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ミケ空
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赤毛のヴァレンタイン。

 ヴァレンタイン。

 愛する者から愛するものへ、チョコレートを手渡しする日。…そんな中。

「…おかしい…あれだけ大好き愛してるっていうのに慧先輩がチョコを届けに来ねえ…!」

 天祥学園高等部。天河翼は届くはずのないチョコレートを想い、ギリギリと歯ぎしりをするのであった…。



「なあ、加藤!?おかしくね?!」

「そうか。哀れな男のひがみだな、翼」

「お前ッ!?その包みはまさか、チョコレート!?」

「ふっ…お前とは違うんだよお前とは」

「あ…相手は…?!」

「当然」

 翼のボクシング部の親友、加藤はカバンから美少女フィギュアを取り出す。

「———みくにゃんからに決まってるじゃないか…ふっ…!」

「…お前、寂しくねえ?」

「何ももらえないお前よりかはよっぽど幸せだぞ」

「る、るっせえ!俺だってちゃんともらえるはず!ちゃんと…!」

「本当に…?」

「うっ…」

「慧先輩、あれで男にモテるのは知ってるだろう?———幼馴染に翔先輩。学園一のイケメンの樹先輩。さらには最近は火宮竜、だなんてワイルド系まで付きまとっているっていう話じゃないか」

「そ…それは…」

「そんな慧先輩がなーんのとりえもないお前に愛を囁く?チョコレート?」

 加藤はフィギュアを見せつける。

「ふっ…勝ったな」

「勝ってねえええ!俺は終わってねええええええ!」

 ———机をバン!と叩きながらうめく翼。そんな時だった。

「うお…おおおおお…俺は…俺は終わってねえ…」

「つーばさ!」

「お…おおおおおお…!」

「つーばーさ!」

「ッ!その声は…慧先輩ッ!?」

 はっ!と顔を上げる翼!そこには———

「もー♪ダメだぞつ・ば・さ!…慧先輩の声も見抜けないようじゃまだまだ二流だな…ふっ」

 みくにゃんフィギュアをにょきにょきと動かしながら声真似をする加藤!———翼はぐっと拳を握りしめた!

「てっめえは…からかってんじゃ…ねええぇぇぇぇぇぇっ!」

 ばっぎぃぃぃぃぃぃっ!

「ぬおおおおおおおおおおおおっ!?」

「はあっ!はあっ!…はあっ!…そ、そうだ!会いに行けばいいんだ!きっとなんだかんだ忙しいはず!…はず…だよな…はははー…」

 翼はうん、と言い聞かせるようにうなづくとカバンを背負う。そして、

「よし!慧先輩に会いに行く!今日は!ぜってーにチョコレートをもらえるはずだからなー!わーっはっはっはっはっはー!」

 …クラス中の視線をまったくものともせず、翼は教室を後にするのであった…。




 慧の教室。翼は荷物をまとめ、部活に行こうとする慧を見つけるとニコニコしながら教室へ入った。

「けーいーせんぱーい!みーつけた!」

「翼?どしたの?」

「えっと、そのー…」

 そういいながら、翼は言葉に詰まった。———チョコレートをもらいに来ました!万が一そう言った瞬間、Noと言われたら俺は3日は立ち直れない。

「えっと…その…部活一緒に行こうと思って!」

「ああ、そうなんだ!一緒に行こ!」

「お、おー!」

 翼はそう言いながら、一緒に歩くも…。

「………」

「…?翼、どうしたの?なんかもじもじして…まさかトイレとか…?」

「い、いや違うっすよ!違うっす…はははは…!」

(い、いえねー!チョコレートください、とか自分からだなんて、いえねー!)

 翼は思わず視線をそらした———その時。

「あ、そうだ。翼、これ…!」

「ッ!」

 慧はカバンから一包みの袋を取り出す。そして———!

「はい、これ」

「け…慧先輩…!」

「ちょ、何泣いてんの!?

「うっ…うううっ…!俺、もらえないと思って…!」

「もう、泣くほどのことないでしょ?…ほら、ちゃーんとまとめておいたから、補習のポイント」

「…え?」

「次赤点だったらまずいでしょ?大切なとこまとめてほしいって言ってたからまとめといたんだから。感謝してよねー」

 …翼の肩からどさり、とカバンが落ちた。

「あ…お…!」

「ちょ、翼!?どうしたの、膝から崩れ落ちて!?」

「ち…ちっくしょーーーーーーーーー!」

「つ、翼!?翼ぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 その日。翼の悲鳴は廊下中に響き渡り。

(ねえ…あれ…)

(くすくす…またやってるw翼って子でしょ?慧君だい好きって…)

(もうさっさと結ばれちゃいなさいよ!むふー!)

 慌てふためく中、慧は今日も、あらぬ疑いを学園中にもたれるのであった…。


【完】
















※おまけ


「慧先輩…ばか…」

「え?」

「ちょこ…」

「ああ、ヴァレンタイン?なんだ、欲しかったの?」

「…え?」

「はい、これ。男子はチョコレート好き嫌いあるって聞くからどうしようか迷ってたんだけど…欲しいなら。いつもありがとね、翼」

「うお…おおおおお…!?」

「も、もちろん義理だけど…その…」

「慧先輩ッ!このチロルチョコッ!家宝にしますッ!」

「…そ、そんなに喜ばないで…罪悪感が…ッ!」


赤毛のヴァレンタイン。

Comments

ウォーターさん、ありがとうございますー!慧はこういったところもズレてるんですよねえ😁日常パート、たまには出していきたいです!

ミケ空

久しぶりの、ドタバタの日常パートでしたね😆 翼くんの愛が溢れてますね〜! 慧くんの天然ぶりが酷すぎますね😂早く気づいてあげて!! 貰ったチョコは家宝にせずに早く食べましょう(腐るよ〜w)

ウォーター


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