「~♪」
ブラック・リーパーことハーリーは上機嫌だった。
「ふっふーん♪我ながら明暗だったよな~♪ベビーもヒールも決められないから両方なっちゃえ!って!…兎真くん、獅子くんにはちょっと悪い気もしたけど…絶好調って感じだよな~♪」
マスクの下からでもわかるほどの上機嫌。ぴくぴくと倒れる兎真と獅子をそっと、ハーリーは隅に寄せベンチで寝かせると———
「よ、おもしれえことしてるじゃねえか」
「!」
「なーにやってんだよ、ハーリー」
「…虎太郎先輩。見てたんですか?」
「まーな?おもしれ―格好してんじゃん?お前、ヒールレスラーになる気か?」
「え、あー…いや。ベビーもヒールも両方気になるんで、いっそ衣装で使い分けてみようかなって」
「なあるほどねえ。んで、ブラック・リーパーか」
「…名前まで聞いてたんですね、とっさの思い付きでつけたのに」
「あ?思い付きかよ?でもいいんじゃね?ブラック・リーパーだから…黒い…死神?」
「まあ、そんな感じです。リーパーって刈り取るって意味ですから」
「おっし!んじゃ、そんな新人ヒールレスラー様にオレ様がとっておきの技を教えてやろうじゃねえか!」
「え!?」
虎太郎はそう言うと、ブラック・リーパーを無理やりリングへと引きずり上げる。…そして。
「いいか?ヒールレスラーっつーのは悪役だ。『ヒーロー』っつーいい子ちゃんなベビーが引き立たせるのが役目だ」
「それは…わかります」
「んじゃ、盛り上げるために必要なものはなんだかわかるか?」
「…ヒーローを苦境に追い込むほどの実力…とかですか?」
「60点だな」
「え?」
「いいかあ?ヒールっつーのは文字通りの悪役、『ヴィラン』ってやつだ。だからこそ…実力だけじゃなくてなあッ!」
ダンッ!
虎太郎は不意打ち気味にブラック・リーパーへと駆けだす!そして!
「オラァッ!」
ドロップキック!ブラック・リーパーは虎太郎の突然のドロップキックに思わず身構えると———虎太郎の両足は、ブラック・リーパーの胸板を叩きつける!…のではなく!
「ふんっ!」
ガシィッ!
「うえっ!?」
虎太郎はその両足をがパッと開くとブラック・リーパーの首を綺麗に挟み込む!そして、全身のばねを使い———!
「オラァッ!」
ガシィィッ!
「うげっ!?」
ドタァァァァァンッ!
———飛びつきの三角絞め!マウントポジションを取られたかのように倒されたブラック・リーパー!その顔面には虎太郎の股間がアップに映り、首には虎太郎の両足ががっつりし挟まり、そして!
「オラオラオラオラ!」
グギィィィィィィッ!
「う…ぐえっ…!?が…!?」
虎太郎は両足を絞め、ブラック・リーパーの首を絞め上げる!
(なん…だ…これ…!?)
ブラック・リーパーの視界いっぱいに映る虎太郎の股間。そして、三角締めで首を絞め上げられる苦しさ———屈辱この上ない技に、ブラック・リーパーは思わず本気で!虎太郎を振りほどこうともがくと———
「かっかっか!どーだ、ハーリー!これがヒールの魅せる技ってやつだ!」
虎太郎はふっと、三角絞めを解きハーリーことブラック・リーパーを解放。
「はあ…はあ…はあ…」
あまりのヒール技の強烈さに倒れたまま、息を切らすハーリーを笑った。
「んだよ、あの程度の技で息ついてんのかあ?」
「だ、だって…」
「っつかテメエ、似たような技獅子にやってただろーが」
「見、見てたんですか!?ま、まあ…昔見た技を思い付きでやってみたのがあれだあったんですけど…改めて教えてもらうと恥ずかしいなって…」
「まあ、ベビーちゃん達には到底主負いつかねえような技だよなあ?ハーリー、テメエはこれからはガンガン!こういう技も打ってくんだぜ?」
「う…うー…」
「今更恥ずかしがんじゃねーよ!獅子にぶちかましたくせに!がっはっは!」
…ハーリーはマスク越しに、顔を赤くした。
「エロレス怖がってヒールが務まるかってんだ!ま!練習したくなったらいつでも来な、こういう技は無限にあるからな!がーっはっはっはー!」
虎太郎の言葉に、ハーリーはこくりとうなづいた。…確かに、盛り上げるためにはこういう技を勉強するのも大事なことだろう。
「…が、頑張り…ます」
「おうおう!いいぜ、テメエはいいヒールレスラーになれる!いっしょに悠馬たちをぶっ飛ばそうや!」
「お、おー…」
「でもな、ハーリー。…いや、ブラック・リーパー」
「な、なんスか…!?」
「まずは、ちょっとエロレス技をかけられただけで大きくなっちまうソレをなんとかするところから始めねーとなあ?」
「…え、うわ!?」
「がっはっは!いいねいいねえ、んじゃ、ちっとこれから遊びに行くとするかー!いやいや!新たなヒールレスラーの誕生!いいねえ!がーっはっはっはー!」
☆イラスト:せいりゅーさん