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ミケ空
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※R-18なし【慧 VS 樹】鷹での決意 <後編>

「へえ、これが慧たちの秘密基地…「鷹」って名前のジムだっけ?」

「まあねえ。今は廃ジム…ってやつ?お、すげーな、リングにサンドバッグ…更衣室も2つあって…シャワーもあるじゃん。使えんの?」

「うん!水もちゃんと使えるようにして電気もしっかりと」

「すげーな。…ってこっちの更衣室はベッドが入ってんぞ?」

「あはは、女性用更衣室なんだろうけど、オレ達しか使わないから休憩室にしちゃえ!って、組み立て式のベッド入れたんだ」

「よくこんな山奥まで運んだよなあ……っていうか、ここまでしちゃうと元の持ち主とかともめたりしねーの?」

「うーん、よくわかんないんだけどね、その辺は立花さんが何とかしてくれたんだ」

「ふーん、ヒーローの立花さん…色々なコネでもあるんかな」

「どーだろ?でも、とりあえず好きに使って大丈夫だって。翔や翼、竜、それに立花さんも使うって。それで…」

「オレも誘ってくれた、というわけか。…あんがとな!」

「うん!」

 樹はそう言うと、慧に「にっ」と笑顔を向け———その時。

『へえ、鷹か。…ちょうどいいじゃん』

 不意に。樹の中のもう一人の人格———「空」が心に語りかけてくる。

『…なんだよ、空。急に出てきて』

『別に?ただ、都合がよさそうだなって』

『…良さそうって何だよ』

『あ?わかってるだろ?…今ここにリングがあって、お前と慧の二人きり。…確か、今日は翔とか竜も試合だって言ってたよな、樹?』

『………』

『きちんとチェックしてご苦労なこった。なら、リングで試合でもしてやればいいじゃねえか、あ?』

『…お前、ほんと嫌い』

『くくく、ほめ言葉、と受け取っておくぜ、もう一人の俺?さ、欲望、吐き出しちまえよ。…安心しな、オレは邪魔はする気はねえ。奥に引きこもってみててやるからよ』

『…ほんと、悪趣味』

 ———気づけば、慧がオレの服の袖を引っ張っていた。

「ねえ、樹、どうしたの?急にぼうっとして」

「ん?あ、いや、わりぃ。ちょっと考え事しててさ」

「考え事?なんかあった?」

「いやさ…せっかくリングがあるし、今日は皆試合でいないだろ?だからさ、邪魔なしで慧とここで試合したいなって!」

 オレはそう言うと、ぎゅっと拳を握り———

「お!そういうこと?だったら、オレ、遠慮しないよ!」

 慧もまた、オレの闘志につられるとわくわくとした顔を見せる。…オレは慧の目を見つめるとドクン、と胸を弾ませ———

『…くっくっく、良いねえ、樹。お前のそういうところ、嫌いじゃねーよ』

『るっせ!』

 …オレは茶々を入れる空に思わずツッコミを入れるのであった。




 ピピピピピッ!

「っし、行くぜ、慧!」

「やるよ!」

 電子ゴング。リングの上でグローブタッチをすると、オレ達はジャブで距離を測る。オレはキュッキュッとシューズを慣らす!

(基本に忠実、これが一番だよな!ヒットアンドアウェイだ!)

 タンッ!

 オレは軽く踏み込みながら———

「シッ!」

 バシィッ!

 慧にジャブを一発当て、すぐさまバックステップ!距離をとった———その瞬間!

 ダンッ!

「うおっ…!?」

 それを見越していたのだろう、慧はオレが動くのと同時に前に距離を詰めると———

「ふっ!」

 ドスゥゥゥゥッ!

「ぐ…え…!?」

 オレの腹に強烈なボディーアッパー!

「———ちっ!」

 オレはすぐさまサイドステップ、距離を取ろうとするも。

「逃がさないっての!」

 タンッ!タンタンッ!

 慧はそんなオレをさらに追い詰める!———慧のパンチ力、そして突進力!それが向かってくるのは結構な迫力があって、

「ぐっ!」

 オレは思わず、足を止めガードを上に固めてしまうと———

「シッ!」

 ドスゥゥゥゥゥゥッ!

「がっ!?」

 慧の左ボディーがオレの鳩尾を貫く!そして!

(やべっ…ミス…った…!?)

 オレの目に、慧の右拳がぎゅっと握りこまれ———

「シィッ!」

 それが高々と、突き上げられるのが見えたその瞬間!

 ドッボオオオオオオオォォォォォッ!

「———ッ!がああああああああああっ!?」

 オレの腹に慧のフィニッシュブロー!ダブルボディーがめり込む!———オレの体がふらり、と揺れた、瞬間!

「シッ!」

 バシィィィィィッ!

「あ……!?」

 慧のアッパーがオレの顎を軽くかすめる!瞬間、オレの足はがくりと折れ———

 ドタァァンッ!

 ———オレは前のめりにダウン!リングマットに沈むと。

「へっへー!オレの勝ちぃー!樹攻略ぅ!やったね!」

 慧は飛び跳ねるようにガッツポーズ!…オレはそれを見ながら、びくびくと震えながらリングマットに無様に沈む。

『あーあ、ブチ犯すんじゃねーのかよ、情けねえ相棒だなあ』

 ———が。

『るっせ…って言っただろ、空!』

『お?』

『…せっかくのチャンスなんだ…!オレだって…!慧を…!』

『慧を?』

『…慧を抱きたい!想いを伝えたい!』

『…くっくっく!お前、ほんとサイコーだよ。ほら、とっとと立て、じゃなきゃオレが介入してやるぞ?』

『マジふざけんなよ!』

 オレは全身の力をぐっと入れ、立ち上がると。

「む!…起きて来るとは」

「へへっ!オレもカッコいいところ、見せとかないとな!…いってーけど」

「何度立ったって同じ!樹の動きはもう見切ったよ!」

「なら…!やってみな!」

 タンッ! 

 オレは力強く踏み込むと———

「シッ!」

 バシィィッ!

 慧のこめかみにフック!慧はそれをブロックすると———

「シッ!」

 空を切るようにストレート!…が!

「おっと、甘いぜ!」

 バシィッ!

 オレはそれをパーリング!その場で足を止めると、

「シッ!シッシッ!」

 バスバスッ!バシィィィッ!

「ぐっ…!?」

 ダブルジャブからのストレート!慧はモロにそれを受けるとガードを上げ———

「シッ!」

 ドムゥゥゥゥッ!

「ぐっ!?」

 オレのボディーアッパーが入ると、慧は思わずがたん、と膝を崩し———

「へへっ!かかったな!」

「あっははは…まさかヒットアンドアウェイ捨てるとか!…樹、やるじゃん」

 慧はそう言うと立ち上がり、にいっと笑みを浮かべる。そして、

「さあ!もうハンデはなし!全力だよ、樹!」

 ファイティングポーズをとる慧に、オレはにっと笑みを浮かべた。

「オレにハンデとか、良い度胸じゃん!潰してやるぜえ♪」




「シッ!シッシッ!」

 バスバスッ!バスゥゥッ!

「ふっ!」

 バッシィィィッ!

 手数で勝負のオレと、一撃の重さで勝負の慧。

「ぐっ!…へへへっ!やるやん、慧!」

「樹…こそ!うぶっ!?」

 結構互角のいい勝負!

「へへ、負けねーぜ、慧!」

「こっちこそ!」

「シィッ!」

 バシィィッ!

 オレのジャブの一発が慧の顎付近に当たると———

「くっ…!?」

 慧はぐらりと揺れる!チャンス!

「慧、もらったッ!」

 タンッ!

 オレは慧に向けて軽快にステップ!そして———

「行くぜ、慧ッ!」

「ッ!」

「ふっ!」

 バスバスバスッ!バシィッ!バキィッ!

 足を止め軽快にラッシュ!

「くっ…うっ…!」

 顎を打たれ体が満足にいかない慧は体に、顔に、オレのパンチを浴び———

「シィッ!」

 スッパァァァァァァァッ!

「———ッ!」

 オレのとどめのアッパー!———フィニッシュブローの白光!ちょっと厨二臭い名前のそれが慧の顎を打ち上げると———

「か…はっ…!?」

 慧はマウスピースを吐き出しながら、その体を大きく後ろへと崩した。———そして!

 ドタァァァァァンッ!

「く…ぅ…!」

「っしゃ!」

 オレはガッツポーズをとると、慧に一つ、ウィンクをして見せた。

「オレの勝ちだぜ、慧!」




「い…てててて…くそ、負けたあ…」

 リングの上で呻く慧。…オレはさも当然、と言わんかのように慧にマウントポーズのようによじ登ると———

「…樹…なに…?」

「何って。…今、慧と二人きりじゃん?」

「う…ん…」

「そんでもって、オレは試合に勝った」

「…!ちょ、ちょっと、樹…!」

「へへ、慧———」

 オレは慧の顎を持ち上げながら———

「オレのこと、好き?」

「え…え…!?好き…って…嫌いじゃない…けど…」

「じゃあ、好きってことだな!なら、好きな人同士、こういうことするのも悪くないと思わねえ?」

「え?あ…うー…?」

「FNで慣れてるだろ。リングの上が嫌だって言うなら…こうしてやるからさ」

 オレは慧をお姫様抱っこ。———ちょっと腰に負担を感じつつも、その体を抱き上げてやると。

「…可愛いな、慧」

「……ぅぅ…」

「へへ、顔赤くしちゃってえ。…やっぱあれだな、慧を攻略するにはもっと積極的に押し倒さなきゃ、だな」

「………っさい…」

「そうやって膨れてんのもかわいーぜ?おっし、決めた!…オレも翼みたいに積極的になるかあ」

 ———樹はそう言うと、リングを降りベッドへと載せた。そして…。



『…これでよし』

『あ?どうした樹、終わったのか?』

『んだよ、空。どーせ見てたんだろ?』

『ああ?誰かさんが腰振ってるところか?』

『るっせ!…想いは伝えた』

『おうおう、お盛んだな?』

『なんだよ、空?…今いい気分に浸ってんだから邪魔すんな』

『どうせならリングの上でボロボロにしてやればよかったのに、惜しい奴』

『オレはテメーじゃねえんだよ。だあってろ。…慧が嫌なことはしたくねーの』

『ふふ、殻を破ってみろよ?ボロボロにするのも、また気持ちがいいぜ?』

『黙れ!本気で怒るぞ!』

『へいへいっと。んじゃ、俺も寝るとしますか』



 そして、次の日。

「うーっす!…でいいのか?」

「樹!」

「…樹か」

「よう、慧、それから翔!」

「…樹も来たんだな」

「ああ、慧に教えてもらってな。…それよりか、慧?」

「ん?」

「今度の休みの日さ、オレと遊びに行かねえ?」

「遊びに?特に予定もないからいいけど…何しに?」

「デート♪」

「…え!?」

「は!?おい、樹!お前、ふざけん…!」

「ふざけてねーって。オレ、慧にはちゃーんと自分の想いは伝えてあるし?慧が俺を振り向いてくれるためにも!果敢にアタックすることにしたのさ。ってことで、けーい♪オレとデートしようぜ!」

「え?え?え?」

「ダメだ、慧。俺も日曜日空いている。…そうだ、今度新しいグローブを見に行きたいと言っていたな。俺と行こう」

「あ?え?へ?」

「おい、翔。じゃーますんなって!…慧はオレのもんなの」

「ふざけるな。慧は…その…俺の…」

「親友止まりだろ♪指くわえてみてろよ♪オレは慧のアレをくわえてやろう…」

「お、おい!樹!」

 ———ポカンとする慧。その顔を愛おしく思いながら。オレは鷹でのトレーニングも楽しいことになりそうだ、と思うのであった。


【END】



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