※前作、産地直葬~ミルクアトランティス~の続きです。まだ読んでない人は先に読んでね!
世界は常に複数のバッドエンドの可能性を抱えている。
核戦争、地球温暖化、未知の殺人ウイルス、隕石の衝突、異星人の侵略…
枚挙に暇がないほどにバラエティに富む地獄の数々。
実際に地球は幾度となくバッドエンドを迎えており、しかし、同時に時間を戻しリセットすることで無理やりハッピーエンドに軌道修正しようとする者がいた。
その者の名はガルゥ。
まるで“地球”というマルチエンディングのゲームをプレイするかの如き神にも等しい所業。
つい数か月前に迎えたエンディング『ミルクアトランティス』を“なかった”ことにしたのも彼だ。
そんな彼の元に届いた一つのメール。それがまさか次のバッドエンドの引き金になろうとは、この時はまだ誰も知る由もなかった…
「ふぅ・・・ジズ様エロすぎる・・・今日は少し抜きすぎたかな」
女神ジズに仕える従者ガルゥ。今日も彼は自室で夜な夜な“ジズオナ”に勤しんでいた。
主人であるジズを敬愛するあまりジズの裸体は勿論のこと、彼女のあらゆる行為が性癖となってしまったガルゥ。彼はいつもジズが眠りに落ちた後、何時間も掛けて彼女の写真や動画でシコり散らかすのが日課となっていた。
特に数か月前に発生した『ミルクアトランティス事件』の際に撮影された写真の数々は、超上質なオカズとして、ガルゥの精液を搾り尽くしていた。
この事件はジズが地球に住む人間達に直接母乳をお届けしようとした際、うっかり超巨大化してしまい、世界中をミルク塗れにしてしまったという大災害だ。
都市をミルクで水没させるまでの過程でも、思い切り大放屁して地球の大気比率を滅茶苦茶にしてしまったり、ナイアガラの滝のような母乳で大都市ごと地を穿つなど、様々な大蹂躙が観測され、その凄惨な光景は今でもガルゥの脳裏に強烈に焼き付いている。
ジズは母性を刺激されたり、羞恥心を覚えると巨大化するという特性があるのだが、本来聖母のように優しい筈の彼女がその巨大化した姿で意図せず世界を滅亡させてしまうというギャップにガルゥは得も言われぬフェチを見出していた。
世界が滅亡し、大量の命が犠牲になっている場面を見てオナニーするだなんて、なんとも不謹慎なことであるが、しかし、そこは女神に仕える従者。一線は超えていない。
彼もジズほどではないが、神に等しい力を備えており、その一つが時間を巻き戻す能力だ。
これはジズが好き過ぎる余りに発現した能力で、いくつか発動条件や制限はあるのだが、彼女が今まで破壊してしまった惑星は実際にすべてこの能力で元通りにしている。
時間を巻き戻しても蹂躙写真や動画がガルゥの手元に残っているのは、時間巻き戻し能力範囲外の何光年も離れた場所から蹂躙の様子を撮影しているからだ。ありとあらゆる画角でジズの破壊劇を撮影しているので、ガルゥの手元にはジズの破壊と虐殺の数々が画像として記録されているが、しかし、破壊した惑星が何事もなかったように存在している限り、ジズの宇宙犯罪歴は存在しないことになる。
そういう意味では、ガルゥの手元にあるのは“存在しない世界線”を映したフィクションとも言えるだろう。そして、フィクションであれば好きにオカズにしてもまだ許されるだろうというのが彼の判断だ。
しかし、この時空を歪めるかの如き行為は、数多くの矛盾を生じさせ、時に魔訶不思議な現象を引き起こすこともある。そして、今回もそれを痛感する出来事が起きた。
―オナニーを終え、ふと“ジズおばちゃんの幸せお届け便”の管理者ページを開いたガルゥ。
このサイトはジズの欲求を満たす為にガルゥが立ち上げたサイトで、ミルク生絞りサービスや現地産卵サービスの予約・申込が可能なのだが、如何せんあまりにも突拍子もないサービスの為、依頼が来ることはほとんどない。
それこそミルクアトランティスを起こしたあの数か月前の依頼が、サイト立ち上げ以来初めての配達だったくらいなので、ガルゥも時々しかサイトをチェックしていなかった。
しかし、サイトを開いた瞬間、彼は驚愕する。
なんと、メールの通知で溢れているではないか!
一瞬迷惑メールかとも疑ったが、あろうことか依頼先はすべて地球で、それも“産地直送タマゴ配達”の依頼ばかりだった。
いったいどうしたことだろう。
不思議に思ったガルゥは改めて“リセット後”の地球の現状を調査してみる。
すると驚くべきことが判明した。
まず一つ目が地球全域においてあらゆる紛争・戦争が終結し、争いのない平和な世界が実現しているということ。
人間という種の歴史は戦争の歴史でもある。どうしても争い奪い合ってしまうのは種族特性と言ってもいい。しかし、その特性すら乗り越えて真の平和を実現しているのは、それこそ女神鳥ジズが地球に降臨した影響だろう。
ジズには生命から負の感情を吸い取る力があり、それによって人間達の怒りや不満、嫉妬といった負の感情が消えてなくなったのだ。
吸収した負の感情はガスとして腹に溜まり、うっかりすると大放屁を引き起こす。実際、ミルクアトランティス時も大放屁によってとんでもない被害を齎している。
ガルゥによって地球自体の時間軸は巻き戻ったとはいえ、その効力はジズ本人には及ばず、負の感情を吸収した事象だけは巻き戻っていないことが推測された。
実際、地球平和が実現しているのがその証左だ。
この負の感情をおならに変えるジズの特性はガルゥも知らないことだったので、なぜ地球に急に平和が訪れたのか理解不能だった。
そして、もう一つ、なぜか人間達の間で巨大な鳥の女神を崇拝する宗教が突如として現れていた。それは明らかにジズに似ており、しかも各地で似たような信仰が続々と生まれているのだ。
当然、SNS上には女神にまつわるいくつものファンアートや物語が公開されており、既に一大ジャンルとして盛んに交流が行われていた。それこそ、日本という国では“女神鳥様オンリー即売会”などが企画されているくらいである。
「え、エロ過ぎる…」
中には神絵師が描いたエッチな女神絵もいくつか見つけることができた。
ガルゥはさっきまで散々抜いて果てていたにも関わらず、再びバキバキにフル勃起してしまった為、今生産されたばかりの精子を即出しする勢いで2度3度射精する羽目になった。
(時間を戻した筈なのに・・・なぜ・・・?)
わからないことばかりだが、一先ず世界が平和であることは悪いことではない。それより、配達の依頼が沢山来ていることのほうが今は重要である。
翌朝、さっそくガルゥは卵配達の依頼が複数きていることをジズに伝えた。
「え?本当?!今日はなんて素敵な日なのでしょう…!」
大喜びするジズ。
前回のミルク配達からしばらく依頼がきていなかったこともあり、彼女は大張り切りだ。
「・・・あの、ジズ様。今回は私もご同行させて頂いても宜しいでしょうか。」
ガルゥの同行の意図は二つ。
一つは前回の失敗の反省だ。前回、ミルクアトランティスが起きた際、すぐに時間を巻き戻して災害をなかったことにしようとしたが、同時にジズがド派手にガス漏れしたことで
星全体をおならスモッグが覆ってしまった。
スモッグによってガルゥのいる神界から正常に地球を観測できなくなったことで、時を巻き戻す力が阻害され、復旧にだいぶ時間を要してしまったのだ。
すぐに書き換えられる未来とはいえ、無駄に地球の生命を苦しめてしまったことには、ガルゥ自身も心を痛めていた。少なくとも今回は同じ失敗をするわけにはいかない。
「確かに一緒にきてくれたほうが安心ね。前回のように失敗しないようには気を付けるつもりだけれど、何かあった時はまたあなたに頼ることになるでしょうし。」
彼女は信頼の眼差しでガルゥを見て、そしてニコリと微笑む。
そんな彼女に対し、ガルゥは少しばかり後ろめたさを感じる。
同行する意図の二つ目。それはちょっとした下心。
映像越しではなく、自分の目で直接、蹂躙や産卵を見たいという気持ちが、どうしても心の奥底に張り付いて剥がれない。
しかし、それはあくまで一番の目的である「適切に時を巻き戻す」ことに付帯した棚ぼただ。そう自分に言い聞かせながら、ガルゥは平静を装い、さっそくジズと配達の段取りを決め、地球行きの準備を済ませた。
今回請け負ったのは卵配達4件。いつどんな依頼が来ても対応できるよう常にコンディションを万全に保っているジズからすれば卵の4つ程度屁でもない。屁は出るが。
地球に降り立つ際、特に重要なのがサイズ感。ジズの通常時の身長は168㎞あり、彼らはこの数値を一つの基準として“1ジグ”という単位で呼んでいた。
当然1ジグのまま地球に降臨すると、着地の衝撃だけで人間達が死滅してしまうので、サイズを調整する必要がある。ジズは前回同様、0.00001ジグ(168㎝)まで身体を縮め、ガルゥにもサイズ誤差がないか確認してもらった。
これで準備万端ということで、時空を操る術に長けるガルゥが腕で空を切ると、いとも簡単に地球と神界を繋げるワームホールが生成された。
「失礼します」
ガルゥは得意の縮小体術にてジズの手乗りサイズまで更に身体を縮めると、ちょこんとジズの背に乗った。
「では、いきましょう!」
ワームホールへとダイブする二人。
これまた前回の失敗を活かし、ワープ中に母性が爆発しないよう、ガルゥはどの順番で卵を届けるか等、ジズに話し掛け続けることで彼女の気を逸らそうとした。
しかしながら、彼女にとってこれから各地に卵を届けるという喜びは相当大きなもののようで、母性本能を完全に抑え込むことはできず、せいぜい巨大化スピードを遅らせることくらいしかできなかった。
結果、地球に降り立った際の彼女のサイズは約170m程度。
0.00001ジグ(168㎝)相当で地球に降り立つ予定だったことを考えると100倍の差が生じた計算になる。
出来る限り衝撃を和らげようとふわりと着地したが、震度5を観測した。しかし、前回地球に降臨した際の大陸壊滅級の大被害と比べればまだ可愛いものである。
「あらやだ、サイズを間違えたかしら。」
周囲の建物が自分の目線より低い高さにあることに気付いて、口に手を当て焦るジズ。
「大丈夫です。時間を巻き戻すほどの被害は出ていません。もし配達中に被害が出るようならすぐに私が対処しますのでご安心ください」
「ありがとう、ガルゥ。やはりあなたを連れてきて正解だったわ。」
気を取り直し、配達を始める二人。
ジズの巨大化は厳密に言えば、本人が巨大化しているというよりは「自分と自分の一部である神界自体のスケールを拡大する」という性質のものである為、彼女の身に付けている衣服は勿論、同じく神界の存在であるガルゥ自体も彼女と同じ比率で巨大化している。初めに手乗りサイズまで小さくなったのは彼自身の縮小体術によるものだが、それ以降は一々彼女の巨大化に合わせてサイズを調整する必要はない。
彼女の特性の欠点は、ガルゥと違って一度巨大化が始まると、完全に母性が落ち着くまでは縮小化ができなくなることだ。なので今回のガルゥの役割としては、いかにジズを冷静に保たせ、卵配達を完遂させるか、が鍵になる。
「一件目はここね。」
配達先住所が示す場所は閑静な住宅街に建つマンション。
10階ほどあるマンションだが、それでもジズの膝程の高さしかない。
玄関に直接お届けできるわけもなく、ジズは仕方なくマンション前の公園で産卵しようと、建物のほうにお尻を向けた。
「あ…」
ガス漏れ。
産卵に際し、いきんだことでお腹に溜まっていたおならが吹き出したのだ。
クソデカ放屁が直撃したマンションは窓ガラスが粉々に割れ、植栽が倒れる等の被害が出た。
ジズは恥ずかしさで赤面したが、しかし、踏ん張り始めた手前、途中で中断することもできず、そのまま産卵を継続する。
ガルゥはと言うと、被害よりジズの産卵に気を取られて、うっかり時間を巻き戻すことを忘れていたが、特に人的被害は出てなさそうだったので、そのままジズのおしりのほうに注目し続けた。
世界を壊滅させた前回の大放屁で彼の性癖は開拓されており、既に今のおなら被害だけで勃起してしまっていたが、そうなることも事前に予測していたガルゥはテントを張ってることがバレない様に予め固めの生地のパンツを履いていた。
流石に彼女の目の前で堂々フル勃起するのは失礼だし、しかもジズのおならや産卵に性的興奮を覚えているなら猶更である。バレないにこしたことはない。
メリメリ…
無事配達完了。突如、マンションの目の前に現れたマンションと同サイズの巨大な白い物体。
公園に点々と配置されていた遊具は彼女の巨大な卵によってすべて拉げてしまった。
この大きさであれば依頼主は勿論、マンションの住人全員で食べても数年分くらいの食料となるだろう。
ジズの心境は複雑で、思い切りおならをしてしまった恥ずかしさと無事卵を届けられた喜びとが混在していた。
一見、両極端の感情だが、しかし、産卵によって擽られた母性も放屁の羞恥心も巨大化を引き起こす因子という意味では同じベクトルで一致している。
―これは次の配達地がとんでもないことになりそうである。
産卵直後から既に彼女の巨大化は進んでおり、このままではせっかく卵を届けたこのマンションも巨大化に巻き込まれて倒壊してしまいそうである。
「ジ、ジズ様、次の依頼主もお待ちでしょうし、すぐ向かいましょう!」
焦ってやや強引に催促するガルゥ。
「ええ、そうね。行きましょう。」
ジズとしても既に母性がだいぶ爆発してきているようで、早く次の依頼者に卵を届けたい気持ちでうずうずしていることもあり、すんなり彼の指示に従う。
手を広げ、マンションが倒壊するほどの暴風を巻き起こしながら飛び立つジズ。
間一髪。
もう少し巨大化が進んでいれば、ここ一帯は彼女の飛び立つ衝撃で吹き飛んでいたことだろう。
ホッと胸を撫でおろすガルゥ。しかし、安心もしておられず、空を飛んでいる間にもジズはどんどん巨大化していた。そして、次の配達先に着いたころには既に人間達にとって“巨神”と言ってもいいくらいのサイズになっていた。
そのサイズ0.01ジグ。1680mだ。
着地と同時にジズの逞しい脚が地を割り、一瞬で周囲の町が地割れに呑み込まれ、ビル群が滅茶苦茶に横倒しになった。
しかし、そうなることはガルゥも想定済みだったので、町が崩壊した直後、それをジズが認識する隙も作らず、すぐに時間を巻き戻す。
時間を巻き戻さなかった場合、どれほどの被害が生じていたかは彼の持つ懐中時計の蓋の裏に仕込まれたAIデバイスで計算されており、被害予測の欄には「瞬間値:34万、最大値:243万」と表示されていた。
瞬間値は彼女の降臨によって直接的に亡くなった人の数を表し、最大値は二次的に死亡したり、災害関連死の人数も含んだ数字である。
もし自分が時を戻さなければ200万を超える死者が出ていたと思うと恐ろしい限りだが、ジズの肩の上から自分の目で直接町が崩壊する様子を見ていると、この光景すら彼女の偉大さを示すためだけの物理的な表現の一つにすぎないように見えてくる。
ガルゥが一人感心しているのをよそに、ジズはと言うと着地してすぐさま産卵の体勢に移っていた。
溢れる母性で周りが見えなくなっている彼女は、早くみんなに卵を届けてあげたい気持ちで一杯で、産卵被害だとか、そのような些事はもはや配慮する余裕もなくなっていた。
当然ながら1680mも身長があれば、卵だけでも200mはあることになる。産卵時の被害も決して小さくはない。
先ほどしっかり爆屁したので、今回は産卵時のおなら被害は免れたが、巨大な足に直接踏みつぶされているエリアだけでも相当な死者が出ている。
着地に伴う衝撃自体はガルゥの巻き戻しによってなかったことになったので、町は何事もなかったように綺麗なままだが、ジズの足裏で粉々になっている建物や命までは今は巻き戻せない。
流石にガルゥもそこまでは考慮していなかったので、少し頭を悩ませる。足元には瀕死の重体の人間もいるだろうし、時を巻き戻すにしても、できる限り苦痛を感じる時間は短くしてあげたいというのが、彼の心情だった。
ジズが飛び立つ際にどうせまた衝撃で町が吹き飛ぶので、多少は目を瞑って、纏めて後で巻き戻せばいいように思えるが、どちらにせよ卵に押し潰された部分は復活しない。
すべての時を巻き戻すことで産卵自体をなかったことにもできなくはないが、それだとそもそも今回の配達自体意味がなくなる。これは何か一工夫が必要だ。
しばらくガルゥは解決策を探ろうと熟考したが、しかし少しして彼は一人首を振った。
考えてもすぐには答えが出ないので、一先ずは目の前の産卵を目に焼き付けることを優先しようと頭を切り替えたのだ。
そんなことをしているうちに人間達の町に産卵メテオが直撃した。
膣から卵が飛び出るいやらしい音と共にその直後、世界全土に鳴り響いた轟音。
その音だけでも被害の凄まじさが良く分かる。ただ卵が落下しただけならまだもう少しマシだっただろうが、今回、産地直送と称してジズおばさんの発達した骨盤底筋と膣圧に思い切り押し出される形で勢いよく地面に向けて産卵している。それはもはや“エッグキャノン”とでも言えるような一つの大量殺人兵器だった。
すぐに懐中時計を開き、被害を確認するガルゥ。
AIデバイスには「瞬間値:5万、最大値:21万」の文字。
流石に降臨時の被害に比べれば死者数は少なかったが、しかし、ただ産卵しただけで万単位が死傷していることを考えると、驚くべきスケールである。
「・・・は、早く次に、次の人に卵届けないと♡」
頬を紅潮させ、はぁはぁと荒い息遣いのジズ。ガルゥが促すまでもなくすぐに町を飛び立つ。
立つ鳥跡を濁さず、なんていう諺はあるが、しかしジズの飛び去った後は、凄惨なまでに破壊し尽くされ、地盤がひっくり返って滅茶苦茶になっていた。
まさに立つ鳥跡を濁しまくる、である。
そんな頃、人間達のSNS上では、「女神降臨」や「神の卵」などのワードがトレンド入りし始めていた。
今回の卵配達は人間達にとってはまさに夢が現実になったかのような事象だったのだ。
全人類にとっては「殺された未来」であるミルクアトランティスの時間軸。しかし、時が巻き戻っても、ジズ自体は巻き戻しの効力範囲外にあり、彼女が確かに地球に存在したという事実だけは残ってしまうという矛盾。
その矛盾は結果的に、人間達の頭の中に存在しない筈の記憶なのに、まるで夢の中で出会ったように、なぜか皆が皆ジズのことを知っているという、不思議な現象として表れた。
この世界の誰一人この現象を解明できる者はいないだろうが、しかし、少なくともこの世界に女神という存在がいるだろうことだけは確定事項として人類は認知している。
誰もが、この不可思議な現象を天啓と思ったに違いない。ガルゥがネット上で見た、ジズを題材にした作品の数々は、まさに人々が体験した「不思議」を目に見える形で表現したものだったのだろう。
神の存在を認識したことで、俄かに広まった女神信仰だって、起源は曖昧だし、教義もまだない。
そんな、地に足の付いてないような女神信仰も、今回の卵配達によって、決定的に実在する女神として認識されたわけで、SNSが盛り上がっているのは当然と言えば当然だ。
しかも、彼らの呟きは、どれもなぜかポジティブなものばかりだった。
被災地域は順次巻き戻しを行っているとはいえ、しかしリアルタイムで次々と凄惨な蹂躙が巻き起こされているわけで、それこそSNSは阿鼻叫喚に溢れかえりそうなものだが、どうやら人間達は神のあらゆる行為をすべて肯定しているようだった。
ジズによって負の感情をすべて吸い取られた彼らは、例え惨たらしく蹂躙されても、それすら神様が定めた運命として受け入れてしまうのだ。
ジズ、三度目の降臨。
サイズにして0.1ジグ、16.8㎞。ジズが地面に触れた瞬間、沈み込むように大地が割れ、着地の衝撃が水の波紋のように街や人を飲み込みながら、周囲に波及していく。
少しして砂埃が晴れたと思った時には既に周囲は地平線の先まで瓦礫の山となっており、命の気配も全くといっていいくらいなくなっていた。
AIデバイスが示した数値は「瞬間値:1200万、最大値:1億2400万」。
ついに被害は億単位に達し、いよいよもって新たなバッドエンドの道筋が指し示されようとしていた。
ガルゥは敬愛するジズの、たかが着地によって億単位の人間が死傷するという事実に脳を焼かれながら、その衝撃の余韻にまだ浸っていたいと思いつつも、なんとか良心で思いとどまり、すぐに時間を巻き戻す。
どんなにジズの行為がエロくても、神の従者として仕事を全うしないといけない。そう自分に言い聞かせ続ける。性的興奮もなんとか理性で抑え込もうとするが、しかし、彼にそんな暇を与えることなく、ジズはいきみ始めた。
彼女の踏ん張りに伴う筋肉の震えが大地に伝わり、町全体が揺れ始める。
そして・・・
再び白い弾丸が地に放たれた。
もはや条件反射で、すぐにAIデバイスを確認するガルゥ。
「瞬間値:120万、最大値:1250万」。
(こ、こんなの・・・勃起が収まるわけがない・・・!)
密かな嘆き。
どんなに紳士的に振舞おうとしても、煩悩を振り払おうとしても、波状攻撃のように押し寄せる極上のオカズ。ガルゥは頭がおかしくなりそうなくらい興奮し、身体全体が火照っていたが、しかし、それでも己の職務を全うしようとする。
「・・・ジ、ジズ様、現在1ジグまで巨大化しています。このサイズで次の町まで飛んでいくと、着地で町が吹き飛んでしまいます。ここからは歩いていきましょう。」
絞り出すように言葉を紡ぐガルゥ。
「ハァ・・・ハァ・・・そ、そうね。歩いていくわ・・・」
対してこちらも母性に支配されて正常な思考ができなくなってきている様子のジズ。現在はまだガルゥの声は届くが、この様子では次の産卵時には怪しいかもしれない。
実際、このサイズともなるとジズの歩幅は50㎞弱はあるので、わざわざ飛ぶ必要はない。彼女の視点ではもはや地球全体がちょっとした庭くらいには狭かった。
死の歩み。
富士山の数十倍の質量を持つ彼女の一歩はそれ一つが大天災とも言える程の破壊エネルギーを孕んでおり、平均殺戮数は100万/歩を超える。ここまでくると一歩ごとに時間を巻き戻す必要が出てくるのでガルゥも大忙しだ。
とはいえこの超巨体の彼女の足だ。道中の町を滅茶苦茶に踏みつぶしながらも、1分もしないうちに次の目的地に着いてしまう。
これが最後の依頼。
依頼場所は地球の中でも有数の大都市だった。ジズはその町のど真ん中に問答無用で土足で入り込んでいく。もはや足元など一切見てもおらず、命への配慮も感じられない。
雌の顔で、親の顔で目をハートにしながら、しかし、その巨大なおみ足で何十、何百棟と高層ビルを纏めて薙ぎ倒し、踏みつぶしていく狂気。
彼女は既に母性の傀儡となった虐殺産卵マシーンと化しているのである。
目的地に着いて彼女が立ち止まると、ガルゥもすぐに踏まれてきた箇所の時を巻き戻した為、大都市の中心に逞しい猛禽類の脚だけが二つ、不自然に聳え立っているという異質な状況が生まれた。
人々が上を見上げれば、そこには空を埋め尽くすほどの巨大な尻と町全体を軽く呑み込んでしまうのではないかという程のジズのクソデカマンコが今にも人間達を虐殺せんを言わんばかりにヒクついている。
ジズは徐に手を付き四つん這いになると、大都市に向かって産卵メテオをお見舞いせんとばかりに再びいきみ始めた。
そんな爆尻から俄かに轟音が鳴り響く。それは、彼女の腸内を移動するガスの音だった!
1ジグサイズから繰り出される途轍もない大放屁!憐れにも彼女の肛門方向に位置していた街並みは扇状に根こそぎ“死の風”に刈り取られてしまう。
2回目、3回目の産卵時には起きなかったおなら災害がなぜよりにもよってこのスケールで発生したのか。
それにはちゃんと理由があった。
人間達から吸い尽くして消えたはずの負のエネルギーだが、実はまだ一つだけ発生源が残っていたのだ。
それは今回の卵配達によってジズ自身が引き起こした大虐殺の数々。
崇拝する神による蹂躙とあって、人間達は恨みも恐怖もなく死んでいったわけだが、しかし彼らも痛覚まで失ったわけではなかった。死の瞬間の激痛、それが負のエネルギーを生み出し、それをジズがまた吸収するという負の連鎖が起きていたのだ。
「時間を巻き戻しても虐殺の罪はなくならない」と咎めるように、その証拠に負のエネルギーはガスとしてジズのお腹に溜まっていき、こうして大放屁によって更なる大虐殺が引き起こされる死の循環。
死が死を呼ぶ恐ろしい負のループだ。
ガルゥは目の前で起きたおなら大虐殺に身体が震えるほど興奮し、ズボンが上から下までびちょぬれになるくらい我慢汁を垂れ流したが、しかし、なんとか正気を保って時を巻き戻す。
前回のミルクアトランティスでは何光年も離れた場所から地球を観測していた為、ジズのおならスモッグに巻き戻しを阻まれたが、今回はこうしてすぐ近くにいたことで問題なく蹂躙前の都市を復元することができた。
しかし、おならはあくまで虐殺の序章。今まさにジズの膣から20㎞を超える白い隕石が放たれようとしていた。
人知を超えた神のいきみ。
産卵メテオの真の恐ろしさを今、人類が、ガルゥが、目の当たりにする・・・!
それは…過去に恐竜を絶滅させたあの隕石の衝突を地球に思い出させるかのような衝撃だった―
爆心地から、地球の裏側まで駆け巡る破壊エネルギーによって、地面は砕け、海は荒れ狂い、世界中に天変地異が引き起こされる。
依頼者は勿論、大都市そのものが、まるで最初からそこには存在しなかったかの如く、一瞬で細かい塵に分解され、瓦礫の山すら残さない。
「瞬間値:3億、最大値:80億」。
AIデバイスが示した80億という数値。それはまさしく人類絶滅を意味していた。かつて隕石が恐竜を皆殺しにしたように、ジズの巨大な卵は氷河期を齎すことになるのだ。
たった一つの卵によって人類が絶滅を迎えるというあまりにもスケールの大きい予測に、脳のすべての血管が切れるほど興奮するガルゥ。
既に彼の精神は限界を超えていたが、なんとか最後の力を振り絞り、震える手で懐中時計の針を戻し、地球に氷河期が到来する未来を消滅させる。
しかし、いくら彼が時を巻き戻そうとも、天災の元凶である破壊神ジズを止めない限り、地球が悪夢から覚めることはない。
卵の配達依頼自体はもう終わっているが、しかし、もはやジズの母性本能は収まるどころか、自分ですら抑制できない程に大暴走してしまっていた。
ミルクアトランティスに次ぐ新たな地球のバッドエンド「エッグディザスター」を巻き起こしても尚、正気に戻るどころか更なる巨大化を続けるジズ。
本来であれば、ここでガルゥがしっかりと彼女の目を覚まさせるべきだったのだが、しかし、彼は彼でもうまともに従者の役割を遂行できる状態ではなかった。
4回の卵配達の間、彼はずっと我慢していたのだ。これだけ極上のオカズを目の前にしてずっとだ。
ただでさえガルゥはなかなかのペニスサイズを持っているのに、これだけ長時間フル勃起状態でズボンに締め付けられていたこともあり、気付けばズボンは破れ、クソデカチンコが丸だしになっていた。
とはいえジズももうガルゥの勃起の有無など気にできない程に周りが見えなくなっているので、そこはある意味問題にはならない。
しかし、だからと言って流石にご主人様の顔の横でペニスを扱くわけにもいかないので、ガルゥはさりげなく彼女の肩から降りると、ジズの背中側に回り込んだ。
もはやなりふり構ってならない程の性的興奮状態で、このまま紳士的に振舞おうとして我慢を続けようものなら、本能と理性、相反する両者がぶつかり合って心が壊れてしまいそうだった。
抜くしかない。
主人の前でこそこそとオナニーをするなど、自分が許せなかったが、それ以上にジズがエロ過ぎたのだ。なによりこのまま精神崩壊して時を巻き戻せなくなると、本当に主人を大量殺人者にしてしまう。それだけは防がねばならなかった。
ガルゥはそっと自分の息子に触れる。
(あ・・・)
ちょっと触れるだけでも分かる。極限の状況下でオナ禁したことによって今までに体験したことないくらい股間が敏感になっている。
そのまま両手でがっつりペニスをホールドすると、ゆっくりとピストン運動を開始した。
(なんて気持ち良さだ・・・)
快感に理性が剝がれていく・・・
意識のすべてがちんこに集中し、正常な思考すらできなくなる。
ガルゥはここまで自分が制御できなくなるのは初めてだった。
そして、それはジズも同じ。
彼女もまた、ガルゥ以上に理性が吹き飛んでいた。
全人類がジズ教の敬虔なる信徒と化した今の地球。その信仰心はジズも肌で感じているようで、ただでさえ正気を保てない程に膨らんだ母性が更に刺激されていく。
気付けば、ジズは地球すら鷲掴みにできるほどまでに超巨大化しており、それと併せて同時に巨大化しているガルゥでさえ、一歩歩けば100万人単位で人間を殺傷できる程のサイズに達していた。
そんな時、ついにジズの心の箍が外れる。
ガルゥが自らの性欲に抗えなかったように、ジズもまた母性に抗えなかったのだ。
「・・・みんなおばちゃんの子になってぇぇ!!!❤」
普段のおしとやかな性格からは想像できないほどの大声をあげながら、あろうことか彼女は地球を自身の秘所へと押付け始める!
惑星アンバース。
ジズの膣に地球が接触した瞬間、20億人が瞬時に消滅。同時に地球全体に大きな断層が生じ、地割れからはマントルが噴き出し、彼女の愛液とドロドロに混ざりあう。
そのあまりに壮大で美しい超破壊を目の前で見たガルゥは、思わずテクノブレイクする程の衝撃を受け、意識が遠のいたと思った次の瞬間、オルガスムスに至った。
激甚射精。
膣で地球を呑み込むほどの圧倒的女神鳥の前ではどうしても霞んでしまうが、しかし、ガルゥはガルゥで今や数百㎞ほどの身長まで巨大化しており、性器だけでも100㎞はある。
そんな巨大な大砲から精液がぶちまけられたのだ。
正直それだけでも地球が消滅するほどのインパクトはあった。実際、精液メテオの被害だけでも10億人以上が圧死、溺死するほどの被害を出しており、2次被害まで考慮すれば、当然、全生命が死滅するくらいの影響力があるだろう。
それこそ「産地直葬~おちんぽミルクアトランティス~」のバッドエンドのスタッフロールが流れてもいいくらいの蹂躙劇だが、しかし、それを待たずして、ご主人様の惑星アンバースによって世界は消滅しようとしていた。
ジズの巨大なおマンコで噛み噛みされ、地球は粉々に砕けて全生命が皆殺しにされる―
間一髪ガルゥは地球を飛び立ち、なんとかアンバースに巻き込まれずに済んだが、ジズの肩の上に戻り、もう一度彼女の股のほうを見た時には、もう地球はジズのナカに呑み込まれ跡形も残っていなかった。
しばらくジズはうっとりとアンバースの余韻に浸っていた。
ガルゥも頭が回らないのか、口を開けたまま虚空を見つめていた。
しばらくして、ハッと意識を取り戻したようにジズが正気に戻る。
「・・・ッ!あら?私ったら一体何を・・・?」
ジズの声でガルゥも我に返り、すぐに状況を理解しようと頭を整理する。
そして、慌てて懐中時計を開き、地球の生存者が0人であるのを見て青ざめた。
「す、すぐに時を巻き戻します!!」
原型がなくなる程破壊してしまったことは今までになかったので、正直ガルゥは地球をちゃんと復元できるのか不安だったが、なんとか巻き戻しの効力は機能してくれたようで、次の瞬間には何もなかったように宇宙空間に生命体達の息衝く地球が浮かんでいた。
(・・・・)
しばし無言になる二人。
ガルゥの額から冷や汗が垂れる。
神様とその従者が揃いも揃って、星を性的消費してしまった事実とそのはしたなさに二人は肩を落とした。
しかし、改めて人間達のSNSを確認しても、やはり皆が皆幸せに溢れている様子で、これほど酷いことをした後でも、女神信仰はより一層強固なものになるばかりだ。その点ではホッと安堵させられる。
結局、卵配達自体もなかったことになってしまったが、そこについても時空を歪めたことによる影響なのか、人間達にとってはさも配達はあったかのような認識が共有されていた。
何が起きているのかよく分からないが、ジズ視点では卵配達はしており、人類視点でもそれが認識されているのなら、ある意味依頼は成功したことになる。
部分的に時を巻き戻すことによって生じるタイムパラドックスが、今回はたまたま自分たちに都合よく働いてくれたのだろう。
その過程はあまりにも酷いものであったが、終わりよければすべて良し。一件落着である。
―しかし、この時彼らはまだ知らなかった。
ガルゥが時間を戻したことにより、確かに地球は無事に復活したが、『地球そのものや全生命体とガルゥの精子がジズの中に到達し着床した』という事実もまた消すことができておらず、ジズのお腹の中で新たな生命が芽吹こうとしていることを。
ジズとガルゥ、そして地球に住む全生命を親に持つ子。神鳥「ルフ」。
彼の誕生に宇宙全土が震撼するのはもう少しあとのことだ。
おわり
Shaykey
2025-03-24 21:32:08 +0000 UTC