個人誌・合同誌の頒布数について考察
Added 2025-02-24 10:58:16 +0000 UTC冒頭からがっつり脱線します。
去年のお盆の中間あたり閉店時間間際のスーパーにいったのですが、店側の読みが大きく外れたのか、お刺身やお寿司の詰め合わせセットが大量に半額で売れ残っていました。
勿体ないので食べきれる範囲でいくつか私も買いましたが、とても店員達で処理できるレベルではないくらい残ってしまっていて、残念ながらそのほとんどは廃棄になったことでしょう。
「この魚たちは何のために捕らえられ、そして殺されたのだろう…」と内心悲しい気持ちになりながら店を後にしました。
このスーパー、日本海側からお魚を直送しているお店で、売り物は全部新鮮でぷりっぷり。その割には値段も良心的で、今回の場合は更に半額だったので、質と価格のバランスがぶっ壊れている状態だったのにもかかわらず大量に売れ残りとなったわけです。
大きく読みを外した原因をちょっと自分なりに考えてみたのですが、
➀:お盆の帰省で家族が集まるのを想定した大ボリュームパックを沢山陳列したが、地震注意報などでそもそも帰省する人の割合が例年より少なかった。
②:上記のことからお買い得とわかっていても食べきれないのでボリュームパックを買えない客が多かった。刺身や寿司は冷凍保存しにくいので余計拍車がかかった。
③:このスーパーは一昨年の夏にオープンしたばかりで、一昨年はオープニングセールブーストがあった。一昨年の売り上げを参考にした結果、爆散した。
④:この地域はもともと魚が美味しいスーパーが他にほとんどなく、魚を食べる習慣自体があまり形成されていなかった。
物流の仕事やマーケティングの仕事に携わったことがないので、実際のところはわかりませんが、どれだけ美味しくて安くて誰の目で見てもお買い得な商品でも、地域柄、時期、販売形態特性、時勢…少しでも読みを外すと大爆死(もしくは予想外の大繁盛で機会損失)する可能性があるというわけです。
さて漸く本題に移りますが、巨ケモの個人誌・合同誌についても、上の例と同じで界隈の特性・現状をしっかりと踏まえた上で戦略を練らないと高確率で爆死or機会損失を被ることになると思います。しかし、巨ケモがまだまだマイナージャンルで前例が少ないことを考えると、それは当然のことであり、それこそ失敗しながらも前進し、自ら前例を作らねばならないといった側面もあるでしょう。
とはいえ、可能であればリスクはできる限り回避したいもの。
ということで、我々、マイナージャンルに巣食うもの達がいったい何を指標に頒布数や本のテーマを考えていけばいいのか、というのをあれこれ考えてみようと思った所存です。
不定休の関係上あまりイベント参加できないので、なかなか難しいのですが、私もいつか本みたいなのを出してみたいと思ってますし、この記事を読んでいる人の中にもこれから個人誌や合同誌に挑戦したいと考えている人もいるかもしれませんので、是非その一助となれば幸いです。
エアプのくせに何を偉そうに、って思うかもしれませんが、逆にこの手のジャンルの同人誌は誰かの経験則をそのまま他の人に当てはめて活かせるか、と言ったら全くそうではないくらい複雑なものだと思いますので、あえてエアプの真っ新な状態で手元にある情報だけで何か頒布数の根拠みたいなのを推測できたらな、という考えです。
販売部数を左右する要素
ネットで調べてみると「頒布数はフォロワー数の1割」なんてのをよく目にします。しかしながら、これは全く根拠のない数値と言えます。
販売部数を左右する要素は沢山あると思いますが、例えばフォロワーの外国人比率に注目してみるとします。
当然ながら、日本で開催されるオフのイベントに外国人が参加するのは非常にハードルが高いので、仮に同じフォロワー数を持つAさんとBさんがいたとして、前者のフォロワーの外国人比率が5割、後者が9割だったとすると、もうそれだけで両者の予想販売部数には5倍の差がつくことになります。Aさんが100部売れたとしても、Bさんは20部しか売れません。
このように部数に致命的な影響を与える要素は沢山あり、これをどれだけ予想できるかがリスク回避の為に重要と言えるでしょう。実際に下記に部数を左右しそうな要素を思いつく限り箇条書きしてみます。
・外国人比率(上述のとおり)
・創作の方向性:もともと一次創作メインで活動しており、頒布する作品もその延長線上にあるのなら頒布数はまだ読みやすい(フォロワー数に比例し易い)。普段から雑多なアカウントだと全く読めない(どのジャンルを目的として自分をフォローしているのかすらわからない)。
・2次創作の場合は旬ジャンルかどうか:旬ジャンルはフォロー外の人でも好きなキャラクターを求めて買われる可能性が高くなる為、フォロワーの数と関係ない部分で上振れする可能性がある。特に特定のカップリングなどはその傾向が強い。逆に超マイナーでも、供給がなさ過ぎる余りフォロー外から買われることもある(ただし上振れ部数は限定的)
・ジャンルとして孤立し過ぎていないか:大抵の場合、余程の熱烈ファンでない限り、一冊の同人誌の為だけにイベント会場に足を運ぶことは少ない(労力と釣り合いがとれない)。ジャンルとして孤立し過ぎていると「何かのついで」で買ってもらうことも期待できなくなる。
・合同誌の場合、「内容に対してコスパがいいか」も頒布数に影響する:例えば同じサイズフェチでも性別、種族、蹂躙強度(凄惨かほのぼのか)で大きく好みが別れる。ほのぼのシチュが好きな人が「9割凄惨、1割ほのぼの」の比率の合同誌は手に取らない可能性が高い。ようは一冊分の値段に対して得られるものが少ない=コスパが悪い
まだまだ考えればいくらでも出てきそうですが、個人的に影響が大きいと考えるのはこのあたりです。
★実際にどうやって試算するか
前提条件として「フォロワー数の一割の部数が売れる人」を以下の条件とします。
(※ネット上に転がっている経験談をいくつか見てだいたいこの程度だろうという曖昧なものです。)
条件➀:フォロワーの外国人比率が40%
条件②:基本的にいつも決まったジャンル、キャラで創作しているアカウント
条件③:普段の創作と同じジャンル、キャラで個人誌を頒布
条件④:頒布するイベントでは他にも同じキャラ、ジャンルで頒布している人がいる。
上記の条件でフォロワー2000人に対して200部売れたとします。
対して仮に同じフォロワー数で以下の条件の人がいたとします。
条件➀:フォロワーの外国人比率が70%
条件②:全く別の二つのジャンルを半々で創作しているアカウント
条件③:上記のうち片方のジャンルをメインとした個人誌を頒布
条件④:頒布するイベントでは他に同じジャンルの頒布がない
極端な試算かもしれませんが、そのまんま日本人の比率が6割から3割になるので部数は半減。
2000人のフォロワーのうち頒布したほうのジャンルが目的でフォローしている人が半数の1000人だと仮定すると、更に部数は半減。
他に似たジャンルがないイベントとなると、この個人誌だけの為に足を運ぶ熱狂的なファンのみが購入するだけになりそうなので更に半減・・・といった感じで結局頒布数は25部程度になってしまう可能性があります。
条件④によるショート分は通販すれば取り戻せる数字ですし、デジタル版なら海外のファンも買ってくれるとはいえ、他のクリエイターがフォロワーの1割売れたからと言ってそれを鵜呑みに100部200部と刷ってしまったら大変なことになってしまいます。
★ネコジャラスが個人誌を出した場合を例に試算してみる
ネコジャラスの場合、メインの活動アカウントが鍵垢ですのでフォロワーの1割ではなく、15%を試算のベースとして、先ほどと同じように除算していこうと思います。
だいぶ楽観的な気もしますが、単純なフォローよりフォローリクエストのほうがハードルが高い=鍵垢のほうがフォロワーと自分との間の性癖適合率が高いことを考慮にいれたものとなります。
現時点のフォロワー数は約1800人。
15%の270部を数字のベースに除算してみます。
条件➀:外国人比率が70%だったので、一般的な創作アカウントの半分しか日本人がいない。
条件②:サイズフェチ100%アカウントだが、性別・キャラはバラバラ。いいねの比率的にオスケモ4割、メスケモ3割、性別問わず3割。
条件③:基本的に巨ケモ本は孤立している(イベント毎に一冊くらいしか出ない)
ベースの日本人比率が60%に対してネコジャラスは30%なのでまずここで部数半減→135部。
条件②に対し、仮にオスケモ本を頒布すると、メスケモ層3割ロスト→94部。
マイナージャンル過ぎて、“ついで購入”が期待できず部数半減→47部。
…47部も売れるのか?笑
しっかり宣伝して、魅力的な表紙描いて、内容が充実してそうなのが伝われば漸くといった感じでしょうか。
そもそも私の場合、小説+挿絵の創作スタイルがサイズフェチ入門としてはハードルが高く、見本誌を見て新規が買うこともないでしょうから上振れも期待できません。なんなら普段翻訳して楽しんで頂いている外国の方達も楽しみにくい媒体なので、デジタル版の売上も期待できませんし、爆死要素に溢れています。
あとはX以外の部分で何か指標を設けるのであれば、例えば今私が運用しているFANBOXで「過去に2回以上支援いただいたことのある方」は少なくとも確実に私の作品を愛好していただいているファンの方だと思いますし、その中で日本にお住まいの方は、ほぼ大半が会場もしくは通販で書籍版を買ってくれることが期待されます。
該当者は全部で40人程いましたので、それを最低保証と考えて部数の参考にするとより爆死率が下がりそうな気がします。
上記の指標からネコジャラスの場合は40部前後が爆死回避ライン。機会損失回避ラインが94部(後日郵送する分も含む)。あとは予算に余裕があるかどうかで40~94の中で調整する形になりそうです。
余談ですが、もし私が頒布数最優先で個人誌を制作するとしたら、オスケモとメスケモの比率を半々にしつつ、オスケモもしくはメスケモどちらか片方しか抜けない人でもコスパが悪く感じないような価格帯で頒布しますね。その代わり蹂躙強度は統一し、事前に示して、手に取った人が期待通りに抜ける本にします。せっかく買ってもらっても使えないんじゃどうしようもないので。
★合同誌の場合、どう試算する?
合同誌の販売部数予想は非常に難しいですが、まず初めに一点注意すべきことがあります。
それは「合同誌の参加人数が増えたからと言って必ずしも販売部数が増えるわけではない」ということです。
例えば同じジャンルで活動する「フォロワー1000人、個人誌が50部売れる人」が10人いたとして、その10人が合同で本を出した場合、合計の500部売れるかと言ったら勿論、そうではありませんよね。
同じジャンルで活動しているということはフォロワーもかなりの割合で被っていることが予想されますし、逆にもし仮に10人のうち一人しか好きな絵師がいなかった場合、たった1/10のページを読みたいが為に丸々一冊分の金額を支払う必要が出てきます。
これはもうファンの熱量次第で、「好きな絵師がいるけど1pだけなら今回は見送ろう」って人もいれば「好きな絵師がいるなら1pでも問答無用で買う!」って人もいます。人それぞれ経済状況も違いますしね。
また、合同誌の参加メンバーが増える程、ページ数が増える程、一人当たりの影響度は希薄化しますし、ページ数が増える分、本の価格も高く設定しざるを得ません。そうなると「特定の絵師だけの熱烈なファン」にとってはコスパの悪い合同誌となってしまいます。
そう、結局のところ合同誌というのは複数の参加絵師のフォロワーの中で「好き」が重なり合っている層にとっての最高の一冊ができるものであり、部数を大きく増やすという効果はあまりないのかもしれません。
どちらかというと採算度外視の「同志の祭り」の側面が大きいですね。
合同誌の販売部数をあえて試算するのであれば、まずは先ほどやったように主催者自身がもし仮に個人誌を頒布した場合の予想販売部数を試算して、そこに+αを加算する方法が良いと思います。合同誌とは言っても、メインの広告塔は主催者となりますし、その主催者の人脈、癖の繋がりから生まれた一冊で、編纂者も主催者自身ですから、影響力は寄稿者の比ではありません。
+αの部分は主に各寄稿者が抱えている超熱烈ファンの数次第となります。
もし1万フォロワーの寄稿者がいたとして、その人の海外比率が90%で、仮にその人が日本のイベントで個人誌を頒布して200部売り上げる実力を持っていたとしても、その中には「個人誌なら買うけど合同誌の数ページだけなら買わなくてもいいか」、という人が結構な割合で混じっているでしょう。結果的に「問答無用で買う!」レベルの超熱烈ファンがその200人のうちの20%、40人いたとして、ではその40という数値をそのまま+αに計上できるかといったら、全くそうではありません。
なぜならば、この40人の大部分がそもそも合同誌主催者のフォロワーと被っていることが予想されるからです。そして、当然寄稿者同士もファン層は被っていますから、寄稿者が増えれば増える程、一人当たりの+αは軽微となるでしょう。
寄稿者の人数や人気にだいぶ左右されるので具体的な目安を提示するのは難しいですが、少なくとも個人誌想定で試算した頒布数の倍以上刷るのはかなりリスクが高いので、そこは慎重に検討するべきと考えます。
最後に
いかがでしたでしょうか。
お盆の食料廃棄を見てふと思い立って「もし自分が個人誌や同人誌を作るなら何部刷ればいいのだろう」とせっかくこうして色々考察してみたので、備忘録的に形に残しておけば、自分以外にももしかしたら少しは誰かの参考になるかもしれない、と思って記事にした次第です。
初めのほうにも言いましたが、私自身、ABIKIさんのところで一回売り子をさせてもらった程度で、寄稿こそ何回かしたことはあれど、頒布自体エアプですので、あまり説得力はないかもしれませんが、目安として何かの参考になれば幸いです。