「ん?どうした、翼?」
「…勇斗さんの俳優時代ってどんな感じだったんすか?」
「俳優時代?」
「そうっす!どうして俳優になったとか…」
「そうだな…知りたいか?」
「っス!きらびやかなイメージ!」
「全然、きらびやかでもねえぞ?俺はそもそも、両親が勝手に子役オーディションに応募したのが始まりだな」
「え?何歳っすか?」
「あー、2,3歳くらいじゃねえか?0歳からやるやつもいるし」
「いっ…!?」
「んで、そこそこブレイクしたみたいでよ。そのままとんとん拍子に役者人生って訳だ」
「ふへー…すごかったんっすねえ…」
「あー。ま、でもお前が思うほどいい仕事とは思わなかったぜ」
「え?」
「学生時代の青春、とかあるだろ?お前は天祥学園でボクシング部だっけ」
「っス」
「俺にはそう言うもんは一切ねえ。学校終わればすぐに迎えが来て俳優のレッスン。ダチだなんてもんはほとんどいなかったな」
「あー…」
「それに、金が入ったからと言ってそれは全部両親が預かってるしな。まー、他の家庭よりはいい暮らしはしていたと思うが…そもそもダチがいねえもんだからそんな他人の家庭なんて知ることもできなかったしよ」
「授業とかで友達が―、とかなかったんすか?」
「ねえな。出来ても短い付き合いばっかりだ。学校帰りに遊ぶっつーのがいかに大切か、身に染みたもんだぜ」
「ふへえ…」
「んで、年を取ってそのまま俳優に入るけど、今度は成功した分だけ詐欺だとか利用しようとかそういう連中もいっぱい来るし。…正直、強くなくちゃやっていけねえ世界だと思ったな」
「…なんか、煌びやかだと思ったんっすけど、全然大変なんっすねえ…」
「まーな。でも何より、一番つらかったのは…コネってやつだな」
「コネ?」
「そうだ。あの世界、コネってのはつえーもんでな。どれだけ実力を磨いて役を作ってもそれにかっさらわれていくことが多い。俺はそう言うものがなかったからな」
「実力でのし上がった…!」
「でもそれにも限界がある。だから…」
「……ごくり」
「こっからは秘密だ」
「えー!?ここまできておいて―!?」
「おうおう、聞きたかったら吐かせてみろよ。丁度、リング、空いてるぜ?」
「っしゃ!絶対に吐かせちゃる!」
「いいねえいいねえ。翼、テメエはそうやって俺と真正面からダチでいてくれるから気に言ってんだよ。…俺が知る中で、そんなやつはもう1人だけだったな」
「え?勇斗さんの俺以外のダチっすか?」
「ダチっつーか、ワンちゃんというか…」
「え?え?」
「ほら、口割らせるんだろ?…リング、上がれよ。今日は気分もいいし、盛大にぶっ飛ばしてやるぜ?」
「っス!さー!覚悟しろ、勇斗さーん!秘密を絶対暴いてやるっす!」
「…お前なあ…」
「う…うっす…」
「そこまでいうならもうちっと、強くなれよ…」
「……ゲフ」
☆イラスト:あねみあさん