満月近くは決して六尾(むつお)の狐を怒らせてはならない、という言い伝えがある。
“妖狐の月経”とも呼ばれるように、彼らの妖力は月単位で変化すると言われており、満月が近くなると最も妖力が増し気性が荒くなり、新月になると妖力が消失し大人しくなる。
望の日の妖力は甚大で、その力は時に国すら傾けたとされる。
まだ六尾狐が多く存在していた頃は互いが抑止力となり、また、そもそも彼らが瑞獣ということもあって、集団で人里を襲うことなどはしなかった。
しかし、現代ではどうだろう。
もし、六尾の血筋がまだ途絶えておらず、それが唯一のものだったら…
すべての生命の生殺与奪の権はたった一匹の妖狐に握られるかもしれない。
ーその日、地球に2匹の獣人が訪れていた。
まだ十代前半くらいの若い娘と、その彼氏。何でもないただの観光デートのようだ。
彼らは人の姿に化けて一頻り人類文明の観光を楽しむと、少し疲れたのかベンチに腰掛けた。
「シュイちゃん、喉乾いてない?ちょっと飲み物買ってくるから、ここで待ってて。」
と彼氏。
「うん。わかった!ありがとう、ガイヤ。」
シュイと呼ばれる女の子はニコリと笑って見送った。
仲睦まじく微笑ましさすら覚える一場面だが、しかし、まさかこの後、この二匹に、いやこの町にとんでもない地獄が訪れるとはこの時誰も想像もしていなかったことであろう。
(・・・遅いなぁ~)
彼氏のガイヤがその場を離れてから30分が経った。飲み物を買いにいくだけにしてはあまりに遅い。
シュイは心配して、彼の向かった方向に歩き出す。
すると、曲がり角を曲がったすぐ先に彼氏はいた。
(はは~ん、そういうことね…)
なんと、ガイヤはそこで人間の女の子と楽しそうに談笑していたのだ。
それを見たシュイは嫉妬のあまり頭に血が上ったのか、白昼堂々化けの皮を剥ぎ、正体を晒す。
橙色の美しい毛並みに、手入れされた6本の尻尾。彼女はれっきとした六尾の狐の女の子だった。
解放された妖気に彼氏のほうもすぐにシュイに見られてしまったことに気付いた。
(まずい…!今日は満月の日だ…!)
彼としてはたまたま町で出会った女の子に話しかけられて、思いの外話が盛り上がってしまっただけで、浮気とかそういう下心は一切なかったのだが、嫉妬深いシュイの鬼のような形相を見て大失態を犯したことに気付く。
そして、よりにもよって今日は満月の日。
六尾の狐が最も感情的で最も力を持つ日。
—この町の運命は今、決した。
「許さない・・・!もう怒ったんだから!もうこんな町なんてどうなっても知らない!」
シュイは大きな声でそう言うと、周囲の人々の目も憚らず妖力を解放した。妖気の波が周囲に波及し、ビル群の窓ガラスを粉々に砕くと町は阿鼻叫喚の地獄と化した。
シュイの身体はみるみるうちに巨大化し、人々が異変に気付いた頃には、既に高層ビルの高さと同じくらいの背丈になっていた。巨大化の反動でよろめいて付いた手は、たまたまそこに駐車していた車をいとも簡単にスクラップにしてしまう。もし、中に人がいたならば即死だろう。
尚も巨大化する彼女はビルとビルの間に身体を挟まれる。
鬱陶しいと言わんばかりに雄たけびを上げながら、両手でビルを押し退けると、そのまま高層ビルがドミノ倒しのように次々と倒壊し、とんでもない大惨事となった。
非常ベルやサイレンの音が鳴り響き地獄の様相を呈する繁華街。
しかし、まだ彼女の怒りは収まらない。激昂をトリガーに湧きあがった妖力がシュイの身体を巨大化させ続け、ついには町のどこにいてもシュイの巨体を確認できる程の背丈になった。
それまでは少し離れた場所にいた人たちは、何か爆発でも起きたのではないか、と黒煙が上がる方向を見守っていたのだが、それがまさか巨大生物によるものだと知って、町全体が悲鳴に包まれた。
周囲のビル群をその巨大な尻で何十棟も磨り潰しながら、肥大化し続けるシュイ。あるところで彼女の体重が許容量を超えたようで、町の地下に蜘蛛の巣のように張り巡らされた地下街が一斉に崩落し、シュイは勢いよく尻もちを付いた。
その反動は凄まじく、町全体を支える地盤に亀裂が入り、激しい断層によって、シュイの周囲数キロメートルが激しく隆起した。地盤に張り付いていた建物も人も何もかもが宙に投げ出される。
ガイヤもなんとか巨大化の反動に巻き込まれないように耐えていたが、流石にこの一撃を前に吹き飛ばされてしまう。
無論、彼も人ならざる者。それで死傷することはないし、シュイも別に彼を殺そうとしているわけではないが、それにしてもやり過ぎである。
「満月近くは決して六尾の狐を怒らせてはならない」という伝承はまさにこれを言っているのであろう。
数㎞ほど吹き飛ばされて突っ伏していた彼氏だったが、町の変わり果てた姿に絶句する。
先ほどまで活気があり沢山の人が息衝いていた町が滅茶苦茶に破壊し尽くされ、どこまでも瓦礫の山が広がっている。
そして、その廃墟の中心で超巨大化したシュイがムッとした表情でこちらを見下ろしているのだ。
妖力の爆発によって一時的な性成熟が起きているのか、年齢不相応の発達した豊満な乳に、どれだけの命を磨り潰しているかわからない程の広大な巨尻。
女の子座りしていることもあって、発達した大腿部から臀部に掛けてがっつりと町を効率的にスクラップにしており、その下には何万、いや何十万の亡骸が眠っていることだろう。
シュイの巨大な尻の中心には、こちらもまたしっかりと性成熟したクソデカマンコが鎮座しており、巨大化に際してマンコに滅茶苦茶に磨り潰されたのか、破壊されたビルの残骸が山のようになっている。
シュイは徐に彼氏のいる場所まで手を伸ばすと、そのまま指先で彼を摘まみ上げた。
「お仕置きの時間だよ」
シュイはそう言うと、彼を自分の股のほうに持っていき、あろうことか彼女は自分の膣でガイヤを呑み込んでしまう。
「反省したら出してあげる。」
町を破壊してスッキリしたのか、それとも、絶望で真っ青になった彼氏の顔を見て満足して怒りが引いたのか、彼女は少し得意げな表情で、脈動する自分のマンコに揉みくちゃにされていく彼氏の姿を見守っていた。
やってることは滅茶苦茶だが、どうやらこのお仕置き法は今回の思いつきというよりは常習化されたもののようだった。おそらく、彼氏が何かやらかす度にいつもこうしているのだろう。
それにしても、女の子と男の子のたかが痴話喧嘩に巻き込まれた町の人のことを考えると何とも居た堪れないものがある。
この一件での死傷者は200万人をゆうに超えるだろうが、その地獄を齎した彼女はどこ吹く風で彼氏をマンコに沈めて楽しんでいるのだ。
人間もケモノもやはり女は本当に恐ろしいものである。
おわり
深淵ネコジャラス
2024-12-09 10:12:34 +0000 UTC大地の風
2024-12-08 13:24:13 +0000 UTC