機械の侵食 最終話 3/?
Added 2023-12-31 07:27:04 +0000 UTC「…………そういえば、最近女性ばっかり見かけるな……」 地球上には未だ、男性自体は残っている。だが、ふと気がつけば明確に性別的な窮屈さを感じる程の差が生まれていた。 あるサラリーマンは、毎日人が行き交う巨大駅の改札口よりも先で、ふと、人々の流れへと目が動いた。 以前まではそれなりに疎らで、色んなスーツ姿の男女の姿や、おそらく自分達とは別の職種や何かしらの用事があったのだろうと察せられる男女が、無数に交差していた。 だが今は、身姿の多様性はあるが、視界に写る者の殆どが女性ばかりだった。 そのどれもが美少女か美女ばかりで、本能的に目が行くからかもしれないが、やや露出のある女性が多いような印象を受ける。 その数の差は、途中で男性の存在が目に入ったら、すぐさまそちらの方向へ視線が向かってしまう程だった。 電車内でぎゅうぎゅう詰めになっても、女性ばかりな分、どこか感触が柔らかく心地よい感覚が伝わってくる。 そうなれば思わず男性器が固くなり大変な誤解を与えてしまうのではとひたすら怯えていたが、ここしばらくは女性に対して意図せぬセクハラ的行動をぶつけてしまっても、拒絶されるどころか密かに楽しんでいるようだった。 一体何がどうなっているんだと思いつつも、その強烈な違和感と変化を抱えたまま、そのサラリーマンはいずれ機械化され女性の姿に変えられるその時まで、塗り替わった日常の中を歩くのだった。 「今日は是非ともどうですかー! 今なら朝まで付き合っちゃいますよー!」 「どんなプレイでも大歓迎ですよー! 私達のお店、マリンはどんなお客様も受け入れる準備ができてまーす!」 大都市の一角にある風俗街、神崎町。 以前までは禁止されているにも関わらず呼び寄せようとする客引きや、男女問わない風俗店からのアピール、立ちんぼなど、性サービス系の面倒な存在が跋扈しており、無数の観光客と整備されたゾーンが入り乱れているのも相まって混沌とした空間が広がっていた。 今の神崎町も、その様子自体は大きく変わってはいない。 しかし、以前に比べて街なかの光景が幾分清潔になった上に、ホストという存在がほぼ完全と言っていい程に消滅。 その代わりなぜか店名や内装が変わらないまま、キャストが全員女性になっているなどの変革が行われた。そのような店が加速的に増加していった。 客引きにも変化が現れ、最初からサービスを惜しまないかの如く美女や美少女ばかりが客引きするようになり、色んな方面から通行人を自身の店に誘引しようと奮闘していた。 「ねえねえ、私の店に来ない? 今だったら、とってもいいことしてあげるけど」 「うーん…………ん? もしかして……そういう店?」 「ふふ、そうよ、そういう店。ねえ、どう?」 「そっかぁ……じゃ、是非行かせてもらうわ。今ちょっとそういう気分だったの」 「ありがとうございます! 私達と同じよね、あなた。声かけてよかった」 本来は男性向け風俗であるが故に、男を狙い撃ちしていたであろう客引き。 だが今は、むしろ女性の方を優先的に声をかけるようになり、次々と新規客としての呼び寄せを成功させていた。 「おい! てめえは風俗の女なんだろぉ!? なら、てめえの乳揉ませろよ淫売なんだから文句ねえだろ!!」 そんな中でも未だに、べろべろに酔っぱらい無茶苦茶な要求をぶつけようとする者は存在している。 本来ならば、公共の場所でもあるため公に目立ったことなどできない客引き相手に対して、強引かつ筋の通っていない理論で胸を掴み、揉みしだいたりと、警察を呼ばれてと当然な者もまだ残っていた。 だが、客引きはそんな相手に対して、嫌がる様子も出さないまま、むしろ腕を掴んで自分の胸に男を引っ張り寄せた。 「ええどうぞ……あんっ……ん…………私が相手しても良いですから、一緒に私達の店に行きましょうよ……」 そして、逆に胸を揉むように誘いつつ、顔を近づけて自分達の店に来るように色気を帯びた圧をかける。 酔っぱらい暴力的な行動、言動を行っていた男は、逆に気分を引っ込められ、客引きの言う通りに、その客引きと一緒に道から外れていった。 当然その客引きの女性は、既に全身機械化が完了した女性だった。 このように、世界中での大騒ぎこそ起きていないが、ネット上も、現実も、既に大きく変質し、そこら中に魅力的な女性が溢れて社会が回るようになっていた。 異星からの超高度テクノロジーが侵食してきているなど、真剣に信用し対策を取り組むような者もおらず、アルバイトから社長、各国大臣や首脳に至るまで、機械化した女性が地球上にある人間の生活区域を既に覆い尽くしていたのだった。 そんな機械化した女性達の元となった、地球人類にとっての上位存在とも言えるペリメイズ人達は、地球へやってきた当初よりも自由な行動ができるようになり、彼女達を使った遊びや性行為でプログラムされた本能をそれぞれ自由に満たすようにもなっていった。 もはや、地球が機械の種族で回りだすのも時間の問題。そうなれば、ペリメイズ人にとっても新しい、快楽信号に染まった生活圏の星となるのである。 「最初期に着いた上にアンドロイドに目をつけたんでしょ? 結構やるじゃない。この星の機体ってスペック低かったから、改造して性能引き上げればすぐに私達の仲間に出来るもんね」 「まあそうね。ペリメイズに環境もすごく似てたのも助かったわ。でもね、最初は快楽信号を満たせるタイミングもバリエーションも少なくって。周囲の環境整えるまで苦労したわ」 ところ変わって、現在地球にやってきたペリメイズ人の代表格でもあるメリン=リュミエールとペリエッタ=ウルマーリが会話を交わしているこの場所は、ペリエッタが支配した九条杏奈の所有する大豪邸。 彼女達を含めたペリメイズ人の活動拠点となったこの場所で、二人は全裸姿で高級椅子に座りながら、地球にやってきてから今までの思い出を最初の入りにして交流を始めていた。 だが、ただ話しているというわけではない。メリンの露出された太ももの上には、ずっと上目遣いで彼女の姿をずっと視界に入れようとしている、元地球上の量産型アンドロイドである真奈美の頭部が乗せられていた。 一方のペリエッタの太ももの上には、真奈美の外された女性器ユニットが手の中に収まっていた。 それぞれ二つのパーツを奪われた真奈美の身体は、彼女達の座る椅子の向きが交差する位置で、頭部と女性器ユニットがない身体のまま、床の上で悩ましげに揺れ動いていた。 だがその様子は苦しんでいるという雰囲気ではなく、ほとばしる快感に身を任せてよじらせているように見えた。 そんな女体の姿を楽しみながら、メリンは顔を自分の前に持っていく。 「本当にがんばってくれたわね、真奈美。大多数の地球人類に機械化する素晴らしさを、快楽信号の気持ちよさを教えられたのはあなたのおかげよ。協力者がいるって、大切なことだもの」 「ありがとうございますメリン様……ぁ……あっ……私は、メリン様に改造していただけなかったら……あんっ! きっと機能停止まであの遊園地で稼働し続け、何も知らないまま廃棄されていたでしょう」 「ふふ、でも、今だと廃棄されるのも悪い気分じゃないんじゃない?」 「はい……私は、メリン様に廃棄されるなら幸せ…………」 壊れることで発生するエラーや各種信号を快楽信号に変換し、気持ちよくなるというプログラムを得たことで、捨てられることすら快感だと認識できるようになったメリン。 だが、そんな本心を止めるようにメリンは彼女のこめかみを両手で挟んで持ち上げ、優しく唇を重ねて音声を遮った。 自分達は口を塞いでも、喉奥のスピーカーから、口内の状態に関係なく明瞭に喋ることができる。 そんな彼女達のキスは、純粋な快楽行為、愛情行為の他に、優しく発言を止めるというニュアンスが含まれていた。 唇を重ねた後で、軽く舌を絡ませるようにして、お互い同じ成分である人工唾液を交換。身体から外されたことで体液を供給できず、口内にわずかに残っていたそれを共有した後で、メリンが頭部を離すと、真奈美は名残惜しそうな表情を見せていた。 「廃棄はその為の準備が整ってからでしょ。新しい身体やバックアップがない状態で壊れるなんてダメよ。不死性の伴わない廃棄なんて、本当にただの鉄屑になっちゃうじゃない……」 「あんっ……ぁ…………う…………はい……申し訳ありません、メリン様……ァ…………」 頭だけの真奈美と、その頭部を愛おしそうに持ち上げるメリン。 ペリエッタの膝上に置かれている女性器ユニットは、キスの時点で多くの快楽信号が発生していたのが、ぶるんっ、と気持ちよさそうに全体を震わせ、膣壁にわずかに残っていた人工愛液によってぬち、ぬち、と音を立てて開閉を繰り返していた。 「ふふ、雰囲気いいじゃん……気持ちよさそうだし、もっといいのあげちゃおっかな。まだ私の道具が来るまで時間かかりそうだし」 ペリエッタはその光景を横目に見ながら、ちょっと羨ましいと思考していた。 こういうことをする相手がいないわけではない。むしろ、今いる大豪邸には、彼女が機械化したメイド達や真奈美のように性能強化したアンドロイドばかりがいる。 その者たちを使ってもいいが、既にそれを行う相手は決まっているので、その約束はさすがに破れない。 なので、それまではこっちで楽しもうと、ペリエッタは女性器ユニットを手に取り、右手で優しく子宮ユニットを撫でながら小さな力で握りつつ、口内に分泌させた人工唾液を舌に纏わせ、ぺろぺろと陰核と膣肉を舐め始めた。 「あんっ! あんっ! ペ、ペリエッタ様……ぁ……はあんっ! あんっ! ま、待ってくださ、あぁんっ! め、メリン様に、私、目の前で頭だけで……あああっ!!」 かつては定型文しかまともに喋れないようなアンドロイドだったのに、今ではここまで官能的な声を上げ、頬を染めて恍惚に染まった顔を作れるようになった。 そんな性能の向上した姿にバッテリーを熱くしながら、メリンは快楽信号を享受している彼女に、あえてさらなる刺激を与えようとしていた。 「ふふ、いいじゃない。真奈美はいっつも、そういう声も顔も、私の前に出してくれたでしょ? もう懐かしいわね……快楽信号が処理できても、まだそれに伴う感情表現がインストールされたテンプレートだけでぎこちなかった頃を。でも、それがむしろとても可愛らしかったわ」 「メリン様……あっ!! あんっ! あっ、あっ、あっ、あ、あ、あ」 「でも、より人間的になった真奈美も、とっても綺麗で可愛らしいわ。初めて私を壊した時もね、もう外部ストレージに視覚や音声データのバックアップを取ってるくらいだもの……だからね、これからもお互いに快楽信号を共有し合いましょ。ペリメイズ人として、もっと快楽信号を発信させてあげるから……」 蕩けた表情を見せる真奈美の前で、過去の思い出をストレージ内から引き出し、すべすべとした人工皮膚の頬を撫でながら語るメリン。 記憶データを引き出し、床で女体がのたうちながら、快感に浸る姿を見て、彼女は密かに太ももの奥で人工愛液を漏らしていた。 「だからね、早速開放して、真奈美の後頭部カバーを、電子頭脳を」 最上位権限の所有者から与えられた、優しく蠱惑的なおねがいのような命令。 真奈美はそれを喜んで受け入れ、自ら後頭部カバーを開放し、その奥に潜んだ電子頭脳を曝け出した。 彼女が地球製の低スペックアンドロイドだった頃から、電子頭脳の形状もかなり変わっており、性能は石ころと巨岩のレベルで天と地の差。 惑星ペリメイズのテクノロジーによって改造された電子頭脳は、既に地球上の本来の技術には手を出せないような代物へと変わっていたのだった。 身体を三つに分けられ、優しく、時に激しく快楽信号を与えられ、メモリを消費している真奈美の電子頭脳は、平常時よりもやや熱を帯びており、このまま行為を激しくしたら、おそらくオーバーヒートを起こしてもおかしくないだろう。 だが、ペリメイズ人と機械化人は、むしろそれも一つの絶頂として認識しており、やりすぎて壊れることも性的快楽の一貫だとされている。それこそが、エラーや誤作動を快感に変換するということなのだ。 「ふふ、相変わらずとても良い子で大好きよ、真奈美。じゃあ、これからシてあげるわ……」 開放された電子頭脳を見て、思わずゾクゾクと興奮しながら、子宮ユニットをきゅんっ、と収縮させるメリン。 地球に来てからずっと自分に付き従い、間もなく機械が完全に支配する時まで稼働し続けてくれたことを感謝しながら、メリンは真奈美の電子頭脳を両手で掴み、思いっきり圧迫し始めた。