるっ、ぷしっ――とぷっ……とぷぷっ……びゅるっ♥
「~~~~っ――ぁ、ぅぁ……っ♥♥」
切っ先を床へと押し付けさせられたふたなりペニスが、触れられてすらいないまま舌責めの喜悦に包まれ、そして爆ぜた。
漏れるように吐き出されていた白濁は溜まった快楽に比例して勢いを増し、人形たちに見下ろされながら床を汚していく。わななく肉棒の色や形、昂奮に包まれた脈動、弱々しいながらも途切れることなく幾度も繰り返される吐精――あまりにも情けない、屈辱に満ちた搾精。
魔力の抜け落ちていく感覚とともに、天使の心が惨めさで締め上げられていく。指先ひとつで吹き飛ばせるはずの人形を前に膝を折る悔しさと、体の芯まで響く耳穴塞ぎ責めの甘く切ない悦びとが共鳴し、大淫魔に植え付けられてしまった歪なマゾヒズムを芽吹かせる。拒みたいはずの快楽が、抑えたいはずの絶頂感が、ルミアの中でいつまでも膨れ上がっていく……。