XaiJu
ミケ空
ミケ空

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キヤと直のトレーニング。

 直がキヤに徹底的にボコられてから。

「…なんだ、直。走り込みか?」

「お、一輝さん!いやー…いやーw」

「お前は不真面目な方だと思っていたんだがな。だが、それでいい。練習すればもっと強くなれる。…倒したい相手でもいるのか?」

「そういう面倒なのはちょっと…」

「ふ、そうか。お前がそういう姿を見せるのなら、今後も安心してボディーガードを頼めるな」

「一輝さん…!」

「今後の活躍に期待するぞ」

「っス!…あ、ついでに」

「なんだ?」

「…あのキヤコーチのしごき、何とかなるように言ってもらえは…」

「オレの管轄外だ」

「ですよねー!!!」



 少しだけ、性格的に変わった直。面倒ごとはごめんだ、と常々言っていた直が努力を始める。人間、変わるものだ。ボディーガードコーチをキヤに、と言った畔柳社長の判断は正しかった。一輝をはじめ、多くはそう思っていたのだが———。

「オラ、直!1周にどんだけ時間がかかってやがる!もっと速く走れ!そんなんで依頼人は守れねーぞ!」

「う…うっス!くっそー!」

「文句垂れてんじゃねえクソガキ!口を動かす暇があるならもっと速く走れ!オラ、もう一周だ!」

 実際はキヤによるボディーガードの過酷なトレーニングの真っ最中。直は涙ながらに過酷な走り込みを続け———

「くー!やめだやめだ!ボディーガードなんてやめだ!」

 直はついに、ぜえぜえと息をしながら力尽きるとその場にふっと座り込んだ。

「あー…しんど。こんな思いするならボディーガードなんてやめちまったほうがいいよな!うん!くっそー、あのキヤの野郎…!たまたま!俺にまぐれ勝ちしたからって調子に乗りやがって…あー!イライラする!」

 悪態をつきながら呼吸を整えている、その時だった。

「あ」

 直はとある二つの影を見つける。———慧先輩、そして翼。

「慧せんぱーい!今日のトレーニング!俺、頑張ったっしょ!」

「ほんと、翼頑張ったよね!ボクシング部にいる時よりすごく強くなったしさ!」

「へっへー!じゃ、慧先輩!ごほーびちょうだい!ごほーび!」

「ご褒美…?プロテイン?」

「いや、そーじゃなくって!ちゅーしてよちゅー!」

「ちょ、ちょっと、翼!」

 ———いちゃついている二人。そう言えば、慧先輩は翔先輩や翼とか、やたらと男にモテる男だった。

(…いらっ)

 直の瞼がピクリと動く。

(おーっし!憂さ晴らしだー!へっへ!二人ともボコって、そーだなー!翼の前で慧先輩犯してやるかー!はっはっはー!)

 そして、直が立ち上がり———二人に強襲をかけようと、駆けだそうとしたその時だった!

 ガシッ!

「よーう、用心棒くーん?俺の渡した特訓メニュー、もう終わったんかー?あー?」

いつの間に忍び寄ったのか、直の肩にキヤが腕を回しもたれかかる。

「んげっ…いつの間に…!」

「はっは!もっと速いラップで走れって言ったのに、お前、なーにやってんのかなー?」

「あ、えーっと…それは…」

「あー!さーっすが天才君!俺のトレーニングなんかもう飽きちまったってことかあ?まさか、用心棒の二つ名を持つ直君がサボったりだなんてしねーよなあ?」

 ———直の額に冷や汗が流れる。

「まさかとは思うが…サボってた、なんて言ったらわかるよなあ?」

「う…地獄のスパーリング…ってか、なんでここに!?」

「ばっかやろう!テメエの考えていることなんてお見通しなんだよ!そろそろ嫌気がさして逃げ出すころだってなあ!根性叩き直してやる!死ぬまでやめない30分休憩なしの地獄のスパーリングだ!ちったあ努力しやがれ、このサボり野郎!」

「わー!待って!やめてやめて!やめてー!俺が悪かったから―!」

「るっせえ!サボってねえでしっかり練習しろ、用心棒!」

 キヤにずるずると引きずられる直なのであった…。


【もう少し続く】

キヤと直のトレーニング。

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