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ドーン
ドーン

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【小説】大聖女、陥落。



「大聖女様、領主の館に到着しました」


「分かりました」


 馬車が停まり、護衛の女騎士が声を掛けると、返事と同時にドアが開いた。

 彼女こそ、この国の守護者ともいえる大聖女フィリア・スタークだった。

 女騎士にエスコートされながら馬車を降りてその姿を現すと、大聖女を迎えるために集まっていた者たちがその場で溜息をもらす。

 皆、その神々しい美しさに感銘を受けたのだ。


 6歳の時に才能を見出されたフィリアは、教会での10年に及ぶ厳しい修行を経て、正式に聖女となった。

 その後の4年間の多大なる貢献と更なる研鑽の末、聖女たちの頂点とも言える『大聖女』の地位を得ている。

 聖女というだけでも希少で敬われる存在であるのに、女神の如き清楚な美貌を持つ彼女は、もはや信仰の対象でもあった。


 今回の任務は、辺境にあるこの領地で、妖魔たちの侵入を妨げる結界を張り直すことだった。

 前任の大聖女が張った結界の効力が弱まったとの報告があり、新任のフィリアが派遣されることとなったのだ。


「ようこそおいでくださいました、大聖女様」


 領主らしき男が挨拶をする。

 同時に、彼の足元から小さな影が飛び出しフィリアの元へ駆け寄ると、その手を取った。

 聖女が視線を下に向けると、そこにはいつの間にか5歳くらいの幼女が立っていて、手を握っていた。

 可愛らしいドレスを着た可愛らしい幼女は、目を輝かせながら見上げている。

 どうやら領主の娘らしい。


「こら!大聖女様に触るんじゃない!」


「いいのよ」


 護衛の女騎士が声を挙げるが、フィリアはそれを制すると、腰を落とし、視線を幼女と同じ高さにして向き合う。


「どうしたの?」


 微笑みながら問うと、幼女は嬉しそうに口を開いた。


「うちのおふろ、とってもすてきなの!」


「そうなの?それはぜひ見てみたいわ」


 懸命な様子でアピールする幼女に、フィリアは笑顔で賛同した。


「我が家自慢の大浴場は、源泉から引いた天然温泉です。すぐにでも旅の疲れを落としてください、大聖女様」


「そうですね。ではお言葉に甘えてお借りしようと思います」


「どうぞどうぞ、準備は整っております、こちらへ」


 領主の勧めに従い、フィリスは幼女を伴って歩き始めた。




「わたしもせいじょさまといっしょにはいる~」


「ふふふ、そうね、一緒に入りましょう」


「うん!」


 護衛をドアの前に残して、聖女と幼女は脱衣所に入る。


「……せいじょさま、とってもきれい~!」


 衣服を脱ぎ捨てて裸になったフィリアを見て、幼女が嬉しそうな声を挙げる。


「ありがとう、あなたももう少しすれば美しくなれますよ」


「うん、わたしもすぐにきれいなからだをてにいれるね!」


 無邪気な会話が弾む。




「こっち!こっち!」


 浴場に入ると幼女が手を引いた。


「まあ!本当に素敵ね!源泉から引いてるとおっしゃっていたけど、濁っているのね」


 湯気を上げる大きな浴槽に満たされていたのは、白く濁った湯だった。

 その濃度はかなりあって、底が見えない。

 湯に手を付けて、適温だと確認したフィリアは、幼女と互いにかけ湯をした後、2人で湯船に浸かる。


「ふう、とってもイイ湯加減ですね」


「すご~い、すべすべ~うふふ……」


 気分よく入浴を楽しんでいるせいか、はしゃいだ様子の幼女にカラダをあちこち触られても、フィリアは特に気にする様子を見せない。


「そろそろかな」


「?」


 何かに満足した様子の幼女が、そう言って立ち上がると、湯船から出た。


「あっ、せいじょさまはそのままね!」


 湯気に混じって魔力が立ち上がるが、夢見心地の聖女は気づかない。

 それどころか、その魔力のせいで、更に気持ち良くなっていく。


「ああ!凄く気持ちイイ!まさに天にでも昇るかのような気持ち良さだわ!」


 本人は気付いてないが、その表現は的を得ていて、彼女の肉体との繋がりが離れかけている魂が、カラダから浮き上がってきているのだった。


「このまま、本当に昇天してしまいそう!ああ、神様!……」


 最期の言葉を残して、大聖女フィリアの魂はその美しいカラダを残して、そのまま天へと昇っていくのだった。



…………



「うふふ、やったー!」


 浴槽の底に仕掛けられていた魔法陣。

 その効力で魂を失った聖女を見つめて、幼女は喜色を浮かべる。

 恍惚の表情を浮かべて口元にはヨダレを流している彼女のカラダは、浴槽の縁にもたれかかり、完全に弛緩してだらしのない姿を晒していた。


「これからは……この俺様がお前のカラダを存分に使ってやるぜ!」


 白いモヤのような霊体が立ち上がった幼女はカラダは、糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちる。

 霊体はそんなことを一切気にする様子も無く、聖女のカラダへと、最速で!最短で!まっすぐに!向かう。

 霊体が聖女のカラダに入り込むと、代わりにこちらが意識を取り戻して動き始めた。


「けっけっけ、流石はすげぇ上玉だ!具合が違うぜ!」


 下品な悦びに美しい顔を歪めながら、自分の形の良い胸とまだ穢れを知らぬ股間も乱暴に弄り、フィリアのカラダは満足そうに呟く。


「……とはいえ、早めにコイツに慣れないとな……」


 その場で黙想するように目を閉じると、下品に歪んでいた表情が本来の落ち着いたものに戻っていく。


「……うん、かなり馴染んできたみたいですね……これで私が大聖女フィリアです」


 フィリアを乗っ取った霊体が、聖女のカラダに残されていた記憶や知識を取り込むことに成功したのだ。


「さてと……面倒なことにならないように、処理はしておかないといけませんね」


 そのまま一旦脱衣所に出て、体に軽くタオルを巻き付けると、護衛の女騎士に倒れた幼女の事を話して、使用人を呼びに行かせる。


「はしゃぎすぎて、湯あたりしたようです。部屋に連れて行って寝かせてあげてください」


「はい、かしこまりました」


 やってきた屋敷の女性使用人に、気を失っている幼女を預ける。

 使用人も、驚いた様子も見せずに、心得たように頷く。

 この屋敷の全員、妖魔の霊体が入り込んでいるのだ。


「あの娘は残念なことになりましたが、とっても素敵な湯ですよ。あなたも一緒に入りませんか?」


「い、いえ、今は任務中ですので……後でいただきます」


 護衛の女騎士を誘ってみるが、予想通り拒否される。

 フィリアの傍で仕えているため目立たないが、この護衛の女騎士も中々の上玉である。

 それに今後の事を考えれば、この女の中身も変えておいた方がいい。


「そうですか。では、私はもう少し楽しませてもらいますね」


「!……ど、どうぞ、ごゆっくり」


 今まで見せた事の無い艶やかなフィリアの表情に、女騎士は一瞬声を詰まらせるが、なんとか返事を返す。


「あせることは無いわ。このカラダが手に入ったのだから、後はじっくりと事を進めて行けばいいのよ、ふふふ……」


 湯船に浸かり再び自分のカラダを隅々まで確認するように弄びながら、新たな『大聖女フィリア』は楽しそうに呟くのだった。




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