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れぶん

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第16話:変わらなくて、それでいい。



待ち時間にはウィンドウショッピングでも。

そう思って、約束の30分前に有楽町駅の改札口へ到着したのだが、急に面倒になってしまった。


そもそも、見て回ったところで銀座・有楽町界隈で、俺が購入すべきものは何一つない。

お洒落な衣類も革細工もアクセサリーも、身につけたとて似合わなすぎる。身に纏われた商品が可哀...

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第15話:あなたしか見えない




「ただいま…と」


帰宅すると、玄関口でりうちゃんのスマホが着信音を鳴らしていた。

液晶画面には『みずきくん』と表示されている。


『みずきくん』とは、りうちゃんの弟で、本名は、有栖川瑞稀(ありすがわみずき)という。

とても気持ちの良い好青年で、りうちゃんよりも1つ年下らしい。


...

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第14話:勝負の行方




有栖川りう(ありすがわ りう)の目には、かつて無いほどの曙光が宿っていた。


そもそも彼女の瞳はキラキラと美しいのだが、今はそうではない。

ギラギラとさんざめき、獲物を仕留めんとする狩人の眼光だ。


獲物は、りうちゃんの家のテーブルの真ん中にちょこんと置かれている。


手のひらを広...

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第13話:ヤキモチにゃんこ



口数は少なかった。


「学校には行かなくて良かったの?」

「うん。本当は行かなきゃいけないんだけど、明日でも大丈夫だから」

「そっか。その...」

「うん?」

「あ、いや...ケ、ケーキ、お土産に持って帰らせてもらえて良かったね」

「うん」


ふたりは並んで歩く。彼女の自宅に向かって。

そこ...

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第12話:突然の。





その夜、俺はりうちゃんと交わった。

お互いに休む暇も与えず。




連続の2回戦だった。




彼女は上下を反転させながら、体をくねらせ、時折、甲高い声を上げた。

その反応に呼応するように、俺も負けじと、しかし優しい手つきで彼女の弱点を攻め続けた。


...

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第11話:お注射





帰宅後、冷えた体を湯船で温め、焙じ茶を二杯淹れる。

一杯は自分が、もう一杯は目の前のりうちゃんが飲む。


有栖川りう(ありすがわ りう)という変わった名前の美少女と、こうしてテーブルを挟んで焙じ茶を飲むのが俺の嬉しい日課となっている。


彼女の笑顔は、俺を心の底から元気にし、活力を与...

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第10話:凪




日は暮れ、辺りには街灯が灯っていた。

夜になると、東北の寒さが一層身に沁みる。


「悪かったね、みっともないとこ見せちゃって」


金髪のロングヘアを手櫛ですきながら取り繕おうとする彼女ーーー優夏さんには、年相応の若さが見て取れた。


18歳でこの街を出てから3年、つまり21歳。


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第9話:その浜辺に落としたのは。



覆いかぶさるような澄んだ青空。

海岸沿いの県道からでも、波の寄せて引く音が心地良く聞こえてくる。


「海が見たい」


りうちゃんの一言から連休を利用して、俺たちふたりは秋田県の男鹿半島に来ていた。


東京から、在来線と新幹線に揺られること7時間。長旅を経てようやく到着だ。

ひとつ大きく伸...

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第8話:バレンタイン・エロティック




「という訳で、今日は、ガトー・ショコラを作ります」


有栖川りうシェフはそう、高らかに宣言した。




どういうわけか、先日りうちゃんが家に遊びにきた日に、今日の予定を空けておいてと言われていた。お菓子作りをするから食べてみて欲しいんだとか。

俺のカレンダーが仕事以外の予定で埋ま...

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第7話:さいん、こさいん、たんじぇんと。




心、踊る。


胸、ときめく。




今日、俺は人生で初めての体験をすることになる。それはきっと、もう、ほんの5分後には訪れる。

自然と鼓動が高鳴り、家を出る足取りも軽やかだ。それもそのはず。

これから5分とかからずに到着予定の場所は、楽園そのものなのだから。




...

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第6話:エスプレッソにはまだ早い




惰眠を貪る。


一見、怠惰な人間を連想させるフレーズだが、これこそ、人類が求める最も純粋で高尚な幸福なのではなかろうか。


幸福の定義は十人十色、千差万別だが、これは、その中にある一つの共通解と言っても差し障りない、と俺は思う。


ぐでー。


そんな訳で、今日も今日とて、休日...

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第5話:有明月と彼の匂い




ぽつ...ぽつ...うぃーん。


ぽつ...ぽつ...うぃーん。



フロントガラスを雨粒が滲ませる。それらを左から右へ、ワイパーが追いやっていく。


生憎の雨。

早朝から雨模様だった空は、予約していたレンタカーに乗り込むと同時に、雨粒を降らせた。


旅行の日に雨が降れば、それはそれ...

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第4話:寒いけどあったかい




「父さん!...父さん!」

母の腕を振り解いて叫んでいた。

無機質なベッドに横たわり、時折、車両の振動で体が震える以外の反応は無かった。


『赤信号直進します...赤信号直進します...』

寒空の下に響くけたたましいサイレンは、その内側にいることで、より鮮明に感じた。

カーテンが引かれているので外の状...

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第3話:届かぬ声




故郷では、秋が終わると、世の中の彩りが失われた。

でも、そうではない世界があるということを、東京に移り住んで知った。

紅葉や銀杏に代わって街を彩るのは、色とりどりのイルミネーション。

都会の街は、夜というドレスを纏い、煌びやかに着飾っている。


もうじきクリスマスだ。


10年程前、まだ...

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第2話:3つの選択肢




俺には越えなければならない壁がある。

それはとてつもなく巨大で、堅牢で、そして無慈悲だ。


「んーっ!...眠い」


これだ。


小さなテーブルを挟んで向かいに座るのは、10代後半の女の子。「りう」という少し珍しい名前の持ち主だ。大きな瞳が印象的で、控え目に言っても美少女と言わざるを得な...

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第1話:伝えたい想い


貯金は全く増える気配がないが、疲労とストレスだけは加速度的に蓄積されていく。そんな生活を何年続けているのだろうか。


「ただいま...」


帰宅した時に呟くこの一言はただの習慣だ。誰もいない空間に霧散していくだけの言葉を、吐き出していただけ。けれど、


「おかえりー!」


今は違う。

自分の...

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「イラストーリー」について

こんばんは、れぶんです。


当ページをご覧いただきありがとうございます。


PixivFANBOXでは、普段描いているイラストと、その前後の状況やイラストに関連するストーリーを、一つの作品としてまとめ、支援者限定記事にて公開していきます。


私はこれを、イラスト+ストーリーということで、「イラストーリー」と呼んでいます。 View Post