少女が男のパンチを難なく避け続けている。 当たれば致命傷となるような迫力のパンチだが、それ以上に少女のディフェンステクニックがはるかに上回っていた。 まるで隼のように速く鋭い、だがそれでいて軽やかで美しい動きだ。 男ももう体力が尽きてきたのかパンチに鋭さがなくなってきていた。 少女はその瞬間を見逃すことなく、防戦一方の姿勢から攻勢に出た。 ワンツーで十分、たった2発のパンチでKOは難なく狙えるタイミング、間合いだ。 だが、少女はそれでは満足できなかった。 少女の飽くなき狂気の欲求を満たすために レフェリーが止めるよりも タオルが投げ込まれるよりも 男がダウンするよりも 何よりも速く、重いパンチを男に叩き込んだ。 2秒間という短い時間の中で10発を超えるコンビネーションパンチが鋭く、的確に男にクリーンヒットしていく。 パンチの度に男の体は激しく跳ねるように踊り、ロープ際からロープ際まで大きな体が軽々と運ばれていく。 誰もが駆けつけるころにはすべてが終わっていた。 己の暴力をほんの短い時間だったが出し惜しみなく出し切った少女は目の前の惨劇に満足していた。 男はまるで危篤患者が処置室に運ばれるようにタンカーで運ばれていったが誰がどう見てもあれは…という状況だった。