目がおかしい…
折木奉太郎は自分の身に起こった違和感に戸惑っていた
登校中にはなんとも無かった、何人もの人間とすれ違ったが
異変は感じなかった、気が付かなかったと言う事ではなく
ここまでの異変は、たとえ寝起きであろうと気がつくレベルだ
「どうしました、折木さん?」
千反田えるが俺の顔を覗きこむ
相変わらず近い
そうだ通学路の途中で千反田に出会った瞬間にこの異変に
気がついたんだ
周りを観察しても千反田以外の誰もが[普通]の状態に見える
「千反田…その格好?」
状況から考えられる答えの一つ、千反田えるがこの珍妙な制服を着て登校してる?
数瞬不思議そうな表情を見せたあと
「あ!夏服ですか?今日始めてですね」
俺の目線から制服と判断したのだろうか?
それともスケスケな事を見せつける意図があるのだろうか?
もう一歩踏み込んだ質問をしなければならない…
「千反田…もしかしてだが」
「なんでしょう折木さん?」
キラキラした大きな瞳で見つめられる
「す…」
「す?」
「透けてる?」
千反田にだけ聞こえるくらいの小さな声でそう聞いた
「!」
びっくり顔のまんま後ろに飛びのいた千反田の胸が透明な制服の中で
ぷるるんと揺れる
そして自分の制服を念入りに確認してコチラに向き直る
ちょっと怒ったような顔だ
「し、下着…透けちゃってますか?」
いや!ブラつけてるのか?それすらも見えてない
なんだこの現象は?薄っすらと透ける制服、スカートなんかほぼ透明だ
というか、千反田えるは半透明の制服に靴下と靴だけの格好でいつものように
俺の目の前に立っている
「ちょっと折木さん!」
強めの声
「はい!」
「なんだか目つきが…」
「はい」
「エッチっぽいですよ」
そりゃ好きな女子の裸が目の前にあるのだから仕方がない
「もう!しりません」
珍しくぷくーと頬を膨らませて怒った顔をしながら学校に走る千反田
俺の舐めるような目線のせいで顔は真っ赤になっている
「…おしり」
遠ざかるかわいらしいお尻を眺めながら思わずつぶやく
今日は大変な一日になりそうな気がする
鞄で股間を隠しながら動けない折木奉太郎の最も長い一日が始まる
おしまい