500万人の死者を生んだ“ヒーロー災害”から数日。
巨大ヒーローは記者会見の場に臨んでいた。巨大化しても原子力エネルギーによって無理に細胞分裂した細胞はすぐに死んで“オリジナル”の細胞だけが残るので、数日後には巨大化前のいつもの大きさに戻る。
名実ともに世紀の大量殺人鬼となった彼の記者会見には国内外多くの記者が詰め掛け、会見の様子は世界中で生放送されていた。
「#サイコパスヒーローを許すな」のタグでSNS上ではかなり過激な発言が飛び交っている。
『犯罪者は今すぐ死刑にすべき』
『生放送中に誰か暗殺してくれ』
『人を殺して勃起するなんてヒーロー以前の問題だろ。』
等々、ヒーローの死を望む声も多く挙がっている。
勿論、民衆の中には過去に彼によって命を救われた者もいるし、熱狂的なファンもいたので、擁護する声も多少はあったが、しかし、500万人の死傷者を出したとなれば流石に反論の余地もなく、ヒーロー側を支持する人間もかなり厳しいパッシングを受けているような状態だ。
そんな渦中の中心にいる巨大ヒーローの青年の会見で、いったい彼がどんな発言をするのか、皆固唾を呑んで中継を見守っていた。
記者達もすぐ目の前に500万人も人を殺した青年がいることで緊張した面持ちだ。
「・・・それでは今回の未曽有の“ヒーロー災害”について会見を始めます。」
司会進行役の男がそう言うと皆がヒーローのほうを見た。
「・・・この度は私のミスにより、多くの市民を死なせてしまい誠に申し訳ありませんでした。今後、怪獣討伐に伴う民間人の死者をできる限り減らすためにより一層気を引き締めてヒーロー活動にあたります。」
ヒーローは淡々と謝罪を述べた。
500万人の死者を出した者の回答としてはあまりに不十分であり、この発言をきっかけに堰を切ったように記者達の怒号が飛び交う。
「どれだけの死者が出ているかわかっているんですか!?一人二人の話じゃない!500万人です!!怪獣被害ですらこんな数字見たこともない!!怪獣より人を殺しているんですよ!あなたは!!」
記者自身も親族を亡くしているのか、顔を真っ赤にし、ヒーローを指差しながら吼えるような大声を出す。
それに対し、ヒーローは少しムッとした様子を見せた。そしてあろうことか彼はこの場の空気にそぐわず反論を始めた。
「お言葉ですが、今回の怪獣は今までの襲撃の中でも一番巨大な個体で、人類兵器では到底太刀打ちできないレベルの怪獣でした。私が対応しなければ、数日経った今でも怪獣は町を襲い続けて死者は500万人を余裕で超えていたと思います。それこそこの場にいる方々の大半もあの怪獣に殺されていた可能性があります。私があそこで怪獣を撃退したから今あなた達は生きていることを忘れないで下さい。」
ヒーローの言葉に一瞬で場は凍り付いた。いやこの場だけでなく世界中の視聴者が凍り付いたことだろう。
もはや彼が“お前達は俺が生かしてやっている”という認識でしか民衆を見ていないことは明白で、その時点で既に対等な立場で記者会見を行える関係ですらなくなっている。
何よりの証拠にヒーローは貧乏ゆすりをしており、明らかに苛立っていた。
というのも、先日の大量虐殺の折、確かにヒーローはフル勃起してしまったが、なんとか良心で興奮を抑え込み、その場でオナニーすることだけは我慢した。
ヒーローとしては500万人の命を使った贅沢なオナニーを必死に抑えたことをむしろ評価してもらいたいくらいの気持ちでいるようで、今回の一連の流れを批判されること自体が不服のようだった。
実際は巨大化が解けた後、自分が滅茶苦茶に破壊して変わり果てた町の様子や、報道ヘリや市民が撮影した神のような自分の映像を見て、自室でシコりまくっていたのだが…
「こ、このマーダーライセンス持ちの快楽殺人者が!!ヒーローの皮を被った犯罪者が!!お前なんて・・・お前なんて死刑になってしまえば・・・!」
おおよそ記者会見の場には似つかわしくない発言。ヒーローの斜め上からの発言に煽られるように記者は自信の立場を忘れたかのような罵詈雑言をヒーローに吐き捨てる。
そして、それに触発されたかのように他の記者達も呼応し、収拾がつかないくらいの暴言の嵐となった。
「・・・うるせえな・・・生かされてるだけのチンカス共が・・・」
ボソッと小声でヒーローが言った。
そして同時に周囲を威圧するような殺気が会場を包み込み、それだけで記者達は黙り込んでしまった。
もはやヒーローも自分を取り繕う気すらないようだった。
「お前達覚悟はできているんだろうな?いや、お前達だけでなくこの中継を見ている世界中の虫けら共!どいつもこいつも好き放題俺のことを批判しやがって・・・俺が生かしてやらないと何もできないくせに何様のつもりだ?」
世界は大きな勘違いをしていた。“ヒーロー”は所詮肩書でしかなく、民衆が勝手に担ぎ上げただけで、そこにいるのはただの年端のゆかない青年でしかないことを。
命の危険の伴う巨大化実験を受け、一人凶暴な怪獣の相手をさせられ、少しミスをすれば総叩きにされる。コメンテーターも専門家も民衆も、誰もが安全な場所から好き放題中傷する。
青年の気持ちも考えず“ヒーローなんだから”と彼の行動を全否定してきた、この数年間。
彼の人格を歪めたものがあるとしたら、それは80億人の身勝手なのかもしれない。
「・・・世界が敵になるというなら、俺もヒーローとしてお前達を征伐しないとな・・・」
もはや彼の価値観はヒトを外れ、怪獣側、もしくは神のような視点で民衆たちを見ているようだった。
ヒーローを続けるうちに少しずつ強者としての自覚が芽生え始め、虐殺するたびに少しずつ彼の心はヒトから離れていっていた。それが決定的になったのが今回のヒーロー災害だ。
残念ながら500万人という数は彼を咎める為の数字にはならず、むしろ簡単にこれだけの数の命を左右できてしまう自分を酔わせ一層民草の価値の低さを際立たせる体験となった。
そしてそんなゴミクズのような他愛もない存在が自分の立場も弁えず、生意気に異を唱えてくる矛盾。今までヒトとしての良心がギリギリ彼を繋ぎ止めていたのだろうが、限りなくヒトを外れ、更に世界中から批判された今、彼はついに開き直ってしまったのである。
極めて単純にものを言うのであれば、“世界中心から自分中心にシフトした”と言える。
ヒーローは巨大化デバイスのダイヤルを「35」に合わせ、躊躇いもなくボタンを押した。
それは体積で言えば、先日の大虐殺の時に見せた巨大化の32倍に匹敵する数字だ。
突如室内で巨大化を始めるヒーロー。記者達が悲鳴をあげ逃げ出そうとするが、瞬く間に巨大化に巻き込まれ、壁に押し潰されミンチと化した。
会見会場の天井を突き破り、顔を出したかと思った頃には、内側から破裂したように建物が崩壊し、周囲の建物も次々と巻き込まれ、やがて町一つがヒーローの巨大な肉体の下敷きになって消滅した。
そう、彼はついにみんなのヒーローではなく、自分自身のヒーローになったのだ。これからは自己中心的な正義によって人類という悪を駆逐していくことになるのだろう。それは人類にとっては怪獣と何も変わらないのだが、結局それも一方的な視点でしかない。
事実彼も今まさに故意に町一つを消滅させ100万単位の命を奪ったが、自分がヒーローであること自体は何一つ変わってないとさえ思っている。
「ふぅ・・・イライラした。鎮めなきゃ・・・」
記者どころか無関係の市民まで巻き添えにし、皆殺しにしても尚、彼の虫の居所は悪いままだ。そして同時に股間も“イライラ”していた。
数秒前まで数百万の命が息衝いていた筈の瓦礫の山を見下ろしながら、ヒーロースーツが裂けそうなくらいパンパンに勃起した陰茎をビクンビクンと脈動させる。
(もう別に晒してもいいか)
するとヒーローはあろうことか廃墟と化した町の上で堂々とズボンを降ろし、チンコを露出させた。
パツンパツンのヒーロースーツですら思い切りテントを張るほどの代物だ。彼の勃起した陰茎は途轍もなく巨大で、それこそチンコだけでも今しがた破壊した町よりもデカい。
雲を超えるような巨体の彼がちんこを晒すことは、則ち世界にちんこを晒すということである。今までは羞恥心がブレーキになっていたのだろうが、もはや羞恥心すら抱かない程
人類を何でもない存在と思っていることがこれだけでも良く分かる。
巨大ヒーローは白昼堂々ちんこを扱き始めると、まるで怪獣のように地面を揺らしながら大股で歩き始めた。
道中いくつも町を発見したが、もはや彼は一切躊躇なく足を踏み下ろし、町をスクラップにしていく。数十万規模の町であれば、たった一歩でもすべて足裏に収まってしまい、数百万単位の大都市でも同じくたった一歩とそれに伴う衝撃、地震で全滅させてしまう。
あまりに歩幅が広い為、次の一歩を踏み出す先に最低でも必ず一つは町がある。歩幅が合わずに運よく踏みつぶされずに済んだ町もあるが、基本的には一歩歩くごとに町が一つ消え、数十万、数百万の命が消えていく。
さっきまで500万人だのなんだので揉めていたのが嘘のようにその何倍もの命を一瞬で奪っていく。
(あぁ・・・スカッとする・・・!)
何年も抱えてきた鬱憤が漸く晴れたようでヒーローは気分を良くしていた。
数分もしないうちに死者は1億を超え、そろそろ彼も抜きどころを探し始めていたが、丁度いいところに彼の目の前にはこの国の首都が見えてきた。
人口1000万人を擁する大都市。
彼はその途方もなく巨大なケツを容赦なく町に降ろす。筋肉質でデカいケツが高層ビルを薙ぎ倒し、一瞬で町は阿鼻叫喚の地獄になった。
突如町のど真ん中に打ち立てられた巨大な肉の塔。この町のどんなシンボルマークよりデカいその爆根からはヒーロースーツで蒸された雄の匂いが充満し、町は一瞬でその匂いに包まれた。
つい先日まであれほど必死に守っていた対象が今ではただの性欲処理の為の玩具になっている。ヒトの心の移り変わりとは恐ろしいものだ。
それほど良心と法治国家が上手く作用して絶妙なバランスで巨大ヒーローは成り立っていたのだろう。
法を超越した存在となってから幾数年が経過し、また世界も彼をヒトとして扱わなかった結果がこの惨劇である。
巨大ヒーローは徐に片手で町の一角を掬う。その片手だけでも万単位の命が乗っている。そして、その手は吸い込まれるようにペニスのほうへと向かっていった。
パンパンに膨張し硬くなった陰茎の前では人間の町などあまりに脆弱で、一瞬で形も残らないくらいに粉々に砕け散る。当然人間達も悲鳴をあげる間もなくただの肉片となったことだろう。
ヒーローはそのまま“町の粉”を我慢汁で濡れた肉棒に摺り込むように手を滑らせていく。そまま同じように2度3度、計10万人程度の血肉ローションを塗ったところで漸くピストン運動を開始した。
「あ・・・あぁ!!!・・・気持ちいい・・・!ずっとこれがやりたかったんだ!!」
虐殺馴れ転じて身に付いてしまった蹂躙性癖。
今まではヒトの立場にいたからこそずっとずっと我慢してきた。日に日に民衆の命が自分にとって軽くなっていくのを感じてはいたが、それを良心でずっと抑え込んできた。
本当は自分が世界で一番強くて、世界なんて簡単に支配できることは初めからわかっていたのだ。
立場も弁えず罵詈雑言を並べてくる生意気な虫けら共なんかに従わず、傍若無人に振舞うことなどできたのに、ただ自分もヒトのままでありたかったからすべて耐えてきた。
しかし、その苦悩は理解されることなく、むしろ世界のほうが彼をもうヒトとして認めなかった。記者会見の場でそれを垣間見た彼が完全に吹っ切れてしまうのも無理はない。
粒々触感の“命の名残”に性感帯を刺激され唸りながら、大都市に海綿体の上を包皮が滑る轟音を響かせる。
「世界中でヤってやる・・・!」
ヒーローの激しいオナニーによって彼の股付近の建物が地盤ごと粉々に砕け、車も電車もビルも何もかもが断層に巻き込まれていく。
ただ性的快感を得る為だけに行われるオナニーで大量に消費されていく人々。彼以外誰もその興奮を理解することはできないだろう。
大都市の住人達はなぜ自分達が殺されないといけなかったのかすらわからないまま彼の一時の絶頂の為のオカズとなって消滅していく。
大量にぶちまけた白銀の生命の雫は1000万の命が消えた合図。
今まで自分を中傷してきたものの大半が死んだだろうことにヒーローは清々しさと解放感を覚え、手を大きく広げ、そのまま大の字になって身体を横にする。
「ふぅ・・・見せしめとしては十分だったかな。これからこいつらの命をどう管理していくか、ゆっくり考えるとするか・・・。」
ヒーローの治世が始まろうとしている。
思う存分正義を振りかざせる理想的な世界が。
そして雄臭く血塗られた絶望の世界が。
つづく…?