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尋問される提督 その1

薄暗い通路を看守に連れられ一人の男がうつむきながら歩いている。

ここは朝鮮の捕虜収容所。

男は先日の海戦で敗れ捕らえられた日本海軍の若い提督であった。

階段を降り連れてこられた地下の部屋は、中央部に椅子が固定されているだけのなにもない空間だった。

提督は椅子に座らされ、暴れないように再び拘束される。

看守は備え付けの内線電話で誰かと話すと部屋を出ていった。


「今頃本国ではどうなっているだろうか・・・。」


轟沈していった艦娘達の姿が焼き付いて離れない。

がらんとした部屋で一人うなだれる提督。


カツカツカツ・・・


部屋の外から足音が響く。

こんな状態を敵に見せる訳にはいかない!

気力を振り絞り再びキリっと顔を挙げる。

扉を開けて入って来たのは二人の女性。

知り合いもいない敵国のはずなのに提督はその二人の顔を知っていた。


「鈴谷、熊野!?どうしてここに!?」

「ふふっ、ごきげんよう提督。」

「チーッス!久しぶり、提督♪」


一年前の朝鮮との海戦で轟沈してしまった筈の二人。

そんな2人が自分の前に姿を現すわけがない!


「久しぶりの再開だというのにどうしてそんなに身構えているのかしら?」

「熊野も鈴谷も一年前お前たち朝鮮海軍との戦いで轟沈したんだ!その二人がここにいる訳ないだろう!騙されるか偽物め!」


お前たちの卑怯な手口に屈するか!と看破したつもりの提督だったが・・・。


「偽物呼ばわりとはひっど~笑。私たちは正真正銘、あの戦いでチョッパリに見捨てられたかわいそーな艦娘だよ笑。その証拠にさ、こんな事知ってるもんね──」


鈴谷の口から出てくるのはプライベートでの思い出話。

自分たちしか知らない情報がすらすらと口をついて出て来る。


「そ、そんな・・・。それじゃほんとに・・・。」

「やっと理解しましたのね、チョッパリは物分かりが悪くて困りますわ。わたくしたちはあの戦いで轟沈しましたけど、偉大な朝鮮海軍の皆様が助けて下さったのよ。」

「私たちを見捨てたチョッパリとは大違いだよねー?敵だった私たちを治してくれるんだもん♪」


うっとりした様子で二人は語り続ける。


「慈愛に満ちた将軍様の御心に触れ、私たちは生まれ変わったのです。」

「ひひっ❤見てなさいよて・い・と・く❤じゃじゃーん!」


バサッ

2人は羽織っていたベンチコートを脱ぎ捨てる。

2人が身に着けていたの赤白青、朝鮮国の国旗が大きくプリントされた競泳水着のような衣装だった。


「偉大な国旗に包まれると心が落ち着きますわね、鈴谷・・・いいえスヨン♪」

「ほんとだね~ヒョヨン♪」


互いをスヨン、ヒョヨンと呼び合う2人に提督は困惑したような顔を浮かべた。


「ヒョヨンにスヨン・・・?やはり貴様ら偽物なのか・・・!」

「まーったくほんとに物分かり悪いねチョッパリは。言ったでしょ私たちは・・・

“生まれ変わった”って。ウリナラの一員になったんだから相応しい名前を頂くのは当然でしょ?」

「わたくし達はあなた方チョッパリが忌み嫌う“チョン”になったという事ですわ♪」


互いに向き合って両手を組みあい、うっとりした顔をする2人。


「この一年朝鮮海軍の一員として教育を受け、今日が記念すべき初めての任務になりますの❤」

「チョッパリを尋問して情報を引き出す・・・日本語のできる私たちにピッタリのお仕事だよねー❤」


2人はニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら提督ににじり寄る。

変わってしまった2人の姿で提督の心に怒りの炎が灯った。


「クソ!誰がお前たちになんか情報を渡すか!私は誇り高い帝国海軍の提督だ!

お前たちの思い通りにはならない!」


プッ!と2人に向かって唾を吐く。

身動きできない提督にとっては最大限の抵抗の意思表示だ。


「あらあらまるで猿ですわね・・・汚らわしい。提督、痛い思いをしたくなければすぐに吐いてしまった方が身のためですわよ♪」

「なんでこの服着てるかわかった?ひひっ♪水責め、火責め、鞭打ち・・・いっぱい教えてもらったからどれからするかスヨン、ちょっち悩んじゃうなー❤」


スヨンとヒョヨンの魔の手から提督は情報を守ることができるのか──。




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