さくらさんと会う頻度は次第に増していった。
その度に、当然にように拳を交える俺たち。
闘う毎に少しずつ、確実に強くなってゆくさくらさん。
そんなさくらさんを感じつつ、それ以上のスピードで強くなっている俺。
お互い、拳を交える度に高まってゆく格闘への思い。
それは、次々と新技を思いつく事にも繋がっていた。
「えいっ!やあっ!とうっ!」
「よっ、ほっ、…っと」
呼吸を整えつつ、さくらさんの攻撃をひとつひとつ丁寧に捌く。
「てやっ!えやぁっ!…はあ、はあ…」
一方的に攻めてくるさくらさん。でも息が上がってきたようだ。
(そろそろ頃合いかな…それっ)
グイッ
動きの鈍ったさくらさんの背後に回ると、両手首を掴んでその動きを封じる。
「きゃんっ!…くっ、くうっ!」
前屈みになりながら懸命に振り払おうとするさくらさん。
だがパワーが違いすぎる。
「ムダですよ」
「…くっ」
不本意に突き出した大きなお尻を上下左右に振りながら必死にもがいているが、その程度ではビクともしない。
(さて…ここからが本番だ)
新必殺技を試す時が来た。
「はあっ!」
この体勢では、さくらさんの動きを封じることはできても、攻撃することはできない。
(だったら、俺の腰に闘気を集中させて…)
その闘気を、腰からさくらさんの身体に撃ち込む!
「いきますよっ…それっ!」
パァン!パァン!パァン!
「あっ!あぁっ!」
慣れない腰からの闘気の撃ち出し。上手く闘気をコントロールできず、一撃のダメージは低い。
(なら何度でも何度でも、撃ち込むまでだ!)
パァン!パァンッ!パァンッ!
「あっ!あはっ!あはぁんっ!」
腰を振り、俺が闘気を撃ち込む度に、さくらさんも身体を前後に激しく揺らし、声を漏らす。
「どうですかっ、さくらさん!」
「くっ!ま、まだまだぁ…」
紅潮した顔を振りながら、必死に逃れようと足掻くさくらさん。
(この絶望的な状況でも、まだ闘志は消えてないんだ!やっぱりさくらさんは凄いな)
さくらさんの逞しさ、強さを感じる。
(それならば俺も!もっと、もっと力強くだ!)
パァンッパァンッパァンッ!!
腰を振るスピードを上げ、さらに何発も何発も闘気を撃ち込んでゆく。
「あはっ!あはぁんっ!……はぁ…はぁ…んっ…」
さくらさんの動きがようやく止まる。
かなりのダメージを与えられたみたいだ。
(よしっ!それじゃあそろそろ…)
さくらさんから手を離す。
「くっ…」
すると、ヨロヨロとおぼつかない足取りで俺の方に向き直り、弱々しいながらもファイティングポーズをとるさくらさん。
さくらさんの闘志は消えていない。だが風前の灯だ。
「ま、まだよ…まだ終わってないんだから……てやぁあー」
震えながらも拳を握り、ふらつきながら俺に向かってくるさくらさん。
「えやあぁー…」
「破桜拳!」
無防備に向かってくるさくらさんの身体に、カウンターでトドメの一撃を打ち込む。
「きゃあぁーんっ!」
大きく仰け反りながら吹っ飛ぶと、地面に叩きつけられ、そのまま動かなくなった。
「あ…ぐぅ……」
「勝負あり、ですね」
KO!
PERFECT!!
どこかからそんな声が聞こえてくるような完勝だった。
「今日もわたしの完敗かぁ…」
汗だくの身体を荒い呼吸で揺らすさくらさん。
いつも通り回復が早い。
「はあ…はあ…ねえ、あの技って…」
「新しく思いついた技なんですけど…ど、どうでした?」
なんて聞くのもおかしいかな。
「うん…何度も何度も、身体を貫かれるような衝撃があって…本当、凄かった」
ボーッとした、どこか恍惚とした表情で語るさくらさんの横顔はどこか艶やかで、思わず見とれてしまう。
「さくらさん…」
「…あっ、でもっ!次は絶対負けないからねっ!ぜーったいっ!」
と、またすぐいつもの明るいさくらさんに戻る。
「あははっ、はいっ!また新しい技を試させて下さい!」
「あーっ、言ったなあ!わたしは技の練習台じゃないんだぞ!もうっ」
頬を膨らませつつも、どこか嬉しそうなさくらさんだった。
to be continued