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BMGと見る遊戯王のルールその33 魔鍾洞編


今回扱うのはいま話題のあのカード、《魔鍾洞》です。

登場直後は「癖はあるものの面白いロックカードだ」くらいに思われていた人が多数のように見えましたが、公式戦で上位入賞が相次いだため評価が一転、今では多くのプレイヤーが(向ける感情の好悪はともかくとして)注目するカードとなりました。

どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。

・天敵の少ない環境

モンスターをほぼ完封できる魔鍾洞の天敵たるカードは「魔法・罠を除去する魔法・罠カード」です。しかし、現環境の上位デッキの多くは魔法・罠の除去をモンスターに頼っているものが多く、《サイクロン》の役割を《トロイメア・フェニックス》や《ダイナレスラー・パンクラトプス》などデッキを選ばず活躍できるモンスターが担っていました。

「魔法・罠を除去する魔法・罠カード」の多くは「必要なときに手札に来ない」「必要ないときに手札に来てしまう」という問題もあり、Exデッキから呼び出せるモンスターで同じ役割をこなせるならそちらのほうがよいと考えるのも道理でしょう。

ともかくもモンスター効果偏重の環境にあって、魔鍾洞はそのほぼすべてをたった1枚で封じることができたため、ここまでの存在感を持つに至ったと考えられます。

・リソースの節約

1枚でモンスターの効果と攻撃を永続的に封じられる効果は他に類を見ません。しかしいくら魔鍾洞が強力なカードであるといっても、単体では《サイクロン》1枚で吹き飛んでしまいます。何なら《ブラック・ホール》でもエンドフェイズに自壊します。

初見時に多くのプレイヤーが想像したとおりの挙動です。これ1枚で何ターンも凌ぐのは難しいだろう、と思うわけです。

ところが、周辺をサポートカードで固めることで状況は一変します。破壊系の除去には《身代わりの闇》(コストがほぼなく扱いやすい)、除外やバウンス系の除去および無効系には《魔宮の賄賂》(モンスター効果に対応しない点が気にならない、相手のドローもデッキ内の有効札の枚数が多くなければ無問題)《神の宣告》(最終的に波動キャノンで巻き返すならライフ消費は無視できる)で対処、相手モンスターが減ったら《おジャマトリオ》を使うことで対処することができます。旧来のロックバーン系デッキでは相手のモンスターの効果と攻撃を止めるカードを用意しなくてはならず、相手の行動全部にカウンターを合わせるにはリソースが足りずでジリ貧になりがちでしたが、その分が魔鍾洞によって一気に浮いたため、ここまで手厚いサポートをかけても破綻しなくなったわけです。

・アクセスの容易さ

魔鍾洞はフィールド魔法であるためとにかくサーチが容易です。

またその特性上、相手の行動に先行して発動する意味がほぼなく、逆に相手がモンスターを召喚・特殊召喚するまで待ってから発動するのがベストです。故に《メタバース》《終焉の地》との相性は非常に良く、後者に至っては《灰流うらら》すら回避できるというベストマッチ。

トラップトリック》や《悪魔嬢リリス》経由で《メタバース》を発動してもまったく問題ないため、これらもサーチカード感覚で投入することができてしまいます。

テラ・フォーミング》《盆回し》は制限カードで、かつ先攻1ターン目ではあまり役に立ちませんが、後攻では十分に機能します。

これらと魔鍾洞本体をフル投入として合計すると17枚となります。40枚デッキに17枚入っているカードが初手5枚に1枚以上入る確率は約95%にものぼるため、初手事故はほぼありえないと考えてよいでしょう。

・ルールによる後押し

サポートを手厚くしても、サイドチェンジで的確なメタカードを複数枚投入されてしまえば2戦目以降を同じように守りきることは困難です。では、もし2戦目以降が存在しなくなったなら?

ロックバーン型の魔鍾洞デッキでは1戦目を長引かせることで【トランス】に近い動きがごく自然にできます。そうして都合よく40分を使い切ることができれば、エキストラターンでもなすすべない相手に波動キャノンを叩き込んで1勝0敗でマッチ勝利と相成るわけです。

サイドチェンジが苦手ならそれごと吹き飛ばす、アイツはそういうことができるヤツなんだよ!!

悪意を持った遅延行為はもちろん憎むべき悪です。ですが、《波動キャノン》を勝ち筋にしているデッキでは決着まで最短でも17ターンかかり、その波動キャノンもサーチが利かないカードであるため引き込むにも数ターンかかることが多く、プレイング上では最短最速での勝ちを目指していても、あまつさえ既に相手デッキ中の抵抗の手段が尽きていたとしても、自然とターンを消費してしまうこと、これは(デッキ構築時にそうなることを望んでいたとしても)悪意ある遅延行為と証明するのは難しいでしょう。また初見でこのような魔鍾洞デッキを相手取る状況を想像すると、相手の伏せカードの多さを警戒するあまり、あるいは今の手札で強引に突破する手段を模索するあまり、なるべく時間を使うべきでない、対魔鍾洞側のプレイヤーがつい長考してしまうこともなど考えられます。今でこそ魔鍾洞の情報は知れ渡っているためそうした長考も生じにくくなっていることでしょうが、初期の頃はいかほど遅延型魔鍾洞の思う壺であったか気になるところです。

・対抗するには

現環境では魔鍾洞をメタるためにはメインからカードを投入しなくては効果が薄いことは先に述べたとおりです。ところが魔鍾洞をメタるカードは他の上位デッキに対して効き目が薄く、魔鍾洞をメタると他に弱くなる、しかし魔鍾洞をメタらなければ地雷を踏むリスクを放置することになる、という恐るべき2択を強いられている状況です。

(1戦目を引き伸ばしてくる魔鍾洞使いがいることを前提とした話です。その危険がないのであれば普段どおりサイドデッキに対策カードを入れればよいでしょう)

素人考えですが対抗策をいくつか書いてみます。

1.相手が魔鍾洞とわかった時点でドローゴーに切り替える

サイドデッキに適切なメタカードを入れておけるのであれば、後はとにかく1戦目を速やかに終了させてしまうことです。とはいえ公式戦でのサレンダーは認められていません。であればせめて自分が消費する時間を0に近付け、2戦目3戦目での速攻勝利を狙うのが得策というものです。

2.メインから汎用的に使えるメタカードを入れる

既に魔鍾洞デッキの分布はかなり拡大しつつあるため、地雷リスクは看過するには大きすぎるものと考えられます。勝率を上げるためには魔鍾洞への対策カードも受け入れざるを得ないでしょう。それでも別デッキ相手に腐るカードはなるべく入れたくないのも道理。であればせめて汎用性がなるべく高いものを探して投入するのが得策というものです。

メタカードの方向性は大まかに3種類あり、「相手の魔鍾洞を直接除去・無力化する」「モンスターの数を操作し魔鍾洞の自壊を狙う」「魔鍾洞ではなく勝ち筋の波動キャノンを無力化する」に分けられます。

「相手の魔鍾洞を直接除去・無力化する」

ハーピィの羽根帚》《ツインツイスター》:言わずもがなの定番除去カード。

コズミック・サイクロン》:除外するため《身代わりの闇》をすり抜ける。ライフコストの支払いも1戦目の決着を早めるとみれば好都合か。他デッキにはやや効きにくい。

ポルターガイスト》:打ち消せないため確実性の高いバウンス。他デッキにはかなり効きにくい。自デッキがワンキル系ならば使い道はあるかも?

醒めない悪夢》:破壊を連打できる。対象は表側魔法・罠に限られるため他デッキには効きにくい。

王宮の勅命》:制限カード。汎用性はきわめて高い。自デッキが魔法を多用しないビートダウン系であればまったく文句なし。魔鍾洞側の《砂塵の大嵐》に注意。

バージェストマ・ディノミスクス》:表側表示のカードならなんでもフリーチェーンで除外できるためどのデッキ相手にも腐りにくい。相手が複数枚の魔鍾洞を抱えている場合は自分のモンスターを除外し自壊狙いも可能。手札コストを捻出しやすいデッキにぴったり。

盆回し》:制限カード。先んじて発動できれば相手の魔鍾洞の発動を阻害できる。フィールド魔法を利用するデッキであれば無理なく採用できる。魔鍾洞側の《砂塵の大嵐》に注意。

レッド・リブート》:魔鍾洞本体に直接干渉はできないため後出しでの解決はこれ単品ではできないものの、《メタバース》や《トラップトリック》をはじめとする各種サポート罠の発動を無効にできるのは大きい。ワンキル系デッキであれば既に積まれているかも。

「モンスターの数を操作し魔鍾洞の自壊を狙う」

《ブラック・ホール》・《激流葬》・《妨げられた壊獣の眠り》:定番全体除去。

トーチ・ゴーレム》:制限カード。魔鍾洞に阻害されずに特殊召喚できる。そのままトークンを連続リンク召喚で消費して《LANフォリンクス》などを出すだけでも自壊が狙える。トークン1体を適当なリンク1に変換し《トロイメア・フェニックス》に繋げればそのターン中に破壊を狙うこともできる。

強制脱出装置》:連続リンク召喚で自分のモンスターを1体まで減らすことは多くのデッキで可能だが、0体まで減らすには何らかのカード効果が必要となる。その一押しをするカード。効果はやや控えめだがタイミングを選べばどのデッキ相手にも通用しやすい。

神の宣告》《神の警告》《神の通告》:連続リンク召喚で自分のモンスターを減らし、最後の1体のリンク召喚時に使用すれば場を空にできる。概ねどのデッキでも採用できる。

馬の骨の対価》:《LANフォリンクス》を墓地に送ることで場を空ける。通常モンスターの入ったデッキなら自然に採用できる。

極超辰醒》:リンクモンスター全般をコストにして消費できる。できればメインデッキにも特殊召喚モンスターの多いデッキで採用したい。

「魔鍾洞ではなく勝ち筋の波動キャノンを無力化する」

バーンダメージを0にする永続効果(魔鍾洞は発動しない効果を阻害しない)を持つ、Exデッキに入るモンスター:

 《ブラックフェザー・ドラゴン》:汎用☆8シンクロ。後述のものにも共通する注意点として、バーンを無効にするだけでは勝利に直結しないため何かしら別の手段を用意する必要があることが挙げられる。

 《ライフ・ストリーム・ドラゴン》:《水晶機巧-ハリファイバー》から特殊召喚できる。先攻でハリファイバーを置いておいたら後攻が魔鍾洞を手札から素出ししてきた、という状況であれば、魔鍾洞発動にチェーンしてハリファイバー効果発動で滑り込み特殊召喚できる。魔鍾洞発動後に後出しでハリファイバーを出しても無意味なのはつらい。

 《セキュア・ガードナー》:《リンクリボー》経由でリンク召喚できるため☆1モンスターを採用しているデッキ全般で利用可能。《転生炎獣アルミラージ》経由でもリンク召喚できるため、通常召喚できる攻撃力1000以下のモンスターを採用しているデッキ全般でも採用可能。さらには《リンク・スパイダー》経由でもリンク召喚できるため、相手から押し付けられたおジャマトークンなどからリンク召喚することすら可能。Ex枠さえ用意できるならば最も気軽に採用できる選択肢といえる。ただしバーンダメージを0にする効果は1ターンに1度きりのため、チェーンバーンに寄せて《破壊輪》などを採用しているデッキタイプの相手だったり波動キャノンを2枚引かれたりすると本命の波動キャノンに貫通されることも。

墓地送りの阻害:

 《閃光の追放者》《マクロコスモス》:波動キャノンの起動条件である墓地送りを阻害する。自然に採用できるデッキは多くないが、手札誘発系カードの多くもメタれるため有効範囲は広い。

それなりに汎用性の高いメタカードはこんなところかと思います。

魔鍾洞を仇のごとく憎んでいるなどの理由で汎用性を捨ててでも確実に討ち取りたい場合は《ゲート・ブロッカー》がいいと思います。対魔鍾洞性能では最高級なのでは。

・思うこと

「魔鍾洞きらい」というプレイヤーは一定数いるようですが、それ自体は自然なことかと思います。普段のプレイができなくなる、今まで使っていた自分のデッキのモンスターがなにひとつ活躍できなくなるカードの存在が面白くないと感じているのでしょう。

とはいえ、その存在に文句を言ったところで自分の勝率が上がるわけではありません。(短期的には。長期的にはユーザーの意見が聞き入れられて魔鍾洞が禁止制限送りになる可能性が上がるかもしれません。こう書くと上がらない気がするな。いやしかし遅延系カードは大会運営にも支障をきたしやすいので何かしら動きがあるはず)

研究すれば対策はきっと見つかるはずですので腐らずがんばりましょう。「魔鍾洞カモったるで」くらいの気概が求められている。

以下おまけ↓


リリス嬢そんなに薄着だったっけ? まあいいか!

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