呪いのすごろく
夏休み。五人でゲーム部の部室を大掃除していた時のこと。棚の奥から真っ黒な木製の箱が出てきた。ボロボロのゲームブックや粉化しているボードゲームの残骸がひしめく中で、その箱は異彩を放っていた。古いのは一目見てわかるものの、妙に状態が良かった。 「えー、何それなにそれ」 「開けてみてよ」 五人全員が集まってくる中、私は黒い箱の紐をほどき、蓋...
2024-08-23 11:00:06 +0000 UTC View Post
夏休み。五人でゲーム部の部室を大掃除していた時のこと。棚の奥から真っ黒な木製の箱が出てきた。ボロボロのゲームブックや粉化しているボードゲームの残骸がひしめく中で、その箱は異彩を放っていた。古いのは一目見てわかるものの、妙に状態が良かった。 「えー、何それなにそれ」 「開けてみてよ」 五人全員が集まってくる中、私は黒い箱の紐をほどき、蓋...
2024-08-23 11:00:06 +0000 UTC View Post「噂は聞いてたけどこれは中々ね……」 私は思わず声に出した。悪徳領主の不正を暴いてほしいと依頼を受けてやってきた街は、「妖精」で溢れていたからだ。妖精を象った街灯、噴水、そしてこのダンスホール。広間には妖精の大きな絵が何枚も飾られ、階段前には妖精三体の石像「妖精三姉妹の像」がデンと鎮座している。等身大の迫力ある像で、まるで生きている...
2024-08-08 10:46:46 +0000 UTC View Post夏休み最初の日、俺は地面から人が生えているのを見つけた。夏休み初日、遊びに行く途中のことだった。草むらの中に一本……いや一人だけポツンと自生しているそれは、人の形と姿をしていた。サイズは十五センチ程度か。茶色い地面の中に両足を埋め、ピクリともせず直立姿勢で生えている小人。最初は人形が捨てられているのかと思ったけど、近づいてみるとそ...
2024-07-23 10:54:21 +0000 UTC View Post「わー、かわいい~」 「えーこれ高いやつじゃないのー?」 文化祭で着るメイド服が届いた。玉石混交で安っぽいペラペラのものもあれば、丁寧な作りのマジなメイド服もある。調達してきた子によると、知り合いから貰ってきたものも混じっているのだとか。 女子同士でしばしの牽制タイムが始まった。高級そうな服を誰が着ることになるか……。一番に手を出せば...
2024-07-07 05:49:26 +0000 UTC View Post「事情はわかりました。私たちに任せてください!」 旅の途中に立ち寄った村は規模の割に活気がなく、村民たちはみんな押しなべて沈んだ面持ちで俯きながら歩いていた。何かあったのか尋ねると、どうやら少し前から悪い魔女が村の近隣に住み着き、面白半分に村民たちに危害を加えているのだという。闇の魔法の実験台にもしているらしい。多くの者は家族を人質...
2024-06-23 11:01:23 +0000 UTC View Post「お嬢様! お嬢様! お怪我はございませんでしたか?」 狼狽える使用人たちの声は私の頭に届かなかった。転んで石に頭をぶつけたその瞬間、私の脳内には膨大な知らない世界の記憶が湧きだして、意識がグチャグチャにかき乱された。 (これ……は……?) 思い出したと言うべきか知ったと言うべきか……。私の頭の中に蘇った記憶。それは前世の記憶だった。...
2024-06-08 11:13:59 +0000 UTC View Post「当たった~!」「うわ~」「あ~」 皆でキャーキャー言いながら引いたくじ引き。引き当てたのは私だった。いや外れかも。初日潰れるし。 「よろしくね~」「土田さんファイト~」 去年は外れたのになあ。仕方ないか……。こうして私は展示役の初日を担当することになった。 この中学校の美術部には不思議な伝統がある。毎年秋に行われる文化祭で、部員一人が...
2024-05-23 12:21:48 +0000 UTC View Post漫画 きさらぎくま シナリオ OPQ ページ数:20P(表紙を含む) 内容は他サイトで販売しているものと同一なので、支援者の方は購入の必要はありません。
2024-05-12 15:00:33 +0000 UTC View Post人生はガチャだ。俺が塾通いする横で塾に一切行かず家庭教師も通信教育も抜きに学校の授業だけで俺よりいい学校に行ったやつがいれば、どれだけ頑張っても追いつけない圧倒的な才能の差をスイミングスクールで見せつけてきたやつもいた。そしてそいつは中学でもっとすごいやつに遭遇して自信を失ったと聞いた。 遺伝子ガチャ、親ガチャ、国ガチャ、町ガチャ、...
2024-05-08 11:15:12 +0000 UTC View Post「皆を元に戻しなさい!」 一つ目の怪物の肩に座る女の子に向かって、私は叫んだ。森の中に木々が生えていない開けた空間。そこに今、十体近くの石像が立ち並んでいる。どれも慌てて逃げ出そうとする姿勢だったり、驚きのあまり立ち尽くしているような格好のものばかり。しかし、これらは石像ではない。生きた人間……だった。あの子の怪物によって、石に変え...
2024-04-23 12:30:44 +0000 UTC View Post漫画 しばむら シナリオ OPQ ページ数:27P(表紙を含む) 内容は他サイトで販売しているものと同一なので、支援者の方は購入の必要はありません。
2024-04-10 15:00:25 +0000 UTC View Post「では……お大事になさってください」 私の六倍近くある背丈の巨人たちが、床を振動させながら玄関から引いていく。私は頭を下げてお礼を述べながら、彼らがドアを閉めるのを見送った。私の身体では二度と開けられなさそうな、大きな重いドアが閉まっていく。ダンッという硬い音と共に、ドアは私を閉じ込めてしまった。取っ手は顔を上に向けなければ見えない...
2024-04-08 10:49:12 +0000 UTC View Post「初めまして、リバースメイドロボ27号、カリンです。よろしくお願いします」 初期設定を終えた彼女はスカートの裾を軽くつまんで頭を下げた。至近距離で見るメイドロボは思ったよりも迫力と生々しい存在感があって、私はちょっと戸惑いを覚えた。これで家事が楽になるというワクワク半分、知らない女の人と同居生活するんだというオロオロ半分。使ってれば慣...
2024-03-23 11:46:24 +0000 UTC View Post(「結婚」かぁー) 私は内心ちょっと複雑だった。体感数時間で終わるのはいいけど、できれば夢じゃなく現実で最初の体験をしたかった……と思う。 棺桶みたいな縦長の箱の中に横たわり、私は眠りに落ちるのを待つ。しかしこんな実験室のど真ん中、それも周りに人が大勢いてあれやこれや作業している中ですぐ寝ることは難しい。私は目を閉じながらも結構な時間...
2024-03-08 11:33:34 +0000 UTC View Post(お?) ゲームを買いに訪れた中古ショップ。軽く立ち読みもしようと漫画コーナーへ向かった時、俺は棚の一点に視線を釘付けされ、足を止めた。通り過ぎるだけのはずだった中古フィギュアの棚に、見るからに出来のいい逸品が紛れ込んでいたからだ。箱もないむき出しの中古品なのに、新品よりも美しく、遥かに精緻な表現で造形されている。こんなフィギュアは...
2024-02-22 15:37:55 +0000 UTC View Post夜のペットショップは少し不気味な空気だった。安眠を遮られ気が立った犬猫たちの差すような警戒の視線、静かに気を張りつめらせる爬虫類たちの力強い眼光。獣の匂いに加え、閉店して時間が経っているので始末されていない新たな糞尿の匂いもわずかに漂う。声を立てると犬猫たちが吠えそうな空気だったので、私は思念で直接春香に問いかけた。 (本当にここで...
2024-02-08 10:47:29 +0000 UTC View Post脱衣所で服を脱ぐと、いつも鏡から目を逸らしたくなる。最後に全裸になれたのはもう半年くらい前になる。全ての服を、下着まで脱いだはずなのに、私の左半身は肌が見えない。左腕は爪先から肘の上まで鮮やかなレモンイエローに染まり、左脚も太腿から足先までが水色のタイツに覆われている。この手袋と片足ニーソは絶対脱げない。このままお風呂に入らないと...
2024-01-23 11:05:43 +0000 UTC View Post(や……やっぱ止めときゃよかったかなあ……) 姿見に映る滑稽な自分の姿の前に、私はこの仕事を受けたことを後悔しつつあった。この歳でこんな格好を……それもこれから仕事の制服として着なければならないなんて。 白とピンクを基調とした魔法少女のコスプレ衣装。それは私の身体にピッタリと密着していて、体をねじっても皺がほとんどできない。雇い主の会...
2024-01-08 09:00:50 +0000 UTC View Post(あー、まただ……) ステージで歌いだしてから体感数分で、私はこれが夢だと気づいた。二年前からよくみる夢。私はアイドルだった。でもこんなのは夢に決まってる。私なんかがアイドルなれるはずもないし、アイドルなら小学校の体育館でライブしたりしない。……ソーラン節も踊らない。 小学校の運動会でやったソーラン節を踊りながら、私は今流行りのアイド...
2023-12-23 12:42:44 +0000 UTC View Post亡くなったおじさんが管理していたらしい山小屋。長いこと開閉されていなかったと見えて、鍵を開けても中々扉が開かなかった。錆びついてる。 中に入ると、やはり錆と土の匂いをため込んだ空気がモワッと俺を襲った。照明の電気はつかない。昼でよかった。扉から差し込む光がプレハブ小屋の中を照らしてくれる。中にあるのはどこかから入り込み繁殖している雑...
2023-11-23 11:40:15 +0000 UTC View Post「石田さん、行方不明なんですって?」 「ええ……そのようで」 「その子、何かいじめとか受けてましたか?」 「さあ……あまり友達はいなかったようですけど」 「なるほど」 またアレかな。俺は夜中、学校に残ることにした。もしも地蔵に願ったのなら、この校内のどこかにいるだろう。 生徒も教師もいなくなった真夜中。俺は一人で校内を散策した。静かに耳を...
2023-11-08 11:08:27 +0000 UTC View Post「せんせい、さようならー」 多くの椅子がガタガタと音を立て、教室から子供たちが帰りだす。半数は教室にとどまり雑談にふけっているが、それも十分ほどで姿を消した。誰もいなくなった教室の後ろには、ランドセルを収める棚の上に、ズラっと拙い工作が並べて飾られている。中に不相応な完成度を誇るものが光った。艶々とした肌色一色の肌と、鮮やかなピンク...
2023-10-23 10:43:10 +0000 UTC View Post「へー、かわいいですねー」 机上でピョンピョン跳ねるチアガールのお人形に、私も皆も暖かい視線を送った。 「お仕事、頑張ってくださいねっ!」 両手に握ったポンポンを掲げ、可愛らしいアニメ声で喋る生きたフィギュア。チアドールというらしい。モチベ向上という理由で今日から全員のデスクに一体ずつ配られた。 華っていうのはこういうのを言うのだろうか...
2023-10-08 03:00:14 +0000 UTC View Post妙に廊下が広い学校だな。受験の時抱いたその感想は、実際に入学するとますます強く感じた。普通の高校の二倍近くある。まるで道路みたいだった。独特な設計の校舎だと思う。というかスペースがだいぶ無駄じゃないか? と思う。廊下の幅が広いから歩きやすいかと思えば、そんなこともない。意味の分からない邪魔な設置物が、どの廊下にも二つほど設置されて...
2023-09-23 11:23:03 +0000 UTC View Post「ほー、よくここまで仕込んだな」 「可愛いですねー」 テーブルの上で足首程度の壁を飛び越える小さな人影に、私たちは感心しきりだった。小人型のホムンクルスをこんな風に運用できるとは驚きだ。 色とりどりの髪をたなびかせる四匹のホムンクルスたちは、テーブルの上に置かれた小さな小さな障害物を超えるたびに、顔を上に向けて締まりのない笑顔を浮かべ...
2023-09-07 10:43:08 +0000 UTC View Post離れのある家に上がるのは初めてだった。体型の合わないダボダボの子供服を被っているだけの自分が酷く場違いに思えた。 「初めまして、藤原芽衣です」 「いらっしゃい、よく来たねえ」 「あら~、ホントそっくり。可愛いわねえ」 まるで幼い孫でも迎えるかのような対応に、私は少し恥ずかしかった。大学生なんですけど……。仕方がないか。この身長じゃ。 子供...
2023-08-23 12:04:02 +0000 UTC View Post(あらら……) お風呂でお湯を弾く自分の肌に、私はため息をついた。触ってみると、もう人の皮膚の感触ではなくなっていた。柔らかい樹脂みたいな質感だ。見た目も明かりを照り返し、テカテカとした光沢を放ちつつある。 髪の毛を洗おうとして手が奥まで通らなかった時も、私は胸が痛んだ。こうして少しずつ人間でなくなっていく自分が怖い。でも私はまだ恵ま...
2023-08-08 10:57:34 +0000 UTC View Post「え……私ですか?」 「そうだ。早く行け」 ついに恐れていた、というか来たら嫌だなあと思っていた仕事を振られた。悪の片棒を担げという指示が。まあ、冷静に考えてみたら日々のお仕事だけでガッツリ担がされてはいるんだけど。 私の勤めているこの会社は悪の組織というやつで、危険な人造生物を製造販売しているらしい。道理で安全性の項目がおかしいわけ...
2023-07-22 12:31:31 +0000 UTC View Post漫画 しばむら シナリオ OPQ ページ数:25P(表紙を含む) 内容は他サイトで販売しているものと同一なので、支援者の方は購入の必要はありません。
2023-07-15 15:00:22 +0000 UTC View Post