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江戸山乱理
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『ジェットコースターに乗る前にはおむつを穿く』(4)

七章 開脚と露出とおむつ(33-38) 33 自ら開脚する  芽衣子は全身を緊張させて、両足をピタリと閉じていた。  係員は脱がせたパンツを机の上に置くと、またすぐ芽衣子のそばに座った。そして、芽衣子の露出した下腹部に手の平を置いて、 「お肌、きれいね。スベスベしてる」  などと褒めてやって、その辺りを撫で始めた。しばらく、そうして、芽衣子の気持ちを落ち着かせていたが、やがて、 「じゃあ、そろそろ始めましょうか。いつまでも裸でいるわけにはいかないもんね」  と言って、おむつを持って見せた。 「……うん」  芽衣子はそれを横目で見て、小さくうなずいた。 「でも、芽衣子ちゃん。足をそんな風に閉じていたら、穿けないよねぇ」 「……」 「自分であんよを広げられるかな?」  係員は幼児語で語りかけた。その甘い口調は芽衣子を宥めているようでもあり、また、からかっているようでもあった。  芽衣子にそれ以外の選択肢はなかったので、やむを得ず、オズオズと少しばかり両足を開いた。こぶし一つ分が入るぐらいの間隔が空いた。 「もうちょっと、できるかな?」  係員は芽衣子の太ももに手をかけて、無理にでも広げさせようとする素振りを見せた。 「私、自分でできるよ……」  芽衣子は勇気を振り絞って、ゆっくりとだが確実に、少しずつ両足を広げ始めた。どうせ開脚するのなら、他人の手でされるよりは、自発的にした方がましだという判断だった。  両足をある程度広げた時、股間からヌチャという卑猥な音がした。芽衣子はギクッとなった。 (うっ。今の音、係員さんに聞こえたかな?どうか、聞こえていませんように……)  芽衣子は自分では何も聞こえなかったという素知らぬ体で、ついに、両足をハの字になるぐらいまで広げた。そして、 「これでいい?」  と訊くように係員を見上げた。芽衣子の顔は紅潮し、心臓はドキドキと高鳴った。しかし、係員はちょっと首をひねって、 「もうちょっとだね」  と言うと、芽衣子の膝を抱え持って、グイッと強引に左右に押し広げた。 (あうっ、ちょっと無理矢理だな……) 「よし、これぐらいでいいよ」  結局、芽衣子の両足は直角ぐらいの角度にまで開かされた。芽衣子の会陰部は係員の目の前にさらけ出された (丸見えだ……)  自然に股を閉じたくなるのを、芽衣子はこぶしを固めて、意志の力で我慢した。  ただ、芽衣子本人は仰向けで横たわっていたので、幸か不幸か、自分ではその箇所は全く見えず、もっぱら、係員から見られるだけの状況だった。係員はそこを露骨にジッと見つめていて、その視線は痛いばかりに刺さった (なんで、そんなにジロジロ見るのよ……。何か変なの?形とか、別に、普通だよね……)  芽衣子は同世代の女の子のそこをジックリ観察した経験はなかったので、その点は、いまいち確信はなかったが、係員は穏やかな表情でニコニコしているだけだったので、そんな心配はしなくていいかな、と一応は安心した。 34 局部を見つめられて  係員は芽衣子の太ももを撫でながら、その股間へ向けて、好奇な眼差しを投げかけていた。 (そんな目で見ないでよ。恥ずかしいじゃない……)  芽衣子は心の中で叫んだが、変に隠すと逆に惨めな状態になるかと思って、本意ではないものの、両手は体の脇に置いて、露出した股間を晒していた。体はカーと熱く火照ってきた。 「ねえ、係員さん、早くおむつ穿かせてよぅ」  芽衣子は、もう堪らなくなって、自ら懇願した。 「あら、そうだったわね。芽衣子ちゃんが可愛いから、私、ついつい見とれちゃったわ。うふふ」  係員はそう言いつつも、おむつを穿かせ始める素振りは見せず、相変わらず、芽衣子の裸の太ももを撫でていた。自然な動作で、その手はさらに奥へ進んだ。その長い人差し指は芽衣子の内ももへ回り、足の付け根から、さらに股間の恥丘のすぐ真横にまで到達した。  芽衣子はそんな場所を他人に触られたのは、物心ついて以来初めてで、羞恥とも困惑ともつかない感覚に襲われ、唇を固く結んで、じゅうたんに爪を立てた。  ただ、芽衣子は、係員が自分のその箇所に変に関心を持っているのが意外であり、不思議でもあった。 (私のそこなんて、見る価値なんて、ないはずなのに……)  と腑に落ちなかった。  係員は、しばらく真剣な眼差しで見下ろしていたが、やがて、 「きれいね」  とつぶやいた。それは、いかにも本音をもらしたという口調だったので、芽衣子もつい、その雰囲気に引きずられて、 「きれい?本当に?」  などと訊き返してしまった。 「うん、本当だよ。芽衣子ちゃんのここ、とってもきれい」  係員はうっとりとした表情で、そう言いながら、きれいというそこに人差し指を当てた。そして、その縁に沿って、縦にスッと指先を這わせた。  芽衣子はゾクっと感じて、 「んっ」  と声を上げた。 「ふふ、可愛い声、出すのね」 (もう……、さっきから人を馬鹿にして……)  芽衣子は思ったが、本気で怒りたいわけではなかった。また、そんな場所でも、褒められて嫌な気はしなかった。  とは言っても、自分でそこを見たことはあまりなく、本当にきれいなのかは確信を持てなかったが、係員が嘘を言っているようにも思えず、その言葉を信じておいた。 35 慣れの心理  あまりに長い時間、そんな所を他人からジッと凝視されるという状況に置かれたせいで、芽衣子の中で奇妙な心理的変化が惹起した。慣れで無感動になるという以上に、羞恥の反動なのか、自分の裸体を見せてもいいし、むしろ見せつけたいというナルシシスティックな衝動が湧いてきた。  芽衣子は、今までそんな感情に駆られた経験がなかったので、自分でも戸惑ったが、気付いた時には口が勝手に動いて、 「ねえ、係員さん。そんなに見たいなら、見てもいいよ」  と言っていた。 「それ、本気で言ってるの?」  と係員もさすがに驚いた。 「うん。私、恥ずかしくないもの」  芽衣子は力強く言った。内心では怯む気持ちもあったが、(私が見せたいわけじゃなくて、係員さんが変なことばかり言うから、見せてあげてるだけだもんね)と正当化した。  係員からもっと見やすいように、芽衣子は自らもう少し開脚した。九十度ぐらいだったその角度を百二十度ぐらいにまで広げた。そして、「これで満足?」というように係員を見た。表情にこそ出さなかったが、内心では心臓はドキドキしていた。  係員も負けてはいなかった。ニコッと笑って、 「どうせなら、これぐらいにしてよ」  と言って、芽衣子の膝を持ち上げて、そこからさらに股をグイッと押し広げた。芽衣子の両足は百八十度近くにまで広げさせられた。両膝は直角に曲げられたので、下半身はちょうど片仮名のコの字のような形になった。 (うわわっ)  芽衣子はさすがに動揺した。しかし、自分から言い出したことなので、今更、後には引けなかった。その姿勢のまま、係員からの視線を股間を受けながら、仰向けでジッと天井を見上げた。  係員はそれ以上には特に何をするというわけではなく、芽衣子の太ももを優しく撫でながら、剥き出しの股間を見下ろしていた。  芽衣子は見られるという事実だけで、体はさらに熱くなった。呼吸は乱れ、頭はボーとして、意識が薄れそうだった。もはや、恥ずかしいという感覚は通り越して、恍惚とした状態になった (なんか、変な気持ちになってきた……)  その変な気持ちというのは、快感と呼んだ方が正確だった。芽衣子は、股間を見られることによって快感を覚えている自分を省みて、我ながら、変質者のようだな、と自嘲的に思った。しかし、それはそれとして、もっともっと自分の恥ずかしい場所を露出したいという欲望を感じたのも事実だった。 36 視線だけでも  その時、芽衣子は、ふと股間が濡れていることに気付いて、「あっ」と叫びそうになった。直接は見えないが、そこがどうなっているかは、感覚だけで大体は予想できた。蜜が溢れてトロトロになっているようだった。  係員からも見ても、それは一目瞭然のはずだった。しかし、その事実に気付いていながらも、黙って微笑を浮かべているだけで、依然として芽衣子の太ももを撫で続けていた。 (係員さん、涼しい顔をしてるけど、きっと気付いてるよね。私のこと、『この子は何をそんなに興奮してるのかしら?見られて興奮するなんて、おかしな子ね』みたいに思われてないだろか……)  と芽衣子は疑問を抱いた。しかし、係員は穏やかな表情で見つめているだけで、その本音は分からなかった。 (もしかして、私、係員さんに変態だって思われているのかも……)  芽衣子は不安になった。しかし、それと同時に奇妙な興奮をも覚えた。  係員の視線は真っ直ぐ、突き刺すように芽衣子の股間に向けられていた。芽衣子はその視線で自分の体がグサリと貫かれているような錯覚を感じた。芽衣子の肉体はその想像に反応して、少しずつ潮が満ちるように、気持ちが高じてきた。 (体がポカポカしてきた。何だろう、この感覚……)  芽衣子はその不思議な心地良さに身を任せていたが、不意にお腹の奥からズーンとした衝動が込み上げてきた。それは性的絶頂の前触れであるとすぐに理解できた。 (何で今、こんな時に!?)  そのことには芽衣子自身が一番驚いた。しかし、本人の意思とは無関係に、その快感は背筋を貫いて、全身を強ばらせた。  芽衣子は思わず、「いくっ」と叫びそうになったが、それだけは歯を食いしばって耐えた。開脚したまま、体を弓なりにして、腰を突き上げて、その瞬間を迎えた。お腹はヒクヒクと脈打って、「ふっ、ふっ」と鼻息を荒くしたが、辛うじてよがり声だけはもらさなかった。  膣口からは愛液がジュクジュクと分泌され、股間はしっとり潤びれた。そのいやらしい蜜は割れ目からあふれ、トロリと流れ落ちて、肛門の上に垂れた。芽衣子はそのこそばゆい感覚に、反射的にお尻の穴をギュッと締めた。 「ふぅーっ」  と芽衣子は満腔の溜息をついた。 「太ももをこんな風にナデナデされるの、そんなに気持ち良かったの?」  係員は芽衣子の心と体に起こった全てのことを看破していたが、あからさまには指摘せず、遠回しに訊いた。 「うん、気持ち良かった」  芽衣子の心情は、今や、ふっ切れて清々しい気持ちだった。股間を見られただけでいってしまったのは、もちろん恥ずかしいことだったが、それよりも、このような悦楽を与えてもらって、感謝の念が大きかった。  芽衣子は寝そべったまま、係員を見上げて、「今の、とってもよかったよ」と言うような表情をした。係員はそれに応えるように、芽衣子の汗のにじんだ額を優しく撫でてやった。二人は見つめ合って、「うふふっ」と微笑みを交わした。 37 拭いてもらう  芽衣子は、もうしばらくの間、このまま快感の余韻に浸っていたかった。しかし、係員は、 「じゃあ、もうそろそろ……」  と遠慮気味に言った。芽衣子も、いつまでもこんな馴れ合いばかりしていられないとは分かっていたので、 「うん」  と返事した。  係員は一旦、立ち上がって、小さなタオルを洗面台で水に濡らした。そして、それを持って、再び芽衣子のそばに座って、さっそく、芽衣子の股間を拭き始めた。  係員は小さい子供たちの裸体を拭くのは慣れていた。芽衣子のそこも幼児のものと姿形はさほど変わりはなかったが、その慎ましい外見とは裏腹に、おびただしい量の露で濡れていたので、チグハグの感があった。係員はその情景について、胸に一物はあったはずが、特に何も言わず、 「きれいきれいに、フキフキしましょうね」  と幼児語で語りかけただけで、後は黙って手を動かし続けた。  それは意外と強めの手付きだったので、芽衣子は目を白黒させた。そんな所を上下左右にゴシゴシとタオルで擦られて、つい、 「んっ、んっ」  とくぐもった声をのどの奥で鳴らしてしまった。それは係員の耳には届かなかったのか、依然として、同じような力加減で拭かれ続けた。  不意に、タオルは股間の敏感な突起をサッとかすめた。 「ふぁっ」  芽衣子は思わず声をもらしてしまった。 「くすぐったいかな?でも、もうちょっと我慢してね」  係員は手の動きを緩めなかった。  その作業には案外、時間がかかった。というのも、芽衣子の股間はタオルで擦られる度に、それが刺激となって、独りでにジュクジュクと潤滑液が染み出してきて、いくら念入りに拭いても、後から後からまたすぐに濡れてくるのだった。  係員は、小さい子たちを相手にする場合とは勝手が違うので、悪戦苦闘している様子だった。股間とタオルが擦れ合うクチャクチャという音は、不自然な程に長く続いた。  芽衣子も自分でそれを聞きながら、自分の股間の様子が手に取るように分かって、気まずい思いをした。「拭くのは、もう、それぐらいでいいよ……」と言おうかと迷っていたが、そのうち、係員は、 「まあ、こんなもんかな」  と苦笑して、適当な所で切りあげた。そして、話題を変えるように、 「後はおむつ穿くだけだね」  と言った。 38 おむつを当てる (いよいよか。ここまで来るまでずいぶん長くかかったな……)  芽衣子は感慨深かった。自分では何もしていないが、ようやくおむつを穿かせてもらうのかと思うと達成感があった。また、特に何をしたというわけでもないのに、ひどく疲労を覚えた。 「これね」  係員は、今から芽衣子に穿かせるおむつを広げて見せた。改めて見ても、やはりそれはデローンと妙に長かった。 「うん、穿かせて」  芽衣子は静かにうなずいた。特に抵抗する気は起こらず、むしろ、穿かされて当然だし、早く穿かせて欲しいというのが本音だった。  係員はそれを芽衣子の両太もも間に敷いた。芽衣子は何も言われなくても、自ら腰を浮かした。係員はその隙間へおむつを差し入れた。芽衣子はお尻を下ろすと、おむつのフワフワの柔らかい感触がした。  芽衣子が自らとった行動はそれだけで、残りは全て係員にしてもらった。係員はおむつの前部分を折り返して、芽衣子の股間に覆いかぶせた。ずっと剥き出しになっていた股間が覆われて、芽衣子はホッと人心地がついた気分がした。  係員は慣れた器用な手付きで、おむつの両脇の左右のテープをピシピシと留めると、 「穿けたよ」  と言って、その前をポンポンと叩いた。 (おお、穿けたぞ)  芽衣子は、腰回りの厚ぼったい圧迫感に少し戸惑いつつも、新鮮な感動を覚えた。 「じゃあ、起き上がって」  係員に促されて、芽衣子はヨロヨロと二本足で立った。立ち上がってしまえば、スカートの裾が翻って、自然とそこを覆い隠した。傍から見れば、もはや誰も、芽衣子がおむつを穿いているなどとは思わないだろう。  芽衣子はスカートをめくって、自分の下半身を見下ろした。それは不思議な光景だった。股間はいつものパンツではなく、おむつで覆われていた。それは本来は幼児用のはずだが、窮屈ではなく、ちょうどよく穿けたので、うれしいような、くやしいような複雑な心情だった。  ウサギのイラストがプリントされている前の部分を撫でてみると、サラサラと気持ちよい触感だったが、軽快なパンツと比べて、モコモコと嵩高いので、どうしてもガニ股になってしまった。 「パンツは預かっておくね」  という係員の声を、芽衣子はうつむきながら、上の空で聞いて、いつまでもおむつの表面を撫でていた。 八章 彩香の羨望の眼差し(39-41) 39 ママと彩香に再会  芽衣子は係員に手を引かれて、部屋の外へ出た。  わずか数分の間に、パンツを脱がされて、おむつを穿かされただけの関係だが、芽衣子は係員のことが、自分の保護者であるかのような錯覚を覚えた。  芽衣子は実際におむつを穿いて歩いて、初めて分かったが、股間がモコモコして、慣れるまで歩きにくかった。スカートの下でサラサラと衣擦れの音を立てさせながら、ヨチヨチと廊下を進んだ。  廊下の角を曲がって、建物の入り口の受付場所に戻った。そこにはママと彩香がいた。二人は芽衣子の足音に気付くと、振り返った。芽衣子は別世界から現実に戻された気分だった。股間のおむつが急に恥ずかしくなって、自然と手でスカートを上から抑えてしまった。 「芽衣子、戻ったのね」  とママは言った。 「お姉ちゃん、やけに時間かかったね。何してたのよ」  と彩香は訊いた。 「……」  芽衣子は面映ゆくなって、うつむいてしまった。 (彩香は、私がおむつを穿かされたこと、知っているんだよな……)  彩香のにやけた表情を見れば、そのことは一目瞭然だった。この場所で芽衣子を待っている間に、ママから事情を聞かされたのだろう。彩香は興味津々の様子で、芽衣子のスカートへ露骨に視線を向けた。  ママと係員は何かおしゃべりをし始めた。その横で、芽衣子は彩香に、 「知ってるんだよね?」  と、自分の下半身を見下ろしながら、オドオドと訊いた。 「うん、ママから聞いた」 「そうなの……」 「おむつ、穿いているんだよね?」 「……」 「ねえ、どうなの」 「……うん。穿いてる」 「へえー」  彩香は、芽衣子本人からその事実を率直に告げられて、心底驚いたという声を上げた。そして、芽衣子の腰辺りに好奇な視線を向けた。 「そんなにジロジロ見ないでよ」 「だって気になるもの」 「そんなに?」 「うん」 「……じゃあ、見せてあげようか?」 「えっ」 「見たいんでしょ?」 「う、うん。見たいけど……。でも、いいの?」 「一回だけだよ」  芽衣子の心理は複雑だった。おむつを穿かされて、恥ずかしくもあったが、逆に、見せびらかしたいという気持ちもあった。どうせばれているのだから、と開き直っていた。 (よぅし、見せるか)  芽衣子は意を決して、自らスカートの前をめくった。おむつがチラリと見えた。 「おー、お姉ちゃん、本当におむつ、穿いてるー」  彩香は腰を屈めて、そこをのぞき込みながら、大きな声を出した。  その声を聞いて、ママと係員は振り返った。二人は芽衣子の大胆な行為を一瞥して、「おや、まあ、この子は……」というように失笑した。しかし、かといって、それをやめさせるでもなく、姉妹の他愛のない遣り取りをニコニコしながら、温かい目で見守っていた。 40 興味津々の彩香  彩香は手を伸ばして、芽衣子本人に断りもなしに、おむつの表面に指を触れた。その彩香の表情には好奇と羨望が入り混じっていた。 「ど、どう思う?やっぱり、変かな?」  芽衣子はオドオドしながら訊いた。 「うーんと……、別に変ではないけどね……」 「ないけど、何?」 「もっとよく見せてよ。もっとスカートをバッと上げて」 「こうすればいい?」 芽衣子はスカートの前をもう少し持ち上げた 「そうじゃなくて、もっと、こうやって、おむつ全体が見えるようにして」  彩香はそう言って、芽衣子のスカートの両端の裾を持って、その全体が裏返るぐらいの勢いでめくり上げた。芽衣子の腰回りのおむつはすっかり露わになった。 「ひゃっ」  と芽衣子は叫んだ。家では姉妹でそういう類のふざけ合いをしないではなかったが、今は場合が場合だけに、かなりドギマギした。 「そのままにしといてよ」  彩香は平然と言って、芽衣子自身に持ち上げたスカートの裾を両手で抑えさせると、自分は一歩下がって、丸出しになったおむつの観察をし始めた。  芽衣子はスカートの裾の端をみぞおちの辺りで握りしめながら、きまりの悪さに、両膝をモジモジと擦り合わせた。そうすると、股間でおむつの生地がギュッと圧迫された。 「後ろ向いて」  と彩香は注文を付けた。 (もう……、えらそうに命令なんかして……)  と芽衣子は思ったが、不承不承、クルリとお尻を向けた。  そのおむつで覆われたお尻を、彩香は撫でたり、つまんだりと、無遠慮にベタベタ触り始めた。彩香は内心穏やかではなかったが、苦情を言う程のことでもないので、無言でされるがままに任せた。 「これって赤ちゃん用なんだよね」  彩香は、おむつ丸出しの芽衣子の周囲をグルグル回りながら、訊いた。 「赤ちゃん用じゃないよ。これは子供用だよ、多分」 「おむつに、子供用なんてあるの?」 「だって、赤ちゃん用なんて、私には穿けないでしょ。だから、これは子供用なのよ。子供用だから、私が穿いたって、構わないんだよ」  芽衣子はいじらしくも、無理のある主張をした。しかし、彩香から即座に、 「でも、それにしては、幼稚な柄が入ってるじゃない。ほら、前の所にウサギさんが」  と鋭く指摘されてしまった。 「う……」  と芽衣子は言葉に詰まった。 「でも、お姉ちゃん、パンツも可愛いのが好きだから、お似合いかもね」  とさらに彩香に追撃を受けて、もう芽衣子は、顔を上げられなくなった。 41 茶化す芽衣子の本音  姉をやりこめることができて、彩香は愉快そうに笑っていた。さらに調子に乗って、手を伸ばして、おむつの左脇のテープをつまんだ。 「ちょっと、彩香。何やってるの。それ、剥さないで」 「これ剥したらどうなるの」 「おむつが脱げちゃうに決まってるでしょ」 「そっか。あはは」 「もうっ。笑いごとじゃないよ」 「これ、どんな感じ?」 「どんなって……」 「やっぱり、きついの?」 「いや、そんなことはないよ。おむつって、フワフワして軽いよ。もしかしたら、パンツとあまり変わらないかも」  芽衣子は自分でも白々しいと思ったが、彩香を騙せるかも知れないと思って、そんなことを言ってみた。しかし、いくら彩香でも、そんな見え透いた嘘は信じず、 「へえー、そうなの。ふふ」  と皮肉っぽく鼻で笑っただけで、相変わらず無遠慮におむつを触り続けていた。  芽衣子は唯々諾々とそうさせていたが、彩香の表情を見るとともなく見ていると、ある一つの考えが頭に思い浮かんできた。それは、彩香もおむつを穿きたがっているのではないかという疑惑だった。  彩香の表情をさらによく見ると、おむつ姿の姉を蔑んでいるだけではなく、そこには羨望の気持ちも少なからず抱いているらしかった。彩香のことは、同じ屋根の下で長年付き合っている仲なので、芽衣子は相手の胸中の機微を何となく察することができた。 (おむつを穿きたいっていうのが彩香の本心なのか……。じゃあ、後で、ママのいない所で、その辺を探ってみよう。もし、彩香が「うん」て言ったら、またここに戻ってきて、係員さんにおむつをもらえるか訊いてみよう。おむつの一枚ぐらい、頼んだら貰えるよね)  芽衣子はそんなことを考えていた。その時、ママは彩香に、 「お姉ちゃんのおむつ見て、どう思う?」  と訊いた。ママも何かを察したのかも知れなかった。 「えーと、どうかな……」  彩香はママに対しては、曖昧に言葉を濁した。  しかし、ママはそれ以上は追求せず、今度は矛先を芽衣子に変えて、 「私にも少し見せて」  と言った。  芽衣子は改めてスカートの裾を持ち上げて、二人から同時にペタペタとおむつを触られた。 「ちゃんと穿かせてもらって、よかったね、芽衣子」 「サラサラして気持ちいいよ。ママも触ってごらんよ」 「本当だね。でも、それは乾いている間だけだけどね」 「あはは、何かで濡れなければね」  二人は、芽衣子が黙っているのをいいことに、好き放題言って、顔を見合わせて笑った。  芽衣子はわざわざ言い返さなかったが、 (何よ。どうせ、すぐにグッショリになるとでもいうの?私、そんなことしないもん……)  と密かに決意した。一言ぐらい文句を言ってやろうかと思っていると、ママは、 「じゃあ、そろそろ、行きましょうか」  と言って、立ち上がって、係員に別れのあいさつをした。 「じゃあね、芽衣子ちゃん」  と係員は姉妹にも笑顔で手を振った。  芽衣子はペコリと頭を下げた。その時、スカートをめくったままでいることに気付いて、 (あ、もういいんだ)  と慌てて、裾を元に戻した。係員はすぐに奥に引っ込んでしまい、結局、ろくな挨拶もできないまま、別れることになった。


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