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さわてら
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発育したさくらからの挑戦

再戦の時は意外と早く訪れた。

「…あっ!ねえキミ!」

あの激闘から一ヶ月。

修行のため毎日のように街のストリートファイトの盛り場へ赴き、闘いを重ねていた俺の前に、また彼女は現れた。

セーラー服がとてもよく似合う女格闘家で、俺の憧れの人。

「さくらさんっ!お久しぶりです!」

「あはは!久しぶりって、一ヶ月ぶりくらいだよ?大げさだなあ…」

「そう思えるくらい待ち遠しかったんですよ」

「本当に?あはっ、そう思ってもらえるなんて、嬉しいなっ」

楽しそうに笑うさくらさん。

「えっと、それじゃあ早速だけど、約束通り…わたしの挑戦、受けてもらえるかなぁ?」

俺のことを下から覗き込むように、上目遣いで言ってくるさくらさん。距離が近い。

「は、はい!勿論です!」

思わずどもってしまった。

「えへへ、やったー!じゃあ早速、闘ろう!」

眩しい笑顔で、グッと突き出した拳を、俺の胸に軽く当ててくる。

格好良くも可愛らしいその仕草に、ドキッとしてしまう。

(…っと、いけないいけない)

慌てて雑念を振り払う。

(一流の女格闘家であるさくらさんに失礼だろ!)

そう、今俺の目の前にいるのは、女格闘家、さくらさん。

これから全力で拳を交える相手なんだから!

(またさくらさんと闘える!)

丈の短い、格闘用にアレンジされたセーラー服に包まれたその身体は、一ヶ月前よりさらにパワーアップしているように見える。

ファイティングポーズをとるその姿は気迫に満ちあふれていて、凜々しく、綺麗だ。

(これは気が抜けないな)

FIGHT!!

試合開始早々、勇ましい掛け声を上げ、その身体を大きく揺らしながら、俺に向かってくるさくらさん。

パンチ!キック!パンチ!

猛ラッシュを仕掛けてくる。

(…凄い!)

確かに一ヶ月前とは違う、技のキレもスピードも少し上がっている。

「えいっ!ていっ!てやぁー!」

柔らかさを保ちつつも、更に太く逞しくなった太股を振り回す連続の蹴りは、当たれば結構なダメージになりそうだ。

(だけど、この一ヶ月、俺だってサボってたわけじゃないですよ!)

打ち込まれてくるさくらさんの手足を、一つ一つしっかり見切って完璧に躱す。

(…見える!)

さくらさんが突きや蹴りを放つたびに揺れる、僅かな脂肪の波打ちまで、まるでスローモーションのようにわかる。

「えいっ!えいっ!…くぅっ…てやぁ!」

攻撃が全く当たらないと、体力の消耗も、より激しくなる。

次第に動きが鈍り、技も大味になってゆくさくらさん。

飛び散る汗の甘い匂いが俺の鼻腔をくすぐる。

(…そろそろいけるか?)

「えやぁあー!」

…スッ

すっかりスピードの落ちたさくらさんのパンチを余裕で躱すと、懐に潜り込む。

(今日は二発で…決める!)

さくらさんを倒すために編み出した、試したい新必殺技もあった。

(まずは下準備だ!)

ズムッ!

まず隙だらけの腹に一発、軽めのパンチを打ち込んでやる。

「あぐぅっ!」

さくらさんの腹筋に俺の拳がめり込む。

動きが止まったさくらさん。

怯んで少し後退する。

(今だ!)

その隙を逃さず、さらに距離を詰めると、左拳に闘気を集中させて、

「いきます!必殺…破桜拳(はおうけん)!」

ズムッ!

一撃。

振り上げた、淡い紫色の炎のような闘気を纏った俺の拳が、無防備なさくらさんの身体にクリーンヒット!

「きゃああぁーんっ!」

衝撃で、ビリビリに破れた衣服を撒き散らしながら大きく吹っ飛ぶさくらさん。

「あぐぅっ!」

脳天から地面に叩きつけられると、あっさり失神してしまった。

(決まったな…)

KO!!

PERFECT!!

(しまった!強くやりすぎたか?…)

完全に体力を奪われ、ビクンビクンと痙攣するさくらさん。

慌てて駆け寄って、介抱する。

「だ、大丈夫ですかっ?」

「…う、うん、これくらい…平気…だよっ」

一瞬で意識を取り戻す。

「今起こしますね…しょっ、と」

逆さになったさくらさんの身体を掴んで起き上がらせる。

「いえ、さくらさんも強くなってましたよ!この間よりずっと技のキレも良くなってましたし!」

これは嘘偽り無い事実だ。

だけど、俺の方がもっと強くなっていた。ただそれだけのこと。

「あはは、ありがとう…でも……はぁー…」

大きな溜息をつくさくらさん。

「男の子って、わたしが追いつけないくらい、どんどん強くなっちゃうんだね。凄いなあ…ほんとうに」

俺の拳がつくったお腹のアザをゆっくり擦っている。

「さくらさん…」

「…また、わたしと闘ってくれる?」

と、上目遣いで懇願してくる。

その頬は、まだ闘いの熱気が残っているためか、赤く火照っていて、あどけなさを残しつつ整ったその顔も、より美しさを増して見えた。

「えっ!?は、はい!勿論です!」

またもドキドキしてしまった俺。

少しどもりつつうわずった早口で答えると、さくらさんはプッと吹き出した。

「あははっ!うんっ!絶対だよ!」

今度は年下の少女のように屈託なく笑う。

(本当、凄いな…さくらさんは)

闘いでは完勝だったけど、そのコロコロと変わる表情や仕草にずっと振り回されっぱなしの俺なのだった。


fin.

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