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さわてら
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発育したさくらへの挑戦おまけ

偶然目にしたストリートファイトの動画。そこに彼女はいた。

長髪を後ろで束ねたピンク色の胴着の男と闘う、セーラー服を着たショートヘアの元気な女格闘家。

「凄い…」

画質も悪く、勝敗も分からない。たった数十秒間の、100再生もされていないような動画。

そこに映っていた闘う少女の姿に、一瞬で心を奪われた。

(いつか、この人と闘いたい…)

それは、全く格闘に興味の無かった俺にストリートファイトを始めさせるほどの強烈な衝撃だった。


数年の月日が経ち。

ストリートファイターとしてそこそこ名の知れた存在となった俺は、街にいくつかある、ストリートファイトの盛んな格闘スポットへ繰り出しては闘いに明け暮れていた。

(あの人と闘える日に備えて、もっと強くならないと!)

そしてその日は突然やってきた。

「…あっ」

思わず息を呑む。

少し離れたところを歩く、セーラー服姿の女格闘家。

「さ、さくらさん!」

「…え?」

思わず裏返ってしまった声に、反応して振り向いたその顔。

「さくらさん!さくらさんですよねっ!?」

間違いない。

その身体は、動画で見た数年前とは比べものにならない程成長していたが、幼さの残る可愛らしい顔はあの頃のままだ。

「うっ、うん…そうだけど、え…っと」

驚いた顔で俺を凝視するさくらさん。

「あっ…す、すみません!急に…」

初対面の男に突然名前を連呼されて詰め寄られたら、そりゃビックリするよな。

「キミも、ストリートファイター、なの?」

俺の身体をチラ見しつつ尋ねてくるさくらさん。

「は、はい!それで!手合わせ!!してもらえないですか!?」

また勢いで言ってしまった。

(しまった…)

いきなりこんなことを言われて、どん引きされたかも…。

「うんっ!いいよ」

そんな俺の心配をよそに、快諾してくれるさくらさん。

「キミのことを知るには拳を交えるのが一番みたいだし…闘ろう!」

「は、はいっ!ありがとうございます!!」

猛スピードの急展開。

信じられないな。

(きっと、こういうのに慣れてるんだろうな)

強い相手と闘うことが大好きな、一流のストリートファイターって感じだ。

パソコンやスマホの画面で何度も何度も見た、凜々しく構えるさくらさんが、今、俺の目の前にいる。

その姿は、格闘家としての自信と余裕に溢れていて。

(カッコいいな…)

体つきこそ大きく変わってはいるものの、初めて動画で見たときと同じ、いやそれ以上の力強い姿に、感動で震えてしまう。

(…っと、ボーッとしてる場合じゃないな。俺も頑張らないと!)

そうだ、俺も全力でいかないと。

(さくらさんに一人前の格闘家だって認めてもらうんだ!)

「てやぁー!」

闘いが始まると同時に、凄い勢いで攻めてくるさくらさん。

「せやっ!てやっ!えーいっ!」

次々と繰り出される突きや蹴りを、落ち着いてひとつひとつ見切って躱す。

(…見える!)

さくらさんの動きが、動画で見ていたあの頃より少し鈍重に感じられるのは、俺が成長したからだろうか。

冷静に、さくらさんの隙を探る。

「てやっ!えやぁー!」

一方的に攻め立ててくるさくらさん。

(…ここだ!)

大振りになった突き。

その瞬間、素早くさくらさんの背後に回り込んだ。


(気付かれてないな)

俺を見失って、焦って周りをキョロキョロしているさくらさん。

隙だらけだ。

そのガラ空きの身体を、後ろから全力で蹴り上げる。

「!!?」

クリティカルヒット!

大きく跳ね上がるさくらさんの身体。

これはかなりのダメージを与えられたに違いない。

「あ…ぐっ…」

案の定、身体を痙攣させながら棒立ちになるさくらさん。

(ピヨったみたいだ…チャンス!)

(あの技を使うときが来た!)

この日のために、鍛錬を積み重ねて編み出した必殺技。

最初に使うのは、さくらさんが相手だと決めていた。

「さくらさん…いきます!はああぁーっ!」

手を抜くのは失礼だ。

俺の全力で倒しにいかないと!

まだ名前もないこの技。

闘気を込めた拳を、極限まで上げたスピードで、何十発も、何百発も放つ、俺の必殺技だ。

「せやっ!せやっ!はっ!てやっ!」

ガガガガガガガガッ!!!

無防備棒立ち状態のさくらさんの身体に、俺の拳が次々と打ち込まれる。

「あぐっ!がっ!きゃあぁんっ!」

その拳圧で、身にまとっていた服も徐々に破けてゆく。

「これでトドメです!…せやぁっ!!」

ズムッ!

「きゃああああーんっ!」

最後に一発、一番気合いを入れた突きをさくらさんに打ち込むと、その身体は大きく吹き飛び、大の字になって倒れた。

「はぁ…はぁ…」

完全勝利。

一発もダメージを貰うことなく、さくらさんを倒してしまった。

(し、信じられない…)

この俺が、あのさくらさんに、完勝。

だが目の前に横たわるさくらさんは、今確かに俺が倒した相手だ。

…ハッ、と我に返る。

「すっ、すみません!大丈夫ですか!?」

「う…ん、大丈夫」

少し頭を振りつつ上半身を起こすさくらさん。

「これくらい、全然平気だよっ!」

(回復が早いな…やっぱりさくらさんは凄い格闘家だ!)

ニッコリと笑うさくらさんの可愛さにドキドキしつつ、また近いうちに再戦する約束も交わしてしまった。

(今度は俺がさくらさんの挑戦を受けるんだ!さくらさんにがっかりされないように、もっともっと強くならないとな!)

新たな目標を胸に、さらに鍛練を重ねることを誓う俺だった。


fin.











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