水槽脱出 一部先行公開(小説)
Added 2022-07-21 16:29:14 +0000 UTC現在執筆中の小説を途中まで先行公開いたします。
最後どうするかまだ未定なのですが(失神寸前まで水槽に閉じ込めるか、自力で出口を見つけるか)出来たところまでを掲載します。
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私は新人マジシャンです。
水槽脱出が得意という訳ではないのですけど、以前行ったアンケートでは私の水槽脱出が見たいというお客さんが多いようで水槽脱出をやる事が増えてきました。
水槽脱出は苦しい上に全身びしょ濡れになるのでその後はステージでショーが行えないという理由でローテーションが組まれていたのですが、私の水槽脱出が増えていったのです。
水槽脱出は苦しいですけどお客さんに注目をされるのは嬉しいので水槽脱出を頑張っています。
私が行う水槽脱出ですが、拘束された状態で水で満たされた水槽に入り、蓋をされてずっと息を止め続けた状態で両手の拘束具二つを外して蓋の鍵も外して蓋を開けてやっと息が出来るのです。
これ、本当に苦しいのですよ。
潜ってから蓋を開けて息が出来るまでどんなに早くても二分、上手くいかなければ三分は息が出来ないのです。
水槽脱出の練習は、主に息止めになります。とにかく苦しくてもパニックにならず、焦らず冷静でいる事が必要なので、息が出来ない苦しみに耐える練習を繰り返しさせられるのです。
水中で拘束されるのにも慣れていなければならないですし、苦しくてももがかない忍耐力をつけるために、絶対に抜け出せないように拘束されて二~三分沈められるのを繰り返したりです。
特に二分を過ぎた辺りから係の人が潜ってきて私の身体をしっかり押さえつけ、もがけないようにします。
そうやって私は苦しくてももがかない訓練を行っているのです。
水槽脱出が得意な先輩がいるのです。美人でスタイルも良くて、しかも四分以上も潜っていられるのです。その先輩が水槽脱出する時は両手は三ヶ所も拘束されるのです。それだけでも凄いのですが、先輩はホントに努力家で、四分半沈め続けるように係の人にお願いする事も頻繁にあります。
実は先輩に頼まれて、四分半のラスト一分は私も潜って先輩がもがけないように身体を水中で押さえつけていたりもします。こうして先輩が息を我慢する練習をずっと間近で見てきたので、私が三分沈められる時も必死で頑張っています。
息の出来ない苦しさが本当に辛いですと訴えた時は、先輩は
「そんな時は、私が苦しみに耐えている姿を思い出して」
と言ってくれます。
それだけではなく、先輩が私のためにお手本として四分四十秒~四分五十秒も水中に拘束されるのを見せてくれたりもしました。
「エヘッ、さすがに凄い暴れちゃったわね。苦しくてもうダメと思ったらさっきの私を思い出して。私も同じ苦しみを体験しているからね。私も、もっとじっと耐えられるように頑張るから」
って笑顔で言ってくれたのです。
先輩のおかげで息止めは頑張れています。
今日も水槽脱出をやるのですが、うわぁ~、満席です。
何かいつもと違う事をやるみたいなのですが、細かい事は何も言われていないのです。う~ん、不安…
さて、いつものように両手を拘束され、思いきり息を吸い込んで水槽の中に潜り、蓋をされました。
私は拘束具を外し始めました。まず背中側でしっかり拘束された両手が自由になるまでに約一分、それから拘束された腕が自由になるまで一分近く。腕の拘束を解かないと両手が上に上げられないので蓋の鍵に手が届きません。二つの拘束はキツいですよ~
苦しい…でも我慢我慢。
二つ目の拘束を外す時は結構苦しく、息を止めて二分近く経って両腕が自由になったときはもう息をしたくてたまらない苦しさです。
蓋の鍵を外すのは細かい動きが必要なのでもがきたいのを必死に耐えながら鍵を外します。
一番苦しい時の細かい作業にお客さんも固唾を呑んで見守ります。
苦しさに必死に耐えている姿に興味を持っているお客さんがいる事は知っています…w
苦しくて身体をモゾモゾ動かしながらも鍵を開けようと細かい作業を続けます。細かい作業を放棄して思いきり暴れたいという葛藤と戦いながら、文字通り必死の作業です。もし家のお風呂で普通に潜っていたなら、とっくに顔を上げている苦しさです。
本当ならもう耐えられない苦しさなのですけど、鍵を外さないと絶対に息が出来ないという極限状態なので思いきりもがきたいのを耐えているのです。
苦しい!苦しい!苦しい!
早く息をしたい!
息をするためには鍵を外すしかない…!
ガチャッ!
外れた!
急いで蓋を外してやっと息が…
えっ…?
えっ…?
蓋を外して立ち上がったのにまだ水の中…!?
どういう事…!?
あり得ない事が起きている…!?
ウソッ…ウソッ…どういう事なの?
やっと息が出来るハズなのに、まだ息が出来ない!
本当に、本当に息が限界なの!どうしてまだ水中に…?
状況が把握出来ないまま、苦しくて苦しくてもうパニック寸前です。
しかしパニックに陥ったら何も出来なくなるので、苦しさに耐えながら状況を把握しようと思いました。
グルっと周りの様子を見渡して、私が脱出した水槽はもっと巨大な水槽に沈められていたのだと理解しました。私が拘束を解いている間に私が入っている水槽はゆっくり移動させられ、私が気付かないように巨大な水槽に沈めたのでしょう。
とにかく水面を目指して必死に泳ぎます。
ゴツン!
痛っ!
えっ、もしかしてガラスの蓋で覆われている!?
いやああああああ!
息をしたい!息をしたい!息をさせてえええ!