小さな劇場の支配人と売れないアイドル(25歳Mカップ)がロビーの隅っこで揉めている。 彼女はアイドルグループ「フルータリアン」のレモン担当だ。 他のメンバーはさっさと男を作り良きタイミングで脱退してしまい、彼女はたった一人で活動を続けていた。 長年劇場を営み、多くのスターを輩出してきた支配人の叱責が彼女に浴びせられる。 『出番の前は乳搾っておいてっていったよね!?アイドルはお客さんに夢を見せる仕事なの!キミが経産婦なのを知ったら皆幻滅して夢から覚めちゃうじゃない!アイドルは皆のモノなの!この世界にまだしがみ付きたかったらプロ意識持たなきゃ!!(ちゅばちゅば』 今から手で絞っていたら開演に間に合わない。 支配人はジャケットを脱ぎ捨てると、直接口と手で乳を搾りつつもお小言が止まらない。 『ファンってよく見てるよ。胸が張ってるだけでも排卵日を特定されちゃったりするんだからね。そういうので病んじゃったコ達、わたしは沢山見て来てるんだからね!気持ち引き締めていかなきゃ!!』 レモン担当は己の情けなさにめそめそと泣きべそをかくのみだ。 『全く、泣きたいのはキミの赤ちゃんだよ。ママが夢から覚めないばっかりに…』 理解はされ難いが支配人の行動もまた愛情のなせる業だ。 一握りのスターの陰に夢破れる者達を山ほど見て来た。 才能のないものを現実に送り返すのも仕事のうち。 嫌われ役どころではない。 『愛がなければ到底できない仕事です』 我々のインタビューに支配人は優しく微笑みながらそう語ってくれた。(〆)