華麗なる悪徳の躾~バーでの秘密の夜~絆5新茶side
Added 2019-08-02 03:07:04 +0000 UTC紅潮した頬、露骨に泳ぐ視線。 自身が若いころ、女たちから向けられた視線。 もちろん男からも、なんて場合もあるが、特にソレをどうこう思ったことはなかった。 ただ、流石に、年若い少年に、壮年、棺おけに足の先っぽつっこんだような年になってから向けられるとは思っていなかったが。 カルデアに来て数ヶ月目に起きた変化は、しだいに露骨に避けられる形で変化していた。 自身の悪事や正体を理由に、ではなく。 こういった避けられ方は新鮮だなんて暢気なことを考えていたのだが。 どうやら少年への風向きは相変わらず逆風なようで。 思いつきでのバーテンごっこの相棒として、派遣され二人きりの時間を数日過ごすことになる。 視線が合うと、オドオドと泳ぐ視線と、聞いてもいない業務内容の独り言。 「あ、こんなところにゴミが、掃除しなくっちゃ。」 最近みたジャパニーズのアニメの探偵坊やのトイレ並みの頻度でバレないとおもっているのだから。 いっそ愚かで愛らしい。 バーテンごっこ遊びにも飽き、睡眠をとらずともどうにでもなる肉体ではあるが。 一人がけのソファに腰掛足をくみながらそっと目をつむる。 頬杖をつきながら。さて、今後どう対処すべきかと考えていると。 悩みの種は、こちらが眠っていると思ったのか。恐々近づき。 意を決したようにギシリと身を乗り出しソファへと膝を突きながら震える指で胸に触れる。 しばらくの間。 キスくらいしてくるのかと思ったが、緊張で過呼吸を起きそうなほど荒い息をしながら。じっと動かない。 「?」 すっと目を開くと。今にも泣き出しそうな顔でコチラを覗き込んでいる彼がいる。 マスター君、なんて顔をしてるんだい。 呆れ半分に、見つめ返していると。 我に返った彼は青ざめ咄嗟に手を引っ込める。 その狼狽ぶりがおもしろくわざと意地の悪い質問を投げかけてやった。 「この部屋は、暑すぎたカナ?マスター君」 怒気を孕んだわけでもない、ただからかうようにした軽口に。 ますます泣きそうな顔。 涙の膜がかれの瞳をふさいでいる。 不器用な子供の慕情を見てみぬフリをするのは大人の役目というやつだろう? 悪党であろうとそれはかわらぬのだよ。 道徳的に君を受け入れてはいけないのだと。言い聞かせるように静かに見つめる。 イロイロ自身の立場についても考えたのだろう。 勝手に課された使命とやらや、自身の過小評価した価値に心を痛めた姿が手に取るようにわかる。 それでも、良き仲間として受け入れてやっては、彼が苦しむことになる。 犯罪卿と謳われた自分が、こんな良識的判断をするなんてお笑い種だ。 そんな自嘲が浮かんだ姿が、嘲笑に見えたのか。 「今くらい…俺だけ見てよ!モリアーティ!!」 一度引きかけたからだを戻し、のしかかるようにソファの背へと押し倒してくる。 いやはや若いとは恐ろしいものだ。 本質的には優しすぎる彼が、ソレ以上何かできるわけもなく。 ただ、押し倒しただけで、ひどく傷ついた表情を浮かべ、自身の行動へと困惑する姿に。 ゾクリと嗜虐心くすぐられる。 今にも壊れそうな小動物のように怒り、羞恥、悲しさ、たくさんの感情をガラス球の中で乱反射させ震えている。 なんていじらしい子だろう。 「っ」 結局言葉がみつからなかったのだろう。悔し紛れにドン!と、片手で胸を叩いてから。 俯いたまま、身を起こす。 「それだけかい?」 その程度で諦められる興味だったのかい? 離れかけた指先を搦めとり、しっかりと絡ませ、腕を引き、ワルツのように腰を抱き寄せられ至近距離の体勢で。 「キミは、やはり悪党に向いてないねぇ、マスター君。」 イタズラに彼の純情を弄ぶように耳元で囁く。 「だ、だって。」 言い訳しようの無い事実を突きつけられ、間抜けに半開きの唇を筋張った指先でからかうように撫でられ。 押し広げられ行き場を見失って戸惑う舌先を嬲る。 褒美であり罰の様な行為に困惑し、唾液が垂れる羞恥に身悶えするが。 一度獲物をつかんだその指に口腔を掻き回され、されるがまま達しそうな表情で膝をつくように脱力する。 「これはおじさんを挑発する、悪いピクシーへのお仕置きだヨ」 いたずら妖精と称され羞恥で顔をゆがめながら、口腔の擬似的な愛撫だけで蕩けた頭では何も考えられないのだろう。 「え、ぁ」 間抜けな声を漏らすかわいいかわいいマスターへ、お仕置きを宣告する。 「そこに、ズボンと下着を脱いだら手を突きなさい。」 かっっと開いた目と、赤くなった耳で動揺しながらも、快楽への好奇心と、錯覚か本物かわからない恋慕を向けた相手からの要求に。 少なからず期待してしまったのだろう。 かわいいかわいい、そして愚かで可哀相な子羊は。 期待を滲ませながら、逸しまとわぬ状態になった尻を無防備に差し出すようにカウンターに手を突く。 後ろから見ても判るくらい指には力が入り白くなっているし。 手汗のせいで吸盤でもあるかのように手がテーブルにはりついている。 「君が悪徳を犯すことは歓迎だがね、こういった、感情や勢いだけで無計画な身を破滅させる美学無き悪は私は好まない。」 そう言って、緊張する手の上から逃げられぬように手を添えながら、見せの端においておいた仕込杖を取り出し。 ヒュンッ としならせ、裸になった彼の尻を打つ。 一打目は久しぶりだし、この肉体になってからは初めてだったため。強く打ちすぎた。 手にかかる抵抗でそう感じながらも。 思考する時間を与えず。 二打、三打 ピシッ ピシリッ と音こそ静かだが、相当に痛い鞭を彼の尻へと打ち下ろす。 「いっ、ひぎっ、ふっっぁぅぁっやっめやっ」 足を出来る限り曲げて尻タブを庇おうとするが曲げるのをやめた次の瞬間をねらって杖が飛んでくる。 「やめてっやめてっモリアーティ、痛い!痛いよ!!」 額に玉になるような汗粒を浮かべ涙をポロポロ流して、許しを懇願する。 「19世紀あたりには、大抵の学校に一本鞭が置いてあって、粗相や違反をした生徒はこうやって罰せられたものだよ。」 ピシッ 「ひっ」 ピシ 「いたいっいたいんだ、本当に、だから、おねがいモリアーティ、おねがいだから。」 「一ダース」 「?」 「一ダース耐えたら鞭は止めてあげよう。」 鞭"は"の意味もわからずコクコクと頷く愚直さを愛らしいと思いながら。 彼の悪徳や、自身への正直な衝動を歓迎する反面。 年長者として、彼の危なっかしさを罰する。 悪徳だの美徳なんてものは確かに考えの一つではあるが、こんな幼い少年に求めるほど野暮ではない。 「十二打目だ。」 最期の一打の宣告に足に力が入り、自身の手の中で握り締められている手に更に力が入るのが伝わる。 ピシィッ 少し強めだが、肌に傷が残らない程度に手加減はしたのだが。終わると。 糸が切れたようにわんわんと彼は泣き出した。 まぁ、小さい頃膝の上にダディやマミーから悪さの代償に尻叩きされるのとは違い。 懲罰スタイルはこんな素直な子には経験の無かったことだろう。 「がんばったね。」 そういって手を貸し立たせながら、抱きしめるようにして再び尻に触れる。 「え?いたっ、モリアーティ?なに?なに?」 「今のは悪徳についての罰だけど寝込みを襲おうとしたおしおきは未だだよ。マスター君。」 にっと笑い。しがみつきながらも。 嘘だといってほしいというような顔で許しを懇願する、かわいいマスターの尻を。 ほんの5発だが、 抱きしめた体勢のまま叩かせてもらう。 一打叩くたびに肩を跳ねさせ。涙を溢れさせて。 「待って!やめて!」と。 謝罪より先に懇願と弱音をこぼしながらかわいらしくしがみついてくる姿をみていると5発なんていわず、ずっと叩いてその様子を眺めていたいなんて思ったのは内緒だ。 「どうだね?懲りたかね?小悪党くん。」 ニヤニヤと笑いながら涙や鼻水唾液でグシャグシャになって拗ねている彼の頬を包むように、顔を上げさせる。 「おれがっわる、わるかった。」 もっと叱られると思ったのか、泣きじゃくりながら懺悔しようとする、あまりのかわいらしさに鼻先と頬に一回ずつキスをする。 「んーっまっ。」 「!????」 「ふふ、随分甘え上手だねぇ、素質があるよ。素質。」 情婦のだがね。 「今回は無計画だったからお仕置きさせてもらったけどね、君が悪党になるというのならソレはソレで歓迎しよう。」 「え?あ、え?もりあーてぃ?」 「せいぜい、私が誑かしたくなるような悪党になりなさい。その時はマスターではなく、君を相棒として迎えることも考えよう。」 ニヤリ笑いながら、本心半分嘘半分。 単純で愛らしく、愚直な少年に、悪党へなるためのチケットを差し出す。 ソレをどううけとめるかは彼しだいだろう。 これから本当に私を愛してしまい、悪を愛する側の人間になるのか。 それとも、その善良な立ち居地で迷い子のようにこちらがわに来ることも出来ず、その身を恋に焦がすのか。 ああ、久々におおきな楽しみが増えそうだ。