格闘の盛んな都市、真王闘市にある、格闘を見世物とする様々な施設が並ぶ繁華街。
そこからひとつ裏に入った狭い路地に、そのコンセプト格闘バー【プリズナーガールズコロシアム】はあった。
キャットファイトの観戦がメインのこのお店。
罪を犯し囚われている女格闘家、という設定の『囚人格闘娘』達が、今日もリング上で激闘を繰り広げている。
そんなこの店の目玉イベントのひとつが、週に一度行われる格闘大会『Fight For FreedomGirl』だ。
選抜された8人の囚人格闘娘たちがワンデイトーナメントを行い、その優勝者が翌週、施設の警備員である『キング』に挑戦するというもので、もしキングに勝つことができれば晴れて囚人から解放される、という設定だ。
だが、今までキングに勝利した囚人格闘娘は一人もいない。
先週のトーナメントでは、入ったばかりの新人、ブルマー格闘娘のほのかが快進撃。キングへの初挑戦権を手に入れた。
「いよいよね!…えいっ!」
来週のキングへの挑戦権を賭けたワンデイトーナメントが終わるや否や、闘志を剥き出しにして颯爽とリングへ上がるほのか。
「シュッ!シュッ!ええいっ!!」
万全の態勢のほのか。
待ちきれないとばかりにシャドーボクシングを始める。
「おっ、嬢ちゃん、かっこいいなあ!」
「がんばってねー!キングなんかやっつけちゃえ!」
その勇ましい姿に、客たちから応援の声が飛ぶ。
「まかせて!キングはわたしが倒すんだから!」
笑顔で力こぶしを作り、それに応えるほのかだが、果たして闘いの行方は。
カーンッ!!
試合開始のゴングが鳴る。
「えぇーいっ!」
と同時に、キングに殴りかかるほのか。
それを仁王立ちで待ち構えるキング。そのガラ空きの腹に次々とパンチを打ち込む。
「えいっ!えいっ!せやっ!せやあぁーっ!!」
だが、強靱なキングの腹筋に、格闘家として鍛え上げてきたはずのほのかの拳は、ダメージ一つ負わせることが出来ない。
「はぁ…はあ…くっ!…えいっ!えいっ!」
(嘘っ、全然効いてないの…!?)
いくら拳を打ち込んでも微動だにしないキングに、焦りがつのるほのか。
「えいっ!えいっ!…はあ、はぁっ……」
徐々に疲れが蓄積し、動きも大味になってゆく。
「…フッ!」
そしてその隙だらけになった腹に、まずは軽く一発、キングの拳が打ち込まれる。
「ぐっ!?」
クリーンヒット!
全く反応できず、身体を震わせながら、くの字に折れ曲がるほのか。
「フンッ!」
続いてその顎先を撫でるようにキングの拳が軽く振り上げられた。
「あぐぅっ!?」
大きく吹っ飛ばされるほのか。
ズンッ!!
脳天からリングに落ち、倒れ込む。
「どうした、その程度か?」
キングが軽く放った二発のパンチで、あっさりリングに崩れ落ちてしまう。
その実力差は圧倒的だ。
「あ…がぁ…」
絶体絶命。
何とか起き上がろうとするが、全く身体が動かない。
(くっ…動けっ!動いてぇ……)
必死なほのかに、キングはゆっくりと近づいてゆく。
「トドメだ」
無防備に突き出されたほのかの尻を軽く指で弾いた。
ビクビクビクンッ!
「きゃあぁーんっ!!」
すると、残り僅かだったほのかの体力はあっさりと全て削られてしまう。
そしてそれは全て、キングの計算通りだった。
「KO!!」
店中にレフェリーの声が響き渡る。
試合終了。キングの完全勝利だ。
「さすがキング様!強いわ!」
「残念だったなあ、元気なお嬢ちゃん!」
客たちからの歓声に、無言で右手を挙げ応えるキング。
「はひっ…そ、そんなぁ……あひん…」
その一方、試合開始前の勇ましい態度はどこへやら。
全身をピクンピクンと震わせ失神する、ブルマー格闘娘ほのか。
キングへの初挑戦は、苦い敗戦で幕を閉じるのだった。
to be continued...