A.W. xx年
ニュータイプの軍事利用に無限の可能性を見出だした研究者たちは人工的にニュータイプを量産、運用するために様々な実験を繰り返していた。
ある時は投薬によって感性の強化を…そしてまたある時は……
とある施設の一角…そこには連邦政府の高官や軍事産業の重役が集められ、ニュータイプ研究における“成果”が発表されることになっていた。
重大な発表であるとのことで急遽、そして秘密裏に集められた彼らだったが、約束の時間から既に30分近く経っており、室内には吐き出された煙草の煙と共に重苦しい空気が充満し始めていた。
(ウィィン)
「失礼致しま~す♥️」
そんな雰囲気を打ち破るように二人の女性が入室してきた。
腰までさらりとのびた金髪が美しい長身の女性と、黒髪を後ろに結った小柄な少女である……
…が、そんなことは些細な問題であった。
何よりも目をひいたのは二人ともほぼ裸で、身に付けているものといえば妖しく輝くボンデージ状のグローブとタイツというあられもない姿の方であった。
さらに、そんな格好とは似つかわしくないほど大きく膨れ上がった下腹部には、識別用のバーコードと共に大きな“L”の字が刻印されていた。
明らかに妊婦である。二人を見た誰もがそう思ったことであろう…
しかし、この悪趣味なコンパニオンの類いにしか見えない彼女たちこそ、紛れもなく本日お披露目される“成果”そのものであった。
というのも、後天的にニュータイプ能力を与える強化措置では兵器としての安定性を欠くと結論付けた研究者たちは、先天的なニュータイプ…即ち胎内にいる状態からニュータイプ能力を発現させた胎児を、文字通り産み出すという非人道的な実験を行っていたのだった。
その被験者とされたのが……
(ビシッ)
「お初にお目にかかりまーすッ♥️旧地球連邦軍ニュータイプ部隊所属、教育士官のルチル・リリアント少尉(20歳)と……」
敬礼と同時に彼女の乳房が大きく揺れ、色素の沈着した乳首からは母乳が吹き出した。
「…ぅ、うぅ……ティファ…ぁ、アディー……ひぐッ…」
ティファもまた嗚咽し、その涙に呼応するかのように母乳が溢れ出した。
「あらー、ティファちゃんったら、恥ずかしがって自己紹介できないみたいねー♥️…えーでは私が……こほん、この娘はティファ・アディール(15歳)…大戦後に生まれた生粋のニュータイプで、その力は群を抜いておりまーす♥️」
と、言葉を詰まらせたティファに代わって皆に彼女を紹介するルチル。さらに彼女は続けた…
「私たちは人為的にニュータイプを産み出す実験のサンプルとして♥️~(云々)~コンピューターによって選ばれた遺伝子を持つ男性と交配し♥️~(云々)~現在私は双子の…そしてティファちゃんはなんと三つ子のニュータイプの胎児を♥️~(云々)」
要約すればニュータイプ能力に長けた母胎を媒介とし、人為的にニュータイプを出産させるという恐るべき人体実験である。
だが彼女は快活に、しかも嬉々として自身の受けた狂気について解説した。
本来の状況を鑑みれば隣で嗚咽するティファの方がよほど正常な反応ではあるが、長年Lシステムによって捕らわれていた彼女の精神は既に崩壊しており、このように研究者たちにとって都合のいいスピーカーとなる人格を植え付けられていた。
ルチル・リリアントの精神は既に死んでいるのである。
そして、この悪魔のような所業の犠牲者(被験者)たちにはさらに過酷な運命が待ち受けていた。
というのもこのような非人道的な研究が公に承認されるはずもなく、当然ながら極秘に行われてきた為、ここにきて研究資金が枯渇寸前となってしまったのだ。
だが、既にプロトタイプの受胎は完了し、ニュータイプ量産の最終段階へ進んだと判断した機関は最後の一押しとして大口顧客になりそうな政府、及び軍需産業に声をかけたのだった。
そう…これから行われようとしていることは新製品のプロモーションであり、同時に資金調達の場でもあるわけだ。
研究者たちはその両方を彼女たちに背負わせ、そのために“厳選”した人物を集めたのだった。
「えー本日お集まり頂きましたのは、私共のニュータイプ生産の…その最前線をご覧頂き、そして……♥️」
資金力が豊富であり、尚且つ…好事家なVIPたちを。
(つづく)
PREVIEW NEXT EPISODE
秘密研究の資金調達の為、実験成果として晒らしものとなるティファとルチル。
これから二人を待ち受ける運命は、サーカス小屋の見世物か……
はたまた旧世紀の因習である奴隷売買か……
彼女たちに欲望のぎらつく視線が突き刺さる。
「はい…赤ちゃん、産みます…」
オレンジ卿
2020-03-02 14:24:18 +0000 UTCオレンジ卿
2020-02-28 16:05:54 +0000 UTC瀬谷(アイコンは渦巻トグロウ様)
2020-02-28 03:21:16 +0000 UTC