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ドーン
ドーン

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【連載】憑依遊戯 第2話 女教師、校内散策を楽しむ


  俺は急いでその場を離れ、気持ちを落ち着かせて状況を整理しようと試みる。


(先生の体に霊体が入ってると肉体に入れないから引き吊り出して……、そのままでは波長が合わなくては入れないから、捕食して由依菜先生の霊体に成りすました……ってことなのか?)


 目の前で起きた事を持論と照らし合わせて考えるとそうなる。

 こんな方法を想像すらしたことが無かったが、実際目の前でやられてみると理に適っていると、俺の中の冷静な思考部分は認めてしまう。


(いやいやいや、とにかく確かめないと!)


 身近な人物、それも憧れている女性に起こった出来事が受け入れがたい俺は、とにかく由依菜先生の状態を確認するべく再び職員室の方を伺う。

 本人がこちらに向かって来ている姿が視界に入った。

 その歩き方は少しガニ股気味で荒々しい上、普段の彼女らしい落ち着きが欠如している。

 何かを探しているのか視線が散漫しているおかげで、まだ俺の存在には気づいていないようだ。


(やばっ!)


 慌てて俺は、近くにあった給湯室の中に滑り込む。

 あの様子だと、ここも覗く可能性が高いので、掃除用具入れの中に身を隠して、スリットから外の様子を伺う。

 とにかく一度やりすごして、すぐに尾行するつもりだった。

 やがて先生が通りがかり、給湯室の中を覗き込んだ。


「あった!」


 彼女は何かをみつけた様子で部屋の中に入ってくると、ドアを閉め、鍵まで掛けてしまった。

 俺は見つからぬように祈りながら息を殺して覗き見を続けるしかなくなる。


 先生は探していたモノ……壁に掛かった大きめの鏡の前に立つ。

 角度を変えながら鏡を覗き込み、自分の顔を念入りに確認すると嬉しそうに目を細めた。


「化粧は薄目で……本当に綺麗な顔をしている。清楚系だな」


 口の端を吊り上げ、今まで見せたことが無い下品な笑みを浮かべる。

 続いて十分に大きさを主張している自分の胸を服の上から両手の掌で持ち上げるように揉み始める。


「大人しい顔をして、この胸のボリュームかよ。さぞかし男子を悩ませてるんだろうな」


 声・姿は間違いなく由依菜先生なのだが、その口調や仕草は、普段とは全く異なる、男のそのものだ。

 胸を堪能し終えた先生の手は、ウエストのくびれを確認し、スカートの上からお尻の肉付きを念入りに確かめ、終いにはスカートの中まで遠慮なく弄りはじめた。


「ガキ共の夜のオカズにするには贅沢すぎる上玉じゃねぇか」


 身体検査が終わった彼女は楽しそうに笑いながら続ける。


「さてと……そろそろ完全に『収穫』するか……」


 もう一度鏡に向かい合って自分の姿を正面に見据える。


「お前の記憶と人格、使わせて貰うぜ、へへっ!」


 鏡の中の自分に下品な笑みを浮かべながら話しかけると、続いてその口から自分の記憶を辿っていくような呟きが漏れ始めた。


「……俺の名前は……ユイナ……そう、私は神楽由依菜……24歳……この学校の英語教師……赴任2年目で、今年は3年生のクラスの副担任をしていて……最近は1000ピースのジグソーパズルにハマっていて、少し寝不足なのよね~……うん、『収穫』完了ね!」


 呟いている間、表情から下品な印象が徐々に抜け落ちて、いつもの落ち着いた表情に戻っていく。


「さてと……これからどうしようかしら?」


 独り言を呟きながら可愛らしく軽く首を傾げると、時刻を確認する。


「……残りの仕事は……うん、全部来週に回せるわね……でも帰るには少し早い時間だわ……だったら折角だし、校内を散策ね。他にイイ『収穫』が出来るかもしれないし、ふふふ……」


 納得したように1つ頷いた先生は、普段と変わらぬ微笑を浮かべ、来た時とは異なる落ち着いた足取りで部屋を出ていく。

 それを確認して俺は掃除用具入れから出た。


(雰囲気は元の先生に戻っているけど、どういうことなんだ?……とにかく追いかけるんだ!)


 俺は尾行を開始した。



 由依菜先生は興味深そうにキョロキョロと視線を振り撒きながら、校内を当てもなく歩いているようだ。

 俺は気づかれないように細心の注意を払いながら、細かい仕草まで観察する。

 表面上は普段通りにしか見えない。

 先程の場面を目撃していなかったら、中身は別人になっているなどと想像すらできなかっただろう。

 

 時折見かける部活動中の女子生徒を値踏みするかのように眺める先生だったが、何かを思い出したように急ぎ足で歩き始めた。

 俺は気づかれないように距離を置いて彼女の後を追う。

 向かった場所は、普段ほとんど使用されることのない研修棟だった。

 そこの女子トイレの前にくると、一度立ち止まって周りを見渡す。

 そして、中に入っていった。

 それを確認した俺は、授業中にした妄想のことを思い出し、女子トイレの外側に回り込んで耳を澄ます。

 ドアが閉じる音がしてから数分後、換気の為にわずかに開かれている窓ガラスから、予想した通りの『声』が漏れてきた。


「はぁ~ん……」


 想像の世界で俺の口から漏れたモノより、ずっと艶めかしくリアルな『声』だった。

 恐らく自分の乳首を弄って出た『声』なのだろう。


「……あっ、あっ、イイ!ここが凄く感じて……ん!気持ちイイ!!!……」


 何度も想像したことはあるが実際に聞くのは初めての、淫靡な響きの『声』だった。


(はぁはぁ……これが……先生の……想像してたよりずっとエロい!)


 俺の股間が反応して起き上がる。

 我慢が出来なくなってソレを取り出すと、記憶にある由依菜先生の容姿からその裸体を想像する。

 そしてその『声』と、全裸の由依菜先生が自分の股間を指でかき回し乱れ狂っている姿の想像を重ね合わせながら、激しくしごき始める。


(はぁはぁ……由依菜先生!……由依菜先生!)


 『声』が止むまで俺は、想像の中の由依菜先生に劣情をぶつけ続けたのだった……。


 

 『声』が聞こえなくなってから数分後、蛇口から水が流れる音がすると、服装を整えながら由依菜先生がトイレから出てきた。

 顔は熱でもあるかのようにほんのり赤味がさしている。

 足取りも若干浮ついている気がする。

 俺自身も、本物の彼女を見て再び興奮するのを収めるのに苦労するが、なんとか気を取り直して尾行を再開する。


 しばらく歩いていると、視界に二人組の女子生徒が入った。

 ジャージ姿の二人は、見ると片方の女子は足を引き摺っていて、もう一人が肩を支えているようだった。

 今までで一番長い時間値踏みの視線を送った後、先生は二人に近づいて声を掛けた。

 

「どうしたの?大丈夫?」


「あっ!神楽先生!彼女、足を痛めたようなんです。それで保健室まで連れて行こうと……」


「そう、わかったわ。私も付き添うわね」


 そしてケガをした女子に寄り添い肩を貸すと、空いた方の手を中々の大きさをもったその娘の胸に持っていき、いきなり鷲掴みした。


「せ、先生!」


 触られた女子が顔を赤らめて恥ずかしそうに声を挙げた。


「あら?足に負担が掛からないように支えられないかと思ったのだけど……やっぱり、普通に腰に手を回した方が良いみたいね。ごめんなさい」


「い、いえ!大丈夫です。女同士ですから気にしないでください!」


「そう?そうよね、女同士だから問題ないわよね。それじゃあ行きましょうか」


 そう言いながらも次に由依菜先生の手が回されたのは、女子の腰というよりはお尻の方で、しかもそれを下から持ち上げるような手つきだった。

 今度は女子は顔を赤らめるだけで抗議をせず、黙って受け入れて歩き始めた。


 しばらく歩くと白衣を着た女性が視界に入る。

 この学校の養護教諭、三崎涼花(みさき すずか)先生だった。

 こちらに気付いた彼女のほうから近づいて来て声を掛けてくる。


「神楽先生、けが人ですか?」


「ええ。えっと……三崎先生、診てもらえますか?」


「分かりました。それじゃあ……そこに座らせてください」


 指示された通り、怪我をした女子を腰掛けさせると、涼花先生が早速、足の様子を診る。

 由依菜先生は、黙ってその様子を眺めている。

 その視線は、診察の様子より、養護教諭の美貌やその体の方に向けられているようだった。

 由依菜先生とは異なるタイプの美人で、端正に整った凛々しい顔立ちの上、成熟した大人の色香の持ち主だ。

 長い髪を今は首の横で束ねていて、清潔感がある。

 スタイルも良く、特にスカートから覗く黒タイツに包まれた脚の美しいラインが目を惹く。

 年齢も由依菜先生より2つ上なだけで若く、その面倒見の良さと美しい容姿で、こちらも男女問わずに人気の高い先生である。


「……大丈夫、折れてはいないみたい。でも腫れているから保健室で治療しましょう」


 そう告げた涼花先生がケガをした女子の肩を担ぐ。


「神楽先生も顔が少し赤いですけど、大丈夫ですか?」


「え?ああ、これですか?大丈夫です。大したことはないです。それじゃあ私は失礼しますね。後の事はよろしくお願いします、三崎先生」


「はい、任せてください、これが仕事ですから」

 

 別れ際にみせた由依菜先生の、新しい玩具を見つけた子供のような笑みに、俺は寒気を感じたのだった。


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