こんにちはこんばんは、ぱぱを🐼🐾です
なんやかんやであと一週間ちょいになってしまった新春けもケット10ですが、行く予定の皆様カタログは購入されましたでしょうか!今回は入れ替え入場制なので、カタログあんどチケットセットとやらを事前に買っておかないと入れないですよ〜〜!……って文章を数日前に書いておいたのですが、どうやら売り切れたようですね……すごい。
3回目入場は当日現地で販売しているカタログを買えば入れるようになるらしいので、チケット付きカタログが買えなかったよ〜という方もまだ諦めるのは早いです🐼当日是非現地でお会いできたら嬉しいですね!
そしてサンプル5つ目、今回のお話で挿絵を描いていただいたのはひろじさん(@hiroji080)です!島国という田舎に住む猟師の熊と、そこで医者をやっているワンコのお話。甘め濃いめです。どこかの体に悪そうなラーメンのような呪文ですね…。
秋冬にかけて山に生息するケモノを駆除して食したり肉を売ったり、そんな感じで生計を立てているこの猟師熊おっさんですが……現実世界での猟師って一応猟をして良い期間ですよ〜っていう「猟期」なるものがあって、地域によってその期間は異なるんですって。なので一年ずっと猟をしているわけではないので、あまり話にこう組み込めなかったのが若干心残りなお話……。というわけで猟師熊おっさんが暇な時は別の知り合いに仕事をもらって手伝っていることにしたので、一年を通して肉体労働をしている熊おっさんが出来上がりました🐻…今思えば一年通して猟をして良い設定にしときゃ良かったと思いました。そんなリアルに寄せなくてもいいのに…創作という自由空間で縛られているぱぱをなのでした。
それから自分があまり扱ったことのない方言を取り入れて書いてみたので、若干心配ではあります😇方言といっても結局一部を取り入れたオリジナル言語みたいな感じなので、多少現実と異なっていても良いこととします。ぱぱをルールというやつ。
今回はまた前置きが長くなってしまった。では、ここからはサンプルをお楽しみください〜👋
(今までで一番遅い入稿だったせいで印刷所から表紙データがまだ上がってこず、本当に本が出来上がるのか心配になっている…………)
※以下、サンプル本編。
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タイトル:デカ熊のいる島生活
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温かな風が吹いてきた。それと同時に、薄ピンクの花びらまで。黒い鼻先に感じるは、潮のニオイ。……といっても、男の汗のニオイではないぞ。広大な海の香りがする。毛皮にまで染み込んでゴワゴワにしてくるこの潮風は、もう何遍も飽きずに嗅いだ香り。
今日もいい天気だ――。
いつも何とはなしに見ている田舎の景色。僕はいつしかこの土地から離れられない存在となっていた。最初はイヤイヤ、いやそれこそ……イライラしながらこの島に上陸したものだが。……あのクソ上司め。いつか痛い目を見ればいいのに。ちょっと新人の僕が出しゃばったからって、それを逆恨みして僕のことを“問題ばかり起こす上に業務態度も最悪な新人”だと上へ報告しやがって――。
都心の本病院へ配属された、自分でいうのも何だがそこそこ優秀な新人である僕だったのに。それが気づけばこんな孤島の狭苦しい病院へと異動させられていたんだ。つまるところ落ちこぼれってやつ? ……ほんっとに思い出せば思い出すほど腹が立ってきた。
だが今は違う。ここには、僕の求めていたものがたくさんあった。あの日の怒りを忘れられるほど、この島国には良いもので溢れているんだ。それに気がついたのは、そう。彼から告白を受けた日。
今日も漁業組合で手伝いをしているであろう大柄な体格の彼を頭に思い浮かべながら、僕はミニサイズの缶コーヒーをグイッと飲み干した。デカいのに目がつぶらで、丸耳で、全身から男らしさを醸し出している彼。早いところ仕事を終わらせて、彼に会いたい。
「……もうこんな時間か。さて、と」
この島での生活は、都会に比べたら随分と不便だと思う。それでも僕は、ココが大好きだった。
*
診療所へ戻るや否や、早速待合室は獣人たちで溢れかえっているとの話を助手である犬獣人の女性から聞かされる。まったく、近くに病院があまりないからっていつもココは大混雑だ。心が休まる暇もない。そう言いつつも、僕は助手に合図を送って午後の診察を始めることとした。奴ら、一分でも診察開始が遅れるとうるさいからな。
「どうもこんにちは。調子のほどはいかがです?」
「センセー、また痛みが酷くてのぉ……」
「どれどれ……」
最初の患者さんである獅子獣人のおじさんに軽く挨拶をしながら、以前ココを訪れた際からどれだけ変化したかを口頭で聞いてやる。ふぅむ、腫れは……いや、腫れもなんか前より大きくなったような……。腱鞘炎だから安静にと言ってよく効く湿布を渡してやったはずだが、使わなかったのだろうか。それとも――。
「……何か激しい運動とかやられました?」
「え゛っ……そ、そうじゃなぁ、んー、あの……」
ジッ……と白髪混じりの鬣を携えた獅子獣人を見ながら、僕は彼の返事を待つことにした。多分、自分から言わせた方がいいと思う。僕は外堀を埋めるようにして誘導しながら、今度は目線を上げて彼の顔面をしっかりと真正面から見つめ続けた。
「…………ちょっと激しく、その、でへへへ」
「……いや、お気持ちはわかりますが……腱鞘炎の手でシコるのは無理がありますって」
「じゃがなぁ、独り身じゃと発散してくれる相手もおらんで。仕方のない話じゃ。それにワシ、利き手じゃないと気持ちよぉない」
「…………これ以上動かすとまた治りが遅くなりますよ」
「そっそれは困る、ワシにはまだやらんといかん仕事が……」
執筆業、それも今時手書きで原稿を書く獅子獣人の彼。利き手が使えないと彼の仕事にとって死活問題となるだろう。やはり肉食の、特に大柄な獣人は性欲が強すぎる。年齢にして確か七十を超えていたはずだが、それでも彼は一日に三度の射精は欠かせないらしい。……くそっ、羨ましすぎるぞ。僕もそれぐらいの性欲が欲しい。
「……センセーに抜いてもらってもええんじゃが……」
「何か言いました?」
「あ、いや、その。……センセーには立派な恋人がおるもんな」
「…………」
恋人――そう言われて、一瞬で頭の中に出てくるあの人物。大きくて、ゴツくて、でも耳が丸くてかわいい、熊獣人の……彼。はぁ〜……早く帰ってハグさせてもらいてぇ〜……もう診療なんてやめちゃって帰ろうかしら……。今朝方一緒に過ごしていたというのに、僕の体はもうあの熊のことを思い出してウズウズしてしまう。
「きっと夜はお盛んなんでしょうなぁ。なにせ雄熊は年中発情期みたいなモンですから。ハッハッハ!」
「シーッ! 声がデカいですって!」
「なにせ村一番の男前って評判じゃからなぁ。センセーもいい人と巡り会えて羨ましい限りですわ」
「…………ども」
恋人のことを褒められて、僕はちょっと顔が熱くなったから横を向いて顔を見せないようにした。そう、だよな。この村では……一番有名かも、だからな。彼は今こそ漁師の手伝いをしているし、何ならその前までは父親の営んでいた小さな建設会社の大工として働いていたらしいし、ほんと……顔が広すぎる。あんなデカい図体しててしかも強面なのに、そんなの関係ないと言わんばかりに誰が相手でも気さくに話しかけては色んな人と仲良くなっていく。まさにコミュ力の塊。僕はというと正直あまり大勢の人と友達とか知り合いになろうとは思ったこともなかったので、なるべく静かに過ごしていたいタイプだ。犬獣人なのに珍しいと言われることもあるが、もう何百回も言われてきたことなのですっかり慣れてしまった。
僕にないものをたくさん持っている彼、そんな熊と僕なんかが恋人だなんて。正直同棲して五年ほど経った今でも信じられなかった。
「戌村先生! 今入口に…………」
「え? ……あ、はい、わかりました。すぐ入ってもら……」
獅子獣人の患者さんと話をしているところを割り入ってきた、助手の犬獣人看護婦。彼女から耳打ちを受け、僕は一気に頭を覚醒させる。急病人、らしい。しかも既に入口まで来ている――そう聞いた時、僕の目線の先にあった待合室へと続く扉がバンッと音を立てて開かれた。まだ呼び出してもいないのに入ってくるとは、むしろ急病人というよりはむしろ健康的な人なのではなかろうか。
……そこには、僕が最もよく知る人物。そしてさっき会話に出てきた、村一番の有名人が白シャツと長ズボンというどエラくエロい……いや男らしい格好で入ってきたのだ。
「えっ、あ、団平、さん⁉︎」
「おう和一(かずいち)! 今朝ぶりじゃなぁ、元気しちゅうか!」
「いやいや、あの、急病人ってさっき聞……い⁉︎」
まさに早く家へ帰って会いたいと思っていた人物、それがなぜ目の前に? ……ということは急病人というのは彼のことだろうか。うっかり下の名前で呼んでしまったが、まぁ僕らが付き合っていることは村中の人々にバレているしいいか……。
それにしてもなんだよ、汗染みやばすぎ。どこ走ってきたのと言わんばかりに蒸れて色が濃くなった白シャツを身に纏っていて、今にも鼻がヒクついて仕方がない。何なら隣にいる助手の人、汗臭すぎてめっちゃ引いてるし。……いやいやそんな所を見ている場合ではないぞ、それよりもちょっと気になる部分があってな。うーん、右肩の部分……なんか赤くね……? 気のせい? そう思って近づいてみると、背中側がそれはもう見るに耐えない事態となっていて。なんと真っ赤な鮮血が、円状に広がっていたのだ。僕はもう全身から血の気が引いてしまい、マズルをあんぐりと開けたまま彼の顔を見る他なかった。
「あー、これな。いきなし漁港にヒグマの子供が入って来ちゅうき、猟銃も持っとらんで素手使うてヤりあったがや。いや〜強かったけぇ、最近は子供っちゅうても油断できん。大人のヒグマやったらオレの方が危ないとこやった。ガッハッハッハ!」
「こっ……」
「ん?」
「こんの大バカ野郎ーーーーっ‼︎」
一階建の狭い診療室、いや病院内へと響き渡る僕の声。室内にいる誰もがシンとし、僕の方へと視線を送っていた。そう……彼が僕の彼氏――立山団平(たてやまだんぺい)さん。繁忙期は猟師として生計を立てている、体格が人一倍良くて野生のヒグマ相手でも引けを取らない熊獣人。僕は彼のことが大好きでもあり、そして誰よりも彼のことを心配してしまう存在だった。
「はぁっもう……早く消毒しないと……ほら動かないで!」
「なんじゃあ、随分と乱暴な処置じゃけえ。一応オレ、怪我人やき。やさしく、やさし〜く頼むで」
「……あのですね、何度も言いますけど。あなた、野生のヒグマ相手に何やってるんですか⁉︎ いくら体格のいい獣人だからって逆にヤられて食われる可能性だってあるんですよ⁉︎ 命がいくつあっても足りない‼︎ あなたはいつもそう、血の気が盛んで野生の動物から受けた喧嘩は全部買う、おかげで私は何回あなたの血まみれの体を治療するハメになったか覚えてますか? ええ? もうかれこれ七十三回は大怪我の部類を私が診」
「まぁまぁ、ここは病院じゃけぇ。もっと静かにせんね」
「誰のせいだと思ってるんですか誰の‼︎」
彼の汗まみれ、そして背中側が血まみれのシャツを脱がしてみると……まぁ何とも肉がエグれているではないか。歯型のような跡が毛皮の内側にまで達していて、おそらくその漁港に現れたというヒグマから咬まれたのがよくわかる。傷口に細菌が入り込むとあとで膿が出てきてしまう為、きっと激痛でまた彼は涙を流す事となるだろう。早いところ処置して、傷口を塞がねばなるまい。
「……縫います」
「は? いっいやいや、オレは大丈夫やき。そんな、縫うとか、物騒なこと言わんでええぞ!」
「いやだから、縫います。縫わないとこれ、傷口開きすぎて出血止まらないです」
「いやいやいや無理じゃ! 頼む、後生の頼みじゃき! ……あ゛ーーーーっ‼︎」
「はい、痛いですよね。縫わないともっと後で辛いですからね。麻酔なしでいいですよね? 注射がお嫌いなんでしょうし」
「無理無理無理無理! 血はその、今も出ゆうがそんなん唾つけときゃ治るで! 経過観察や! 要経過観察! ほなオレ、先に帰っちゅうき! 一応怪我したらセンセーんとこ行かんとダメやって言われたとこやし、な?」
「そんな昔ながらの手法じゃ絶対に治りません。いいですか、ぜったいに、治りません。……痛いのがイヤならやっぱり麻酔、打たないとダメですね」
「あ……ぁ……」
この人、誰かと喧嘩している時は体の痛みを感じないタイプの人なのかもしれない。麻酔で打つ注射はイヤだと言うわ、じゃあ麻酔なしで針を縫うと言ったら僕の手首をへし折るつもりかと言わんばかりに強くギュッと握られるし。あとちょっと泣きそうな顔しているところもまた……そんな大のオトナが泣くのはいかがなものかと。あと手汗がもうすっごい……。僕の毛皮、べちょべちょに濡れた。そんなに緊張しているのだろうか、こりゃあもうちょっとからかってやりたくもなる。
結局その日は助手の彼女にも手伝ってもらい、何とか暴れないよう麻酔を打ってから傷口を縫ってやった。最後ぐったりして病室で寝転んでいたけど、僕は仕事だからまだ帰れませんと言うとしょぼくれた顔をして病院を出ていく。彼の後ろ姿はいつもなら縦にも横にも大きいはずなのに、今日は何だか縮こまっているように見えた。歩く元気があるならまだまだ大丈夫だ、そう言うとムスッ……と膨れっ面をしていたのが印象的だ。
「戌村先生、こちらのその、血まみれになったシャツはどうされます?」
「…………ん。捨てといて」
「わかりました」
団平さんの着用していた下着の類は漏れなく回収する僕でも、流石にこの背中側が血まみれの白シャツを拝借する気は起きない。本当はもっとハスハスして、はぁ〜〜……となって、休憩室のベッドとかで右を向いたり左を向いたりしながら嬉しさをアピールする尻尾を全力で振りたくて、それを我慢した僕はとても偉いと思った。
気温的にも過ごしやすくなってくるこの季節。ウトウトしがちな春の陽気。もうすこしゆったりとした時間を過ごしたい。だけどそれは無理な話かな。医療従事者は年がら年中忙しい。……彼のように、年中怪我をしてはウチの病院へやって来る輩もいるのだから。僕と団平さんとの出会いも、最初はそんな感じだったとふと思い出した。そうだ、なんかケモノに引っ掻かれたとか何とかで血を出しながら……それから怪我が治ってもなぜか通い詰めては僕と話たがって……やめやめ! この話、やめ! 顔がカァッと熱くなってきた、これでは残ってる患者の診察にも影響が出てしまう……ふぅ……。
順番待ちをしている患者さんたちは、数が減るどころかむしろ増えていっている。それはそうだ、団平さんのせいで診察が遅れているのだからな。ここからは地獄の時間が始まるということだ。僕は再び気合いを入れ直し、白衣を軽く払って次の患者さんをお迎えしていった。
〜つづく〜
※ここから挿絵チラ見せ
日々様々なケモノと素手でやり合う事もある彼の肉体は傷だらけ!中には自分がやんちゃして付いてしまったものまでありそうですが……そんな強面ニッコニコ熊さんは一体何をヤっているんですかね……??それにしても可愛い。いつ何回見てもかわいくてニッコリ🐻