星歌お姉ちゃん!小人になった男の子にキスするなんて職権乱用だよ!
Added 2026-02-02 11:39:46 +0000 UTC「全員、正座」 氷点下の声がライブハウスのフロアを凍りつかせた。 張り詰めた静寂。 アンプのノイズさえも畏縮して消え入りそうな空気の中、結束バンドの4人が一列に並んで床に膝をついている。 彼女たちの視線の先、仁王立ちで見下ろしているのは、このSTARRYの絶対的な支配者、伊地知星歌店長だ。 「……お前ら。ここをどこだと思ってる」 星歌さんが低い声で問いかける。 彼女の眼光はすべてを見通していた。 「神聖なライブハウスで、未成年が寄ってたかってあられもない真似を……。風紀が乱れるにも程がある」 「す、すみません……」 「ごめんなさい……」 虹夏先輩たちが小さくなる。 僕は今、星歌さんの手の中にある小さなプラケースに隔離され、その様子を震えながら見上げている。 助かった。 本当に間一髪だった。 あのまま4人同時のキスを受け入れていたら、僕は取り返しのつかない一線を越え、精神的にも肉体的にも彼女たちの玩具として堕ちていただろう。 星歌さんは、まさに地獄に垂らされた蜘蛛の糸だ。 「罰として、今月のバイト代は全員なし。一ヶ月間、タダ働きしてもらう」 「ええっ!?」 全員が顔を上げる。 特にリョウ先輩の顔色は土気色だ。 あまりにも重い処分。 確かに彼女たちの行いは過激で常軌を逸していた。 けれど、それは小さくなった僕への興味や歪んだ愛情が暴走した結果でもある。 それに彼女たちには生活がある。 学校に通い、楽器を練習し、その上でバイトまでしているのに、報酬がゼロなんてあんまりだ。 「ま、待ってください店長!」 僕はケースの中から声を張り上げた。 プラスチックの壁を叩く。 星歌さんの鋭い視線が、手元の僕に向けられる。 「……なんだ、新顔」 「彼女たちだけの責任じゃありません! 僕が……僕がこんな体になって、ご迷惑をおかけしたのが原因です! 彼女たちにも学校や生活があります。タダ働きなんて、あまりにも酷すぎます!」 僕は必死だった。 自分の尊厳を守ることも大事だけれど、結束バンドの活動が立ち行かなくなるのはもっと辛い。 音楽への情熱。バンドへの愛。 それだけは、肉体をどんなに汚されても僕の中に残っている確かな芯だった。 「それに……彼女たちは、僕のために色々としてくれたんです。やり方は間違っていたかもしれないけど、悪意があったわけじゃ……!」 嘘だ。 悪意はなかったかもしれないが、欲望はあった。 それでも僕は彼女たちを庇わずにはいられなかった。 星歌さんはしばらく無言で僕を見つめていた。 まるで値踏みをするような、冷たくも熱のこもった視線。 やがて彼女はふっと息を吐き、視線をメンバーに戻した。 「……新顔の熱意に免じて、減給だけにしてやる」 「ほ、本当ですか!?」 「ああ。ただし条件がある」 星歌さんが、ケースを持ち上げ、目の高さに掲げた。 その瞳には、厳しくも理知的な大人の光が宿っている。 「子供にこいつの管理は無理だ。これ以上店をラブホテル代わりにされても困る。……これからは私が責任を持って、新顔を預かる」 え……? 店長が、僕を? 「異論はないな?」 有無を言わせぬ圧力に、メンバーたちは無言で頷くしかなかった。 僕は胸を撫で下ろした。 厳しいけれど、筋を通す人だ。 あの狂乱の宴から引き離し、適切な距離感で保護してくれる。 これこそが、僕が求めていた大人の対応だった。 ようやく、まともな人間に扱ってもらえる。 ケース越しに見る星歌さんの横顔が、救世主のように輝いて見えた。 「……ほら、水だ」 伊地知家のリビング。 低いテーブルの上に、ペットボトルのキャップが置かれた。 なみなみと注がれた透明な液体が、照明を反射して揺れている。 虹夏先輩は用事があるとかで出かけており、広い部屋には僕と星歌さんの二人きりだ。 「ありがとうございます」 僕はキャップの縁に手をかけ、顔を近づけて水を啜る。 美味い。 ただの常温の水が、これほど甘露に感じるとは。 ここ数日、口に入るものと言えば、誰かの唾液や、無理やり飲まされた得体の知れない液体ばかりだった。 純粋な水が、乾ききった喉と荒んだ心を潤していく。 「腹減ってんだろ。適当につまめるもん出すから待ってろ」 星歌さんはキッチンへ立ち、手際よくクラッカーやチーズを細かく砕いて小皿に盛ってくれた。 過剰な「あーん」もなければ、口移しもない。 ただ必要な栄養を、必要な分だけ淡々と提供してくれる。 その事務的でドライな態度が、今の僕には涙が出るほど心地よかった。 食事を終え、人心地ついたところで、僕は意を決して切り出した。 「あの、店長」 「なんだ」 「お風呂……汗を流したいんですけど」 これが鬼門だ。 今までのメンバーなら、間違いなく「一緒に入ろう」と言い出したり、スポンジ代わりに全身を舐め回して洗おうとしたりしただろう。 身構える僕の前で、星歌さんは少し考え、「そうだな」と頷いた。 「洗面器に湯を張ってやる。石鹸とタオルも置いておくから、好きに使え」 ドン、とテーブルの上に湯気の立つ洗面器が置かれる。 横には、小さく切られた石鹸と、真新しいハンカチ。 それだけ置いて、星歌さんはソファに戻ろうとする。 「えっ……店長は、洗わないんですか?」 思わず口をついて出た言葉に、星歌さんが振り返った。 彼女は心底不思議そうに眉をひそめ、そして呆れたように鼻を鳴らす。 「は? なんで私がいい歳した男の体を洗わなきゃなんないんだよ。自分でできるだろ」 その言葉を聞いた瞬間、僕は目頭が熱くなった。 当たり前のことだ。 でも、その当たり前が、この数日間完全に失われていた。 僕を一人の男として、そして自立した人間として扱ってくれる。 ペットでも、玩具でもない。 ただ小さくなっただけの、一人の人間として。 「……はい。自分でやります。ありがとうございます……!」 「……変な奴」 星歌さんは興味なさげに視線を外し、テレビのリモコンを手に取った。 それ以上は僕の方を見ようともしない。 完全にプライベートな時間を尊重してくれている。 僕は服を脱ぎ、洗面器の縁に手をかけた。 温かいお湯に浸かる。 凝り固まっていた筋肉がほぐれ、毛穴から汚れが溶け出していくようだ。 こびりついた液体のぬめりも、染み付いた体液の匂いも、すべて洗い流す。 自分の手で体を洗い、自分のペースでお湯に浸かる。 ただそれだけのことが、こんなにも尊いなんて。 湯船の中から、ソファでくつろぐ星歌さんの背中を眺める。 厳しいけれど、誰よりも筋を通す人。 結束バンドの活動を支え、僕たちを見守ってくれている大人。 この人なら信頼できる。 ここなら安全だ。 湯気の向こう側に見える彼女の背中は、どんな防壁よりも頼もしく見えた。 夜が更け、就寝の時間が訪れた。 「店長。僕はリビングのソファで寝ますので」 「だめだ」 星歌さんは間髪入れずに却下した。 「そんな小さい体で何かあったらどうする。私の部屋に来い」 「えっ、でも……」 「変な意地を張るな。管理は大人の仕事だ。素直に施しを受けとけ」 正論だった。 今の僕は無力な小人だ。 大人の庇護なしでは一晩生き延びることさえ難しい。 僕は自分の浅はかさを恥じ、大人しく星歌さんの後をついていった。 星歌さんの部屋はシンプルで整理整頓されていた。 甘ったるい香水の匂いもしない。 清潔なリネンの香りがするダブルベッド。 その枕元にタオルが敷かれ、僕の寝床が作られた。 「電気消すぞ。おやすみ」 「おやすみなさい」 パチンと明かりが消える。 隣には無防備に横たわる星歌さんの気配。 だが不思議と恐怖はなかった。 今日一日の彼女の振る舞いを見ていれば分かる。 彼女は僕を性的な対象としては見ていない。 ただの保護対象だ。 その絶対的な安心感に包まれ、僕は深い眠りへと落ちていった。 丑三つ時。 ふと意識が覚醒した。 静寂の中に星歌さんの寝息だけが聞こえる。 体が重い。疲れが取れていないのだろうか。 もう一度寝ようと目を閉じた時、隣から衣擦れの音がした。 「……んぅ……」 寝言だ。 「……新顔を……管理できるのは……」 心臓が跳ねた。 声のトーンが昼間の凛としたものとは違う。 湿り気を帯びた、粘着質な響き。 「……子供じゃなくて……私みたいな大人だけ……」 ゴロンッ。 ベッドが大きく沈み込む。 星歌さんが寝返りを打ったのだ。 暗闇の中、巨大な影が覆いかぶさってくる。 デジャヴ。 虹夏先輩の時と同じだ。 無意識の寝返りで顔が迫ってくる。 (大丈夫……落ち着け……!) 僕は学習していた。 転がってくる顔の軌道を予測し、素早く身を翻して後方へと跳躍する。 さらに、伸びてくるであろう手も計算済みだ。 案の定、無造作に放り出された星歌さんの右手が、僕のいた場所を薙ぎ払う。 (よし、回避した!) 二度も同じ手は食わない。 僕は安堵のため息をつきかけた。 だが。 ガシッ。 「――ッ!?」 背後から、温かく湿った肉の感触が全身を包み込んだ。 右じゃない。 左手だ。 星歌さんは寝返りを打ちながら、反対側の腕を背中側から回し込み、逃げた先の僕を的確にキャッチしたのだ。 予測不能の挟撃。 「あ……」 声が出る間もなく体を引き寄せられる。 逃げ場はない。 暗闇の中、星歌さんの顔が目の前にあった。 目は閉じている。 寝ているはずだ。 けれどその唇は獲物を求めるように濡れ、微かに開いている。 (やめてください店長! あなただけは……!) 心の中で絶叫する。 あなたは僕を守ってくれるはずじゃなかったのか。 大人の理性で、正しい距離感を保ってくれるんじゃなかったのか。 音楽への敬意も、人間としての尊厳も。 この人は無意識という名の暴力で、すべてを飲み込もうとしている。 「……ん……」 アルコールの残香と、大人びたムスクの香り。 それが鼻先を掠めた次の瞬間。 ムニュッ。 柔らかく熱い肉の感触が視界が肌色に塗り潰された。 呼吸が止まる。 鼻も口も、星歌さんの唇という巨大な肉壁によって完全に塞がれている。 「ん……むぅ……」 鼓膜を直接震わせるような、甘く低い唸り声。 そこには昼間の冷徹な店長の威厳など微塵もない。 あるのは無防備な独占欲と、獲物を味わおうとする捕食者の本能だけだ。 苦しい。 酸素が吸えない苦痛よりも、精神的な衝撃が僕の脳を揺さぶる。 あの凛とした星歌さんが。 僕を一人の人間として扱ってくれたはずの大人が。 今は僕を抱き枕かぬいぐるみのように扱い、その口腔で貪ろうとしている。 (離して……! 僕はモノじゃない……!) 必死に手足をばたつかせ、星歌さんの顔を押しのけようとする。 だが無駄だ。 彼女の掌は鋼鉄の檻のように僕の胴体を締め付け、指先一本動かす隙間すら与えてくれない。 押し付けられる唇の圧力は強まる一方だ。 唇の表面にある細かな皺の一つ一つが、僕の頬や瞼をざらりと擦り上げる。 「んちゅ……れろ……」 湿った音が響く。 舌先が這い出してきた。 熱く、ぬめりを帯びた大人の舌が、僕の顔面を舐め上げる。 アルコールの残香と、彼女自身の体臭。 それらが濃厚な湯気となって、僕の全身を包み込む。 これは事故じゃない。 明確な捕食だ。 彼女は夢現の中で、手の中にある新顔を自分の所有物として認識し、味を確かめている。 (あの大人の対応は嘘だったんですか……!) 心の中で叫ぶ。 適切な距離感。 プライバシーの尊重。 あのお風呂の時間に感じた信頼が、音を立てて崩れ去っていく。 彼女にとって僕は対等な人間などではなかった。 ただの管理すべき愛玩動物。 だからこそ、こうして夜中に好き放題に弄ぶことができるのだ。 「……んっ……硬い……」 星歌さんが唇を離さぬまま、夢遊病のように呟く。 彼女の意識はまだ深い微睡みの中にある。 だからこそタチが悪い。 理性のブレーキが壊れた状態で、剥き出しの欲望だけが僕に降り注ぐ。 唇が動く。 吸われる。 掃除機のような吸引力で、僕の唇、鼻、そして魂そのものが吸い出されそうになる。 顔中の毛穴から脂汗が吹き出す。 恐怖。 そして、それとは裏腹に沸き上がる、どす黒い熱。 (だめだ……反応するな……!) あんなに汚したくないと誓ったのに。 尊敬する人の、無防備で淫らな唇の感触。 直に伝わる体温と、圧倒的な大人の女の匂い。 それらが僕の脳髄を麻痺させ、生物としての原始的なスイッチを強引に押し込んでくる。 全身の血流が沸騰し、下腹部に熱い塊が集束していくのが分かる。 抵抗すればするほど、唇は深く押し付けられ、逃げ場のない密着度が高まっていく。 もはやこれはキスではない。 僕という存在を、彼女へと同化させるための儀式だ。 薄れゆく意識の中で、僕は自分がただの雄として、彼女の唇に屈服させられていく絶望を味わっていた。僕の視界と唇を塞いだ。 キス。 愛する人としかしてはいけない、魂の触れ合い。 それが今、一方的な独占欲によって蹂躙される。 抗う術などない掌の中で、僕は尊敬していた人の唇にその純潔を奪われた。 「ん……んん……」 星歌さんの顔が動いた。 僕の顔面を吸引していた唇が、ずりずりと下へスライドしていく。 唾液で濡れた頬が、彼女の肌の上を滑る。 首筋、胸板、腹部。 彼女は愛しいぬいぐるみに頬擦りをするように、僕の全身をその整った顔面で愛撫していく。 そして、止まった。 僕の股間。 恐怖と興奮でカチカチに硬直したその場所に、彼女の唇が触れた。 「……あ」 声にならない悲鳴が喉で凍りつく。 熱い。 呼気が直接吹きかけられる。 布越しではない。 寝る前にリラックスできるようにと下着一枚にさせられていたことが、ここに来て仇となった。 薄いパンツの布地など、彼女の吐息の前では無に等しい。 「……ん、いい匂い……」 星歌さんが夢現のまま鼻を鳴らす。 彼女の鼻先が、僕の敏感な部分をぐりぐりと押し上げる。 そして、濡れた唇が食いついた。 「っ、ぐぅ……ッ!!」 脊髄を駆け上がる電流。 柔らかく、弾力のある肉が、僕の先端を挟み込む。 舌ではない。唇だ。 大人の女性特有の、ふっくらとした厚みのある唇が、僕の弱点を甘噛みし、形を確かめるように蠢く。 ザラリとした唇の皺が、敏感な粘膜を容赦なく擦り上げる。 (やめて……店長……!) 尊敬する人の顔に、自分の卑猥な部分を押し付けられている。 その背徳感が、物理的な快感を何倍にも増幅させる。 彼女の睫毛が、僕の太ももを擽る。 彼女の吐息が、僕の下腹部を焦がす。 逃げようにも、僕の体は彼女の両手にガッチリとホールドされ、彼女の顔面に固定されている。 「……ちゅ……じゅる……」 吸われた。 布ごしに、強い吸引圧がかかる。 限界だった。 理性などという脆い堤防は、大人の色気と圧倒的な質量の前に粉砕された。 奥歯を砕けんばかりに噛み締める。 だが、体は正直すぎた。 下腹部の奥底で、ドロリとしたマグマが臨界点を超える。 (出ちゃう……! 汚しちゃう……!!) 「んぅ……?」 星歌さんが、口元の異変に気づいて更に強く吸い付いた、その瞬間。 堰が切れた。 僕の全身が弓なりに反り返り、制御不能の熱波が迸る。 ドピュッ! 勢いよく噴き出した白濁した液体が、パンツの繊維を貫通する。 それは間近にあった星歌さんの顔面を直撃した。 「……!」 二発、三発。 脈打つたびに放たれる命のしずくが、彼女の長い睫毛を濡らし、整った鼻筋を汚し、白く滑らかな頬へと飛び散っていく。 熱い液体が、彼女の美しい顔に不浄な地図を描き出す。 「はぁ、はぁ……ッ」 力が抜けた。 僕は星歌さんの手の中でぐったりと脱力する。 やってしまった。 取り返しのつかないことをしてしまった。 店長の顔が、僕の体液で汚れている。 「……ん……?」 生温かい液体の感触に、星歌さんの眉がピクリと動いた。 不快そうに顔をしかめる。 そして、重い瞼がゆっくりと持ち上げられた。 長い沈黙。 暗闇に慣れた目が、目前の惨状を捉える。 自分の顔にかかった、粘り気のある白い液体。 そして手の中で白目を剥いて痙攣している、下半身を濡らした新顔。 星歌さんの瞳から、睡魔が急速に引いていく。 代わりに宿るのは、理解不能な事態への困惑と、底知れぬ戦慄。 「……な、んだ……これ……」 震える手が、自分の頬についた液体を拭う。 指先についたそれを呆然と見つめ、彼女の顔色が青ざめていく。 STARRYの店長室で見せる冷静さはどこにもない。 ただの女性としての、生理的な嫌悪と恐怖がその表情を歪ませた。 最悪の目覚め。 信頼も、尊厳も、すべてがこの白濁の中に溶けて消え失せた。 「……ッ!」 星歌さんが跳ね起きた。 反射的に僕の体をシーツの上に放り出す。 転がった僕は、全身を襲う倦怠感に抗いながら、なんとか上体を起こした。 終わった。 すべてが終わってしまった。 星歌さんは肩で息をしながら、震える手で自身の頬を拭う。 指先に付着した白濁。 粘りつくその液体を凝視する瞳が、急速に凍りついていく。 困惑は一瞬で消え去り、そこには絶対零度の軽蔑と、煮えたぎるような怒りが渦巻いていた。 「……お前」 地を這うような低い声。 空気がピリリと振動する。 「寝込みを襲って……こんな真似を……!」 「ち、違います! 店長が……店長が寝返りを打って、僕を掴んで……!」 必死に声を絞り出す。 事実だ。 僕は逃げようとした。 捕まり、唇を押し付けられ、抗う術を奪われたのは僕の方だ。 けれど、そんな弁明が今の彼女に届くはずもなかった。 「黙れ!」 怒号が部屋を揺らす。 星歌さんが僕を睨みつける。 その目は、昨日まで向けてくれていた保護者の目ではない。 汚らわしい害虫を見る目だ。 「私が寝ている間に……キスをしようとしたな? いや、それだけじゃない。私の顔に……こんな……」 彼女は手の甲で乱暴に顔を拭い、僕を見下ろした。 「見損なったぞ。被害者面して、その実、お前も楽しんでいたんじゃないのか?」 「え……?」 思考が停止する。 楽しんでいた? 僕が? あんなに怯えて、逃げ回って、助けを求めていたのに。 「結束バンドの連中が暴走したのも、お前がそうやって隙を見せ、挑発したからだろう。昨日のあの態度も、私を油断させるための演技だったわけだ」 「違います! 信じてください! 僕はただ……!」 「言い訳は聞きたくない」 星歌さんは冷徹に告げた。 その言葉は、どんな罵倒よりも鋭く、僕の胸を抉った。 「即刻、結束バンドを脱退しろ。STARRYへの出入りも禁止だ」 世界が崩れ落ちる音がした。 脱退。 出入り禁止。 それは僕から、音楽という生きがいと、仲間という居場所を永久に奪う死刑宣告だった。 「そ、そんな……」 言葉にならない。 音楽への情熱だけは、誰にも負けないつもりだった。 小さくなっても、弄ばれても、いつかまたステージに立つことだけを夢見て耐えてきた。 なのに。 その希望を、一番信頼していた人が、理不尽な誤解で踏み躙るのか。 「さっさと消えろ。二度と私の前に顔を見せるな」 星歌さんが背を向ける。 拒絶の背中。 悔しさと絶望で、視界が滲む。 涙が溢れて止まらない。 僕は床に突っ伏し、子供のように声を上げて泣き崩れた。 「うぅ……っ、うあぁ……!」 何もかも失った。 尊厳も、純潔も、そして未来も。 僕に残されたのは、白濁にまみれた小さな体と、やり場のない絶望だけだった。 嗚咽が止まらない。 カーペットの繊維を涙で濡らしながら、僕はただ絶望の淵で震えていた。 結束バンドでの日々。 初めて合わせた音の重なり。 文化祭での高揚感。 すべてが、理不尽な汚名の元に剥奪されようとしている。 「……泣くな。鬱陶しい」 頭上から降ってきた声には、僅かながら苛立ち以外の色が混じっていた。 顔を上げる。 星歌さんが腕を組み、冷ややかな目で見下ろしている。 だが、その瞳の奥には、僕の涙の理由を探ろうとする探究心が見えた。 「そこまで言うなら……チャンスをやる」 「え……?」 「お前のその涙が、バンドを失う悔しさから来る本物なのか。それともただの演技なのか。私が直接確かめてやる」 星歌さんがしゃがみ込み、僕の前に巨大な顔を寄せた。 彼女は自分の右手の人差し指を口元へ運び、舌でゆっくりと濡らす。 唾液の糸を引きながら、光沢を帯びた指先が僕の目の前に突きつけられた。 「条件は一つ。私の愛撫に耐えてみろ」 耳を疑った。 何を言っているんだ。 「本当に音楽への情熱だけで動いているなら、こんな状況で性的に興奮などしないはずだ。違うか?」 暴論だ。 生理現象と精神性を混同している。 だが、今の僕に拒否権などない。 この狂った尋問を耐え抜くことだけが、STARRYに居続ける唯一の道なのだ。 「耐えられたら残留を認めてやる。だが、もし射精したら……即刻追放だ」 やるしかない。 僕は濡れた瞳で星歌さんを見つめ返し、小さく頷いた。 覚悟を決める間もなく、濡れた指先が僕の股間に伸びてくる。 「……始めるぞ」 冷たい。 気化熱で冷やされた唾液が、熱を持った僕の先端に触れる。 次の瞬間、世界が反転した。 巧みすぎる。 ギターの弦を押さえるために硬くなった指先。 その微細な凹凸が、ヤスリのように、けれど滑らかに僕の敏感な粘膜を捉える。 ただ擦るのではない。 神経の一本一本を弾くように、強弱をつけて嬲ってくる。 「ん、ぐぅ……ッ!!」 声が出そうになるのを、唇を噛み切る勢いで堪える。 快感ではない。 これは拷問だ。 星歌さんの指が動くたびに、脳髄を焼き切るようなスパークが走る。 彼女は僕の反応を観察しながら、さらに指の動きを加速させる。 「ほう。意外と耐えるな」 感心したような、それでいて獲物を追い詰めるのを楽しむような声。 彼女は再び指を口に含み、たっぷりと唾液を補充する。 今度は指の腹だけでなく、爪の縁や関節を使って、より立体的に攻め立ててくる。 粘り気を増した唾液が潤滑油となり、摩擦の熱量を跳ね上げる。 (負けるな……! ここで出したら終わりだ……!) 結束バンドのみんなの顔を思い浮かべる。 あのステージの景色を。 爆音の中でかき鳴らしたコードの響きを。 それだけが、崩壊しそうな理性を繋ぎ止めるアンカーだった。 全身の筋肉を硬直させ、呼吸を止める。 下腹部で暴れ回る熱い奔流を、精神力という名の蓋で必死に抑え込む。 一秒が永遠に感じる。 星歌さんの指使いは容赦がない。 先端を弾き、根元を絞り上げ、裏筋を執拗になぞる。 限界が近い。 視界が白く明滅する。 「あと一分。耐えられたら私の負けだ」 宣告。 あと少し。 あと少しで、僕は許される。 希望の光が見えた気がした。 星歌さんの動きが激しさを増す。 最後の追い込みだ。 耐えろ。耐えろ。耐えろ。 ガチャリ。 唐突に、玄関のドアが開く音がした。 張り詰めた空気が揺らぐ。 「お姉ちゃん、ただいまー! 遅くなっちゃった!」 明るく、元気な声。 伊地知虹夏先輩だ。 彼女がリビングに入ってくる。 そして、床に這いつくばる星歌さんと、その手元で悶える僕を目撃する。 時が止まった。 「え……?」 虹夏先輩の目が点になる。 姉の手によって、半裸の僕が責め立てられている光景。 理解が追いつかないまま、彼女の本能が「非常事態」を察知した。 「な、何してるの!? お姉ちゃん!」 パニック。 虹夏先輩が悲鳴を上げながら、僕を助けようと駆け寄ってくる。 星歌さんが驚いて動きを止める。 助かった。 そう思った、次の瞬間だった。 「新入りちゃん!」 勢い余った虹夏先輩が、テーブルの脚につまずいた。 彼女の手が、バランスを崩して泳ぐ。 その手先が、勢いよく僕の方へ振り下ろされる。 「あ」 ドスッ。 衝撃。 虹夏先輩の指が、僕の無防備な急所に直撃した。 それは救助の手ではない。 限界まで張り詰めていた風船に突き立てられた、無慈悲な針だった。 星歌さんのテクニックで極限まで高められていた圧力が、外部からの物理的衝撃によって一気に決壊点を超える。 意思も、覚悟も、結束バンドへの想いも。 すべてがその一撃で粉砕された。 身体の芯が弾け飛ぶ。 脊髄を突き抜ける敗北の閃光。 ドピュッ……!! 抑制のタガが外れた肉体から、熱い白濁が噴き上がった。 星歌さんの指を、床を、そして虹夏先輩の指先を汚していく。 止まらない。 僕の魂そのものが液状化して流れ出ていくような、虚無への放出。 「あ……」 虹夏先輩が固まる。 星歌さんが冷徹な目で見下ろす。 僕は白目を剥いて痙攣しながら、天井を見上げた。 終わった。 理不尽な事故。 けれど、結果は結果だ。 僕は試練に敗北し、自身の放出した穢れの中に沈んでいった。 「……アウトだ」 星歌さんの声には、一欠片の慈悲もなかった。 事務的な宣告。 それが、僕の音楽人生の終了を告げる鐘の音のように響いた。 「そんな……! 事故です! 今のは虹夏先輩が……!」 僕は床にへばりつき、必死に頭を下げようとする。 けれど、放出後の虚脱感で指一本動かせない。 自分の出した白濁の海に沈みながら、ただ涙だけが止めどなく溢れてくる。 終わった。 結束バンドも、STARRYも、僕の居場所はもうどこにもない。 「新入りちゃんをいじめないで!」 鋭い声が響いた。 虹夏先輩だ。 彼女は床に倒れる僕を掬い上げ、自分の胸に抱き寄せた。 温かい。 心臓の鼓動が激しく伝わってくる。 彼女もまた、突然の事態に混乱し、震えているのだ。 「虹夏、離せ。そいつはもう部外者だ」 「やだ! 絶対に渡さない!」 虹夏先輩が、姉に向かって初めて見せるような強気な眼差しで睨み返す。 普段の穏やかな彼女からは想像もできない気迫。 その瞳には、僕を守ろうとする母性のような熱が宿っていた。 「新入りちゃんは悪くないもん! お姉ちゃんがいじめるから……!」 「私はテストをしただけだ。結果は黒。それだけだ」 「そんなテスト無効だよ! 私が預かるから!」 睨み合う姉妹。 空気中の酸素が燃え尽きそうなほどの緊張感。 星歌さんは深くため息をつき、頭を掻いた。 「……はぁ。分かった。話は明日にしよう。もう夜も遅い」 とりあえずの休戦協定。 僕は虹夏先輩の手の中で、安堵の息を漏らす。 よかった。 少なくとも今夜中に放り出されることだけは回避できた。 「じゃあ、新入りちゃんは私の部屋で……」 「待て」 自分の部屋へ行こうとする虹夏先輩の襟首を、星歌さんが掴んだ。 「お前みたいなガキと、そんな状態の男を二人きりにできるか。信用ならん」 「えっ、信用って……」 「さっきの事故を見ただろ。お前の不注意でこいつが死ぬかもしれん。……今日は私の部屋で、三人で寝る」 「ええええっ!?」 虹夏先輩の絶叫と、僕の心の悲鳴が重なった。 三人で? このピリピリした空気の中、同じ部屋で? 有無を言わさぬ星歌さんの決定により、寝床の配置が決まった。 ダブルベッドの真ん中に僕。 右側に星歌さん。 左側に虹夏先輩。 いわゆる川の字だ。 電気を消した部屋に、三人の呼吸音が響く。 地獄だ。 右からは星歌さんの整った寝息と、冷徹な威圧感。 左からは虹夏先輩の少し荒い呼吸と、甘いシャンプーの香り。 両サイドから発せられる熱気が、真ん中にいる僕をじりじりと炙り殺そうとしている。 (眠れるわけがない……!) 僕はタオルケットの端を握りしめ、天井を見つめた。 二人が寝返りを打ったら終わりだ。 左右から同時に押し潰される未来が、あまりにも鮮明に想像できてしまう。 逃げ場はない。 この温かくも恐ろしい肉の壁に挟まれながら、僕は朝が来るのをただひたすらに祈り続けた。 ガサッ。 布が擦れる音。 右側の気配が動いた。 同時に、左側の気配も大きく揺らぐ。 (来た……!) 本能が警鐘を鳴らす。 二人の体が、示し合わせたかのように内側へ傾いたのだ。 左右から迫る巨大な影。 星歌さんの顔と、虹夏先輩の顔。 二つの巨星が、僕という一点を目指して落下してくる。 「(……新顔……)」 「(……新入りちゃん……)」 無意識の寝言がハモる。 逃げなければ。 潰される。 いや、それ以上に恐ろしい何かが起きる予感がする。 僕は反射的に体を起こし、足元の方へと全力疾走した。 布団の起伏を駆け下り、闇の中へとダイブする。 背後で、二人の顔がぶつかる鈍い音がした気がした。 闇雲に走った先で、僕の顔面が何かに衝突した。 ドフッ 硬くない。 それは驚くほど柔らかく、そして温かい壁だった。 視界を覆い尽くす広大な綿の布地。 そこから発せられる熱気は、生き物そのものの温度だ。 (な、なんだ……?) 壁が動く。 ゆっくりと、しかし質量を持った土砂崩れのように、こちら側へと倒れ込んでくる。 押し潰される。 本能的な恐怖に駆られ、僕は踵を返して逆方向へと走り出した。 だが、三歩も進まないうちに、再び正面から衝撃が襲う。 ボフンッ。 「あ……」 行き止まりだ。 背後にはさっきの壁。 正面には新たな壁。 二つの巨大な山脈が、谷底にいる僕を圧殺するために迫ってきていた。 逃げ場はない。 左右から同時に押し寄せた圧倒的な質量が、僕の全身をサンドイッチにする。 ムギュゥゥッ……!! 世界が圧縮された。 顔の右側には、弾力のある柔らかな肉。 左側にも、鏡合わせのような同じ弾力と大きさの肉。 これは、お尻だ。 伊地知姉妹の、巨大なお尻だ。 パジャマの生地越しに伝わる感触が、脳髄を直接刺激する。 直の肌ではない。 だが、一枚布を隔てているからこそ、そこに籠もった体温と湿度が逃げ場なく僕を蒸し焼きにする。 お風呂上がりの甘い匂いと、布団の中の温かい匂い。 そして、姉妹特有のフェロモンが濃縮された空気。 「(……やっぱり……新入りちゃんは……お尻が好きなんだねぇ……)」 頭上遥か彼方から、とろけるような寝言が降ってくる。 虹夏先輩だ。 夢の中で僕を見透かしているのか。 「(……生意気な新顔だ……教育してやる……)」 反対側からは、星歌さんの低く唸るような寝言。 二人は夢の世界でも僕を追い詰め、支配しようとしている。 ズズッ……。 地殻変動が起きた。 二人が無意識に寝返りの位置を調整し始めたのだ。 左右のお尻が、僕を挟んだまま上下左右にグラインドする。 巨大な臼の中で挽かれる穀物のように、僕の体は揉みくちゃにされる。 「くっ、ぐぅ……ッ!!」 姉妹だからだろうか。 左右から伝わる肉の硬さ、脂肪の付き方、肌の弾力が恐ろしいほど似通っている。 右の肉が沈めば、左の肉が追随する。 完璧なシンクロ。 パジャマの繊維が僕の敏感な皮膚を擦り上げ、骨盤の重みが内臓を絞り上げる。 (だめだ、耐えられない……!) 物理的な圧力と、精神的な背徳感。 逃げようともがく動きさえも、彼女たちにとっては心地よい刺激となり、さらなる密着を誘発する。 二つの巨大な桃に挟まれ、すり潰される快楽。 全身の血液が沸騰し、思考回路が焼き切れる。 熱い塊が下腹部から込み上げる。 我慢なんてできない。 意思とは無関係に、僕の体は肉の圧力に屈服した。 ドロリ……。 音もなく、熱い液体が溢れ出した。 パジャマの綿生地に、僕の白濁が染み込んでいく。 虹夏先輩のお尻と、星歌さんのお尻。 その狭間で、僕は自らの穢れを吐き出し、ただの汚れた肉塊へと成り果てた。 重圧が消えた。 姉妹が同時に寝返りを打ち、僕を挟んでいた巨大な臀部が離れていく。 ようやく解放された。 肺いっぱいに新鮮な空気を吸い込もうとするが、そこに酸素はなかった。 あるのは、先ほどまでとは比較にならないほど濃密で、むせ返るような雌の匂いだけ。 「(……次は、なんだ……?)」 闇の中で目を凝らす。 二人の体が回転する。 お尻が遠ざかったかと思えば、今度は体の前面、それも下腹部が僕の目の前に迫り出してくる。 パジャマのズボンが、寝返りの摩擦で大きく捲れ上がっている。 さらに、だらしない寝相のせいか、あるいは無意識下の熱情のせいか、その下にある下着までもが半分ほどずり落ちていた。 露わになった二つの秘部。 目の前に、生命の根源とも呼ぶべき縦に割れた肉の峡谷が二つ、そびえ立っている。 「(嘘だろ……)」 逃げる間もなかった。 二つの峡谷が、磁石のように引き合い、僕を中心にして激突する。 ムニュッ……。 「んぐっ……!?」 右半身に冷たく滑らかな感触。 星歌さんだ。 整えられたアンダーヘアの僅かな感触と、その奥にある成熟した粘膜の吸い付き。 左半身には温かく弾力のある感触。 虹夏先輩だ。 柔らかく、瑞々しい肉の襞が、僕の半身を包み込むように変形する。 姉妹の股間が密着し、その僅かな隙間に僕の全身が埋没した。 布一枚の隔たりもない。 完全なる皮膚と粘膜の接触。 「んっ……なにか、挟まってる……」 「……んぅ……でも、イイかも……」 二人の寝言が頭上から降ってくる。 彼女たちは僕という異物の感触を不快に思うどころか、空いた隙間を埋めるためのピースとして認識しているようだ。 腰が動く。 無意識の擦り合わせ。 二つの秘部が、僕を間に挟んだまま、互いの形を確かめ合うように蠕動する。 「ぐ、ぅぅ……ッ!!」 引き裂かれる。 いや、溶かされる。 右からは星歌さんの愛液が、左からは虹夏先輩の愛液が溢れ出し、僕の体表で混ざり合う。 種類の違う二つのローション。 星歌さんのそれは少し粘度が高く、絡みつくような大人びた香り。 虹夏先輩のそれはサラサラとしていて、甘酸っぱい果実のような香り。 混濁した体液が僕の全身をコーティングし、境界線を曖昧にしていく。 ズブッ。 湿った音がした。 抵抗など無意味だった。 ヌルヌルになった僕の体は、二人の秘部の合わせ目から、それぞれの胎内へと滑り込んでいく。 右足と右腕、そして右半身が星歌さんのナカへ。 左足と左腕、左半身が虹夏先輩のナカへ。 「あ……」 物理的にありえないはずの現象。 だが、姉妹という近すぎる遺伝子のせいか、二人の肉体はパズルのように完璧に噛み合い、僕という存在を共有スペースへ飲み込んでしまった。 右目には星歌さんの赤い内壁が、左目には虹夏先輩のピンク色の内壁が映る。 二つの異なる脈動が、僕の鼓動を乱し、支配していく。 ここはもう、僕がいるべき世界じゃない。 伊地知家の深い闇、その最奥部だ。 腰の動きが激しくなる。 夢現の姉妹は、間に挟まった異物を共有の玩具として認識し、無意識の協調運動を始めた。 右から押し寄せる星歌さんの腰使いは重く、粘りつくように僕を擦り上げる。 左から迫る虹夏先輩の腰使いは小刻みで、弾むように僕を打ち据える。 「んぅ……ふぁ……ッ」 「……ん……はぁ……」 ステレオで響く喘ぎ声。 右耳には艶めかしい大人の吐息が、左耳には甘く高い少女の吐息が吹き込まれる。 脳髄が痺れる。 逃げようとする意志など、圧倒的な快楽と不快感の濁流に飲み込まれて霧散した。 内壁が蠢く。 星歌さんの膣内は、まるで意思を持った生き物のように僕の半身を締め上げ、奥へと引きずり込もうとする。 虹夏先輩の膣内は、脈打つたびに熱い蜜を分泌し、僕の半身を溶かそうと絡みつく。 二つの異なる熱源が、僕という導管を通じて繋がり、循環し始める。 「(あ、熱い……! 境界線がなくなる……!)」 自分がどこから始まり、どこで終わっているのか分からない。 右足の感覚が星歌さんと同化し、左腕の感覚が虹夏先輩の粘膜に吸収される。 姉妹の愛液が僕の体の中心で混ざり合い、ドロドロのスープとなって全身を煮込んでいく。 とてつもない吸引力。 魂ごと吸い出されるような感覚に、背筋が凍りつくと同時に焼き尽くされる。 「んッ……! もっと……!」 「ぁッ……! 奥……!」 姉妹の波長が重なる。 二人の骨盤が、万力のように僕を挟んで硬直した。 逃げ場のないプレス。 限界を超えた圧力が、僕の最深部にある安全装置を粉砕する。 脊髄を駆け抜ける閃光。 声にならない絶叫が喉の奥で張り裂けた。 全身の筋肉が弓なりに強張り、制御不能となった生命の奔流が噴き上がる。 ドクン、と大きく脈打つたびに、熱い塊が二つの胎内へ向けて同時に放たれる。 星歌さんの深淵と、虹夏先輩の聖域。 その両方に、僕の穢れた白濁が叩きつけられ、姉妹の体液とマーブル状に混ざり合っていく。 「んんんーーーーッ!!」 「あぁぁぁーーーーッ!!」 僕の放出が引き金となり、姉妹も同時に絶頂を迎えた。 内壁が痙攣し、僕の体を噛み切らんばかりの力で締め付ける。 搾り取られる。 一滴残らず。 僕の尊厳も、未来も、すべてがこのドロドロとした肉の檻の中で圧搾され、彼女たちの養分として吸収されていった。 肉の呪縛が解けた。 事後の倦怠感に浸る姉妹の力が抜け、僕の体は粘液の糸を引きながら二人の秘部の間から滑り落ちた。 シーツの上に放り出される。 全身が自分と姉妹の体液でコーティングされ、冷たい空気に触れた瞬間、糊のように皮膚を突っ張らせる。 平衡感覚などとうに失われていた。 暗闇の中、ドロドロの体を引きずり、少しでもこの湿度の高い地獄から離れようと匍匐前進する。 右も左も分からない。 ただ本能に従って、熱源のない方角へ。 ふと、視界が開けた気がした。 顔を上げる。 そこは出口などではなかった。 最悪の袋小路。 「あ……」 目の前に、巨大な壁が二つ迫っていた。 伊地知姉妹の顔だ。 いつの間にか二人は再び寝返りを打ち、枕元で向かい合う体勢になっていたのだ。 僕はそのわずかな隙間、互いの鼻先が触れ合うほどの至近距離に迷い込んでしまっていた。 逃げ場はない。 背後は肉の山脈、前方は断崖絶壁。 そして左右には、僕を捕食するために開かれた巨大な唇。 「(……新入りちゃん……大好きだよ……ずっと一緒……)」 虹夏先輩の唇が、甘い毒のように囁く。 その言葉は救いではない。 僕を永遠にこの小さな世界に縛り付ける、呪いの呪文だ。 「(……お前は……私のものだ……逃がさない……)」 星歌さんの唇が、重い鎖のように断言する。 所有宣言。 そこに僕の意思など介在する余地はない。 二人の顔が動く。 吸い寄せられるように、僕という一点を目指して閉じていく。 巨大な唇の皺が、山脈のように迫り来る。 吐息の熱風が僕の全身を焦がし、思考を焼き払う。 チュッ……。 湿った音が、鼓膜を内側から破った。 右頬に星歌さんの肉厚な唇、左頬に虹夏先輩の柔らかな唇。 挟み撃ちのキス。 逃げようとする首の動きさえ、二人の唇の圧力によって封殺される。 唾液の味と、化粧水の香り、そして圧倒的な女の匂い。 (あぁ、終わった) 僕の中で、何かが完全に砕け散った。 憧れていたSTARRYのステージ。 尊敬していた結束バンドの輝き。 そして、音楽への純粋な情熱。 それら全てが、この理不尽で一方的な愛の重圧によって押し潰され、ミンチにされていく。 僕はもう、音楽家ではない。 この姉妹の隙間を埋めるための、便利な肉片だ。 二人の舌が同時に伸びてきて、僕の全身を舐め回す感触を感じながら、僕は絶望という名の深い暗闇へと意識を手放した。