僕は叔母の髪を引く手にさらに力を込め、思い切り叔母の髪を引絞った。
「いやああああ・・・・」
叔母の悲鳴にも近い嗚咽とともに、全ての泡が取り除かれ、僕の手には叔母の髪を根元から引き抜いたかのような感触とともに、何本もの長い髪が残った。
僕は全てを、全ての思いを出しつくし、床にへたり込んだ。
叔母も僕に渾身の力で髪を引っ張られ、がっくりと首を浴室の縁にもたれかけている。
僕はゆっくり立ち上がると、後ろで見ていた木本に
「流してあげてくれ。俺はちょっと疲れた・・・」
そう言って座り込んだ。
木本に精子シャンプーを根元から髪先まですみずみ洗い流されている叔母の後ろ姿を見ながら、僕は少し晴れやかな気分になっていた。
今後は自分の性癖を隠すことなく生きていこう・・・。そんな風に考えながら。
すっかり泡を流し終え、叔母が濡れ髪をかき上げながら僕の方へ歩いてきた。
「あれから10年。こんなに大きくなって・・・。」
僕の膝に手を置きながら、まるで自分の息子を見るかのように、僕を見つめる。
「ごめんね、叔母さん。あんなに強く引っ張ったりして・・・」
洗面所やお風呂場に落ちた叔母の長い髪を見ながらそうつぶやく。
「ううん。それも成長の証しだもの。あの時はこんなに痛くなかったわ」
そう叔母が笑いかける。
「そ、そろそろ帰らなきゃ」
と、僕が腰を上げようとすると、
「待って。最後にお願いがあるの・・・」
叔母が真剣な表情でそう言った。
そして棚からハサミを取り床に置くと、自分は正座をし髪をばさっと前に出しながら、こちらに土下座をするような格好になった。
そして手に持った櫛を自分の濡れた髪のうなじからゆっくりと僕の方に通した。
それを何度か繰り返すと、濡れて輝きを増した叔母の長い髪が僕の前で所在なさげに広がっていた。
「こ、これは・・・。」
僕がこの状況を飲み込めずにいると、
「お願い。優君の手で、私の髪を切ってちょうだい・・・。せめてもの罪滅ぼしに・・・」
そう言って叔母は自らの手でその長い髪を僕の方へかき出してくる。
「え、そんな・・・。できないよ、そんな事・・・」
僕はすっかり動揺し、震える声でそう言った。
「ううん。優君ならできる・・・。優君に切って欲しいの。あなたの手でこの髪を断ち切って・・・。そしたら私も新しい生き方を見つけられる気がするの・・・。」