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【漫画2P】ボーイッシュ女子と入れ替わった俺(イラスト:北長さん)

 「――あたし!?」「オレ!?」「ウソでしょ……!?」


 ある日の午後。大学のサークル室で、俺(佐伯 透〈さえき とおる〉)と幼馴染のあかりがごくありふれた雑談をしていたときのことだった。ほんの小さなきっかけ――じゃれ合っていた拍子に立ち上がり、お互いの額を「ゴツン!」とぶつけてしまう。それこそ思わず星が飛ぶくらいの衝撃。

 そして次の瞬間、目の前には「オレの身体」があって、俺が「ボーイッシュなショートカットの女子の身体」をしている……という状態になっていたのだ。


 あかりはもともと、スポーツウェアや男物のパーカーを愛用し、髪も短く整えている、いわゆる“ボーイッシュ女子”。一見クールで身軽そうだが、昔から付き合いのある俺にはけっこう世話焼きで面倒見がいいこともわかっていた。ただし「女の子らしく可愛い格好をしてみたい」と口にしたことは一度もない。

 そのあかりが、どう見ても“俺の顔と身体”になって固まっている。俺のほうは、彼女がいつも着ていたゆるっとしたスウェット姿で、身体もあかりそのもの。……多分。股間も自分のモノがある感じというよりは、力のこめかたが違うような、フワフワした変な感じがする。思わず胸元を触ると、そこには柔らかい感触が――思わず「ひゃっ?!」と叫んでしまうほど驚いた。


 周囲の友達は「なにあれ、コントしてんの?」と笑っていたが、こちらは笑い事じゃない。慌ててサークル室を出て、ほとんど逃げるように大学構内を駆け回った。もちろん途中ですれ違う知り合いにも声をかけられたが、テンパりすぎてまともに対応できず。ただ必死に、あかり(に見える俺)と、俺(に見えるあかり)で人気の少ない場所を探し回った。

 そして人気のない裏庭ベンチでようやく一息つき、互いに顔を見合わせた。

「お、俺……が……あかり、なのか?」

「ちょっと待ってよ……どうなってんの、これ……」


 ――そこから先は記憶もあやふやなほど混乱していた。だが一つだけはっきりしているのは、「俺たちは身体が入れ替わってしまった」という事実だった。



 結論から言えば、翌日になっても入れ替わりは解けなかった。俺はショートヘアのボーイッシュ女子、つまり“あかりの身体”のままだ。もともと彼女の小柄なスタイル、そして胸の存在がいちいち気になって仕方ない。動き回るたびに柔らかい感触が揺れるし、鏡を見ればいつもの俺の顔ではなく、あかりのキリッとした美人顔が映る。

 とはいえ、女友達が多いあかりの立場を装って過ごすのは至難の業。仕草や喋り方をそこまで意識したことがないせいで、「えっ? あかりってそんな口調だった?」と微妙に勘づかれる。

 さらに問題なのは、俺の中にほんの少しだけ「女の身体になってみたかった」という隠れた願望があったことだ。イタズラ心というか、好奇心というか、変身願望というか……実は少しだけ、女性としての身体を堪能したい気持ちがあったのだ。もちろん正面切って言えるわけもなく、“もし女になったらこんな服着てみたいな”などという妄想を密かに抱いていただけ。

 ――だが、今なら本当にできてしまう。その誘惑を前に、俺は心がざわざわとして仕方がない。


「だってさ、本当に女の身体になってるわけだろ……?」

 それだけで、無性に落ち着かない。最初は焦って「どうやって元に戻すんだ!?」と騒いでいたが、同時にこの身体をじっくり観察したい気持ちも抑えきれない。



 そして迎えた数日後の夜、俺は思いきって「変身」してみることにした。もちろんあかり本人にバレたら怒られるだろう――が、今は彼女は自分の家に帰っている(中身は俺の身体のはず)し、こっちでコソコソ実験するぶんには大丈夫……だと思いたい。

 あかりが持っていたオシャレ道具はほとんど皆無。なので、ショートカットから"変身"するためのエクステ風のヘアピース、それにフリルがついたトップスやスカートなど、“可愛い系”のアイテムを買いそろえた。普段はスポーティな格好ばかりしているから、こんなもの似合うだろうか、と思ったのだが……。

「へえ……あかり、意外と女の子らしい格好もサマになるんだな」

 ショートヘアにエクステをつけると、あかりの面影はありつつも、驚くほどガーリーな印象になった。鏡を見れば、さっきまでボーイッシュだった姿がふわっとしたロングに早変わりしているではないか。

 さらには本来のあかりだったら絶対着ないようなオフショルブラウスやリボン付きスカートに着替えてみる。すると、どうだろう。あかりの容姿と相まって、ものすごく「女の子らしい可愛さ」が全面に出てくる。

「おおっ……これは……」

 思わず鏡の前でくるりとターン。さらにシャツの襟元を整え、軽くウインクなんかしてみると、自分でも知らない“女の子”がそこにいるような錯覚を覚える。

「……これが、女になった姿……か」

 頬が熱くなってきて、どきどきが止まらない。鏡越しに眺める“あかり”は、まるでモデルみたいに魅力的だ。でも、これが俺なんだ。


 だが、そうやって外見を整えているうちに、さらに妙な衝動が頭をもたげてきた。

 ――そう、元々あかりの身体はボーイッシュだけど、しっかり女性的な丸みもある。特に胸元が意外と豊か……俺の今の手には余るくらい大きめだ。

「これ……結構、大きいじゃん」

 くすっと笑いながら、恐る恐るブラウスの上から胸を持ち上げてみる。ぞわりと鳥肌の立つ感触が走り、思わず「あ……」と声が漏れる。

 さらに大胆になって、服を少しずらしてから下着の上からグッと揉んでみると……想像していた以上に強烈な刺激が身体を巡った。

「やば……なにこれ、こんなに……あんっ♡」

 思わず甘い声が漏れそうになり、慌てて口を塞ぐ。なんだこれ、俺からこんな声出たのか? 

 今の身体は紛れもなく女の子なのだ。その事実を改めて思い知らされると、頭の中が軽くトリップしそうになる。

「ちょ、ちょっとやりすぎか……でも、これ……やばいな……あ、乳首こんなにでっかくて、コリコリして……男と全然、ちがっ、うっ♡♡」

 もう一度そっと胸を撫でてみると、さきほどのビリビリした感覚がまた駆け上がってきた。なんともいえない心地よさに、腰が砕けそうになる。

 ――こうして俺は、その夜じゅう鏡の前でいろんなポーズを取りながら、あかりの身体を「満喫」してしまったのだった。フリフリのスカートを翻し、髪(エクステだけど)をなびかせて、まるでアイドルみたいに微笑んでみたり、胸をもみもみして甘い声を出してみたり。

 自分でも呆れるほどの暴走だったが、止まらない。それくらい、女の身体で過ごすのは刺激的で、興味深くて、そして……どこか夢中になれるものだった。

 


 あれから数か月ほど。

 すっかり「女の子の暮らし」に慣れ始めた俺は、周囲にも違和感を持たれないように――いや、むしろ“ボーイッシュなあかり”だった頃とは正反対のファッションをして過ごしている。もともとのあかりを知る知人たちは、「あれ? あかり、どうしたの?」「イメチェン? なんかすごく可愛くなったね」と戸惑い気味だったのだが、そこは誤魔化しつつも新しいスタイルを楽しんでいるうちに、この状態が「あかりの普通」として認識されていた。

 ショッピングモールでは、可愛いブラウスやスカートを試着しては鏡に見入り、クスクス笑う。友達の女子とお茶するときも「ボーイッシュなときのほうが動きやすくない?」と聞かれれば、「ううん、こっちの方がいいかも」と微妙にごまかす。もともとの自分(男の透)がこんな生活をするなんて夢にも思わなかったが、気づけばそれが自然になってきている。

 日常のちょっとした動作ですら、身体に染みついた女性的な反応が出るようになっていて、自分でも驚く。座り方だって最初はぎこちなかったのに、だんだん「足を閉じて膝を揃える」ようになり、立ち居振る舞いも華奢な肩幅や細い腰を活かす感じになった。

 ――そうしていると、なんとも言えない心地よさがあるのだ。まるで本当に、自分が女の子として生まれ育ってきたかのような。


 そんなある日、とうとう本人(中身は俺の身体になったあかり)が怒鳴り込んできた。

「あんたねえ、アタシの身体でなに好き勝手してんのよ! スカートにフリフリだとか、恥ずかしくないわけ!?」

 彼女はもともとのあかりの面影を宿さない、俺の男顔をした姿でズカズカと迫ってくる。しかし心の中は女性だからか、どこか仕草が女っぽいような気もする。

 だが、今の俺は動揺しない。むしろくねっと腰をくねらせながら、あかりに向かって軽くウインクした。

「やだ怖~い。なに怒ってるの? これは“キミの身体”じゃなくて、もう『アタシ』の身体なんだけど?」

「はあ!?」

 あかりが怒りを露わにする。でも、ここで引くわけにはいかない。実際、俺はこの身体にすっかり馴染んでしまったのだから。

 俺はあかりの顔――元々の俺の顔に向かって、余裕の笑みを浮かべる。わざと頬に手を当てたり、胸の谷間を見せつけるように姿勢を整えて、くるりとターンしてみせる。

「見て見て。ショートヘアにエクステを足して、こんなに女らしくイメチェンしてみたの。かわいくない?」

 その瞬間、あかりは言葉を失ったようだ。自分の身体がこんなにも“女の子らしい魅力”を振りまいていることに、呆然としたのだろう。もともとあかり自身が短髪&パンツスタイルを好んでいたから、こういう華やかな姿を目にすることはなかったのだ。

「そ、それ……なんでそんなことしてるのよ……」

「だって、アタシはずっと興味あったんだもん。女の身体ってどんな感じかなって。実際になってみたら、もう戻れないくらい楽しくって」

「あ、アタシって……あんた男でしょ!?」

「アタシのどこが男に見えるの?ひどくない?」

 あかりは元に戻りたいのかもしれないが、俺はもう元には戻りたくないと思っていた。



 そんなわけで、俺(中身は透)は“女の子のカラダ”にすっかり溶け込んでいる。あれほど戸惑った胸の重みや、ふわふわのスカートの感触、ショートだった髪も伸びてきて、地毛でもそれなりの長さを出せるようになった。

 ……すべてが新鮮で心地いい。

 周りの知人も「あかりって変わったよね。可愛いし、色っぽくなったんじゃない?」「うんうん、前はボーイッシュだったのに、女の子らしくなったよね。ボーイッシュ女子の典型例って感じだったのにね~」と言ってくる始末だ。俺はそう言われるたびに照れ笑いしながら、「やだ、それは言わないでよ。黒歴史なんだから」とごまかす。だが内心では「そりゃあそうさ。今の“あかり”は俺がプロデュースしてるんだからね」と謎の自負心がわいてくる。

 一方で、元々あかりだった存在――つまり俺の身体を使っているあかり――のことは、正直あまり気にしていない。というか、あまり会話する時間もないし、彼女、いや、彼がどう暮らしているのかも今は興味が薄い。俺は俺で、せっかく手に入れた女の身体を満喫することに夢中なのだ。


 ――だって、これはもう『アタシ』のカラダなんだから。


 キラキラした鏡の前で、長くウェーブを巻いた髪を振りながらウインクを決める。スカートのフリルをつまんで軽くはねさせると、膝上の脚が艶めいて視界に入る。自慢の脚は入れ替わったあの日からケアを欠かしていない。胸元に視線を落とせば、あの豊かな曲線がブラウスの下で主張していて、そっと触れるだけでゾクンと甘い電流が走る。

「ふふ……ほんと、いいじゃん。胸、大きいんだよな……んっ♡」

 思いきって両手で包み込み、ぐぐっと揉みこむと、またしても声が漏れそうになる。頭がじんじんして、心臓がどきどきして、呼吸が荒れていく。こんなに敏感だなんて、男だった頃じゃ味わえなかった感覚だ。


 胸、髪、スカート……どれもこれも、自分が“女の子”であることを教えてくれる。

 ――俺の中で「女になった自分」が育っていく。たとえあかりが「返してよ!」と叫んだところで、この身体はもう“あかりのもの”じゃないんだ。


 こうして俺は、完全に新しい日常へ踏み込み始めた。女としての立ち振る舞い、友達との会話、そしてちょっとしたオシャレやスキンシップ。あかりが築いてきた生活を引き継ぎながら、自分なりにアレンジを加えて満喫するのだ。

 「あたしの身体でそんな格好しないでよ!」と怒鳴ってくることはいまだにある。でも、そっと腰を揺らし、胸を強調して挑発すると、相手は言葉にならないうめき声を漏らすだけ。前かがみになっていることもあるから、元自分のすがたで勃起でもしているのかな。ふふっ。


 ――そして今宵も、俺は部屋の鏡の前で軽くポーズを取る。

 伸ばした指先が胸をなぞり、そのまま腰のラインを追ってふわりと広がるスカートの裾へ。

 もう一度、ウインクを決めた。

「ふふ……女の身体って、ホント最高♡」

 自分の身体を映し、今日も自慰行為にふける。男の身体と違って、何回でもじんわりとした快感が広がるのがいいところだ。

 この身体に男のモノを挿れたらどうなるのだろう。そろそろ気になってきた。あいつ、俺のカラダで勃起してたから、誘ったら落ちるかな?


 かつてショートカットでボーイッシュだったこの身体は、いま、俺の大切な新しい“自分”になりつつある。そんな背徳感と快感を抱えながら、俺、いやアタシは今日も生きていく。

(END)


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