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土装番
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自由に選べる性玩具 1話先行公開版

 無数の同族が同じ場所に集うと、そこには社会が形成され一つの巨大な共同体となる。  そんな中に、全く見分けがつかない程に同留守族とそっくりだが、中身がまるで違う存在が現れれば、事によっては混乱が引き起こされることになるだろう。  しかし、それが元来の共同体にとって都合の良い存在であれば、一つの構成要素として吸収されることとなる。  自分の思い通りになり、欲望もそこに吐き出せるとなれば、もはや同じ形をした玩具と言っても過言ではないだろう。  これは、とある未来の世界で生まれたとあるサービスから連なる、欲望に塗れた数々の物語である。 * * *  現代からやや離れた未来の、周囲を海に囲まれた、無数の山地が連なるある島国の首都、京東。  数え切れない程の人工物が立ち並び、いくつもの地域から人々が集うコンクリートジャングルでは、人間にとてもそっくりな存在が共に稼働していた。 「いらっしゃいませ! 本日はどのようなご用件でしょうか?」 「面談の予定がありまして。既に手続きはしています」 「かしこまりました。それでは、QRコードを提示してください」  あるオフィスビルの受付では、一人の美人女性がとても丁寧な動作で来訪者を迎える。  その者が携帯端末に表示されたQRコードを提示すると、女性はそれを視線で捉えてピタリと動かなくなった。  2〜3秒程経過した後、女性は再び身体を起き上がらせ、満面の笑みを浮かべた。 「確認致しました。島田祐生様ですね。お待ちしておりました。こちらのエレベーターより4階へ向かってください」  礼節丁寧な案内を行い、相手がエレベーターに乗ったのを確認すると、女性は再びエントランスを向いてから微笑みを作り出し、ぴたりとマネキンのように動かなくなった。 「いらっしゃいませ! 本日はドリームランドへお越しいただき、誠にありがとうございまーす!」  ある遊園地では女性スタッフが、録音されたかのような全く調子の変わらない元気な声で、動きを止めずに周辺のお客様へのアナウンスを繰り返していた。 「あの……ウォーターハザードの受付ってどちらでしたっけ?」 「本日、ドリームランドでは午後はいウォーターハザードの受付ですね! 受付はこちらを真っ直ぐ進んでいただくと看板がありますので、そこから右の道を道なりに進んで頂ければ大丈夫ですよ!」  喋りを完全なぶつ切りで中断し、アトラクションの場所を聞きに来た客への案内をわかりやすくかつ正確に行った。  そんな時でも、笑顔は決して切らさない。 「ありがとうございます!」 「どういたしまして。それでは良い一日を! …………いらっしゃいませ! 本日はドリームランドへお越しいただき、誠にありがとうございまーす!」  客がお礼と共に案内したアトラクションの受付まで向かっていくのを確認すると、助成スタッフは笑顔に乗せて手を振り見送った。  そして、しばらくした後で改めて身体の向きや姿勢を直し、改めて遊園地の案内を再開した。  これらは全て、アンドロイドと呼ばれる人間そっくりに造られた機械人形である。  金属と樹脂、電子部品で構成された身体に、美しく、かっこよく、可愛く、それらを機体それぞれに完璧にデザインされた容姿。  一見すれば彼女達は一切人間と見分けがつかないように見えるが、首や首筋、肩や手首、股関節などの箇所に、うっすらとした継ぎ目が露出していた。  それらが人間とアンドロイドを区別する目印であり、逆に言えばそれらが無ければ気づかないという人間らしさのクオリティを誇る。  そんなアンドロイドが街なかで活躍する中、世間ではとある噂が流れていた。 「おい太一、お前こんな噂を知ってるか?」 「なんだよ欽二。今忙しいんだからよ」  とある会社に務める西林太一は、日々の仕事に追われてストレスと疲れの両方を溜め込んでいた。  発散しようにも疲労に沈み、何か新しいことを始めるにも身体が動かず、やることやっては布団に溶けこむばかり。仕事内でのイラつきは完全には解消されず、疲弊し続けていたのだった。  そんな彼が、休憩中にも食事をしながらノートPCを動かしている最中、同僚の欽二が話しかけてきた。  最近彼は妙に見るからに気分が良く、態度も晴れ晴れとしている。鬱陶しそうにしながらも対応すると、ある個人ブログの画面を見せつけてきた。  どうやらそれは、様々な都市伝説を掲載するサイトらしい。 「いいから見ろって。お前には捌け口ってのが必要だと思ってさ。うってつけの噂があったんだよ。ほら、セクサロイドの噂」 「セクサロイドだぁ……?」  太一は面倒くさそうに、提示された携帯端末の画面を見つめる。  そこに書かれていた内容は、街なかにはあらゆる場所に実はセクサロイドが紛れており、人間のフリをしながら生活している。  外見には全くと言っていいほど人間との区別はつかず、振る舞いからも全然気づきにくい。まさしく今ちまたに存在しているアンドロイド以上に人間らしい挙動をしているという。 「なんだこれ。ありがちっつうか、もう何回そういう噂やるんだよ」 「まあまあ、その続きも見てみろって」  くだらないと一蹴するが、太一は渋々続きを読み進めていく。  セクサロイド達は野良アプリや特定のサイトからの申込みなどの様々な条件で使用可能となり、それには何をしても許されるという。   「…………そんな都合のいい話あるかよ」 「って言うと思ったよ。これ、このサイトに入ってみな。偶然知ったんだよ俺」  すると、何が言いたいのかを先回りした欽二が、それを抑えるように紙のメモを渡してきた。  そこには、原始的に長々とアドレスが書かれており、これならメッセージにでもメールにでも出しとけよと思いながら、ひとまずそれを受け取った。 「…………スパムサイトとかじゃねえだろうな」 「んなことするかよ。ま、何かいいことあったら感想くれよな」  そう言うと、欽二は彼のもとを去っていった。  思い返せば、欽二はここ最近になって妙に機嫌がいいような気がしていた。  もしかしたら、これが関係しているのだろうか。 「…………バカバカしい」  くだらないデマだと口では一蹴するが、太一は丁寧にそれをカードケースの中に保管した。  そして、改めて作業を再開したのだった。 * * * 「……いちいち見ながら入力すんのめんどくせえな……長えし微妙にカメラの認識も合わねえし」  帰宅後、太一は殆ど信じていないながらも、欽二に渡されたメモに書かれたアドレスを手作業で入力していた。  カメラ機能からの読み取りでアドレスをコピーすることも可能だが、手書き故に絶妙に正しく読み込んでくれず、むしろ貼り付け後の修正作業が非常に億劫だった。  愚痴をこぼしつつ入力を終えて、改めてセキュリティソフトを確認しつつアクセスすると、早速アプリのダウンロード開始のウインドウが表示された。   「これか。いきなりダウンロード画面だから情報も何もねえな」  太一はとりあえずダウンロードし、インストールが終了したのを確認すると、早速画面上に表れたsexdollというとてもシンプルでわかりやすい名前のアイコンをタップした。  そこに表れたのは、周囲50メートル範囲のマップと、よくある左上のメニューボタン。  ボタンを押すと、何やら一覧と思わしきウインドウが出たが何もタップできず、一切の設定項目すら存在しなかった。 「なんだこれ……使いにくいにも程があるだろ」  狐に化かされたような気分になった太一。  無駄な容量を割いてしまったかもしれないと、なんだかぐっと疲れが飛び出した。   「まあいいやもう、風呂入って寝るか……」  なんだか時間を大きく無駄にしたような気がする。  後悔の念に襲われながら、太一はふらふらと浴室へ向かい、一旦忘れることにしたのだった。 * * *    次の日の午後4時頃。  この日はオフィス内の大規模清掃が入ることとなり、職員は早めに帰宅することになっていた。  早々に出られるのはとても良いことだが、何をするかという考えも浮かばなかった太一は、ふらふらとスーツ姿のまま街を歩いていた。  街にはいつもと変わらぬ喧騒が溢れており、時間もあって学生達の声も聞こえている。  スーツ姿やモデルかと見まごうような女性も見受けられ、一見すればとても華やかな光景だった。 「……ゆっくり休みにしてもなあ……なんにもやることねえし」  しかしそんな場所でもぐったりとした表情で、やることも出てこない。  何か楽しみになることでもあればなあと思い始めたところで、太一はふとあることを思い出した。 「そういや、電源切ったままだったな」  仕事に集中する為に携帯端末の電源を一旦切っていた太一。  もう一人になったんだから自由だろうと、当然のことすら鈍るような精神状態で、太一は電源を入れ直す。  そして、ホーム画面が現れると、突如アプリからの無数の通知が表れた。 「うおっ! なんだあのアプリか……」  sexdollという露骨な名前のアプリが、一定の感覚で通知を出していたらしい。  たいして設定も出来ないんだからそれくらいちゃんとしろと愚痴をこぼしそうになったが、太一は全く信じないままにアプリを開いた。  すると、そこには信じられない画面が表示された。 「…………さすがにこれはねえだろ。ジョークが過ぎるんじゃねえのか」  アプリのマップ上には、初めて開いた時には無かったアイコンがいくつも表示されていた。  そのアイコンをタップすると、セクサロイドだという女性の全身像が映し出され、下には登録というボタンが出現していた。  実際にそのアイコンが示す場所に視線を送ると、確かにそこには美女や美少女が存在していた。  タップによって出てくる全身像とも、顔も身長も、ぱっと見の印象も見事に合致する。  だが、それらの姿はどこからどう見ても人間にしか見えず、街なかに存在するアンドロイドとは似ても似つかない程に自然な振る舞いを見せていた。 「へー、だったらそれでいいんじゃない? あたしもさんせー」  太ももまで露出したローライズで歩きながら通話している美女は、携帯端末を通して誰かと会話をしている。  その雰囲気には、金属的な空気や樹脂っぽさは全く見られない。 「ワッフルどうですかー! 現在焼き立てで、熱々ながら甘くて美味しいですよー!」  店のロゴとイメージカラーで彩られたエプロンに身を包んだ女性は、とても可愛らしい笑顔と元気な声で、周辺の改札から出てくる人々にアピールしながら呼びかけていた。  その快活な姿からは、とてもアンドロイドなどという血の通っていない人形だと想像できない。 「…………さすがに冗談だろ」  自分の日常には、こんなにも周囲にアンドロイドが溢れていたのかと、まるでSFショートストーリーの主人公のような気分になった太一。  こんなにいるなら一体くらい……と、欲望が漏れつつもジョークである疑いを切らさないまま、マップを頼りに周囲を観察していたその時、彼の目にとても好みな少女が入ってきた。 「それすごくない!? やばいでしょ! えーあいつそんなことしてたんだ!?」 「そうなんだよね……私もビックリしたもん。ずっと真面目なフリしてたんだって、クラスでも大騒ぎだったし」  街道を歩きながら楽しそうに談笑している二人の学生。  その一人の名前は花澤理沙。  金髪に染まったセミロングに、アクセント程度に綺麗に色づいた日焼けしたような肌。  顔立ちは可愛らしい雰囲気がいっぱいに出ている非常に整った顔立ちだが、どこかほんのりと大人の女性に近づいているような美しさも感じられる。  それを引き立たせているのが、制服の下から強調される豊満な乳房にくびれのあるほっそりとしたボディ。  スカートから覗かせる小麦色の太ももとそれを支える脚は、一つの芸術品とも言える魅力を放っていた。  もう一人の名前は野本世理奈。  理沙と仲が良い、さらさらな黒髪ロングでお淑やかな雰囲気を纏った、清純系の美少女である。  細かな所作からもその上品さや落ち着きが感じられ、スレンダーかつ均整の取れた体型が、よりその造形の完璧さを物語っていた。  そんな二人にも、マップ上にはセクサロイドであるという反応が表れている。  太一は彼女達に一気に距離を詰め、唐突に話しかけた。 「ちょっとそこの二人」 「ん? 誰っすかあんた? 世理奈っちの知り合い?」 「い、いえ……私は存じ上げないですね……」 「あ! もしかしてモデルのスカウトとか!? やっぱあたし達モデルデビューしちゃうじゃーん!」  理沙は明るくプラス方向にリアクションし、世理奈は知らない男からの突然の接触に警戒心を見せた。  未だにこれがセクサロイドなんてと、ずっと頭の中でぐるぐるしているが、今の状態では間近で見ることもできなさそうである。  そんな時、ぽろっと人間相手には到底言ってはならないような言葉が飛び出した。 「お前らって、セクサロイドなのか?」  あっ、と口に出した本人も失策だと感じた。  それを聞いた瞬間、笑顔を見せていた理沙の表情に露骨な不信感と嫌悪感が表れ、世理奈の顔には汚物を見るような軽蔑の視線が生まれた。 「は? いきなり何いってんの? きも……初対面でそんなのありえないでしょ」 「ね、ねえ理沙、早く行こうよ……」  明確な拒絶の反応が太一へと向けられ、二人はそそくさと背を向けてその場を去ろうとした。  このままではさすがにまずい。何をされるかもわからないし変な噂を広められるのも面倒である。  太一は急いで一番の目当てにしていた理沙のアイコンをタップし、表示された登録ボタンを焦りのままに押した。  すると、前のめりになっていた理沙身体が突然硬直し、その場で直立不動の姿勢を取った。  嫌なものに出会ったというような表情も一気に無に切り替わり、まるで空気を見ているかのような視線が造られた、 「…………アプリからの登録操作を受信しました。発信源の端末を登録。端末内情報からプロフィールを自動入力しました。これより、登録名 花澤 理沙はセクサロイドとしての稼働を開始します」  人間的な生き生きとした態度も無く、非常に事務的で感情の籠もっていない台詞をつらつらとどこかに向かって喋り始めた理沙。  その一方で隣り合っていた世理奈は、理沙を放置したまま、まるで最初から一人でいたかのようにどこかへ歩き去ってしまった。  そして、メッセージを喋り終えた瞬間、理沙は笑顔で太一の方へ振り向き、愛し合う恋人のように抱きついた。 「太一ぃー! あたしを登録してくれてありがとね! ずっと誰があたしを使用してくれるかなって待ってたんだから!」 「え? え、え!?」  先程のゴミを見るような態度から180度違う心変わりように、うまく言葉が出てこない太一。  理沙は最初から好感度いっぱいであるかのように左腕を抱きしめ、自慢の乳房を思いっきり押し当てている。 「ほら太一、あたしを使いたいんでしょー? あたしも早く機能を使用したいからさ、どこかに行こうよ。ラブホ行く? それとも太一ん家?」  理沙は、所謂とても明るく陽気な性格であり、誰とでも仲良くなれるタイプとして擬似人格が組み立てられている。  ぐいぐいとパーソナルスペースを気にすることなく触れ合っていく姿は、とても機械人形には思えない程に人間らしい姿だと太一は感じた。  この振る舞いも肉感的な姿も、笑顔も全て性的欲求に応える為の造り物だという事実がが、太一の性欲を強く煽り立てた。 「んじゃあ、俺の家に行くか」 「いえー! 太一の家うれしーい!」  まるで出会って何ヶ月も経ったかのような触れ合いだが、実際はつい先程出会ったばかりの間柄。  それでも恋人のように振る舞える擬似人格に、太一は興奮と驚きの両方が湧き上がった。  こうして、太一はたった今生まれた機械のセフレと共に、久しぶりのうきうきした気持ちで帰宅するのであった。 * * *  自宅のマンションへと到着し、人間ではないながらも初めて女性を上がりこませた太一。  いつものようにドアを閉め、革靴を脱いで玄関を踏む。  振り返るとそこには、制服姿の小麦色の美少女がいる。  しかも容姿は自分好み。そんな幸せなことがあるだろうかと思いながらも、内心ではまだいくつかの疑いが切れないでいた。  理沙も同じように靴を脱いで上がりこむが、直後、指でとんとんと太一の肩を叩いて振り向かせた。 「ん、どうした」 「ねえ太一、早速だけど……あたしとシない?」  そう言いながら、理沙はいきなり制服に手を付け、頬を赤らめながら脱ぎ始めた。  突然の痴女的行為に、まだ心の準備が出来切っていない太一は思わずストップをかけた。 「ち、ちょっと待て!! い、いきなり玄関で脱ぐやつがあるか!!」 「えー、だってもう周囲の眼も無いじゃーん。登録されたからにはさ、もう女性器ユニットがすっごい疼いて仕方ないし」 「……まだ信じられねえんだけどさ、本当にセクサロイドなのか? まだそうには見えねえんだよ」  理沙はそれを聞き、ふふんと擬似的な鼻息の音を出しながら目を細めた。 「えーここまでついてきて太一のこと大好きなのに、まだ信じらんないのー?」 「そりゃそうだろ。そういうプレイなのかもしれないしさ。第一、お前ら色んなとこで動いてるアンドロイドよりも動作が自然過ぎだろ」 「まあねー。あたし達はそれより性能すっごい良いからさ。んじゃ、信じられないならぁ……あたしが証拠見せたげる」  そう言うと、理沙は改めて自身の下着を脱ぎ、スカートによって隠されたそれを、めくって見せびらかした。  アンダーヘアは一本も無く、まるで新品ラブドールのように綺麗な女性器がそこにあった。  直後、理沙の表情はふっと消失し、システムメッセージを垂れ流した。 「女性器ユニットを開放します……」  その音声が発された瞬間、股間からかしゅっ、とカートリッジを取り外すような硬質的な音が聞こえ、同時に卑猥な生殖器官が前面に押し出された。  周辺の皮膚と一緒に迫り出してきた性器。  その側面にはいくつかのケーブルと、男性器を収める為のつるつるとしたピンク色の肉筒が、脈動するようにひくひくと揺れていた。   「嘘だろ……そんな動きすんのかよ……」 「あたしのあそこね、精液タンクとして機能する子宮も着いてんだ。まだまだ足んないでしょ? まだ見せたげる。フェイスパネル、後頭部ハッチを開放します……」    押しを強めるように、理沙はさらに自分が機械であるという証拠を示す動作を進めた。  新しいシステムメッセージの直後、今度は彼女のとても可愛らしい顔が無表情のまま前面へ動き出し、擬似的な銀色と擬似口内のピンク色、セラミックの人工歯で構成された血肉一つ無い内部機構を曝け出した。  同時に、魅力的な金髪が埋め込まれた頭皮ごと後頭部ハッチが左右に開き、理沙というセクサロイドを動作させる中枢部である電子頭脳が空気に曝け出された。 「ほらどう!? これであたしがセクサロイドって信じてくれたっしょ?」  仮面のように外れた顔面の表情は全く動いておらず、瞳の光すら失われている。  その奥の顔面ですらない内部からは動作音を小さく出し、喉奥からは感情のこもった電子音声がこれまでと変わらない調子で鳴らされていた。  それまでの快活な姿からは想像できない程の、冷たく血の通っていない中身。  驚きのあまり声を失っている間に、理沙は女性器ユニットと頭部を元に戻し、本来の人間らしい姿に戻っていった。  かちっ、と顔面部から接続音が鳴ると、理沙は改めて制服を脱ぎ始め、己の女体を曝け出した。  表情も元に戻り、経験豊富であるかのような誘いの顔を見せている。  「んじゃ、早速シようよ太一。あたしはね、所有者の為に稼働してるんだからさ、あたしの全てを太一の好きなようにしていーんだよ? 性格も好感度も自由に弄っていいし、なんだったら飽きたら捨てても別にいーし」  身につけた記号的衣服を取り去り、波打ち揺れる豊満な乳房を地肌から晒す理沙。  道中で何度も押しあてられたことから、既にその柔らかさは体感済み。  しかしその人工皮膚の質感は、造り物だとわかっていても極上という他なかった。  至近距離でその女体を見ると、とてもうっすらとだけ、関節や首元、腹部や股間に街中にいるアンドロイドと同じ継ぎ目が確認できる。  だが、間近でじっくりと見なければまず気づかない。どうみても人間の女体そのものだった。  そんな女体を見せつけながら、都合の良い性玩具宣言を本人の口から発されると、胸の高鳴りが抑えられない。  頭の中で纏まらない思考を整理している間にも、理沙は所有者のスーツに手を付けていった。  そのような物に手を出したことのある雰囲気はないにも関わらず、まるで経験豊富なようにスムーズに脱がしていき、一気に太一の裸体を曝け出させた。 「ちょっ、玄関だぞまだ!?」 「別にいーじゃん、部屋の中ならどこも一緒っしょ。それに、ここでヤる方がなんか燃えない?」  下着に左手で手を付けつつ、右手で人工愛液の染み出した割れ目を自ら拡げて肉欲を刺激する。  既に太一の一物は固くなっており、今すぐにでもセックスがしたいと強く主張していた。 「それは……まあ別にわからなくも」 「じゃーけってー! ほら、あたしに任せて、気持ちよくなってよ太一」  その時、理沙はその容姿からは想像もできないような力で太一をその場に押し倒した。 「うおっ!? 力つよ……ぐっ……! 待て! 俺童貞だから色々わからな」 「童貞でもいーじゃん! ぜーんぶあたしが自動でやるからさ。あたし達はね、成人男性とどんなプレイも出来るように造られてるんだよ? ほらこんな風に押し倒してさ……あっ……ぁ……」  両手で身体を抑え、乳房が下を向き太一の身体に撫でるように当たる。  そして、独立しているように腰を動かし、正確に女性器の真下に男性器を捉えると、迷うことなく自ら挿入していった。  膣肉内のセンサーが性器の侵入を検知し、独自に肉壁が動作しつつ、それに加えるように自ら腰を振る理沙。  人間男性が心地良いと感じるように予め調節された体温と、人間のそれを超える極上の感触が、太一の初めてに容赦なく襲いかかってきた。 「ぐっ……すげ……なんだこれ…………あっ……」 「あっ、あ、あんっ! あはっ! 太一のおちんちん、すっごく気持ちいーよ! あたしの女性器ユニット……あんっ! 自由に挙動も調節できるから、ぁ、あんっ! なんでもいってねっ! ああっ!!」  艶めかしい喘ぎ声を上げながら、自分の仕様を丁寧に説明しつつ、完璧な挙動で腰を振り続ける理沙。  性に奔放そうな雰囲気だが、まるで獣のようなそれではなく、全てを相手に合わせている機械的な正確さに、生物的な挙動を合わせた動きでどんどん太一の肉欲を煽り立てていった。  柔らかな乳房がマッサージするように当たり、乳首が擦れて理沙の電子頭脳にもさらなる快感が押し寄せる。  すると、乳首が徐々に固くなって勃ち上がり、先端から乳液がぽたぽたと漏れ出し始めた。 「あ、あ、ぁ……太一……ぃ……あたしの胸も、自由にしていーよ……あんっ! 乳液も補充されて……はあっ! あ、ぁっ! るなら、飲んでもいいし……あんっ! 太一のあそこが、あたしの子宮まで届いて……あああっっ!!」  限界まで固くなった男性器を検知し、より奥まで届くように腰を動かしつつ、肉筒の長さを調節して子宮口と触れ合うように微調整を行う。  太一はセクサロイドの言うままに、本能的な欲望から胸を鷲掴みにし、力のままに揉みしだいた。  人間女性ならば痛いと言うような力で握ると、クッションの如く形状が変化しつつその手を優しく包み込んだ。  人工皮膚の感触が、女性の胸を揉んでいるという質感をさらに引き上げていく。   「あ、あ、あぁ……きもちいい……あんっ! 太一に使われて、あんっ! あたし、とっても幸せ……あはあっ!!」  出会って間もなく、軽蔑の言葉をぶつけたとは思えないような従属的言動を抵抗なく嬉しそうに喋る理沙。  彼女の献身的なセクサロイドらしい奉仕に、されるがままの太一は極上の快感に声を漏らしながら、間もなく絶頂に達しようとしていた。 「はぁ……はぁ…………すごっ……きもちいい……うっ……! 理沙……ぁ……俺、もうすぐイキそう……っ!」 「あっ、あっ、あ、あんっ! あたしも……ああんっ! イキそう! いっぱい、あたしの膣内に出していいよっ! あっ! あたしに、イッパイ出しても、妊娠しないからぁっ! あああっ!!」  男性器の反応と太一のリアクションに合わせ、理沙も絶頂寸前の挙動を作り出した。  取り繕うのが間に合っていないかのようにだらしなく人工唾液をこぼし、揉まれ続けている乳房からぽたぽたと太一の腕に母乳を垂らし、潤滑液となるように人工愛液を排出し続ける。  全身の動作がより早くなったことで、うっすらと内部機構の動作音が聞こえるようになり始めたが、太一の耳にはそれは全く届いていなかった。  そして、太一の一物から勢いよく放出された精液が、理沙の造り物の膣内にどくどくと勢いよく注がれていった。   「あ、あ、あああっ!! 太一の、太一の熱いのがいっぱいきてぇっ!! あ、あ、ああっ! きもちいいいっ! いぃっ、イくうっ!! あ、あ、あああああっっ!!」  乱れた激しいリアクションの一方で、膣肉が放出された精液を人工愛液と一緒に捕え、バキュームの如く吸い付き始めた。  そして、理沙の全身はガクガクと恍惚に染まったかのように痙攣し、淫らに達する声を静かな室内に響かせた。  一瞬硬直した後、理沙はぐったりと甘えるように太一の身体に沈んだ。  女性器ユニットは、ほとばしる快楽信号からぶるぶるとバイブのように震えつつ、吸い出した精液を一滴残らず子宮ユニットに溜め込んでいった。  一方的ながらも激しいセックスを体験し、興奮から息の上がっている太一と、果てた声を再現した音声を出しつつ、幸せそうな微笑みを浮かべた理沙。  その様子から汗をかいている姿を幻視しそうになるが、理沙は一滴たりとも発汗していなかった。 「はぁ……はぁ…………どうだった……太一……ぃ……きもちよかった……?」 「はぁ……ふぅ…………なんつうか……もう……すっごい……きもちよかった……ふぅ…………」 「ふふ、よかったぁ……あはっ……あたし……ぃ……太一に喜んでもらえて……うれしい……あたしで童貞……捨てられてよかったね……」 「セクサロイドとやっても、捨てたことにはなんねえだろ……」 「あはは、いーじゃん細かいことは……」  もはや今自分たちがどこにいるのかも忘れ、廊下の上でピロートークを繰り広げ始める太一と理沙。  健康的な容姿の美少女とのセックスが、機械とはいえこれ程気持ちの良いことだとは。  そして、セクサロイドの驚異的な性能がこれほどだったとは。  太一はただただ驚くことしかできなかった。  その一方で、たった今フィニッシュを迎えたばかりにも関わらず、太一はあることを思いついた。  未だ萎える気配の無い男性器を包んだまま、理沙は精液の解析をしつつ所有者の発言に耳を傾ける。 「なあ理沙、お前っていくらでも人格や設定変えられるんだよな」 「うん、そだよ。あたしの擬似人格はね、自由に設定もプログラムも変えられるんだ」 「じゃあ、今から変えて二回戦をやってみてもいいよな」 「もちろん、あたしは太一が求めるなら、なんだって受け入れ…………設定が変更されました…………もう、パパったらあたしが喋ってる途中なのにぃ……」  まだ慣れていないながらも、アプリから適当な操作を加えて簡単に設定を変更し適用した太一。  喋っている途中で、先程の絶頂が無かったかのような無表情と無感情な声に切り替わり、それから数秒のうちに理沙のアイデンティティは書き換えられた。  太一への二人称をパパに変え、好感度を最大に固定し、金銭的な関係を築いているかのような背徳的な状況へと作り変えた。  ハートマークが見えそうな瞳の奥からは、冷たいレンズの動作がはっきりと確認できる。  思い通りにできる自律稼働のセクサロイド。この光景は、このアプリは、彼にとってはまさしく天の恵みという他なかった。 「悪い悪い。じゃあ、今度はベッドの上で二回戦といこうぜ」 「うん、わかった……大好きパパぁ……」  思考が蕩けているような甘え声で、理沙は太一と濃厚なキスを交わした後、一度生殖器同士を離してから彼の部屋へと移動していった。  初めてのキスは樹脂の唇と無味無臭の唾液の味。  だが、それはとても柔らかく、肉欲の味に満ちていた気がした。  一歩歩く度に、理沙の乳首からは乳液のしずくが垂れ、子宮内では放出された精液が踊っている。  そして、二人はより燃え上がる情欲に身を任せて、ひたすら身体を重ね合わせたのであった。  こうして、謎のアプリによって一人の会社員は、一人の学生型セクサロイドとの淫欲の日々に導かれたのだった。

Comments

ありがとうございます! やっぱり個人のように存在するからにはちゃんと苗字まで設定されていないとなーとか思ったり。 世里奈は果たしてこの後どうなったりするのか……お待ちくだされ。

土装番

土装番さんの小説、人間設定のアンドロイドは家族も居ないのに名字まで設定されてるとこが個人的にエロいと思うのです。 登録されなかった世理奈は再登場したりするのか(そしてその時理沙登録時の時の記憶はどうなってるのか)地味にわくわく。

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