若き魔女は時たまアトリエから飛び出し、空の散歩をする。
宛もなくフラフラと飛び回ることが扉を開ける鍵になるのだと、無垢な笑みを浮かべ、ホウキと共に風を切る。
スカートと帽子をはためかせながらしばらく野鳥との語らいを楽しんでいると。魔女の散歩を阻むように巨大な樹林が生い茂る地域へと足を踏み入れていた。
ここから先は行けないよ。鳥たちは魔女にそう語りかけるかのように踵を返し、広大な空の海へと舞い戻っていった。
はるか昔から数多の生命が拠り所とした手付かずの大森林。
一切の文明を寄せ付けず、惑星の意のままに佇むその姿は自然の王者と言うのに相応しい。
人類は未だ見ぬ恵みを求め、幾度となく王者の懐へと足を踏み入れた。
しかし、未だかつてまともに王者を屈服させられたものはいない。
もしも、もしも王者が投げかける数多の試練に応えることができるものがいたとするならば
その者は未知の恵みを享受し、この世の覇者となれるのかもしれない。
麗らかな魔女の目は、光り輝く童のものへと変化する。
魔女はザクッザクッと音を立て、王者への挨拶を済ませた。
これはとある世界の、とある魔女の、お話である。
MIKE@1312
2023-08-27 18:01:31 +0000 UTCSPEED
2023-08-27 14:28:23 +0000 UTC