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江戸山乱理
江戸山乱理

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『おねしょと神頼み』(3)

六章 隠蔽工作の成否(36ー40) 36  優月と咲良は、おねしょしてもママに告げず、隠蔽するという計画を立てた。  しかし、いきなりそれを実行するのは気が引けたので、まずは、二人一緒にしたおねしょを、姉妹のどちらかが肩代わりして、あたかも失敗したのは一人だけだというように偽装する取り決めを結んだ。  もう次の日には、姉妹仲良くおねしょパンツを濡らして、朝を迎えた。前日、深夜番組を見て夜更かししたのが悪かったのだろう。そういったちょっとした生活の変化で、おねしょは引き起こされることがままあった。 「あーあ、私、しちゃった。お姉ちゃんは?」 「うん……。私もした」  二人は朝のおはようのあいさつ代わりに、そんな言葉を交わした。 「二人同時かぁ」 「そうね」 「じゃあ、どうする?どっちかがしたことにする?」 「今日は、私が肩代わりするよ」  優月はお姉ちゃんだし、この隠蔽計画の言い出しっぺなので、まずは自らが名乗り出た。 「いいの?お姉ちゃん、ありがとう。次は、私が被るからね」 「うん、順番だからね」  おそらく、その機会はそれほど遠くはないだろう。  優月と咲良はこっそりとお風呂場に行き、素早く体を洗い流し、そのまま優月だけがお風呂場に残って、二人分のおねしょパンツを洗い始めた。  やがて、その物音を聞いて見に来たママは、 「今日は優月がおねしょしたのね。自分で洗ってるの。えらいじゃない」  と褒めた。 「ふふ」  優月は複雑な気分で微笑んだ。 37  そのような行為を二、三度繰り返してみたが、全然バレないので、ついに当初の隠蔽計画を実施することにした。  ある朝、おねしょしたのは優月だけだった。 「お姉ちゃん、どうする?おねしょを隠すのを、本当にするの?」  咲良はおそるおそる訊いた。 「一回試しにしてみようと思う」  優月はそう言うと、早速足音を忍ばせてお風呂場に行き、なるべく音を立てないように、濡らしたてのおねしょパンツをこっそり洗った。その後は、ママに見つからないように、スキを見て裏庭に出て、物干し場に吊り下げておいた。 「お姉ちゃん、どうだった」 咲良は、息を切らして戻ってきた優月に、心配そうに訊いた。 「多分、ママには見つからなかったと思うけど……」 実際はどうだったかは、これからの後の展開を待つしかなかった。  その三十分後、優月と咲良は、キッチンの食卓で二人並んで、ママに給仕されながら、朝食を食べていた。優月はまだ少しドキドキしていたが、何食わぬ顔で、ご飯を咀嚼していた。  いつもはおしゃべりなはずの姉妹が、今朝に限って変に無口だったので、ママは不審に思った。また、ふとした拍子に、優月と咲良は目を合わせて、「ふふ」と微笑んだりするので、鋭いカンの持ち主のママは、二人が何か良からぬことを企んでいると機敏に嗅ぎ取った。  その日の夕方、優月は再びママの目を盗んで、物干し場へ行った。薄暮の中、例のおねしょパンツと当て布を見つけ出した。 (よし、もう乾いてる)  それらを回収して、部屋に戻り、そこで待っていた咲良に誇らしげに提示した。丸一日干されていたので、そこからはお日様の香ばしい匂いが発せられていた。 「咲良。ほら、これ見て。朝洗って干しといたやつだよ。ママにバレなかった」 「おお、おねしょ隠すの成功したんだね」 「おねしょパンツっていいでしょ。こういうことが出来るんだもの」  優月はそれらをタンスの引き出しにしまい込みながら、おねしょ一回分を得したような気分になった。ただし、 (でも、ママに、私のおねしょが治ったと勘違いされても困るからな。隠すのは二回に一回ぐらいにしとこうか……)  と用心するのも忘れなかった。 38  それ以後、おねしょの隠蔽は何度も連続して成功した。  最初の頃こそ、うまくいったら姉妹一緒に「おお、やったね」と喜んでいたが、意外に簡単に成功したので、何度も回数を重ねているうちに、「今朝干したのは、もう乾いてるだろうから、取ってくるね」というぐらいの日常茶飯事になってしまい、やがて、そのことは姉妹の間で話題にも登らなくなった。 (あれ?そういえば、最近、咲良がおねしょしたのを見てないな……)  ある時、ふと優月は思い出したようにつぶやいた。しかし、咲良が本当におねしょしてないのか、それとも、うまく隠蔽した結果なのか、同じ部屋で寝起きしている姉の優月にもよく分からなかった。その事情は咲恵も同じで、(お姉ちゃん、おねしょ治ったのかな?)とでも思われているのかも知れなかった。 (まあ、もちろん、まだおねしょはしてるんだろうけどね……)  姉妹でお互いに暗黙的に、そのように思っているという状態だったので、ママにバレていたのを知った時の衝撃は大きかった。  ある夜のことだった。ママは姉妹の部屋に入ってきた。優月も咲良もそれぞれの勉強机に向かっていたが、二人は「なんだろう」というように、顔を見合わせた。 「ちょっと中を見るね」  ママはタンスの引き出しを調べ始めた。そこでようやく、優月は「もしかして……」とイヤな予感がした。しばらくして、ママは振り返って、 「優月、咲良」  と二人の名前を呼んだ。ママがこんな風に言うのは珍しいので、優月の胸騒ぎはさらに大きくなった。咲良も不安そうな顔をしていた。ママはそんな二人を代わる代わる見ると、 「今日の昼間、物干し場に行ったらね、濡れたおねしょパンツと当て布が干してあったんだけど、心当たりある?」  と訊いた。 (あ、これは隠蔽がバレたな……)  優月は確信した。部屋の空気は凍り付いたようになった。  こんな状況になってから、優月はつらつらと考え始めた。 (まあ、でも、よく考えてみれば、今までバレなかったのが不思議なぐらいだったんだよな。だって、最近、お風呂場を使うのも、裏庭に干しに行くのも、いい加減でズボラになってたし……)  特に咲恵のやり方は大胆で、大きな物音なども平気で立てていたので、見ている優月がヒヤヒヤしたぐらいだった。 (咲良のやり方、もう少しちゃんと直してやればよかったな……)  優月は今になって後悔した。  また、おねしょの頻度の減り具合も不自然だったのだろうし、そもそも、姉妹は二人共、ママのカンの鋭さを忘れていたようだった。 (そう言えば……)  優月はさらに今朝の情景を思い起こした。朝、優月は起きて、洗面所で歯を磨いていると、ママに、「そろそろパジャマを替えたらどう?それ、もう何日も着てるでしょ」と言われた。その時は何とも思わなかったが、優月がその朝におねしょをしていたのを、ママはちゃんと察知していたのだろう。 39 (どうしよう、マズいことになっちゃったな。怒られるかな……)  優月は胸が恐怖でいっぱいになった。咲良はもう泣きそうな顔になっていた。 「前にも同じことがあったのよ。その時は何も言わなかったけど。あなたたち、おねしょして、自分で洗って、ママに黙って干したってことよね?」  ママはそうはっきりと明言した。これで、おねしょの隠蔽がママにバレたのは確実になった。優月はうなだれて、最早ママを直視できなくなった。怒られるとしたら、姉である優月の方がひどい目にあわされるに決まっている。優月は首をすくめて、ママの次の言葉を戦々恐々として待っていた。  しかし、案に相違してママは、 「ママに言うのが恥ずかしかったの?」  とやさしい口調で言った。 「……うん」  優月は姉妹を代表して、とりあえず、うなずいておいた。この展開なら怒られないで済むかもしれないと、密かに期待を抱いた。  さらに意外な言葉がママの口から飛び出してきた。 「じゃあ、これからは自分たちだけで始末する?」 「えっ?」  優月と咲良は二人同時に声を上げた。 「もう二人とも大きいんだから、おねしょの後始末ぐらいできるよね。優月なんかもう中学生なんだし」  ママのその意外な提案に、優月と咲良は驚いて顔を見合わせた。 「どうする?」  ママは二人に微笑みかけながら訊いた。 「分かった。そうする」  優月は再び姉妹を代表して答えた。ここは変にグズグズ悩んでいるよりも、即答した方が良い結果になるはずだと直感した。 「それでいいよね、咲恵」  優月は咲恵にも同意するように促した。 「う、うん。いいよ、お姉ちゃん」  咲恵も優月の意向を汲み取って、深くコックリと首を縦に振った。こうして今後は、おねしょの後始末は姉妹だけで行われることに決まった。  優月はこの処置について、ママからの罰だというようには受け取っていなかった。ママが二人を信頼しているからこそ、おねしょの後始末を任せたのであって、だから、むしろそれは喜ぶべきことだと思った。  もっとも、おねしょを隠していたことに対しては、ママからちょっとばかりお小言を食らって、姉妹そろって、ごめんなさいと言わされた。  主犯格の優月としては、隠蔽は自分が言い出したことでもあり、また、咲恵を引き込んだという負い目もあった。 (咲恵、そのことをママに告げ口しないかな)  と優月はヒヤヒヤしたが、咲恵はずっと黙ってくれていた。咲恵は恩着せがましいことは何も言わなかったが、 (咲恵に一つ借りが出来たな。いつかそのお返しをしなきゃな……)  と思った。 40  優月は、ママが怒っていないことに安心して、なぜおねしょの隠蔽がバレたのかを訊いてみた。すると、ママは即座に、 「そりゃあ、あんないい加減なことをしたら、バレるに決まってるじゃない」  と言って笑った。 「やっぱり……」 「それにね、ママは実際に触って、おねしょを確かめたんだもの」 「触ってとは?私達の体を?」 「そうだよ」 「いつ?」 「あなた達が眠っている時によ」 「うそっ」  ママが言うには、深夜や早朝に、優月と咲良が寝入っている頃合いを見計らって、おねしょの有無の確認をチョクチョクしていたらしい。ママは二人を起こさないように、静かに部屋に入って、そっと掛け布団をめくって、パジャマ越しにおねしょパンツに触れて、それを調べていたのだという。 「それって、最近もした?そんなことされてたの、私、全然気付かなかったよ」 「咲良はいつもぐっすりで、全然反応しなかったけど、優月の方は、掛け布団をめくって、おねしょパンツを触ったら、なんかムニャムニャ言ってたよ」 「うーん、憶えてないなぁ」  寝ている間にママにそんなことをされていたと聞かされて、優月は非常に驚いた。しかし、それはそれとして、 (夜中におねしょしておいて、次の朝、ママに言い出さなければ、隠したって思われるのは当然だな)  と、バレた経緯については納得できた。  寝床で直接おねしょパンツを調べたり、物干し場で生乾きの当て布を見つけたりして、ママは大半の隠蔽を見破っていたようだった。しかし、ママは実情を知りつつも、すぐに二人を叱ったりはせず、しばらくの間はしたいようにさせていたのだった。  ママを出し抜いたように思えて、実際は、ママの手の平の上で転がされていただけだったと、ようやく悟った優月は、 「なぁんだ、そうだったのか……」  と肩をガックリ落とした。  ママは、そんな優月が可愛くてたまらないという眼差しで、「ふふ」と微笑んだ。優月もそれにつられて、「はは……」と力なく笑った。 七章 新品のおねしょパンツ(41ー46) 41  ママは話題を変えて、 「そうそう、優月。あなたに新しいのを買ってあげようか」  と言った。 「新しいのって、何を?」 「うふふ」 「何よ、ママ。もったいぶらないでよ」 「新しいおねしょパンツよ」 「え……」 「今、優月が使ってるのって、なんかボロッちいでしょ」  確かにママの言う通りで、優月のおねしょパンツはくたびれて、端の方はほつれていた。見掛けもかなり色褪せていた。  とは言っても、優月は、新しいおねしょパンツが欲しいなどとは特に思ったことはなかったし、それに、今さら改めて新調するのはどうかと思った。優月はそのようなことを言おうとしたら、ママに遮られた。 「おねしょパンツ自体は、まだしばらくは使うでしょ?。それに、もし必要無くなったんなら、それはそれでいいわけだし。後は咲良に譲ってもいいし、お古で誰かにあげてもいいし。ああいうのは消耗品だから、ボロくなったら、さっさと新しいものに替えたらいいのよ。その方が、穿いていても、気持ちいいでしょ。そんな高い物じゃないしね」  ママの言うことは、いちいち筋が通っていたので、優月は、 (うーん、そう言われればそうだな……)  と思って、反論しにくかった。 (どうせ、おねしょパンツを穿かなきゃいけないのなら、新しいやつの方がいいか……。でも、古いやつにも、それなりに愛着があるんだけどね。でも、そんなこと、ママは理解してくれるかな?)  優月は、おねしょパンツを新調するかどうかを、「うーん」とうなって、本格的に考え始めた。ママは、そんな優月を辛抱強く黙って見ていたが、そんな下らないことを真剣な顔で悩む優月が滑稽に思えてきて、半分笑い声で、 「どうするの?」  と訊いた。 「今、考えている」 「じゃあ、気の済むまでゆっくり考えなさい」 (なんか、ママ、やけに親切にしてくれてるなぁ。本当は怒られてもおかしくないのに。せっかくの親切を無下に断るのは悪いかな……。ここはママの言葉に甘えておこうか。それに、変にグズグズしていると、ママの機嫌を損なうかも知れないし)  そこまで考えて、優月はようやく結論を出した。 「じゃあ、分かった」 「新しいの、穿くのね。用意しておいて、いいのね?」 「うん、ありがとう」  その後、優月は部屋で一人、机に向かって物思いに沈んでいた。  腕組みをしながら、頭の中でさっきのママとの会話を反芻した。 (ママは私に、やたらと、おねしょパンツを穿かせようとしてたな。でも、なんか雰囲気が不自然だったような気もする……)  あれは何だったのだろうかと思いを巡らせていると、突如、一つの考えがひらめいて、優月はハッとした。 (もしかして、あれは親切なんかじゃなくて、私がおねしょを隠すなんて悪いことをしたから、そのお仕置きって意味なんだろうか?それがママの本心なのかも……)  そこに気付いた優月は、ちょっとママのことを恐れた。あの笑顔の下には、鬼のような厳しさを隠していたのだと思うと、今さらながら、ゾクッとした。 (いや、でも、それは考えすぎかな?うーん、分からない……)  優月の心は千々に乱れた。 42  数日後、優月が学校から帰宅して部屋に入ると、すでに机に座っていた咲良が振り返って、 「あ、お姉ちゃん、お帰り。これ、渡しておくね」  と言って、小さなビニール包みを差し出した。 「これは?」  優月は受け取りながら、訊いた。 「さっき、ママがくれたの。それがお姉ちゃんのだって」 「えーと……」 「おねしょパンツだよ。ママが新しく買ってくれたみたい」  咲良に言われるまでもなく、包装フィルム越しにでも、一目でおねしょパンツだと分かった。 (この前の約束、ママは本気だったのか……)  それについて、優月はずっと半信半疑で、からかわれているのではないかとも怪しんでいたので、ママが本当に新品のおねしょパンツを買ってきたことに驚いた。また、実際にそれを手に取って、目を見張った。  そのおねしょパンツは、水色の生地に、動物のイラストが全体的にあしらってあり、しかも、ネームタグまでついているというものだった。可愛いというよりも、幼い感じがした。パッケージにはしっかりと「おむつカバー」と書いてあるので、余計にその印象が強かった。 (ママは相変わらず、こういう派手なやつが好きだな……。私は、もうちょっとおしゃれなのが良かったんだけど。でも、おねしょパンツを穿くなんて、本当は小さい子なんだから、こんなもんか……)  ただ、パッケージには「Lサイズ130ー150」という表記があって、特に幼児用というわけでもないようだった。 (身長150センチといえば、小五とか小六ぐらいか。ということは、私みたいな小柄な中学生が穿いても、そんなにおかしくはないのかな?)  そんなことを思いながら、優月はそのおねしょパンツを凝視していたが、いきなり咲良に、 「お姉ちゃん?」  と声を掛けられ、ハッと我に返って顔を上げた。優月は、こんなものを長い時間ずっと興味津々に見つめていたのが恥ずかしくなって、照れ隠しのように、 「えっと……。咲良のもあるんだよね?」  と、取って付けような質問をした。 「うん。私ももらったよ。それとは色や柄は違うけど」 「へえー、よかったじゃん」 「新品を買ってほしいって、お姉ちゃんが頼んだの?」 「頼んだっていう程じゃないけどね」 「でも、ママはそう言ってたよ」 「まあ、頼んだと言えば、そうなるかな……」 「お姉ちゃんが欲しかったのなら、買ってもらって良かったんだろうけど、でも、私は別にいらなかったんだけどね」 「あら、そう?」 「だって、おねしょパンツなんて、わざわざ新しく買うことないでしょ。今あるやつでいいわけだし。でもママは、せっかくだから、新しいのを使いなさいだって」  咲良の口振りからは、おねしょの隠蔽がバレたという負い目があるので、ママの前では我が儘は言いづらくて、やむなく承諾したという事情がうかがえた。  また、咲良の本音として、優月に誘惑されて自分も隠蔽の共犯になったのだから、「こんなことになったのは、そもそもはお姉ちゃんのせいだ」とでも思っていたのかも知れない。優月は、今さらそんな非難めかしいことを言い出されても困るので、慌てて話題を変えた。 43 「でも、これ、結構可愛いよ」 「お姉ちゃん、これ、穿く?今日の夜はどうする?」 「うーんと……。穿くかな……」 「じゃあ、私のをお姉ちゃんにあげようか?」 「えっ、どういうこと?あなたは穿かないの?」 「なんだか、幼稚なんだもん。私は今あるやつでいいよ」 「自分が気に入らないからって、私に押し付けないでよ」 「えへへ。でも、お姉ちゃんの方が使う回数多いでしょ?」 「うっ。それはどうかな……」 「だって、そうじゃん」 「ん……」  おねしょの回数の話になれば、どうしても優月の方が不利になるのは、姉として辛い所だった。 「そうしようよ。私の今持ってるおねしょパンツはまだきれいで十分穿けるけど、お姉ちゃんのは擦り切れたりしてボロいよね。だって、よく使うから」 「まあ、それは、これからの様子を見てから決めようよ」  優月はごまかして、この場を収めようとしたが、咲良は納得せず、受け取るように迫った。  ちょうどその時、ママが部屋に入ってきた。 「優月、帰ったのね。前に言ってた新しいおねしょパンツ、買っておいたよ。咲良から受け取った?ああ、それね」 「ママ、ありがとう」 「それでよかったかしら」 「うん」 「もう、穿いたの?」 「えっ?いや、まだ穿いてないけど」 「一回、穿いてみて」 「なんで?」 「一応は、試しておいた方がいいから。それは大き目だから、サイズが合わないと、寝てる間に脱げたりして大変でしょ」 「今、穿くの?」 「そうよ」  ママはそれを確認するために部屋に来たようだった。  咲良も横から口を出して、 「私もさっき穿いてみたんだけどね、結構大きかったよ。大きすぎるぐらいだった」  と言った。 (ふーん、だから私にくれるのかな。私も一回穿いてみるか……)  優月は服を脱ぎ始めた。まだ学校の制服姿だったので、まずは紺色のスカートを脱いで、パンツを露わにした。それは校則で決められている通りの純白のパンツだった。 (ママと咲良に見られながら脱ぐのは、ちょっと恥ずかしいな……)  と思いつつ、そのパンツに手をかけて、膝まで下ろした。その瞬間、ママは、 「あっ」  と声を上げた。 「何?」 「そこまで脱ぐ必要はないよ。サイズを確かめるだけだから。おねしょパンツは、下着の上から穿いたらいいよ。まあ、脱ぎたいなら脱いでもいいけどね……」 「そうなの?えーと、どうしよう」  しばらくの間、優月は前を丸出しにして、膝上のパンツを握ったままの中途半端な状態で迷っていた。 「どっちにするの?どっちでもいいから早く決めなさい」  ママは笑いながら訊いた。優月は、おねしょパンツなので、いつものように直に穿こうと思って、 「まあ、脱ぐよ」  と言って、パンツを下ろして足首から引き抜いた。 44 「それ、持っといてあげる」  ママは言って、優月の脱いだパンツを預かった。段取り良く、次に咲良が、 「はい、これ」  と言って、新品のおねしょパンツをビニール袋から出して、優月に手渡した。 「ありがとう」  優月は二人の注目を浴びながら、それをお股に当てて穿こうとした。おねしょパンツとは呼んではいるものの、実際にはそれはパンツではなく、前開きのおむつの形なので、穿くのには少し手間がかかった。  しかも、それはいつもと勝手が違ってやりにくかった。 (これ、なんか、ちょっと硬いな……)  そのおねしょパンツは新品のため、まだ布地がしなやかに馴染んでいなかったし、また、サイズが大きいため、前後に長く、ベロンと垂れて、扱いづらかった。 「手伝おうか」 「いや、自分でできるから、いい」  優月はママの申し出を即拒んだが、モタモタと穿くのに手間取っていた。 「立ったままじゃうまく穿けないでしょ。おっちんして、ゆっくり穿きなさい」  ママは見兼ねて言って、優月を床に座らせた。  優月は床の上におねしょパンツを広げて、その上にお尻をペタンとつけてしゃがんだ。そのようにすれば、とても簡単に穿けた。 「よし、穿けた」  と言って、立ち上がった。  上着は制服のセーラー服で、下半身はおねしょパンツという変な格好になった。 「この辺、苦しくないよね」  ママは優月のおねしょパンツの足回りを探りながら訊いた。  おねしょパンツは、全体的にはまだ硬さは残っていたが、新品なだけあって、布地の表面はサラサラと素晴らしい肌触りだった。この感触を一度知ってしまったら、古びれてゴワゴワになったおねしょパンツには、もう戻れないような気がした。 「うん、いい感じ……」  優月は少し恍惚となって、いつまでもこの感触を味わっていたいと思った。 「気に入ってくれたみたいね。良かったわ」 「でも、ちょっと大きいかも……」 「当て布を多目に敷いたら、ちょうどいいんじゃない」 「あっ、そうだね」  このおねしょパンツは一回り大きい分だけ、当て布をたっぷりと敷けるので、大おねしょして布団を濡らすという心配も無用になった。  どうせなら、ついでにということで、今この場で、当て布を中に入れて穿いてみた。この新品のおねしょパンツは、その状態で穿く方がシックリきた。古いおねしょパンツのような窮屈な感じはなく、ほどよい圧迫感が心地良かった。 (おねしょパンツって、こんなに快適なものだったのか。新品を買ってもらって、良かった)  優月はこのおねしょパンツに感じ入った。 45 「このまま穿いとく?」  ママは優月の気持ちを見透かしていたようだった。 「……うん」 「じゃあ、しばらく、このおねしょパンツ穿いて、慣らしなさい。後でママがまたパンツに穿き替えさせてあげるから」  ママはそう言い残して、優月のパンツを持って、部屋から出ていった。  下半身をおねしょパンツだけの姿で突っ立ている優月を、咲良は早速茶化し始めた。 「お姉ちゃん、まだそんな格好してるの?パンツはどうしたの?」 「ママが持って行っちゃったよ」 「なんで?あ、分かった。チビって濡らしてたんでしょ。あはは」 「違うよ。そんなんじゃないよ。この新品のおねしょパンツを穿いて、慣らすためだよ」  優月はちょっとムキになって言い返した。 「ふーん」  咲良は、まだ日も暮れていないのに、おねしょパンツを穿かされている優月を見て、感心したような、見下したような顔をした。  優月は、いつまでも、おねしょパンツを丸出しのままでいるわけにはいかないので、普段のようにスカートを穿いた。しかし、咲良は、そんな格好をしている優月の存在がどうしても気になってしまうようで、 「こんな時間からおねしょパンツを穿いてるのって、なんか少し変な気がする。ねえ、もう一回見せてよ」  などと言って、背後から優月のスカートをめくり上げて、おねしょパンツを露出させた。そんなことをやられた優月は、 「こら、咲良、そんなおふざけはやめなさい」  と、わざと恐ろし気な声を出して叱った。しかし、咲良は、 「うふふ」  とニヤニヤするだけだった。おねしょパンツを穿いている姉に叱られても、咲良は怖くも何ともないようだった。 「もう。おねしょパンツがそんなに気になるなら、咲良も穿けばいいじゃない」 「私が穿くのは、夜だけでいいよ」  咲良はそう言いながらも、やや複雑な翳りのある表情を浮かべていた。 (咲良は、穿きたいけど、恥ずかしいと思ってるのかな)  優月はそんな風に解釈した。 (咲良も変な意地を張ってないで、おねしょパンツ穿けばいいのに。どうせなら、姉妹で仲良く一緒に穿きたいなぁ……。そうだ、私がママみたいに、咲良におねしょパンツを穿かせてあげてもいいかな。でも、そのためには、おねしょの回数で、私の方がましにならなくちゃダメか)  優月は、妹を相手にして、そんな対抗意識を感じた。  ママは優月におねしょパンツを穿かせていたことを忘れてしまったのか、その後、何も言ってこなかった。結局、その日、優月は寝床につくまで、おねしょパンツを穿きっぱなしだった。 46  前日、おねしょパンツの試し穿きをしていた姉に対して、咲良は散々バカにしたような態度をとったのだが、その咲良のおねしょの頻度は相変わらずで、その夜を含めて、連日立て続けにおねしょパンツを濡らしたのだった。  すでにママは姉妹に一つの約束をさせていた。 「これからは、おねしょしても、自分たちだけで後始末しなさい。もう二人とも大きいんだから、できるよね」  と言って、後始末は二人に任せていた。また、特に優月には、 「優月、あなたはお姉ちゃんなんだから、咲良のことはちゃんと面倒見てやってちょうだいね」  と依頼した。  優月はママの言いつけ通り、「よし、お姉ちゃんらしく、咲良のお世話してあげよう」と張り切っていた。咲良におねしょパンツを茶化されたのを根に持つようなことはせず、やさしく丁寧な態度で接しようと決めていた。  その翌朝から早速、優月は目覚めると、まずは隣で寝ている咲良の布団に手を伸ばし、おねしょパンツをパジャマ越しに触って調べた。 (咲良、今朝はどうかな?したかな?)  その時の優月の気持ちとしては、心配しているというよりも、むしろ、咲良がおねしょしていることを期待していた。  そこが少しでも温かかったら、「咲良、おねしょしちゃったね。よし、お姉ちゃんが洗ってあげるよ」と言って、その場で咲良のパジャマもおねしょパンツも脱がして、全裸にさせて、お風呂場へ連れて行って、洗ってあげた。  優月は、そうすることが面倒だとはちっとも思わず、逆に、最近珍しく、お姉ちゃんらしいことができるということで、そこに喜びさえ感じていた。 八章 可愛い妹(47ー53) 47  最初の頃は、咲良は、お風呂場で一人全裸にされて、パジャマ姿の姉に体を洗ってもらうのは、気が進まなかったらしい。うつむいて、恥ずかしさに耐えているという素振りだった。ふくれっ面で黙っていたが、 (でも、ママに叱られながら洗ってもらうよりは、優月お姉ちゃんにしてもらう方がまだマシか……)  とでも思っていたのだろう。  優月がシャワーのお湯を掛けてやりながら、咲良の小振りなお尻などを素手で撫でていると、咲良はくすぐったそうに身をよじって、優月の手を押しのけようとした。 「お姉ちゃん、あんまりそんなことしないで。私、恥ずかしい……」 「咲良、ダメだよ。良い子だからね。じっとしてようね」  優月はそんな駄々を捏ねる咲良を叱るのではなく、やさしく言い聞かせるように言った。  お世話を喜々として行う優月の気持ちは咲良にも伝わったようで、徐々に咲良の態度も軟化して、優月の世話を受入れるようになった。  そのうち回数を重ねると、咲良は体を洗ってもらうのにも慣れて、優月が洗いやすいようにと、自ら素直に股を開いて立って、優月に体を委ねるようになった。 「お姉ちゃん」  ある時、咲良は太ももを優月にシャワーで洗ってもらいながら、優月にしゃべりかけた。 「なあに?」 「お姉ちゃんってやさしいね。私、こんな風にずっとお姉ちゃんにして欲しいな」  咲良にいきなりそんなことを言われ、優月は驚くとともに、少なからず感動も覚えた。 (咲良は私のことが、ママよりも好きなのか……)  優月は咲良のことが愛らしく思った。体の奥が変にキュンとなって、今この場所で、咲良の小柄な裸体をギュッと抱きしめてやりたくなった。しかし、相手の体がビシャビシャなので、それは我慢した。その代わりに、立ち上がって、咲良のおでこに自分のおでこをくっつけた。 「な、何よ、お姉ちゃん。急に」  今まで姉妹でそのような行為をあまりしたことはなかったので、咲良は驚いた。 「私、咲良のことが可愛いなって思えてきたの」  優月は臆面もなく言った。 「えー、ホント?じゃあ、今の、もう一回して」 「いいよ」  二人はまたおでこ同士をくっつけあった、しばらくその状態で、お互いを間近に笑顔で見つめた。  優月は「ふふ」と微笑んで、今度はそこから顔を少し上げて、咲良の髪の生え際に唇をチュッとつけた。咲良は「わあ」と叫んだ。しかし、優月は咲良を離さず、さらにそのおでこをチューチューと音を立てて吸ってやった。咲良はそのくすぐったさに、「イヒヒ、やめて―」と笑いながら、優月の腕の中で暴れたので、結局は優月のパジャマは水滴で濡れた。 48  咲良はお風呂場で全裸で優月に洗ってもらっても、大して恥ずかしがらなくなった。それだけでなく、普段の生活の中でも、優月にずいぶんと懐いて、甘えるような仕草も見せ始めた。  朝、おねしょして起きた時も 「お姉ちゃーん、おねしょしちゃったよぅー」  と舌足らずで鼻にかかったしゃべり方をして、上目遣いで優月にすがってきたりした。 (おや?なんだか、最近の咲良って、年齢が退行して、幼稚園児ぐらいに戻っちゃったみたいだな……)  優月はその微妙な変化を感じ取っていた。  一週間に何度もおねしょをしているうちに、「自分はまだおねしょするような小さい子なんだ」という認識を、自分で自分の心理に摺り込んでしまったようだった。咲良ぐらいの年齢だと、そのような感受性がまだ高いのだろう。優月としては、咲良に頼りにされるのはイヤではなかったし、むしろ喜ばしいことだった。  しかし、優月は決して聖人君子ではなく、誰でも持っている程度の悪戯心はあった。そもそも優月はまだ中学生なので、そのような精神を多分に残しているのは自然だった。それはちょうど、可愛らしい子犬に足元にまとわりつかれると、うれしい半面、ついついちょっかいを出して、いじめたくなるという心理と同じだった。  優月は、自分に甘えかかってくる咲良と接しているうちに、そのような悪戯心を刺激され、 (そういうのは、あんまりやっちゃいけないんだけどな……)  と自分で思いつつも、意地悪をしてやりという衝動に抗しきれなくなった。また、そこには、 (咲良は、どこまで私のいいなりになるかな?それを試してみたい)  という好奇心も手伝っていた。 49  ある朝、咲良はおねしょした。  いつものように優月は咲良を全裸にして、濡れたおねしょパンツを持って、お風呂場に連れて行った。 「じゃあ、体を洗って上げるね」  優月は、大人しく立っている咲良に、やさしい顔で言うと、手を伸ばしてシャワーヘッドをつかもうとした。その瞬間、ふとある考えが優月の脳裏をよぎった。ここに来るまでは、何の計画もしておらず、それは完全な出来心だった。 (どうしよう……。こんなことして大丈夫かな?)  優月はちょっと躊躇したが、振り返った時にはすでに、 (よし、やってやろう)  と心が固まっていた。  優月はシャワーヘッドを取るのをやめて、 「咲良、しゃがんで」  と言った。 「え?なんで」  いつもとやり方が違うので、当然、咲良は不審に思って、優月に訊き返した。しかし、優月はそれには答えず、お湯の蛇口をひねって、洗面器にお湯を溜めた。二人は黙って、そこにお湯が溜まるのを見ていたが、咲良は、耐えかねたように、 「これは、どうするの?」  とあどけない顔をして訊いた。 「今日は、この洗面器で洗うんだよ」 「シャワーじゃなくて?。ふーん……」  咲良はまだ優月の意図を理解できずにいて、無心な表情を浮かべていた。  優月は咲良の両肩に手を掛けた。 「咲良、しゃがんでって」 「しゃがむの?こう?」  咲良は片膝を床について、浴槽のふちを右手でつかんで体を支えた。 「うん、そう。そうしていて」  優月も膝を曲げて、咲良のすぐ傍で同じようにしゃがんで、洗面器を引き寄せた。 「んん?」  咲良は左横の優月の顔を不思議そうに見た。優月も見返して、「ふふ」と微笑みかけると、洗面器のお湯をすくって、咲良のしゃがんでいる太ももにポトポトと垂らした。そこまでしても、まだ咲良は今から何をされるのかを理解できていないようだった。優月はもどかしくなって、思い切って、濡れた手を咲良の太ももの間へ直に当てた。 「ひゃっ、何するの?お姉ちゃん、くすぐったいよ」  さすがに咲良は驚いた声を上げた。しかし、優月は落ち着いていた。 「こうやって洗うんだよ」 「こうやってって……」 「昔、ママと一緒にお風呂入ってた頃は、こうやってお股を洗ってもらってたでしょ?覚えてない?」 「えっ、でもそれって、かなり前じゃん。幼稚園ぐらいの時じゃ……」 「そう。それぐらいの年齢の時は、自分じゃ洗えないから、こうやって洗ってもらったでしょ?」  優月はそう言いながら、洗面器からお湯をすくいとって、その手をピシャッと咲良のお股に当てた。咲良は、明らかに戸惑った顔をしたが、抵抗する素振りはしなかった。優月はそれをいいことにさらに手の動きを強くした。 「久しぶりに、昔と同じように、洗ってあげるよ」 「……」  咲良は困惑と羞恥で言葉も出なかった。しばらくの間、お風呂場にはパチャパチャという水音だけが響いた。 50 「お姉ちゃん、私、もう……」  咲良は恥ずかしくて堪らないというように、身をもだえさせて、逃れようとする素振りを見せた。しかし、優月はそうはさせまいと、 「咲良、お手々はこうしておいて」  と言って、咲良の右手は浴槽のふちをつかませ、左手は優月自身の肩を持たせた。  優月は咲良の左横にくっつくような体勢になって、左右の手を伸ばし、咲良のお腹と背中へ前後から差し入れ、洗面器のお湯をすくっては、素手でピチャピチャと咲良のお股を洗ってやった。  他人には滅多に触られない場所を、ゴシゴシと擦られるように洗われて、咲良は恥ずかしさで何も言えず、唇を真一文字に結んで、ジッと前を向いて、その刺激に耐えていた。優月はその顔を見ながら、 「シャワーで流すだけよりも、こうやって手で擦った方がいいからね。この辺をキレイキレイにしましょうね」  と幼児語を使って、やさしく語りかけた。ただし、手付きは相変わらず力強く、前から後ろを隈なく指先を巡らせた。すると咲良は突然、 「うっ」  と顔をしかめて、涙ぐんだ。 「あら、どうしたの?」 「私、恥ずかしいよ……。だって、こんな風に洗ってもらうのって、赤ちゃんみたいなんだもん」 「恥ずかしがらなくてもいいだよ。だって、おねしょするってことは、まだ赤ちゃんってことでしょ?だから、咲良はこういうことをされても、いいんだよ。分かった?」  優月は小さい子に言い聞かせるように、咲良の頭をやさしく撫でてやった。咲良はあきらめたように、辛うじて聞こえる声で、 「うん」  と小さくうなずいた。 「咲良は良い子だね」  曲がりなりにも納得した咲良を見て、優月は再度手の動きを再開した。咲良はもう無抵抗で、大人しく優月のされるがままになっていた。 51  優月は咲良の股間を洗いながら、相手の恥ずかしい場所を一方的に触っているという奇妙な優越感を覚えた。そのため、ついつい時間の経つのも忘れて、それが余りに長時間に及んでしまったので、ついに咲良も、 「ねえ、まだ?もういいでしょ?」  と不平がましく言い立てた。 (おっと、ちょっとしつこくやり過ぎかな。最初はもうちょっと控え目にすべきだったな……)  優月も、もうそろそろ切り上げた方がよいと思った。しかし、このまま終わってしまうのも、ちょっと心残りだった。 (うーん、どうしよう……) と悩んでいると、すぐにアッとひらめいた。今日の優月は頭がすごく冴えていた。 「次はセッケンをつけてしようね」 「えっ、セッケンを?」  水洗いの後で、セッケンをつけてまた洗うというのは、ちょっと順序がおかしかったが、優月は強引に押し切った。  両手でセッケンを揉んで、たっぷりと泡を立てて、その泡塗れにした手で、また咲良のお股を擦った。セッケンの付いた手は、咲良の肌の上をツルツルと気持ちよく滑った。 「ああん、お姉ちゃん、ちょっと力が強いよ」  咲良も思わず声を上げた。 「しっかり洗わないとね」  優月はそう言って、手の平をリズミカルに前後させた。セッケンの付いた優月の手はクチュクチュと音を立てながら、咲良の敏感な肌を擦った。それが往復する毎に、咲良は、 「あっ、んっ。なんか、くすぐったい。私、もうダメェ……」  と恥ずかしさと戸惑いの混じった甲高い声を上げて、身をよじった。 「暴れちゃダメよ、お手々はここね」  優月は、咲良の手首を取って、また浴槽の上に戻させた。咲良は抵抗する力もなくなっていた。 52 「お、お姉ちゃん、私……」 「どうしたの?」 「うーんとね……、私、おしっこしたくなっちゃった……」  咲良は恥ずかしそうに小声で言った。股間を洗われて、その刺激でおしっを催したようだった。その言葉を聞いて、優月の頭は忙しく回転した。 (どうしようか……) 「お姉ちゃん、私、お手洗いに行きたいから、早く洗ってくれない?」 「……」 「ねえ、お姉ちゃんってば」 「いいよ。ここでして」  優月は普通の声で言った。 「えっ?」 「ここでこのまましたらいいよ」 「おしっこを?」 「うん」 「そ、そんな……」  咲良は絶句した。しかし、優月は、さもそれが当然だというように、 「さあ」  と促した。  咲良は、本当にお風呂場でおしっこしてもいいのだろうかと迷っていたが、優月はいいと言うし、それに、おしっこの方も込み上げてきて、あまりグズグズとはしていられなくなった。 「じゃあ、出すけど、本当にしてもいいんだよね?お姉ちゃん、後で怒らないよね?」 「いいよって言ってるでしょ」 「分かった……。ん、あっ、で、出るっ」  しゃがんでいる咲良の両太ももの間から、一本の水の筋が噴き出した。それは勢い良く飛んで、避けていた優月の手にまで届いて、ピシャッと弾けた。 「おっと」 「あっ、お姉ちゃんの手におしっこ、掛けちゃった。ご、ごめんね」  咲良は股間からおしっこを放出しながら、慌てて謝った。 「あら、こんなの、全然気にしなくていいよ」  優月はそう言うと、大胆にも自ら左手を咲良の股間に近づけて、そこから噴き出ているおしっこを手の平で直に受けた。おしっこは周囲に飛び散って、咲良の股間の泡も解けて流れおちた。 「お、お姉ちゃん……」  あまりのことに、咲良は絶句した。しかし、優月は、 「ふふ」  と余裕を見せて微笑んだ。 「そ、そんなことして、手、汚くないの!?」 「平気、平気。こんなのこうやってお湯で流せばしまいだもの。おしっこは全部出たね?」 「う、うん」  咲良は最後に、おしっこの残滓をピュッピュッと出した。 「よし、じゃあ、咲良のお股をもう一度洗い直そうか」  優月はセッケンの泡を手に塗って、再度、咲良の股間をキュッキュッと洗い始めた。その時、優月は自分もおしっこを催していることに気付いた。 53 (私もおしっこ行きたくなってきた。咲良が気持ち良さそうにおしっこしたのを、間近で見せ付けられたせいかな……)  しかし、咲良を洗っている途中で置いてきぼりにして、優月はお手洗いに立つというわけにもいかず、しばらくそのまま手を動かしていた。 (ううっ、結構きてるな……。洗い終わるまでもつかな?)  と思った瞬間、おしっこはおねしょパンツの中でチョビッと出た。 (わっ。もれた)  そこからの優月の決断は早かった。 (もういいや。このまま、しちゃおう)  力を緩めると、おしっこはシャーと放たれて、優月は声に出したいような解放感に襲われた。  優月は、咲良にこのことを感づかれないように、あえて水音をバシャバシャと大きく立てて洗ってごまかした。  ほんのちょっとかと思っていたおしっこは、意外にも後から後からジャージャーといっぱい出て、おねしょパンツをグッショリと重く濡らした。しかし、優月は何食わぬ顔をして、咲良のお股を濯いでいた。  優月は最後に一回、お湯を咲良のお腹と背中にザァーと掛けて、 「ふぅ、こんなもんかな」  と言って、洗うのを完了とした。普段しないようなことを長時間したので、優月の手はかなり疲れていた。 「もう終り?」  咲良は心持ち残念そうに言った。 「うん。どうだった?」 「えーと、最初はちょっと恥ずかしかったけど、でも、慣れた。お姉ちゃん、洗ってくれて、ありがとう」 「またしてあげるよ」 「うん」 「おねしょしたらだけどね」 「ふふ」 「またしてほしい?」  優月のその問いかけに、咲良は頬を染めて、コクンと小さくうなずいた。 (ああ、咲良は素直で可愛い子だなぁ)  と優月は我が妹ながら、胸がときめいた。  脱衣所で咲良の体をタオルで拭いてやって、すっかりきれいになった。 「じゃあ、服を着てきなさい。自分で着れるよね」  優月は咲良を脱衣所から送り出した。  一人になって優月はフウと息をついたが、休む間はなく、もう一つすべきことが残っていた。 (咲良の体を洗うのは終わった。次は私のこの濡れたおねしょパンツを始末しなくては……)  優月は素早くパジャマを脱いで、おねしょパンツをはずして、濡れた当て布を引き抜いた。またお風呂場に戻って、体の方はササっと濯いで、当て布を洗面器に浸けて、大胆にも全裸のままで、ジャボジャボと二人分の当て布の手洗いを始めた。  もし咲良がまたお風呂場をのぞきに来て、優月が真っ裸になっていることを咎めたら、「汗をかいたから、私のもついでに洗ってるの」とでも言って、ごまかすつもりだった。しかし、幸いなことに、優月の粗相は誰にも見つからなかった。


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