「虫けら共~♡皆殺しにしてヤりますかにゃあ♪」
子供の頃から虫が嫌いだった。
虫タイプが弱点ということもあるけれど、それ以上に僕の体毛が植物にかなり似た性質を持っていることもあって虫達が挙って僕の毛を齧ろうとしてくるからだ。
大人になりマスカーニャへと進化してからは、更に虫嫌悪は加速した。
悪タイプが追加され、より虫技が致命的になっただけでなく、種として容姿端麗なイメージを持たれ易いマスカーニャとあって、少しでも毛が乱れてるだけでも悪目立ちしてしまう。虫は大の天敵なのだ。
虫が目の前に現れれば、あらゆる手段を講じてでも殺さなければならない。それがマスカーニャ種の掟だ。例えそれが取るに足らないような小さな虫だとしても情け容赦は無用なのだ。
そして今、神になった僕にとって、その虫嫌悪はかなりマズい方向へと昇華してしまった。
「虫・即・殺」の精神は既に身体に染みついてしまっており、世界中のすべてが“虫けら”となった今でも、なかなか手を緩めることはできない。
もはやそれは一方的な虐殺でしかないだろうし尊い命を奪うことに何も感じていないわけではないが、慣れというのは恐ろしいもので、自身の命を守る為だった筈の“手癖”は今や自身の欲求を満たす為だけの“悪癖”として、今も尚残り続けている。
そして、その悪癖は確実に世界を破滅に近付けていた…
僕は人間の町で生まれた。
ブリーダーのもと何不自由なく育てられ、しっかりと手入れされた体毛は太陽に照らされるとエメラルドのように光り輝く程だった。
しかし、身体が大きくなるにつれ、ブリーダーの僕への扱いは少しづつ雑になっていった。後になって知ったことだが、ニャオハは雌のほうが希少で、雄にはあまり市場価値がなかった。僕はまだ他の雄の中でも毛艶が良かったから丁寧に育てられたようだが、身体が成熟し、“ある特徴”が備わってから状況は一変した。
そう、僕はニャオハ種きっての巨根だったのだ。
品評会で高く評価されるのは、いつも美しい雌。それがただでさえ価値のない雄のしかも雄のシンボルの主張が凄まじい僕がブリーダーに見限られるのは至極当然の流れだ。
こうして、僕は何不自由のない生活から一転、弱肉強食の野生の森に捨てられることになった。
森での生活は地獄だった。
野生ポケモン、雨風、経験値稼ぎのトレーナー。すべてが僕にとっては脅威で、特に執拗に付け狙ってくる虫ポケモン達は脅威でしかなかった。
人間の庇護下の中、のうのうと生きてきた僕にとって虫達は恐怖の対象でしかなく、姿を目にするだけでも吐き気を催す程だ。
捨てられたポケモン達というのは、ほとんどが野生に適応できずに屍を晒すことになるのだが、たまたま僕が捨てられた森は野生ポケモン達のレベルが低く、食料さえ確保できれば命を繋ぐことは可能だった。
とはいっても当初はこの虫だらけの森の中で、食料を見つける余裕などほとんどなかったのだが、ニャオハ種は体毛が植物と似た性質を持っており、光合成でも多少は栄養を得ることができたのが大きかった。
この特性がなかったら、おそらく1カ月もしないうちに衰弱し、虫に骨の髄まで齧り取られていたことだろう。
なんとか自分より弱いポケモンを見つけて狩りをして腹を満たし、殺虫成分のある樹木の樹液を体毛に塗り込んで自衛し…必死に生にしがみつくこと5年。
気付けば僕はニャローテに進化していた。
この頃にはこの森の中で僕に適うものはおらず、我が物顔で森を歩き回れるようになっていた。
相変わらず虫たちは寄ってくるが、容赦なく叩き潰せる力と胆力も備わり、むしろ虫を見つけたら、こちらから殺しにいくくらいのもので、取るに足らないくらい小さな虫でも容赦なく虐殺した。
“生きることは殺すこと”
この5年間で荒み切った僕の格言だ。流石に所有しているポケモンのレベルが未知であるポケモントレーナーには手が出せなかったが、野生ポケモンと出会ったら基本的にはみんな殺していた。
草ポケモンでありながられっきとした肉食獣である僕はどうしても相手を殺さなければ生きれなかったこともあるが、それ以上に殺すということは僕のアイデンティティーにもなっていた。
大嫌いな虫ポケモンは勿論皆殺し。虫以外のポケモンは捕食の為に殺す。唯一殺さなかったのは雌ポケモンくらいだろうか。
思春期真っ只中で食欲だけでなく性欲にも溢れていた僕は、20㎝はあろうかという爆根で森中の雌を食い散らかしたのだ。
森中が狩場と化したこともあり、マスカーニャへの進化は1年もかからなかった。
人間並の高身長に性成熟した妖艶な体躯。性器はゆうに30㎝を超え、自分でも惚れ惚れするくらい雄々しく立派だった。
ここまでくると流石に目立つようになり、野生の爆根マスカーニャの噂は徐々に人間達に広がり、森にいられなくなった。
その頃の僕であればたいていのトレーナーは返り討ちにできただろうし、トレーナーの命を奪うことも、ぶち犯すことも容易かったが、一度凶行にでれば人間という種自体を敵に回すことになるだろうことは、都会育ちの僕には良く分かっていた。
本当は自分を捨てた人間に逆襲したい気持ちはあったが、そこはグッとこらえて森を後にした。
小さな森の王だった僕には世界は広く、自分より強いポケモンなどごまんといたが、それでも奇術師マスカーニャとしての技術を使えば、窮地に晒されることなどほとんどなく快適に旅することができた。
新しい味を求めて“殺し”、新しい快感を求めて“犯し”、自らの強さとソレを磨き上げる気儘な旅。そんなある日、偶然立ち寄った岩穴で光り輝く植物を見つけた。
そこは“ぬしポケモン”という巨大なポケモンのテリトリーであり、他のポケモンは到底近付けないような場所だったが、ぬしが岩穴を守る様に陣取っていることが気になった僕は“トリックフラワー”を巧みに操って注意を引いているうちに、こっそりと中に侵入した。
光る草はやけに香ばしい匂いを発しており、気付けば夢中になって草を食んでいた。
一口食べた瞬間、活力が漲るような感覚を覚え、草を毟る手は止まらなくなる。
少ししてある変化に気付いた。
明らかに自分の胃袋より多い量の草を食べているにもかかわらず、一向に腹がいっぱいにならないのだ。それと同時にやけに岩穴が窮屈に感じた。
それでも液体のように柔らかい猫の身体で辺り一面の光り輝く植物を憑りつかれた様に貪った。草をすべて食い尽くし、外に出ようとするも岩穴の天井に頭をぶつけ悶絶。その時点で薄々気付いてはいたが、外に出て確信する。
巨大化。
先ほどまで見上げる程デカかった筈のぬしポケモンと目線が同じどころか、見下ろしていたのである。
ぬしポケモンは予想外の事態に恐れ戦いていたが、それ以上に自分のテリトリーで貴重な植物を奪われた怒りで立ち向かってきた。
そんな蛮勇を鼻で笑い、容赦なく拳を振り下ろす。ぬしポケモンを一捻りした僕は辺りを見渡し、世界にとっての今の自分の存在はどう変化したか推し図っていた。
急激に狭くなった世界で、でも心は解放感と高揚感で溢れている。森の王から世界の王へ、その道筋が整いつつあった。
人間達が“秘伝スパイス”と呼ぶ超高エネルギー体。
あの草をもっともっと食べれば、もう誰も自分に逆らえなくなる。大嫌いな虫達を絶滅させることができる。
そう思うと胸が高鳴った。
しかし、大きくなった身体を更に巨大化させるためには、それ相応の量のスパイスが必要になる。
仮に身長を1.5mから2m、体重を約50㎏増やすのにスパイスが10g必要だったとして、2mから4mにするには体積比も考慮すると160gも必要になる。
更に言えば、身体が大きくなるにつれ、狭い岩穴で草を食み辛くなることもある。
そういうこともあってか、おそらく先ほどのぬしポケモンもあのサイズで留まっていたのだろう。
もしもスパイスを無尽蔵で食べれるような環境が整っていたら、既に世界は破滅している筈だ。
世界を手にするために僕が目標にしたのは3㎞。
特に深い意味はないが、世界で一番標高の高い山を玉座代わりにして、王として世界を見下ろすのはさぞ気分が良いだろうと単純にそう思ったのだ。
その為にはスパイスを約7000t食す必要がある。
その日から、僕の穴掘りは始まった。
身長10mに達した強靭な肉体と巨大な爪を使えば、硬い岩壁も容易く掘り進めることができ、まだ誰も到達したことのない未知のエリアを発見することも珍しくなかった。
この地域は岩穴や地下の至る所に空洞が空いており、手付かずの場所にはまだスパイスが当たり前のように生えていた。
しかし、見つけるたびに食していては、どんどん身体が肥大化し、草を発見しにくくなったり、人間達に見つかり易くなるなどのデメリットもある。
今の力があれば、一踏みでトレーナーごとポケモンを蹂躙できる自信はあったが、変に目立って人間達に徒党を組まれ、総攻撃でも仕掛けられると面倒極まりないので、食欲をグッと堪え、探索に勤しんだ。
穴掘り技術は日に日に上達し、途中からは“たねばくだん”や“トリックフラワー”をダイナマイト代わりに使うなど、技を駆使して効率的に岩穴や地下の開拓を進めて行った。
そして、ちょうど一年が経った頃、ついに僕は見つけた。
大きく開けたアンダーグラウンドに一面に広がる見渡す限りの秘伝スパイスの群生地を。
その総量が7000tに及ぶかはわからない。しかし、こんな世界の理を覆すような聖域を他の誰にも見つけられるわけにはいかなかった。
僕はスパイスをすべて喰いつくすことを決意した。
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世界の終焉の始まり。
その日、地下世界から突如姿を現した巨神。身長にして4.2㎞。
彼は開口一番こう言った。
「虫けら共~♡皆殺しにしてヤリますかにゃあ♪」
マスカーニャの姿をした巨獣。タイツでも履いているかのような艶めかしい深緑の脚と、同じく吸い込まれるように真っ黒な“イダイナサオ”はそれだけでゆうに1kmはあるだろうか。
神秘に満ちた仮面から覗くゴミを見るような見下した目からは生命への敬意は一切感じ取れず、これから起きる慈悲のない大量虐殺が避けられないことを如実に物語っていた。
踏み出された一歩はそれだけで多くの命を奪いかねない戦略兵器。
世界が彼を王と証明するにはたった一歩で十分だった。それほどに彼の一歩が引き起こす破壊の衝撃はすさまじく、世界中の生命体が彼の気まぐれによって生かされているだけの存在に成り下がる。
彼は真っ先に生まれ故郷に向かった。
自分を捨てたブリーダーのいる大都市を滅茶苦茶に破壊し尽くし、逆襲を果たすのだ。
等間隔で次第に大きくなる歩行地震。異常事態を前にすぐに大パニックに陥る人間達。
町がマスカーニャの深緑の大きなマントに影を落とした頃には、既に地震だけで町は半壊し、悲鳴とサイレンの音で溢れていた。
動体に特化して発達した彼の視力ですら、なんとか視認できるレベルの小さな小さな人間達。足元で蠢く何十何百という虫けらを前に少し昔を思い出してゾッとしつつも、身体に沁みついた虐殺本能が抑えられない!
殺意が強烈な踏みつけとなり町を直撃!と共に下から突き上げられるような衝撃で外を歩いていた人間や車が数メートル宙に投げ出されたかと思った時には、立て続けにビルすら容易く倒壊させるほどの暴風が巻き起こり、そのまま宙にいた人間や車は揉みくちゃになってバラバラになった。
マッハを超える速度で超巨大な足が振り下ろされたことによって、直前までそこに存在していた空気が逃げ場をなくし、圧縮され周囲に開放されたのだ。
その破壊エネルギーは凄まじく、ふみつけ爆心地を中心に数㎞の町並みを一瞬で瓦礫の山にするほどの威力があった。
しかし、残念ながら被害はそれだけに留まらない。
踏み下ろした際に発生した超巨大地震が数十キロ先まで町も人も何もかもを蹂躙し、時間差で遠く離れた海の先の町まで津波で滅茶苦茶に破壊し尽くす。
当然目の前にあった町と数百万人の命は消滅。それどころか世界全体で見れば億単位の死者が出たかもしれない。
自分ですら想定外だったこの星すら傷付けかねない凄まじい威力に流石の彼も驚愕し、人間達や他の数多ある生命が犠牲になったことに心を痛めた…なら良かったのだが、残念ながら彼はニヤリと顔を歪め悪い顔をしている。
幼少期から染みついた虐殺癖。悪タイプの性。
彼からすれば、大嫌いな人間が大嫌いな虫並に矮小な存在になったから害虫駆除の要領でただ駆除している感覚なのかもしれない。
自分が悪なのではなく、人類こそ虫こそが悪であると信じて疑わないからこそ、そこに良心の呵責は発生しない。
物心ついたばかりで愛も知らず何も大切な物も持っていない哀れな幼猫にすら容赦なく自然の掟が襲い掛かったように、彼も世界という敵に容赦する気はなかった。
ただ彼はその強大な敵を打ち滅ぼすために努力し、そして逆襲を開始しただけなのだ。
終わりの始まりに相応しい一撃。
この一歩を皮切りに巨大マスカーニャによる世界の粛正が始まった。
基本的に粛正はすべてその黒くて巨大なおみ足によって行われたが、一つ奇妙なのが町を闊歩し破壊して回る際中、ずっとマスを掻いていることである。
ゆうに1kmはある黒い巨塔の包皮がゴシュゴシュとひっきりなしに上下し、尿道内の我慢汁が移動する不気味な音が聞こえた時、人々は死を覚悟しなければならない。
しかし彼が破壊と殺戮を肴にマスターベーションしていることについては、人々は特に疑問を覚えなかった。
というのも、マスカーニャ種自体がかなり性に奔放な性格で、トレーナーへの執着心、嫉妬心共に凄まじく、濃厚なキスや自ら性交渉を申し出るなんてことも普通にある。
愛が重すぎて、一人でいるときもトレーナーのことを考えながら一人エッチするようなポケモンなのだ。
統計ではマスカーニャのトレーナーの8割がマスカーニャとSEXしているというデータもあり、近年は世間体も考えて進化をニャローテで止めているトレーナーも多い。
初めてマスカーニャ種が発見された時、博士は「マスクを被った猫」と「マスカレイドのようにしなやかで美しい姿」という二つの意味を持たせて“マスカーニャ”と命名したとされているが、それはあくまで表向きのこじつけで実際は激しくマスを掻く猫という意味でマスカーニャと名付けたのではないか、と噂されているくらいだ。
なのでこの白昼堂々と行われる蹂躙オナニーに関しては、ある意味納得できるものがあったし、虐殺の興奮で勃起している異常性についてもマスカーニャらしいといえばらしい。むしろ、それより問題なのは射精被害のほうだ。
大量のスパイスを食したことによって無尽蔵に沸いてくる活力と、何者も彼を妨げるものがないこの世界で機能し続ける超効率的な光合成。
溢れる程に体内に溜まったエネルギーが次々と精子を生成し、果てることのない絶倫を実現している。
もともとマスカーニャは“種”を爆発させることに長けたマジシャンだが、今やその“子種”一つ一つまでもが強烈なエネルギー弾に匹敵する力を持っていた。
百万単位の人間が住む町が殲滅される度、彼は絶頂を迎え、盛大に大量射精していったが、彼の偉大な竿はまさに巨砲そのものであり、一度火を噴けば、強烈な“たねばくだん”が何億と放出され、その地域一帯が絨毯爆撃に晒される。
精液が地面に落ちるたびに眩い光と共に爆音が生じキノコ雲があがるのだ。
一回の射精で必ず町一つ以上消滅しているのは、しっかり町に狙いを定めているからであろう。彼からしたら、シューティングゲームを楽しんでいるくらいのものだ。
そんな猟奇的な彼だが、意外なことに森や山などポケモンが多く生息している地域をあえて狙って踏み荒らしたり、射精の標的にしたりはしなかった。
彼からすれば野生のポケモンにも良い印象はないはずだし、今や彼にとっては人間もポケモンもただの虫ケラでしかない。
もしかしたらニャローテ時代、一時的に森の王として君臨し森中のメスポケモンを私物化し抱いて回っていた記憶からか多少の愛着があったのかもしれない。
とはいえ彼のスケールでは狙って生かすこと自体が難しく、人間の町を破壊すれば、それと共存している大勢のポケモン達も犠牲になるし、町から町へと歩いてるうちに踏みつぶされてしまう命も決して少なくはない。
なので、彼としてもほんの軽い温情くらいの気持ちなのかもしれないし、もしくは世界への復讐を果たした後の世界を既に見ているのかもしれない。
今の頻度で射精を繰り返していれば、数年も経たずに世界は破滅することは彼自体理解しているだろうし、世界中の生命を殺し尽くしてしまうと食うものにも困るだろう。
まだ食糧問題に関しては光合成で賄えるかもしれないが、性欲の捌け口がなくなるのは由々しき問題だ。
ともすると彼は世界の王として、今度は世界中のメスすべてを私物化する気でいるのかもしれない。いやメスどころか、エッチなオスも標的になる可能性はある。それほどに彼の性欲は凄まじい。
生き残りさえ作ってしまえば、あとはいつでも“ちいさくなって”性交渉すればいいだけだ。そう、ポケモンには一時的に自らの身体を小さくする特性が備わっており、マスカーニャも例外ではないのだ。
その生き残りの中に人間が含まれるかどうかはわからない。分かり易い逆襲の対象として、ターゲットにされてしまい、何より町を破壊する行為に相当なオーガズムを感じてしまっている。キーはその殺戮の快感に抗えるかどうかだろう。
人類を絶滅させてしまえば、大都市破壊という大人の遊びは二度と出来なくなる。彼がそこを重要視して殺戮の手を緩めてくれるかどうか。そこにすべてが懸かっている。
しかし…
ピストン運動は激しくなるばかり。
そして、
容赦なく撃ち込まれるジェノサイド砲が次々と町を破壊し、大量の命が消えていく。
無限の活力から繰り出される蹂躙オナニーは一切止むことはなく続いた。気付けば死者は60億を超え、射精回数は実に500回を数えている。
もはや後始末が不可能なほどに世界中が彼の精液に塗れ、汚れ、異臭を放っている。国の約9割は地図から消滅し、“白地図”と化していた。
「ふぅ・・・♡見せしめのマーキングはこんなもんかにゃあ?」
彼の口から出たのは“マーキング”という言葉だった。
そう、人類虐殺と共に彼が行っていたのは全生命に骨の髄まで恐怖を刻むという、恐るべきマーキング。
世界中の大地を自分の遺伝子だらけにして縄張りを主張し、世界が今誰のものであるかを知らしめたのだ。
しかし、流石に彼も疲れたのか、徐に標高3,000mの“玉座”に座った。
しばらく辺りを見渡し、そこら中滅茶苦茶になった大地を見て満足したのか、ニコニコと笑顔になる。
過去の思い出に浸っているのか、遠くを見つめながら、そのまましばらく静止したが、ペニスだけはまだ元気なのか相変わらずビクンビクンと脈動し、その鼓動音だけが不気味に辺りに鳴り響いている。
生まれ故郷はもうない。そこにいたであろう自分の育ての親も、自分とは関係のない大勢の人間やポケモンと一緒にすべて消滅した。
数えきれないほどの生命を絶望の死に陥れ、あろうことかその虐殺に興奮してオナニーをした。その悪行は決して許されることはない筈だ。
しかし、彼が世界の支配者となり、ルールとなった今、それが許されるどころか、彼のほうが正義となった。
生かされた生命は文句ひとつ言えず、この非情な現実を受け入れるしかない。それこそ彼が幼少時に経験した地獄と同じように。
「さて、そろそろフィナーレと行きますかニャ」
まだ地獄は終わってなかった。
「あと一発出盛大にぶちかませば、流石にこいつも大人しくなるかにゃあ…。そろそろ“あそこ”を使うか。」
“あそこ”とは彼が意図的に取っておいた、この星最大の大都市である。
より効率的に生活できるように過密に高層ビルが立ち並ぶコンクリートジャングル。世界一の人口密度を誇るこのエリアはマスカーニャにとっては涎と我慢汁が止まらない程のオカズである。
500回も精液をぶちまけておいて、漸くのメインディッシュ。まるで60億の命は前菜だったでも言わんばかりに元気いっぱいの利かん棒が、まるで指差しているかのように町のほうへと向けられている。
そう、大都市に住む1500万人の人間達の死が確定した瞬間である。
誰も彼を止めることはできないし、彼が“矛を収める”なんていう慈悲深き選択をすることもあり得ない。すべては性欲のままに。彼のちんこのご機嫌が全生命の生殺与奪の権を握っているのだ。
世界中が破滅的な最期を迎える中、どこにも逃げ場がないことを悟った大都市の住人達は避難することもできず、ただ茫然とワールドニュースに耳を傾けていた。
SNSとグローバル化が進んだこの時代、情報統制はもはや不可能で、次々と凄惨な画像や動画が拡散され、不安が不安を呼び大都市は既にマスカーニャの到着を待たずとして大混乱に陥っていた。
実際に60億の命が失われており、自分達もほぼ確実に絶望的な死を遂げることがわかっていて、それでも生活を続けるというのはあまりにも酷だ。
恐怖に耐えられなくなった人々の自殺が相次ぎ、それこそどのビルの屋上にも飛び降り自殺の行列ができる有様だ。
マスカーニャが町に到達した頃には、既に人口の約1割、150万人もの市民が自殺し、町はそこら中死体だらけという酷い状態になっていた。
血の匂いに気付いたマスカーニャもなんとなく状況を察したのか、ニヤリと顔を歪ませる。
そして、4㎞超の巨体が作り出す影に町がすっぽり覆われた時、残りの9割の人間達は今自分が生きていることに強烈な後悔の念を抱いた。
それは即ちなぜもっと早く命を絶たなかったのか、という後悔だ。
悪意が溢れて零れ落ちたかのような彼の狂気の表情を一目見て、「巨獣のきまぐれ」という一縷の望みすら絶たれたことを理解したのだ。
『早く殺して』
防衛本能がそうさせたのか人々は無意識にそう願った。マスカーニャから発せられる強烈な悪の波動にあてられ、身も心も衰弱した人々が、今すぐにでもこの恐怖から解放されたいと願う気持ちで一杯になるのも無理はないだろう。
早く殺りたいマスカーニャと、早く殺してほしい人間達。
利害は一致した。
「待っててニャ。今“助けてあげる”ニャ~♡」
救いのオナニー始まる。大きく股を開き、文字通り町を股下に納め、都市頭上、すべての人間達が自分のちんこを拝めるようスタンバイした彼は、両手でゴシゴシとペニスを扱き始める。
激しいピストン運動によってぶるんぶるんと揺れる一対のトドロクツキ。町の直上でブランコのように前へ後ろへ降られる睾丸によって発生する暴風はそれだけで人類史上最大クラスの台風に匹敵する。
町中の窓ガラスが次々と割れ、木々や古い建物は倒れ、場合によっては人すら宙を舞った。
それに加えオナニーが巻き起こす振動もちっぽけな町にとっては致命的で、このままでは手コキの動作だけで町が壊滅しかねない状況だ。
建物を踏み荒らしたわけでも、“たねばくだん”をぶちまけたわけでもなく、ただパンパンになった海綿体の上で包皮を滑らせているだけなのに町が滅茶苦茶になっていく。
そのスケールギャップに得も言われぬ程の充足感を覚え、研ぎ澄まされた性感帯に心が支配されていく。テクノブレイク寸前の彼の足はガクガクと震え、ついには倒れ込むようにして尻もちをついてしまった。
広大な巨尻が町に落下した衝撃は凄まじく、周囲の建物の8割が倒壊するほどの地震が発生。これによってマスカーニャ直下にいた人間達のほとんどが犠牲になったかと思われたが…
「・・・あれ?私・・生きてる!?」
「何が起きたんだ!?ここはいったい…」
「ここは…天国・・・?」
巨尻メテオによって犠牲になるはずだった100万近くの人間のうち約3割にあたる28万人の人間達。
彼らは気付けば全く知らない場所に移動させられていた。直前までいたはずの罅割れたアスファルトではなく、視界全体に広がる桃色の地面。そして、周囲に充満するフローラルな香り。
人間達がそこを天国だと勘違いするのも無理はないだろう。
奇術師マスカーニャの人命手品。彼は人間達が自分のお尻でスクラップになる間際にその一部を奇術によって移動させたのだ。
そう彼らが今いる場所というのはマスカーニャの身体の一部でもある“花爆弾”の上だった。一見宙に浮いているようにも見えるが、光の乱反射を利用して花の茎の部分を見えないようにしている。
勿論、救ってやったわけではない。ただ彼らの望み通りにすぐに殺してしまうのが癪だっただけだ。
それにこのままの勢いでオナニーを進めていくと、絶頂前に人間達が全滅してしまう可能性も危惧していた。
せっかくのメインディッシュだ。イく瞬間に観客ゼロはあまりにも寂しい。ちゃんと最期まで神のオナニーを見せつけ絶望のどん底に突き落とした上で皆殺しにしたい、と彼は考えたのだ。
「ちんぽにゃ」
30万弱の命を乗せた花の箱舟の目の前に黒い巨塔が立ちはだかる。滝のように溢れて零れ落ちる我慢汁から発生する強烈な雄の匂いが花の香りを簡単に掻き消してしまう。
あまりの恐怖に悲鳴を上げ泣き崩れる人間達。それを見て興奮したマスカーニャは再びオナニーを再開した。
「ちゃんと見ててニャ。これがこの星の王たる僕のオナニーにゃ。」
わざわざ生かして安全な花の上に移動させたにもかかわらず、彼は一切容赦なく至近距離でペニスを扱き始める。
ストロークに伴い発生する暴風を前に人々は次々と宙を舞い粉々に消えていった。
巨尻メテオによって壊滅的な被害を受けた足元の大都市にもまだ500万人近くの生き残りがいたが、再び発生し始めたオナニー地震によって、見る見るうちに数が減っていく。
冗談のようだが、一回のピストンで本当に万単位の人間が死んでいた。
扱く手は更に激しくなり、1秒あたり3ピストンに到達。これが人間のスケールでの話なら別段可笑しくもない速さではあるが、彼のペニスが1㎞はあることを考えると話は別だ。
極超音速。たった一秒で彼の腕が6㎞もの距離を移動しているのだ。その速度は17.6マッハともなる。
この“ハイパーソニックオナニー”から生じるソニックブームの前では、人間のちっぽけな町などひとたまりもなく、その暴力的な衝撃波には、形あるすべての物を粉々に破壊し尽くすほどの威力があった。
まさかピストン運動だけで大都市が消滅するだなんて、彼自身も思いもしなかっただろう。この高速オナニーによって、生き残りの500万の命諸共、大都市は一瞬で瓦礫の山と化したのだった。
これには流石のマスカーニャも絶頂しざるを得ない。
「あ・・・イ、イく・・・ッ!!」
大都市消滅記念の祝砲とでも言わんばかりに、天に向かって思い切り精液をぶちまける。凄まじい力で放出された精子の一部は成層圏を突破し、星の外まで汚染範囲を広げた。
この壮絶な大量破壊を人間達に見届けさせる為、彼は花を少し遠ざけてソニックブームの範囲から離してあげていたのだが、勢いよく噴きあがった精液はその花をも一瞬で飲み込んでしまった。
花の上にいた人間達はおそらく雄臭いドロドロの液体の中で、大量の精子に滅茶苦茶に嬲られて絶命していったことだろう。
「はい、お疲れ様でスター♡」
ベロを出し、悪い顔でマスカーニャはそう言った。
彼がまだニャオハだった頃、どこかで聞いた滑稽な挨拶。自分のオカズの為だけに今日ここまで頑張って生きてきて、今漸くお星さまになった彼らには丁度良い労いの言葉だ。
この一言だけでも、いかに彼が人間の命を軽視しているかが良く分かる。
しかし、残念ながらこの星はもうそんなサイコパスな彼の支配下にあるのだ。どれだけ理不尽に蹂躙されようとこの星にとって神様のようなマスカーニャには絶対に逆らうことなどできない。
「生きてもいいよ。」と彼に許してもらえた者だけが生き残ることができるのだ。
彼自身別に世界中の全生命を皆殺しにしてまでたった一人で生きたいわけでもない。少なくとも食欲や性欲を満たす為にポケモン達を生かすことは必要だ。
しかし、人間はどうだろう。わざわざ自分を捨てた大嫌いな人間を生かしておく必要があるだろうか。
その答えはYES。
唯一彼らにしかできない一つの価値がある。それはオカズ作り。すなわち町を形成するということだ。今回の大規模襲撃でマスカーニャは町を破壊する気持ちの良さをこれでもかと味わった。再びあの快感を味わう為には復興の機会を与えてやる必要がある。
事実マスカーニャは都市と呼べない程度の小さな町はあえて見逃してあげたりもしていた。
肉棒の傀儡と化し、本能のままに破壊し尽くしているように見えて、実は理性的に先を見据えて持続可能な虐殺を行っていたのだ。
おそらく彼は人類のその極めて利己的で傲慢な性質が消えてなくならない限りは殺戮を止めないだろう。
逆に言えば、人とポケモンが真の意味で共生できる社会にさえなれば、もしかしたらオカズとしての使用を止め、尊厳を持って生きることをお許しいただけるかもしれない。
勿論、根っからの悪タイプである彼が、その悪意と性欲を抑えることができたらではあるが…。
—種そのものが性玩具と化した人類。復興にかかる年月を考えると、おそらく100年周期前後で億単位の大虐殺が起きると試算できる。
活力の源であるスパイスを喰らい尽くしたマスカーニャの寿命は数倍…いや数十倍に伸びている可能性だってある。“天災”は決して2度3度だけでは済まないだろう。
果たして人類は今後幾度となく繰り返される地獄を乗り越え、種族レベルで改心し真の平和を手にすることができるのか。
彼らの受難はまだ始まったばかりだ。
おわり
★被害詳細★
・悪の波動を纏ったふみつけ
1億3519万人/歩
内訳:圧殺5%、暴風15%、地震50%、津波30%
・踏みつぶし総死者
28億5408万人(35万人/歩)
内訳:圧殺25%、暴風8%、地震60%、津波7%
・種爆弾(射精)総死者
33億9190万人(543万人/発)
内訳:爆殺44%、毒殺18%、焼死26%、溺死12%
・その以外(ピストン、巨尻メテオ等)の要因による死者
2億5321万人
・総死者
66億3438万人