とあるQさんのお話(表現規制を調べて感じたこと)
Added 2020-01-12 12:09:16 +0000 UTC現状いろいろ問題になってます
いわゆる18禁漫画やイラストでの表現規制、
自分も当事者ではあるので本腰入れていろいろ調べたのですが
すっっごいヤリキレナイ気分になりましたので、鬱憤を小話に変換しました。
お読みください。
とあるQさんの話。
Qさんは”ウルシキー国”に住む男性の画家で、
女性のマーメイドやハーピー、ケンタウロスなどの幻獣の美しさや妖艶さを題材に絵を描き
美しい幻獣を描くことに心血を注ぎ、またその美しさを理解してくれるファンの賞賛に喜び、
精力的に仕事に取り組み生計を立て、健康的な生活を送っておりました。
特にマーメイドの人体と魚部分のつなぎ目、肌からウロコへの移り変わりや背骨の自然さが
実際に存在しているかのようだと高く評価をされていました。(評価≠収入)
Qさんには、面識もないようなすげえ遠い親戚に
”イップレさん”というかたがおり、イップレさんは社会道徳的な自制を利かせるのが難しく、
社会生活を営むのに福祉援助とかで大きいコストを必要とする素養をもつ人がでした。
イップレさんは、Qさんとは遠く離れた"ヤポン国"にて、援助が必要な素養があったにも関わらず
野放しで生育・生活されてきた挙げ句に、異性への強姦罪で捕まりました。
強姦の事件が起こったため、被害者本人はもとより、ご家族や親しい人物が怒り心頭です。
ヤポン国では今回の強姦事件のような表だった衝撃事件が珍しく、センセーショナルでもあったため
「一族郎党皆殺しにしてくれる!」って息巻いてる強姦被害関係者の4人ぐらいに便乗して
2人くらいの攻撃的な扇動スピーカーと100人以上の烏合の衆っていう
"無関係者"たちが「皆殺し!皆殺し!」って騒いで一部の大人数がヒートアップしてます。
この騒ぎに便乗した扇動スピーカー2人が
「強姦を犯すような異常者たちは皆殺しにする法律を作ろう、世論もそう言っている!」
「異常者を選別する機関を作って税金で運営しよう、世論もそう言っている!」
「異常者の選別は我々が行う、この事態にこれだけ熱心に取り組んでるんだ、世論もそう言っている!」
「異常者撲滅団体をここに設立する!国王は異常者への対処が足りない!世論もそう言っている!」
と、本来の陳情手続きを無視した強引な主張を繰り返すおかげで
対応に追われる国の運営部がだんだん疲弊してきました。
異常者爆滅団体は正義のタテを振りかざすおかげで
威力業務妨害的なアカンことだといってしっかり突き放せないシチュエーションでもあるため
ずっと応対し続けなくてはいけない状況でもありました。
この事態を重く見たヤポン国王は
「なんとかヤツらを黙らせることはできないのか!」と四苦八苦しておりました
国王秘書がこう提案します
「とりあえずイップレを公開処刑して世論感情を鎮めましょう」
イップレは公開処刑され、2人の扇動スピーカーと一部の大人数による
威力業務妨害のような活動はちょっとだけ静かになりました。
(2人が謀って一時的に静かにさせました)
そんなある日、ウルシキー国で細々だけど自由に暮らしていたQさんのもとに
ヤポン国からの使者がやってきました
「お前はイップレの親族だな?」「男性画家だそうだが裸婦は描いてないか?」
「なんだこの絵は?女性の下半身が魚や馬ではないか!」
「なんと!強姦をしたイップレ同様に異性への劣情が歪んでいるんだな!?」
「なんとけしからん!お前はヤポン国へ連行する!」
Qさんはわけもわからず拉致されました。
ヤポン国にてQさんが国王秘書と対面します。
「飛躍した強姦騒ぎを沈静化させたいんで処刑されてください。」
「ヤポン国に住むイップレの親族を公開処刑する度に世論感情が収まりました」
「もう国内にイップレの血縁者はいないので国外でも親族であり、かつ異性への異常な劣情をもつあなたが適任です」
いきなり殺されることになったQさんは必死に抵抗します、
ほぼ関係のない私が殺される理由はなんだ、はっきりしていない。
国王秘書がこう返します
「強姦をするような異常者イップレの親族に、これまた異性への異常性をもつあなたがいました」
「異常者であるあなたを国王の名で殺すことで、異常者撲滅団体の国王向け活動を萎縮させられます」
「これは我が国を運営するうえでの必要な犠牲です」
殺されるわけにはいかないQさんはヤポン国王への謁見に臨み
しっかり陳述をしたうえで対話をしました。
ヤポン国王との対話の末、Qさんは命を助けてもらえるかわりに
異常者撲滅団体の前で「異常者じゃないパフォーマンス」または
「異常かもしれないが自制できるという宣誓」をしてもらう必要があるとのことです。
さて、自分が異常だとはこれっぽちも思えないQさんは
”異常である条件”がわけわからないため
「異常者ではありません!」と声高に叫んだところで
そんなの嘘だと糾弾されることが予想されています。
Qさんに残されたのは
「異常者かもしれないが自制できるというパフォーマンス」をするという道だけです。
じゃあ、何が自制になるんだろう?わけのわからないままQさんがとった手法は
自分が大事にしていることを犠牲に差し出すから命はカンベンしてくれ…という発想にもとづき
新しい絵を拵えて説明会を開くこととなりました。
えー皆様、こちらをご覧ください
こちらの絵は、マーメイド、上半身は女性で下半身が魚の
いわゆる人魚の絵…に見えるかもしれません。が、しかしよーくご覧ください。
上半身に見える女性はこの水辺に水浴びをしに来ているだけで、
下半身に見える魚の尾とは、ここの水面の境界線で切り離されていますよね?
つまり、これはマーメイドを描いたのではなく
上半身だけがたまたま映っている女性と
下半身っぽく見える位置にたまたま来ていた大きい魚の絵なんです。
ただ、水辺の女性と魚を描いただけです、決してマーメイドではありません。
ヤポン国でも存在しますでしょう、ごく普通の絵画なのです。
・・と、私はこのように、
マーメイドに見えるかもしれないし
女性と魚に見えるかもしれない、
解釈の余地がある絵を描くことができます。
私は、あなたがたからすれば異常者に映るかもしれません。が、
異常でないあなたがたに配慮をしまして、私は今後
こういった捉え方の余地がある絵を描いていくことにします。
マーメイドやケンタウロスといった幻獣にしか見えない絵は描きません。
私のライフワークを維持できる最大限の譲歩なのですが、これで
処刑はお許しいただけないでしょうか?
譲歩の姿勢が示されたことにより、国王はQさんを解放してくれました。
ウルシキー国に帰ってきたQさんは絵描きを再開します。
ヘタにはっきり幻獣を描くとヤポン国に殺されるので
おそるおそる絵を描く生活になりました。
絵を賞賛してくれていた人々は
「人体と魚のつなぎ目の自然さ、実在するのかと思わせるそのグラデーションが美しかったのに…」と
大変残念に思う方がたくさん居ました、がQさんの事情も知っていたため
半べそかきながらも応援をしていました。
そんなある日、Qさんのもとにヤポン国の使者がやってきました。
「無修正人魚の絵を見たぞ!!」
「お前を殺す!」「もしくは罰金だ!!」
Qさんは身に覚えがありません、しかし幻獣の絵は実在しました。
Qさんとは別の画家が描いたものでした。
それでも矛先が向くのはQさんです。
幻獣規制の影響もあり生活に余裕がなくなったQさんは罰金も支払えません、
これまた何かしらの譲歩をしないと死んでしまう…!
そう思ったQさんは、その場しのぎで条件を追加しました。
幻獣っぽく見えないようにもっと自主規制します!そう…たとえば、こう
女性がウロコのスカートを着ているんだと解釈できるように、魚の尾ヒレを隠します!
これでどうでしょう?
犠牲を払ったQさんに対してヤポン国の使者は強く出られません、
今回は事なきを得ました。
Qさんは泣きました、ファンのかたがたも落ち込みました。
またある日にヤポン国の使者がQさんのもとに来ます、
また強姦事件が起こったそうです。
国も違うし血筋も関係ない強姦事件なのですが、Qさんの絵が一因だと見なされたようです。
またQさんは表現を切り詰める譲歩の手段をとることにして、命を繋ぎました。
そしてまたある日には家畜の惨殺事件でQさんが咎められ、
さらにはQさんの一部のファンまで巻き込まれてしまい
昔のQさんの無修正幻獣絵を家に飾っていたウルシキー国のファンが
ヤポン国に罰金を払わねばならない事態にまでなりました。
そしてまたある日にはヤポン国にジョッヒン国の貿易視察団が来るとのことで、
Qさんの作品がジョッヒン国に対して失礼だとされ、命の危機に遭い
そしてまたある日には…
と、そうこうして表現を切り詰める譲歩をし続けた結果
Qさんは命をつなぎ、異常者として批難され続けながらも、
表現のキモをあえて自ら真っ黒に隠し、なにがなんだかわからない絵を描く前衛芸術家になっていました。
そして…
Qさんが渾身の作品を制作し終わりかけた日の午後、
黒塗り処理を施す直前で押し入った強盗に殺された挙げ句
表現規制のない完成作品を世に出そうとしていたことにされ、死後も
だらしのない異常者としての反面教師といったカタチで語り継がれることになるのでした。
とあるQさんのお話、おしまい。
○メモ
発端は強姦という暴力、表現ではない
国が違う→ゾーニングがある前提
強姦事件からの問題点すり代わり
なしくずしの槍玉
自主規制はケジメで一時的に見逃してやる、がまかり通ってしまう価値観
規制の影響と問題解決への無関係さ
表現を規制するのは暴力の抑制が目的となってない状況
表現の自主規制は生存のための手段でしかなく、強姦ならびに暴力の抑止と無関係
Qさんは他にもやりようがあったハズだが自主規制をし続けてしまうジリ貧
臭い物にフタすらできていない、身を切るガーゼを追加しているだけ
特定の人物や団体が原因ではなく、強いていえばほどほどにみんな悪いっていう厄介なやつ
大量の人間集団によるだらしなさのシワ寄せの一端
切り詰めた自主表現規制とは無関係な暴力による終わり