XaiJu
江戸山乱理
江戸山乱理

fanbox


『宮田家の別荘暮らしの春秋』(4)

七章 おしっこの見せ合い(49ー53) 49  剃毛してもらうことについて、弥生は、「やってもらったらいいんだ」というように開き直って、お父さんに自分を委ねるのだと決めた。そうすると気持ちはとても安楽になった。  もう自分では剃毛せず、それは専らお父さんに任せることにした。二人の間で言葉に出してそう取り決めたわけではないが、相互の暗黙的な了解のもとに、そうするという習慣が自然に出来上がった。  ある日、夕食の後、万智は遊びの疲れのためか、食卓で座りながら、睡魔に襲われて、体をユラユラ揺らし始めた。そして誰に言うともなしに、 「もう早く寝たい……」  とつぶやいた。 「お風呂、もうすぐ沸くよ」 「もう眠いよ。待てない」 「今夜はお風呂は入らないの?」 「うん、もう寝る。一日ぐらい、入らなくていい」  万智はそう言って、椅子の背もたれに寄りかかって、本格的に寝始めた。  弥生とお父さんは、「しょうがないなぁ」と言うように顔を見合わせた。お父さんは席を立って、寝息を立ている万智を抱き上げると、別室へ運んでやった。弥生もその後について行った。  その部屋にはすでに布団は敷いてあった。お父さんは万智を寝かせると、やさしく布団をかぶせやった。そうしておいて、傍に立っている弥生の顔を見た。 「万智は寝ちゃったね。じゃあ、二人でお風呂に入ろうか」 「うん、そうだね」  三人一緒にお風呂い入るのは狭いので、いつもは、万智が先にお父さんと入って、その後、万智と弥生が入れ替わるという順番だった。しかし、今夜のお風呂は、お父さんと弥生の二人切りで専有できそうだった。弥生はいつもとは違うこの変則的な事態に、どういうわけか胸がウキウキした。  弥生はお風呂場で体を洗い終わった。  湯船の中にはお父さんがつかっていた。  弥生は自分も一緒に湯船に入ろうとして、縁をつかんで片足を上げかけると、お父さんは、「しようか」と言った。弥生はすぐにその意味を理解できた。自分の下半身を見下ろして、 (まだ剃らなくてもいいけどな)  と思ったが、無下に否定するのも角がたつし、早めに剃っておくのも悪くはないので、微かにうなずいて、肯定の意思表示をした。  いつもなら、剃刀を当てられている最中に万智にのぞかれないかと心配してビクビクしたが、今日は万智はすでに寝ているので、その点は安心できた。  お父さんは「よし」と言って、湯船から出ると、床に突っ立ている弥生の前にしゃがんだ。そして、無言で弥生の股間に手を伸ばして、チョロッと生えている産毛を探って、「うん」と何やら自分一人で納得すると、早速そこにクリームを塗り始めた。  この作業はもう何度も経験したことなので、弥生は当初の気恥ずかしさは感じなくなっていて、お股の肌をサッサッと剃られながらも、おしゃべりするぐらいの余裕があった。しかし、今日に限っては、弥生は無口だった。それは、さっきから尿意を催していたからだった。 (さっき、お風呂に入る前に、お手洗いに行っておけばよかったな)  弥生は股間のくすぐったさのせいで、さらに尿意が高まるのを意識した。  こんな時に限って、お父さんはじっくりと丁寧に、長い時間をかけて、弥生の股間の上で剃刀を動かすのだった。 「どうかした?」 「ど、どうもしてないよ」 「そう。何か、体が固いね。それに今日は変に無口だし」 (お父さん、敏感なんだな)  と弥生は思った。  その時、お父さんは座り直して、左手が弥生の下腹をグッと押した。弥生は思わず、(あっ)とブルっと体を震わせた。お父さんはちょっと首をひねった。 (お父さん、何か気付いたかな?)  と弥生は思った。案の定、お父さんはそのことを機敏に察したようだった。 「弥生、もしかして、おしっこ我慢してる?」  と素っ気なく訊いた。 「う、うん……」 「なんだ、変に大人しいと思ったら、そんなことだったのか。我慢できそう?」 「できると思う」 「よし、じゃあ、剃るのはサッサと済ませてしまおう。もうちょっと待ちなさい」  お父さんはそう言うと、再び剃る作業を再開させた。その間も、弥生の尿意は徐々に強まっていった。 50 「こんなもんかな」  お父さんはそう言って、剃刀を弥生の肌から放した。 (ようやくか。よし、じゃあ、お手洗いに行こうっと)  弥生は、まだ股間はクリームでベトベトのままだったが、パッと身を翻して、お風呂場から出ようとした。すると、お父さんは、 「待ちなさい。ここでいいよ」  と言って押し留めた。 「え」  と弥生は、その言葉の意味が分からなかったので、その場に立ち止まった。 「ここでいいよ」  とお父さんは重ねて言った。 「えっと、私、お手洗いに行くけど……」 「ここでしたらいいよ」 「ここで?ここでって、つまり、このお風呂場の中でするってこと?」  と弥生は指を床に指して確認した。 「そうだよ」 「え、でも、それは……」 「いいじゃないか」 「いいのかな。本当に?」 「うん」 「で、でも、こんな所じゃあ……」 「じゃあ、お父さんがお手本を見せてやろう」 (お手本?お手本って何のことだろう……)  弥生が理解できないでいると、お父さんは立ち上がって、おもむろに片手をおちんちんに添えた。 「まずはお父さんがするから、見てみなさい」 「えっ!?」  弥生は驚いて叫んだ。  お父さんはその弥生を一瞥すると、横向きになって、お風呂場の隅っこの方へおちんちんを向けた。次の瞬間、おちんちんの先からは、すごい勢いでおしっこが噴き出した。 (うそでしょ……。お父さん、何してんのよ……)  この唐突の出来事に、弥生は声も出なかった。ただただポカンと口を開いて、お父さんのおしっこ姿を見つめるしかなかった。  お父さんのおしっこは、勢いがすごいだけでなく、その量も大量で後から後から出続けた。その水流は壁やら床にぶち当たって、ダダァーという衝突音とボチャボチャという落下音の両方が入り混じって、お風呂場中に鳴り響いた。  弥生はすねに温かい飛沫が点々と被るのを感じたが、身動きするのを忘れたかのように、呆然として、その場に立ちすくんでいた。  なお、弥生が異性のおしっこを目撃したのは、これが初めてというわけではなかった。幼少期に公園で、幼稚園の友達の男の子が木の根っこにおしっこをしているのを見た経験があった。しかし、その時見たものは、小指のようなおちんちんからチョロチョロと流れる細流にすぎなかった。  しかし、今の弥生の目前にあるのは、それとは比べ物にならない程の太く毛むくじゃらのおちんちんであり、そこからは噴き出す奔流は滝にようだった。  弥生はその凄まじい勢いに圧倒され、また感心させられた。そんなものを無遠慮に見つめるのは失礼なことだとは思いつつも、視線は釘付けになった。いつの間にか弥生の上体は前のめりになっていた。  いつ果てるとも知れないお父さんのおしっこだったが、やがて勢いは弱まっていった。お父さんは、最後におしっこの残滓を絞り出すように二、三度排出すると、先っぽからしずくがポタポタと垂れているおちんちんを左右に振って、 「どうだった?」  と言うようにお父さんは弥生を見た。しかし、弥生は、 (『どうっだった?』って言われても……、そんなの分かんないよ)  と気まずくて、何と返事していいか分からず、うつむいて赤くなった。  お父さんは洗面器でお湯をすくって、二回ほどその周辺を洗い流した。床に溜まっていたおしっこが流されてしまうと、弥生はさっきの出来事が幻だったのではないかと少し錯覚してしまった。 51 (次は私の番ってことか……)  しかし、弥生は、お父さんに排尿を命じられるまでもなく、すでに尿意は激しく切迫していた。他人がおしっこをするのを目の前で見せられたせいだろう。もし、今ここからお手洗いへ向かって走ったとしても、到底、間に合いそうもなく、おそらく廊下の途中で我慢できずに、ボトボトともらしてしまうだろうと予想できた。 「お、お父さん。私、何だか、すごくおしっこ、したくなっちゃった。どうしよう……」  弥生は体をグネグネよじって、両腿を擦り合わせながら訴えた。 「したらいいよ」  お父さんは微笑しながら言った。そのさりげなさは、さっき娘におしっこを見せつけたとは思えない程に冷静だった。お父さんは「さあ」と言って、弥生の肩に手を置いて、その場にしゃがむよう促した。弥生は素直にそうすると、お父さん自身も、そのすぐ傍に膝をついた。  弥生は、「ううっ……」と困惑気な声を出した。そして、「ふぁああ、出るぅ……」と情けない喘ぎ声を上げた。次の瞬間、おしっこはシャーと勢いよくほとばしった。それはおしっこしたというよりも、我慢できなくなって、もらしてしまったという状況だった。いずれにせよ、両腿の間から放たれた細い水流は、空中にゆるやかな曲線を描いて飛んだ。 「くぅー」  弥生は苦し気にうなりながらも、心の中では、自分でも戸惑う程の解放感が湧いてきて、 「はぁ~」  と恍惚とした溜息を吐き出した。その時の表情は、頬の緩んだ間抜け面だったが、自分ではそれには気付かず、放尿の気持ちよさに浸っていた。  その時、どういうわけか、横合いからお父さんが腕を弥生の両膝の間へ伸ばした。その結果として、弥生はおしっこをお父さんの手の平にビシャビシャとかけてしまった。というよりも、お父さんが意図的におしっこを手に浴びたといった方が正確だった。 「お、お父さん、な、何をしてんの……」 「弥生のおしっこ、温かいね。ははは」 「や、やだよ。そんなの、やめてよぉ……」  とおしっこをかけている弥生の方が嫌がった。しかし、おしっこを止めようにも、一度出始めたおしっこを止めることはできなかった。  なだらかな山なりの曲線を描いているおしっこは、ちょうどその頂点の場所で、お父さんの手の平に遮られて、ぶち当たった流れは周囲に跳ね返って、弥生の内股やふくらはぎにも飛沫がかかった。 「まだ出るかな。もっとかけていいよ」 「あ~ん、そんなこと、だめだって」  二人でそんな言い合いをしているうちに、おしっこの勢いは弱まり、やがて止まった。 「全部出た?」 「……まだ。ちょっと、待って」  弥生はちょっと力むと、おしっこの残りがピュッと飛んだ。お父さんは無言でそれを手の平に受けた。弥生ももう何も言わず、さらにピュッ、ピュッと飛ばした。もうそれ以上は何も出なかった。お父さんは、おしっこが全部出たことを確認すると、 「よーし、全部出たね」  と言った。 「うん……」  弥生はおしっこを済ませて、すっきりしたのはいいが、その途端、急に恥ずかしさが込み上げてきた。厳密には、その感情は恥ずかしさというよりも、くやしさだった。お父さんに勝手におしっこを触られたことに対して、弥生はムラムラと怒りが込み上げてきた。 「もうっ、お父さんたらっ。いきなり変なことしないでよ」  弥生は今さらだが、少し大きな声を出した。それは、お風呂場で、もらすようにおしっこをしてしまったことへの照れ隠しでもあった。 「はは、冗談だよ。そんなに怒るな」  お父さんは弥生の頭をポンポンと撫でた。もちろんそれは、おしっこのかかっていない方の手だった。弥生はもうちょっと強く抗議したかったが、これ以上何か言うと、涙がこぼれそうだったので、唇をかんで耐えた。 52  お父さんにお下品なイタズラをされて、弥生はせめて、すねて見せてやろうという気持ちになった。頬をプクリと膨らませて、ふくれっ面をした。弥生がそんな子供っぽい態度を示すのは珍しいことだった。  ただ、お父さんは、そんなことはまともに取り合わず、 「体を洗おうか」  とだけ言った。  お父さんの言う通り、弥生の股間は、おしっこの飛沫が付いているだけでなく、剃った後のクリームはあらかた流れたが、まだ肌に点々と残っていた。 (そうだ。私の体、まだおしっことクリーム塗れだったんだ。お父さんに怒るにしても、きれいに洗ってからの方がいいな……)  弥生はそう考えて、ちょっと冷静になった。ただ、急に笑顔を見せるのも変なので、あえて不機嫌そうな表情でいた。  お父さんは、洗面器でお湯をすくって、まずはその辺りの床をザバザバと洗い流した。床に飛び散っていた弥生のおしっこは排水口に消えていった。そうしておいてから、 「お湯をかけるよ」  と言って、床に両膝をついてしゃがんでいる弥生の背中に洗面器でお湯をかけた。次にお腹の側にもかけ始めた。  弥生はお尻や太腿をお父さんの手の平でゴシゴシ撫でられながら、ジッとされるがままになっていたが、心の中では、そんな風に洗ってもらうのを拒否するか受入れるかを決めかねて、どういう顔をしたらいいのか困惑していた。  しかし、お父さんは、知らん振りしているのか、本当に気付いていないだけなのか、そんな弥生にかかずらうことはなかたった。それどころか、さらに、 「お股を洗うから足を開いて」  と言って、立膝の姿勢になっていた弥生の両足を左右に大きくグイッと開かせると、その場所にお湯を張った洗面器をゴトリと置いた。 (えーと、お股は自分で洗うの?それとも、そこもお父さんがするの?)  と弥生は膝の間の洗面器を見下ろしながら思った。  お父さんは体を寄せて、弥生の股間へ手を伸ばした。 (ということは、洗ってくれるってことか。どうしよう……。まあ、してもらうか……)  そういう行為を受けるのは、前にもしてもらったことがあったので、これが二回目だった。  最初の時は、気まずさと恥ずかしさで顔から火が出るようだったが、今回は慣れのためか、それ程ひどくは感じなかった。股の間をお父さんの手先でキュッキュッと洗ってもらいながら、少なくとも表面上は平然としていられた。 (お父さんて、素手で私のおしっこを浴びても平気だから、こうやってお股を洗うのぐらい、全然気にしないんだろうな)  弥生はそんなことを考える余裕もあった。 53  お父さんも前回の弥生の様子を思い出したらしく、 「前は、こうして洗ってやった時、グズグズ言ってたけど、今回は大人しいね」  と弥生の顔を見て言った。 「……」  弥生は、その言い方には、ちょっと引っかかる所もあったが、一応は誉め言葉として受け取って、「うん」とうなずいておいた。  ただ、そうはいっても、お股の敏感な所を他人の手にまさぐられて、全くの平常心ではいられるはずはなかった。やはり、心の中では、恥ずかしさや、こんなことまでしてもらって悪いというような、複雑な気持ちが渦巻いていた。  自分の股間からは、お父さんの手が肌を洗うピチャピチャという音がした。弥生はそれを聞きながら、どんな顔をしていいのか分かず、固く唇を結んで、真顔で前を向いていた。すでに、股間からは、おしっこもクリームも毛の切れ端も、全部すっかり落ちたはずだった。しかし、お父さんは洗う手を止めなかった。 (まだするの?やけに長い時間かけてするんだな)  弥生は段々と気まずさが高じてきて、無言でされるのは間が持たないから、何か話し掛けほしいという気持ちになった。まさかそれが聞こえたわけではないだろうが、お父さんは、 「弥生」  と言った。 「何?お父さん」  と弥生は自分の意思が通じたことに、ちょっと驚きを覚えつつ訊き返した。 「本当はこんなことしちゃだめだよ。していいのは、今だけだよ」 「わかってるよ」 「秘密だからね」 「うん、秘密にする」  と弥生は力強く請け負った。しかし、その返事をした直後、自分で肯定したことながら、 (そういえば、秘密って、何のことだろう?)  と疑問に思った。親に体を洗ってもらうことなのか、自分がおしっこしたことなのか、お父さんがおしっこしたことなのか、陰毛を剃ったことなのか、あるいはそれらをひっくるめてのことなのか、可能性は色々と考えられた。  弥生はお父さんがどういうつもりで言ったのか、確認したくなった。しかし、わざわざ訊くのも気が引けた。黙っていると、それとは別に、また気になることが思い浮かんだ。 (お風呂場でおしっこするなんて悪いことをすると、癖になっちゃうんじゃないだろうか。そんなことになったら嫌だな……)  と思ってちょっと心配になった。しかし、すぐに、まさかそんなことはないだろうと、自分で打ち消した。


More Creators